2014年12月24日

「競争政策と公的再生支援の在り方」について

 先週の金曜日に、公正取引委員会から、「競争政策と公的再生支援の在り方に関する研究会」の「中間取りまとめ」が公表されました。自民党の競争政策調査会事務局長として、本件に関わってきた立場から若干のコメントをしたいと思います。

 まず、本取りまとめは、今後の公的再生支援の在り方を考えるにあたって、極めて重要かつ妥当なものであるという評価を明確にしておきたいと思います。

 私がかねてより主張していた二点、つまり、消費者の利益に資する競争環境を守ることが最も大事なことであり、(1)公的再生支援により生じた「ゆがみ」を別の「ゆがみ」で是正することはすべきではない、(2)ビジネスの大前提である予見可能生の原則を考えれば、再生がうまくいったからといって事後的に是正措置をとることはすべきでない。以上の二点について明確になった中間取りまとめとなっていることは大きく評価できると思います。

 以下、「取りまとめ」の本文から抜粋しながらこのポイントをここに書かせていただきたいと思います。

 まず、「(公正取引委員会は規制当局と連携しながら)被支援事業者の絶対的な事業規模やシェアが大きくなり、被支援事業者が著しく競争上優位となることが見込まれる場合には、被支援事業者の事業活動を制約する措置を採ることが考えられる」と、事業活動を制約する措置をとれる場合を厳しく限る内容となっている点。

 次に、「(「新たな生産設備への投資や新規事業分野への投資を一定期間制限することや、被支援事業者の事業活動や投資計画などについて定期的に支援機関に対して報告を求めること等」は)被支援事業者の生産量や投資等を制限することを通じて市場の競争を制限する効果を持つおそれもあるため、慎重に実施する必要がある。」と過度な是正措置をすべきではないと明確にしている点。

 そして、是正措置をとりうるタイミングについて、「公的再生支援が開始された後においては、被支援事業者の市場における地位が競争上優位になった原因が、公的支援によるものなのか又は被支援事業者の自助努力によるものなのかどうかの判別が難しくなるため、支援開始後に、被支援事業者が競争上優位になったことのみをもって影響最小化措置を採るとした場合、被支援事業者自らが経営努力を行うことによって効率性を改善しようとするインセンティブを低下させるおそれがあると考えられる。また被支援事業者のみならず、被支援事業者のステークホルダーにとっても、競争上優位になったことをもって支援開始後に影響最小化措置が課される可能性があるとなると、事業再生の道筋が不透明になり、自らの出資や融資等に対するリターンが不確実になるため、当該事業者のステークホルダーが当該事業再生にコミットしようとするインセンティブが損なわれることとなる。以上を踏まえると、影響最小化措置の実施の要否及び内容については、支援決定時にあらかじめ決定される必要がある。」とし、実施のタイミングについても「(支援決定時には予測できなかった経済環境の急激な変化等があった場合を除き)支援期間中に実施すべき」と明確にされている点。

 さらに、こうした点を踏まえて「被支援事業者が当初の想定以上に競争上優位に立った場合において、事後的な競争回復策を採ることについては、被支援事業者が事業再生を行おうとするインセンティブや当該事業者のステークホルダーが当該事業再生にコミットしようとするインセンティブを損ねるものであり、適当ではないと考えられる。」と明確にしている点。

 そして、これらを前提とした上で、公的規制制度のもとにある産業の場合には、「規制当局が、競争のゆがみを是正し、競争環境を確保する観点も踏まえて、許認可を含む処分を行う場合があり得る」としながらも、その場合の処分は、「市場における競争の活性化を促すことによって競争環境を確保するという方向で」行われるべきとし、上記で明確にされた諸原則との齟齬を来さない、新規参入を促すことに重点を置くべきとした点。

 まさに、最優先で考えるべきは競争の活性化による消費者の便益であり、「ゆがみ」を新たな「ゆがみ」で是正する、つまり被支援事業者の生産量や投資等を制限することでかえって現時点での競争を制限してしまうような事態は避けるべきであるという点を明確にし、また企業再生の観点から、再生企業及びそのステークホルダーのインセンティブを失わせるような予見可能生を著しく損なうような事後的な措置を厳に戒める内容となっています。

 今後の公的再生支援の在り方を考える上で、非常に意義深いペーパーが公表されたところでもあり、現在進行中の案件・行政行為についても、この方向性に照らして今後改めて妥当性を検討していく必要があると思われます。

suzuki_keisuke at 21:31トラックバック(0) 

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