2021年08月10日

喫緊の課題としての気候変動問題~IPCCの第6次報告を受けて~

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第六次評価報告書第戯邏班会報告書(自然科学的根拠)が公表されました。今年が気候変動対策においてG7、G20、COP26と一連の国際会議を含め極めて重要な一年といわれている中で、極めて重要な報告書です。

 様々な科学的検証、分析が行われている本報告書は、気候変動が人間の活動によるものであるということ、人為起源の気候変動が様々な分野に実質的な影響を及ぼしていることを明確にしています。

 15年ほど前、衆議院議員一期目の時に気候変動に関する本を出版もしましたが、それ以降も様々なところで申し上げているように、私は、気候変動の問題、それに対する対策を考えるときに我々は三つのポイントを常に意識しておかねばならないと考えています。

 まず、我々が認識しておかねばならないのは、気候変動がもたらす影響は、単純に1.5℃や2℃気温が上昇するだけではなく、様々な事象が極端化するという事であり、その影響は極めて広範に及ぶという点です。

 海水温の上昇により雨の降り方が極端になることは皆様も感じられているところだと思いますが、干ばつ・大雨といった異常気象が頻発するようになり、また場所によっては寒冷化する、あるいは海流の変化により従来の気候が大きく変化する地域も出てくる可能性が高い。また内陸部の夏の日中の気温は当然地球全体の平均よりも上昇する可能性が高く、そうなれば植生の変化が気候の変化についていけず、食糧生産にも大きな影響を与えることとなります。気候をマイルドにする地球のシステムが変調をきたせば、それがわずかなものであっても、人類が生存するのに適した絶妙な均衡を崩すことにもなりかねません。

 そして、次に我々が気をつけるべきは、気候変動は加速するという事です。海水などで吸収できる温室効果ガスの量は海水温の上昇や溶け込む量の増大により、どんどんと少なくなっていく可能性が高い。そして、例えば北極やグリーンランドの氷が融解すれば地球の表面が黒くなることで熱をより吸収するようになる等々、様々な要因で一定のポイントを超えれば、温暖化は加速度的に深刻化するという点です。

 三つ目のポイントは、人類の行動変容により温室効果ガスの削減を行っても、そのことが気温の上昇を食い止める状況になるにはタイムラグが生じるという事です。こうした時間差にも留意する必要があります。

 まさにこうした点を考えれば、地球全体で温室効果ガスを大幅に削減せねばならないというのはもはや選択ではなく、やらねばならない現実だということ、この点はおそらく多くの国民の方々には共通認識として共有されていると思います。その一方で政府や経済界においても、危機感や時間軸は正直ばらつきがあることは否めません。今回改正されるエネルギー基本計画を見てもその点は明らかです。

 また、トランプ政権をはじめ、未だに一部でみられる論調ですが、人類の活動と温暖化、気候変動が極めて高い可能性で相関しているエビデンスがあるにもかかわらず、100%立証できているわけではないということで、そうではない極めて限られた可能性に賭けて、対応を遅らせたり積極的にやらないという事は、将来に責任を負う政治家として合理的に見て正しい判断ではありません。

 もちろん、地球全体でどのくらい削減せねばならないのか、という科学の議論の次に来るのは、各国、各セクターがどのくらいの削減をするのかという「政治」のステージとなる。そしてその政治の駆け引きで、これまで対策が総論賛成、各論反対の状況に陥ってきたのもまた事実です。

 しかし、昨今の様々な状況を考えれば、そうやって自国の負担を少なくすることに目が行くあまり(もちろん国益をかけた交渉をするのは当然ですが、そのことで全体が進まないことは肯定されるべきではありません)対策が遅れることで、大きな負担を負わされるのは将来の世界全体であることを我々は認識する必要があります。そして対策が早ければ早いほど負荷は少なくて済む。加えて、適切な規制のあり方や進むべき方向性を早いタイミングで示すことで、正しいマーケットが生まれ、正しい価格メカニズムと資金の流れができ、必要なイノベーションが進むエコシステムを形成することができる。私は今回の報告書の公表を契機に改めてこうした認識を国際的にも国内でも共有した上で、具体的な対策や規制の議論を加速していくべきであると考えます。

 こうした思いで、私自身、脱石炭の論陣を党内や政府内で張り、またサステナブルファイナンスに関する提言を総理に提出するなどしてまいりましたが、「現在の既得権の調整ではなく、将来の利益を最大化することこそが政治家の責務である。」、このことを改めて私自身も肝に銘じて今後の政策立案に臨んで参りたいと思います。

suzuki_keisuke at 18:53 
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