2017年04月19日

変化しつつある北東アジアの安全保障環境

 北朝鮮をめぐる国際情勢が緊迫の度合いを増しています。

 それはすなわち、北朝鮮のすぐ横に位置している我が国にとっては安全保障上の脅威が増しているということに他なりません。北朝鮮は日本を射程に収める弾道ミサイル、かつ事前の監視が困難な固体燃料の車載式のものを多数保有しており、また6〜8といわれる核弾頭、多くの化学兵器・生物兵器を保有しているとされています。

 もちろん、通常であれば、いくら大量破壊兵器を保有していても、ひとたびそれを使えば自らも身の破滅に直結するということで、抑止が働く環境にあります。圧倒的な打撃力を持つアメリカが、軍事的にもコミットメントを強くしている以上、論理的には抑止力が働くという状況にあるのが今の朝鮮半島周辺の状況です。しかし、北朝鮮の場合には、そのトップである金正恩の判断が合理的であるのか、あるいは客観情勢をきちんと分析することができているのかという点に不安があることが大きな問題です。

 その観点から、北朝鮮に対して、もし彼らが軍事行動をとった場合実際に何が起きるか、そしてそのことが北朝鮮にとって、あるいは金正恩にとってどのくらい破滅的な結果をもたらすか、正確に伝えることが重要です。その意味で、ここのところの米軍の動きは大きな意味を持っているといえます。どのようなメッセージも軍事力による裏付けがなければ、真実味をもって受け取られないリスクがあります。

 また北朝鮮への現実的な圧力という意味では、事実上北朝鮮の生存を物心両面で支えてきた中国に役割を担わせるということも極めて重要です。中国と距離をどう置くかという点が北朝鮮外交にあって大きなポイントとはいえ、水や電力、石油、そして安全保障と様々な中国のサポートがなければ北朝鮮はとっくに崩壊していたという事実を考えれば、中国を真剣に関与させることができるのであれば、それ以上の効果的な手法はありません。

 もちろん中国が北朝鮮を守ってきたのは、自らの安全保障のためです。従って、中国が真剣に北朝鮮問題に対処するためには、それ以上の米国の軍事的圧力により中国をそうした戦略的判断に追い込むことが必須です。

 特にこれは日本の安全保障にも関わりますが、中国の軍事技術の進歩により、米国の東アジアにおける拡大核抑止についても大きく環境は変化しているので、その中で日本が果たすべき役割も含めて現実的にもう一度検証することが重要です。

 早晩、中国の新型ICBMであるDF41が実際に運用され始めれば、地上から発射される核弾道ミサイル関しては第二撃能力のアメリカの中国に対する優位は著しく崩れることとなりかねません。この状況下にあっては、核抑止及び拡大核抑止の観点から意味を大きく持つのはTHAADのような高いレベルの迎撃能力と、SLBM即ち潜水艦発射弾道ミサイルの能力ということとなります。

 我が国はこの点において、中国潜水艦への対応という点で、台湾などと並び、果たしうる役割がかなり大きくあります。尖閣や東シナ海のガス田の地政学的意味合いも私が10年以上にわたって主張してきているところですが、この文脈で極めて重要です。そしてそのことは同時にアメリカ自身の安全保障上、日本の地政学的重要性が高まるということをも意味します。

 アメリカの国内情勢の影響を受ける米軍の世界展開ですが、アジアにおける日本の果たす役割がアメリカ自身の安全保障に大きく影響する環境は、日本の安全保障に大きく寄与しますので、日本としても積極的に対中国の監視警戒活動についての日米台の協力を深化させていくことが必要です。

 

suzuki_keisuke at 13:51トラックバック(0) 

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