2018年04月29日

実質的には何も変わっていない北朝鮮情勢

 南北首脳会談が行われ「板門店宣言」に署名がされました。今後米朝首脳会談も予定され、様々な可能性が予測されています。メディアなどでは特に日本国内にあっては一気に楽観ムードに転じているようなきらいがあります。

 そのような中、我々には日本の政治家として日本国民の安全を守る責務がある。日本の安全保障の観点から、楽観を排し、正確な分析の下であらゆる事態を想定していかねばなりません。

 一つ表面的な楽観に違和感を覚える一つの理由として、金正恩が核放棄する可能性を、ニュートラルに見すぎているのではないかという点は指摘しておかねばなりません。

 金正恩がある程度政治的に成熟した社会制度のもとでのリーダーであれば、そのような分析は適切かもしれません。しかし、三代世襲で独裁国家、さらには粛正を繰り返し恐怖政治を国内で行っている現状を考えれば、金正恩が果たして本気で核廃棄する可能性があるのか、正確な分析・検証が必要であろうと思われます。

 まず、金正恩がサダム・フセイン元イラク大統領、リビアのカダフィ元大佐の事例を詳細に検証していることは想像に難くありません。アメリカのプレッシャーの中で「丸裸」になったために殺害されたという事例を。

 金正恩のような独裁者にとって、自らの命をどう守るかが極めて優先順位の高い命題である可能性は極めて高い。いくらアメリカが体制の保障、命の保障をしたところで、そんなものを信じるはずが無く、それを易々と信じてホイホイ交渉のテーブルにつくとは考えづらいところです。金正恩には核を放棄する合理性がどこにも存在しない。むしろ、金正恩が核を放棄するという選択は存在しないと考えるのが自然です。

 唯一可能性があるとすれば、中国がアメリカとの緩衝地帯としての北朝鮮という国家の存在を死活的に重要なものと考えていることがあるとすればあります。中国が北朝鮮の崩壊を断固として阻止する可能性は高く、中国は現在の世界で唯一(ロシアに関してはいろいろな見方があるが経済力など国の総合力から判断して唯一。)アメリカの意向を押し返せる軍事的な能力と意志を持つ国だからです。

 しかし、問題はその中国も必要としているのは、自らの意向に添う北朝鮮という国であって、金正恩ではない、という現実です。金正恩のような予測不可能なリーダーを中国が望むとは逆に考えられません。

 金正恩に、自らの命の安全と引き換えに得たいものがあるとは到底考えられず、客観的に見れば、今の融和ムードは表面的な一瞬のものにすぎないのではないかと思われます。

 金正恩とすれば、アメリカの攻撃圧力の前で、認識をある程度共有する文韓国大統領と気脈を通じて派手な和平への演出を行い、不確実性が囁かれるトランプ大統領に徹底的に気に入られるような演技を米朝首脳会談で行うことで、当面の時間稼ぎをする、というのが一番合理的な行動です。まさにアメリカを騙すための演出を徹底的にすることが、米朝首脳会談前に全知全能を傾けて行うべきこと、そしてそこでなるべく曖昧なところで手を握れれば、あとはのらりくらりとやっていける、というのが金正恩にとっての最も可能性の高い合理的な行動です。

 詳細に分析すると、非核化に関して何ら新しいことが書かれず、具体的なものも何も書かれていないという、今回の「板門店宣言」の内容そのものが、こうした金正恩の思惑・シナリオを何よりも雄弁に語っているとも言えます。

 今後の数ヶ月間、将に予断を許さない状況です。政府与党の一員として、表面的な事象に踊らされず、楽観的でない的確な分析・検証により、日本の国益と安全を守り抜けるよう、全力で努力していきたいと思います。

suzuki_keisuke at 10:54 
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