2005年07月29日

「『萌え4コマ』歴史・現状・展望」補足

既に約1か月前の記事になってしまいましたが、「萌え4コマ」歴史・現状・展望の反響が自分が想定していたものよりも遥かに大きく、驚きと感謝でいっぱいです。

記事を読んで下さった方々、記事にリンクやコメントをして下さった方々、そして自分の意見に同意・反論して下さった各地の漫画読みの方々、遅ればせながらありがとうございました。特に、記事に最初にトラックバックして下さったdomino氏と、コメント欄で『ユリイカ』2005年2月号という文献を紹介して下さったおおいしげん氏には格別の感謝をいたします。

今回は、コメント欄や各地で突っ込まれた次の3点に関して補足をしたいと思います。
  1. 萌え4コマの流れとして、ゲーパロアンソロジーがあるのではないか
  2. 「あずまんが大王」を萌え4コマの原点とするのはどうか
  3. 『まんがライフMOMO』を萌え4コマ誌とするのはどうか
■萌え4コマの流れとして、ゲーパロアンソロジーがあるのではないか

タイトル通りです。以下はおろしさんのコメントです。
“オリジナル”萌え4コマの源流が「あずまんが大王」であることに異論は無いのですが、パロディも含めた「萌え4コマ」に定義を広げるとギャルゲーアンソロジーの隆盛が無視できないんじゃないかと。
たぶん1999年に出た「ToHeart 4コマKINGS」(スタジオDNA)あたりがエポックだったような…。それまでもドラクエ4コマから続くゲーパロアンソロジーの歴史はあったんですが、ギャルゲーの商業誌パロはほとんど出てなかったんですよね。それが同人界で一大ジャンルを築いていた葉鍵系の作品が家庭用に移植されだしたのをきっかけに、↑が出て以降はギャルゲーアンソロジーが商業ゲーパロでもメインに取って代わりました。それで2000〜2002年あたりはかなりの点数が出たんですが、その周辺から現れて萌え系4コマ誌や一般漫画誌に活動の場を移していった作家も多いです。
私は、ゲーパロ4コマはほとんど読まない人間です*1が、これに関しては私も同意です。

■「あずまんが大王」を萌え4コマの原点とするのはどうか

これについて、ももせたまみ氏の「ももいろシスターズ」「せんせいのお時間」などの作品も考慮に入れるべきでは、というコメントを頂きました。以下は通りすがりさんのコメントです。
「あずまんが大王」より「せんせいのお時間」の方が連載は先です。
もっというなら、「ももいろシスターズ」の方が古く、
キャラクターの名前からして、これこそ「萌え4コマ」の元祖でしょう。
98年にはアニメ化されてます。
このコメントに対し、私は次のように答えました。
「ももシス」を萌え4コマの原点とみなす…、確かにそうかも。ちょっと混乱してきました。
そうなると、原点をあるひとつの作品に定めるのは難しいとも思えてきます。
むしろ、複数の作品が萌え4コマの可能性を開き、そして現在に至る、という考えの方が柔軟な気がします。
その意味では「ももシス」も「あずまんが」も、どちらも萌え4コマ可能性を開いた作品と言えるでしょう。
しかしこれに関しては、このコメント当時、あまり考えがまとまっておらず、また現在になって考えが変わったので補足します。

ここでは、オリジナル作品での萌え4コマの原点はどの作品かということを、先に挙げた3作品にしぼって考えたいと思います*2。手元にある3作品の単行本1巻から雑誌初出号を調べてみると、「ももいろシスターズ」が『ヤングアニマル』《白泉社》1993年第18号、「せんせいのお時間」が『まんがライフオリジナル増刊号秋月りすスペシャル』《竹書房》1996年8月26日増刊号、「あずまんが大王」が『電撃大王』《メディアワークス》1999年2月号でした。これだけ見れば「ももいろシスターズ」が最も古い作品ということが分かります。ここから同作品が萌え4コマの原点であると考えることもできるでしょう。

しかしそれでも、私はオリジナル萌え4コマ作品の原点は「あずまんが大王」にあると考えます。その理由は、この作品が雑誌『電撃大王』で成功したことにあります。

『電撃大王』は、他の2作品が連載されていた雑誌とは異なり、「萌え」を強く意識した雑誌です。この雑誌で、4コマ漫画である「あずまんが大王」が成功することにより、萌えと4コマの親和性の高さが、漫画読者あるいは漫画家や編集者に意識されるようになったと思われます。この「意識されるようになった」という点で見れば、原点は「あずまんが大王」であると考えることができるでしょう。

■『まんがライフMOMO』を萌え4コマ誌とするのはどうか

これについて、『まんがライフMOMO』を萌え4コマ誌に入れるのはどうか、という意見が見られました。以下に挙げるのは、素晴らしい日々さんの2005年7月9日の日記からの引用です。
既に、というかMOMOはもともと「萌え」を売りにしたことなんかないんですよ、あくまでも可愛い絵柄を集めただけでね。
『ちとせゲッチュ!』とかは微妙だけど、どう考えても萌えを狙ってる雑誌ではない。しかしあのメンツで萌えとか笑わせるよw
実際4コマ読みから見たら萌え4コマとして分類してる人なんていないと思います(多分、ね。)。つか、一緒にするなと。
事実、私も『MOMO』を萌え4コマ誌に分類することに関しては懐疑的です。これに関しては個々人で見解が異なっていていいと思います。しかし、なぜ見解が異なるのかということを考えると、それはひとえに、掲載作品のビジュアル的な側面だけでなく、作品の作者から受ける雑誌の印象もあるのではないかと考えました。

『MOMO』が萌え4コマ誌ではないと考える方が多いとしても、『まんがタイムきらら』《芳文社》が萌え4コマ誌ではないと考える方は少ないと思います。そして『MOMO』と『きらら』の大きな違いのひとつに、ゲーパロアンソロジー出身の作家の数があるでしょう。『きらら』にはそのような作家が多く、逆に『MOMO』では少ないです。これが『きらら』を萌え4コマ誌とすることは自然だと感じても、『MOMO』を萌え4コマ誌とするのには抵抗を感じる理由であると考えます。

ギャルゲーは萌えと密接にリンクしています。ある漫画家がギャルゲーアンソロジーを描くことによって、漫画家とギャルゲーがリンクします。そのような漫画家を集めて雑誌を作れば、雑誌-漫画家-ギャルゲー-萌えというリンクが完成します*3。この両端を見ると、「雑誌」と「萌え」です。ある雑誌が「萌え雑誌」かそうでないかを判断する際に、(当然、雑誌に掲載されている作品の登場人物や舞台設定などの影響もありますが、)私たちは無意識のうちにこのリンクも材料にして判断しているのではないでしょうか。そして、ビジュアルだけを重視するか、作家のアンソロ歴も考慮するか、その違いが個々人の見解の違いにつながっているのだと考えます。

■まとめ

以上の内容をまとめると、次のようになります。
  1. 萌え4コマの流れとして、ゲーパロアンソロジーがあることは間違いない。
  2. 「あずまんが大王」は、萌えを意識した雑誌で成功し、萌えと4コマの親和性を強く意識させた作品という点で、萌え4コマの原点と言える。
  3. 『きらら』を萌え4コマとすることには抵抗は無いが、『MOMO』を萌え4コマ誌とすることに疑問を感じるのは、作品のビジュアル的側面以外に、作者のアンソロ歴を考慮に入れるかどうかの違いによるものである。
現状での補足は以上です。さらなる意見やツッコミなどは大歓迎です。

【注記】
*1 : 私が唯一よく読んだゲーパロ4コマは「ドラゴンクエスト4コマ劇場」である。この作品については、私より詳しい方がたくさんいらっしゃるはずなので、私はこれ以上は触れない。
*2 : 3作品にしぼった理由は、私がこの3作品以外に、これらの作品とほぼ同時代の作品で、ビジュアルを重視し、かつ比較的知名度が高い4コマ作品を知らないからである。コメントで触れられた「出たとこファンタジー」(樹るう)については、知名度がそれほど高くないと判断し、ここには含めなかった。
*3 : 読者がこのリンクを完成させるためには、漫画家がギャルゲーアンソロジーを描いているということを、読者が知っていなければならない。この、知っているかどうか、ということも、見解の違いの理由のひとつであろう。

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[Manga] モエヨン・クロニクル【博物士】at 2005年08月03日 02:08
この記事へのコメント
MOMOが萌四ならまんがタイムラブリーも萌四になりますよね?

あと一部で大人気のらいか・デイズは萌四になりますか?
Posted by 徘徊人 at 2005年07月29日 18:02
あなたが萌四だと思うなら、(あなたにとっては)萌四でしょうし
そうでないなら、萌四ではないのでしょう。

何か語りたいことがあるなら、
わかりやすく意見を提示する為に区分することが必要でしょうが
(言葉を与えないと考えることは出来ない)
単に個人で楽しむだけなら無理にレッテルはる必要ないし
Posted by るんるん at 2005年07月30日 16:59
あずまんが大王が連載されはじめた当時の電撃大王は萌え要素は薄めだったと思うんですけどね。まぁ、当時萌えという言葉自体あまり出てなかったですが。
むしろ、あずまんが大王のボケた日常の4コマの流れとギャルゲーアンソロジーの流れがどこかで混ざったという考えが妥当かと思いますけど。
個人的にはあずまんが大王って、萌え4コマというより水野恐竜などの4コマに近い「日常生活における馬鹿話」的なモノだと感じています。
Posted by 久し at 2005年07月31日 16:27
同人界隈とガンガン系の萌えまんがをよく分析して、萌えをちゃんとわかってる人が作った雑誌がきららだとすれば、MOMOなんてのは萌えを理解できないオッサンが「なんか萌えとかいうのが流行っとるから、ウチの作家(←全員オッサン向け・土方向けの作家)の中から萌え作家に似た絵を描く奴を集めて雑誌を作るべえか」と言って作った感じでしょうか。
Posted by T2(仮) at 2005年07月31日 17:56
どーしてそう無理にカテゴライズしたがるんだ。
貴様のしている事はゲーム脳がうんたらのたまってる
どこかの教授と同じって事に、いい加減、気づけ。

黙って面白いと思ったものを買ってればいいんだよ。
Posted by 通行者その1 at 2005年07月31日 23:21
みなさん、トラバorコメントありがとうございます。
とりあえず現状で、カテゴライズすることについて一言。
究極的には、通行者その1さんのおっしゃる通り、自分が面白いと思うものを買えばいいわけですし、あらゆる作品を無理矢理カテゴライズすることはいささか不毛な気がします。
ですが、現在の4コマ漫画に昔とは違う流れが来ていることには間違いなく、私はその一端として「萌え4コマ」を取り上げて考察をしたまでのことです。
この考察が、「本当に面白い4コマ漫画とは何か」ということを考える手立てとなれば、私としては嬉しい限りです。
Posted by sweetpotato at 2005年07月31日 23:37
はじめまして(いきなりのトラックバック失礼致しました)、4コマとは何かということについてちょうど考えていたということもあってとても興味深く読ませていただきました。源流はいくらでも遡ることは可能だと思いますが、それと現在の大流が大きくどこに因るか(あるいは因っていたか)を展望することはまた別問題だと思います。また上の批判に即して言うならば、漫画を一つの作品としてだけ楽しむのでなく、流れの中の位置づけ、あるいは流れる先を模索する楽しみもあると思います。これからも考察を期待しています。

私はあずまきよひこ氏がもともと天地無用やトゥハートのパロディ4コマを描いていたことが、オリジナル作品を始めるに当たって萌え(=キャラクター重視)を取り入れられた下地になったのではないかと考えています。
Posted by 遊鬱 at 2005年08月01日 19:52
「作品」で起源を探るから無理が出るのであって、「作者」で起源を探ればすんなり行くと思うのですがどうでしょう?
「ももせたまみが下地を作り、あずまきよひこが昇華させた」で落ち着くのでは?
Posted by HIME at 2005年08月02日 07:31
文が妙に偉そうになってるのが申し訳ないです。
MOMOは他の雑誌とかで普通に書いてる実力派が多いから萌え雑誌のイメージじゃないと思うと補足。

ももせたまみは「ももいろシスターズ」の流れを考えると萌えラインじゃないんですけどね。
まぁ、可愛い女の子の仕草が強調されてるだけで萌え漫画なら萌え漫画なんだろうなぁ。
Posted by ヒトミ at 2005年08月02日 18:26
こんにちは。コメントを用意していたら随分と長くなってしまいましたので,トラックバックいたします。
Posted by おおいしげん at 2005年08月03日 03:01
みなさん、貴重なご意見をどうもありがとうございます。個々の方々にそれぞれお礼を述べたいところですが、ちょっとタスクが手詰まり気味な上、現状では上手く考えがまとまらないので、この場でまとめてお礼をさせていただきます。この話題については落ち着いてからまた考察します。おぼろげながら頭の中にあるのは、萌え要素(あるいは萌え記号)という言葉でしょうか。

重ね重ね、みなさんのご意見には感謝します。ありがとうございます。
Posted by sweetpotato at 2005年08月04日 03:29