録画しておいたテレビ朝日の「そして誰もいなくなった」を観ました。

アガサ・クリスティの名作を近代日本の設定で再現したドラマです。

面白かったのですが、一点現代劇に変える際に気になるところがありました。

無人島の館に招待客が集まる際に携帯電話やスマホを金庫に預けるシーンです。


ドラマのシナリオ上、携帯で通話が出来てしまうと、すぐに助けを求められるので都合が悪い。

だから「近代文明のない自然の中で数日間生活するツアー」ということでスマホを参加者達が預けるのですが、

無人島であれば、「電波がつながらない」で良くない??


でも、そこであるプロデューサーの話を思い出しました。

僕は会社員時代にサスペンスドラマのプロットを書いていたこともあり、ある裏事情を聞いていました。

サスペンスドラマは、スポンサーへの配慮が大変なのです。


携帯の電波が繋がらない設定になると、スポンサーに携帯電話会社が入った場合、「いえいえ、うちの携帯はどこでも電波がつながりますから」という抗議を受けてしまうことがあるそうです。

へんぴな山でも携帯がつながらないなんて設定は作りづらいとのこと。


テレ朝の「そして誰もいなくなった」では、一度金庫に預けた参加者の携帯のバッテリーが、何者かによって抜かれて連絡できなくなる状態を作っていました。

携帯で通話できない状態を作る一手間が必要だったと思います。


また、車でひき殺すのも自動車メーカーがスポンサーに付く可能性があるのでNGだそうです。

「自動車は人を殺す道具ではありません」とスポンサーに言われるそうです。


薬による毒殺にも気を遣うとのことでした。

「そして誰もいなくなった」では、薬による殺害はありましたが、薬のイメージが悪くなることから製薬会社が嫌がることもあるとのこと。

ドラマでは何人も殺しながらもスポンサーは生かすのが、民放のサスペンスドラマでございます。


この流れでガラスの灰皿で殴って殺してしまうというオチが、サスペンスドラマで流用されたのでした。

いっそ、ガラスの灰皿メーカーもスポンサーになれば良かったのに。

そしたら壺で殺されるでしょうが。


結局サスペンスドラマは、いろいろとスポンサーに気遣っているため、「そして何も使えなくなった」のでした。