2015年10月22日
私とオリンパスPEN
先日、松阪でPENを買ったという話を書いた。
その時は触れなかったが、私はすでにPENシリーズのカメラを持っていて、普段から撮影している。

一番のお気に入りは「PEN S 3.5」だ。
先日購入した、初代PENの発売が1959年。その翌年に、「PEN S 2.8」というカメラが発売されている。「S」はスーパーであり、シャッターが新しく開発されたものになっている。これにより、最高速度が、1/200から1/250へ早められている。
シャッタースピードが早くなったことを生かすためレンズも明るくなった。初代PENはf値が3.5であるのに対して、Sは2.8と明るくなっている。
「PEN S」に搭載されたシャッターは本来「PEN」に搭載するものであったが、開発に時間がかかるために搭載を断念。後継機の「S」に回されることになった。
「S」は「PEN」とはレンズが変わるため、画角も変更されていた。画角が変われば当然ボケ味も変わってくるため、作品作り影響が出る。そのため、「PEN」と「PEN S」は併売だった。そこで折角の新開発シャッターをPENに搭載したものが「PEN S 3.5」である。
(一般的に「PEN S」というと2.8の方になる。玉数も2.8の方がはるかに多い。)
※「PEN」と「PEN S 3.5」のレンズは28mm。35ミリ換算の画角は40.3mm。
* 「PENS 2.8」はレンズは30mm。35ミリ換算の画角は43mm。
*
* ハーフサイズカメラの画角は、35ミリの画角より狭くなる。理屈はデジタルカメラのフルサイズセンサー
* APS-Cサイズセンサーのようなものである。

写真は「PEN」と「PEN S 3.5のシャッタースピードダイヤル。グレーのPENとブラックの3.5
「PEN」は B 1/25 1/50 1/100 1/200 となっている。
たいして「PEN S 3.5」は
1/250 1/125 1/60 1/30 1/15 1/8 B となっている。
「PEN S 2.8」以降は今日見慣れた倍数系列ななっている。私のような初心者にもやさしい。
目玉は高速の1/250であるが、設計士の米谷美久氏は低速側の1/8の搭載にもこだわったという。
この1/8の存在は大きい。私など夕方にシャッターチャンスも見つけたときは暗いのも構わず撮り続けるので、低速シャッターはありがたい。(現像でどうにかなると思っています…)
PENはシリーズ通してどの機体も、小型ながら構えた時にホールドし易く、ぶれにくい利点がある。案外1/8でも撮れる。解放と低速で街の夜景を撮ることも可能である。
さて、夜でも撮り続けるなら、「PENS 2.8」の方が良いのではとおっしゃられる方もおられるだろう。レンズが明るい点ではその通りであるが、私にとって「PENS 2.8」はちょっと気に食わない点がある。
ささいなことだが、「PENS 2.8」は「PENS 3.5」比べて、銅鏡の長さが4mmほど長いのだ。本当にささいなことだ。しかし、カメラが大きくなると、取り出しに手間取りシャッターチャンスを逃さないとも限らない。
米谷氏はPENの設計にあたり、カメラの小型化に力を注がれた。「どんなに優れたカメラも、その場にもって行かねば写せない」と仰られて、いつでもどんな時も携帯できるコンパクトなカメラに仕上げたそうである。
また、「PENS 2.8」は「PENS 3.5」に比べて、少しボケが出せるレンズ設計になっている。それ自体は多少のものであっても、作品作りに有利なものであるが、私は街角のスナップ写真を多く撮るので、慌てた時のピンボケが怖い。これが「PENS 3.5」を選ぶ理由である。
「PENS 3.5」のほかにも「PEN D」や「PEN EE」「PEN EES2」などをもっている。いづれもジャンク箱やノミの市などで購入したもので、100円から500円程度物である。唯一「PENS 3.5」だけは梅田のカメラ屋で1000円で買った。どれも動くもので、故障品はなかった。

私が初めて買ったカメラは「PEN D」である。
「PEN D」はf値1.9という明るいレンズに1/500の高速シャッターの付いた「デラックス」仕様のPENである。
1/500は電車をカッチリ止める鉄道写真において活躍し、1.9のレンズは1/30で街中の夜景が撮れることから、歩きながらネオン街を撮影するのに役立った。このカメラなら感度が100のフイルムですべてが足りた。
「PEN D」にはセレン電池の露出計が付いている。といっても、メーターのみの簡易的なものである。しかしこれが役に立った。露出の右も左も分からぬ高校生が感覚を掴むのを大変助けてくれた、いわば先生(?)である。 …私の周りにはカメラに興味のある人がいなかったので、露出の事を教えてくれる人がいなかったのである。(実際はマニュアル機に興味のある人がいなかった。祖父はA-1からのEOS使い)

しかし、入りがマニュアル機で本当によかったと思っている。もし、最初に買ったカメラがAE機であったならば、今、リバーサルフイルムを使う勇気なんかなかっただろうし、気に入って使っている一眼レフの「OM-1」も、露出計が故障しているという理由で買っていなかったであろう。
PENのフイルムカウンターはフイルムを変えるたび、指でカウンターの指針をセットしなくてはならない。(後から出た製品、「EE2」以降は自動で指針が0に戻る)これを忘れると、フイルムの残数が分からなくなる。なんせ、ハーフカメラは普通のカメラの倍の枚数が撮影できるのだから大変だ。
36枚撮りの「フイルムで72枚撮影できる計算になるため、カウンターの値は72+αまである。実際のところ、富士のベルビアやプロビアで79枚、アクロスでも79枚取れる。暗室でセットしたらもう少し稼げるのかもしれないが、いつも現場でセットする、それで80枚弱。
いつもカウンターのセットを忘れるおかげか、残りが少なくなると、巻き戻しのクランクをチョコチョコといじくって大体の枚数が分かるようになりつつある…。(ちゃんとセットしないから^^;)
余談ですが…
「OM-1」の設計に関して、巻き戻しクランクや感度設定ダイヤルをわざと大きくして操作性が高められている。という話がある。
「PEN」はボデーが大変小さいため、巻き戻しクランクが小さくなっている。それでも使いやすいようにと、思わず唸ってしまうような小さな工夫が散りばめられている。…だが、やはり小さいので、慌てていると手が滑る。
(早く次のフイルム入れたい)アセアセ
くるくるくるくる、つるっ。(あ!手が滑って、クランクを放した‼)
シュルシュルシュルシュルシュル‼‼
折角、セコセコと巻いたフイルムがゼンマイのように解ける音の何と悲しいことか…
「OM-1」のクランクが大きいことは偉いことなのだと思う。
その時は触れなかったが、私はすでにPENシリーズのカメラを持っていて、普段から撮影している。

一番のお気に入りは「PEN S 3.5」だ。
先日購入した、初代PENの発売が1959年。その翌年に、「PEN S 2.8」というカメラが発売されている。「S」はスーパーであり、シャッターが新しく開発されたものになっている。これにより、最高速度が、1/200から1/250へ早められている。
シャッタースピードが早くなったことを生かすためレンズも明るくなった。初代PENはf値が3.5であるのに対して、Sは2.8と明るくなっている。
「PEN S」に搭載されたシャッターは本来「PEN」に搭載するものであったが、開発に時間がかかるために搭載を断念。後継機の「S」に回されることになった。
「S」は「PEN」とはレンズが変わるため、画角も変更されていた。画角が変われば当然ボケ味も変わってくるため、作品作り影響が出る。そのため、「PEN」と「PEN S」は併売だった。そこで折角の新開発シャッターをPENに搭載したものが「PEN S 3.5」である。
(一般的に「PEN S」というと2.8の方になる。玉数も2.8の方がはるかに多い。)
※「PEN」と「PEN S 3.5」のレンズは28mm。35ミリ換算の画角は40.3mm。
* 「PENS 2.8」はレンズは30mm。35ミリ換算の画角は43mm。
*
* ハーフサイズカメラの画角は、35ミリの画角より狭くなる。理屈はデジタルカメラのフルサイズセンサー
* APS-Cサイズセンサーのようなものである。

写真は「PEN」と「PEN S 3.5のシャッタースピードダイヤル。グレーのPENとブラックの3.5
「PEN」は B 1/25 1/50 1/100 1/200 となっている。
たいして「PEN S 3.5」は
1/250 1/125 1/60 1/30 1/15 1/8 B となっている。
「PEN S 2.8」以降は今日見慣れた倍数系列ななっている。私のような初心者にもやさしい。
目玉は高速の1/250であるが、設計士の米谷美久氏は低速側の1/8の搭載にもこだわったという。
この1/8の存在は大きい。私など夕方にシャッターチャンスも見つけたときは暗いのも構わず撮り続けるので、低速シャッターはありがたい。(現像でどうにかなると思っています…)
PENはシリーズ通してどの機体も、小型ながら構えた時にホールドし易く、ぶれにくい利点がある。案外1/8でも撮れる。解放と低速で街の夜景を撮ることも可能である。
さて、夜でも撮り続けるなら、「PENS 2.8」の方が良いのではとおっしゃられる方もおられるだろう。レンズが明るい点ではその通りであるが、私にとって「PENS 2.8」はちょっと気に食わない点がある。
ささいなことだが、「PENS 2.8」は「PENS 3.5」比べて、銅鏡の長さが4mmほど長いのだ。本当にささいなことだ。しかし、カメラが大きくなると、取り出しに手間取りシャッターチャンスを逃さないとも限らない。
米谷氏はPENの設計にあたり、カメラの小型化に力を注がれた。「どんなに優れたカメラも、その場にもって行かねば写せない」と仰られて、いつでもどんな時も携帯できるコンパクトなカメラに仕上げたそうである。
また、「PENS 2.8」は「PENS 3.5」に比べて、少しボケが出せるレンズ設計になっている。それ自体は多少のものであっても、作品作りに有利なものであるが、私は街角のスナップ写真を多く撮るので、慌てた時のピンボケが怖い。これが「PENS 3.5」を選ぶ理由である。
「PENS 3.5」のほかにも「PEN D」や「PEN EE」「PEN EES2」などをもっている。いづれもジャンク箱やノミの市などで購入したもので、100円から500円程度物である。唯一「PENS 3.5」だけは梅田のカメラ屋で1000円で買った。どれも動くもので、故障品はなかった。

私が初めて買ったカメラは「PEN D」である。
「PEN D」はf値1.9という明るいレンズに1/500の高速シャッターの付いた「デラックス」仕様のPENである。
1/500は電車をカッチリ止める鉄道写真において活躍し、1.9のレンズは1/30で街中の夜景が撮れることから、歩きながらネオン街を撮影するのに役立った。このカメラなら感度が100のフイルムですべてが足りた。
「PEN D」にはセレン電池の露出計が付いている。といっても、メーターのみの簡易的なものである。しかしこれが役に立った。露出の右も左も分からぬ高校生が感覚を掴むのを大変助けてくれた、いわば先生(?)である。 …私の周りにはカメラに興味のある人がいなかったので、露出の事を教えてくれる人がいなかったのである。(実際はマニュアル機に興味のある人がいなかった。祖父はA-1からのEOS使い)

しかし、入りがマニュアル機で本当によかったと思っている。もし、最初に買ったカメラがAE機であったならば、今、リバーサルフイルムを使う勇気なんかなかっただろうし、気に入って使っている一眼レフの「OM-1」も、露出計が故障しているという理由で買っていなかったであろう。
PENのフイルムカウンターはフイルムを変えるたび、指でカウンターの指針をセットしなくてはならない。(後から出た製品、「EE2」以降は自動で指針が0に戻る)これを忘れると、フイルムの残数が分からなくなる。なんせ、ハーフカメラは普通のカメラの倍の枚数が撮影できるのだから大変だ。
36枚撮りの「フイルムで72枚撮影できる計算になるため、カウンターの値は72+αまである。実際のところ、富士のベルビアやプロビアで79枚、アクロスでも79枚取れる。暗室でセットしたらもう少し稼げるのかもしれないが、いつも現場でセットする、それで80枚弱。
いつもカウンターのセットを忘れるおかげか、残りが少なくなると、巻き戻しのクランクをチョコチョコといじくって大体の枚数が分かるようになりつつある…。(ちゃんとセットしないから^^;)
余談ですが…
「OM-1」の設計に関して、巻き戻しクランクや感度設定ダイヤルをわざと大きくして操作性が高められている。という話がある。
「PEN」はボデーが大変小さいため、巻き戻しクランクが小さくなっている。それでも使いやすいようにと、思わず唸ってしまうような小さな工夫が散りばめられている。…だが、やはり小さいので、慌てていると手が滑る。
(早く次のフイルム入れたい)アセアセ
くるくるくるくる、つるっ。(あ!手が滑って、クランクを放した‼)
シュルシュルシュルシュルシュル‼‼
折角、セコセコと巻いたフイルムがゼンマイのように解ける音の何と悲しいことか…
「OM-1」のクランクが大きいことは偉いことなのだと思う。