Swinging Photos from Hong Kong

日々の記録と写真 東京→松山(愛媛)→ロンドン→東京→香港

 Financial Times紙に、ルーシー・キャラウェイ(Lucy Kellaway)さんというコラムニストがいるんだけれども、僕はこの人の文章が結構好きである。というより、この人の文章を読むためにFT紙に目を通しているといっても過言ではない。

 同氏は、自身を「Corporate bullshit correspondent」と名乗ることがあるが、すなわち、「企業を巡るナンセンスな話題をお届けする特派員」といったところだろうか。企業文化、経営者、ワークライフバランスといった、「カイシャ」を巡るあらゆる話題を、独自のユーモアと皮肉を持ってコラムにしてきた。最近のコラムでは、1994年に書いたコラムで取り上げた「馬鹿げた表現」は「グローバル、ダウンサイズ、マーケットプレイス、そして(数学的に無意味な)110パーセント」だったが、今や企業経営者は “We are focused 1,000,000% on positive, move forward, actionable efforts to help facilitate change.”なんて表現を使う、とため息をついている。  また、Dear Lucyという、いわば「お悩み相談室」というコーナーも持っていて、そこには「子供のピックアップのために週2日は早帰りしたいが、これがコミットメントの欠如と見なされ昇格できないのではないか」と悩む1児の母親である弁護士からの相談や、「学長がワンマンで出張の際も自分だけビジネスクラスを使う」と苦情を寄せるビジネススクールの教授など、多種多彩な質問が寄せられていた。これを読むと、程度の差や洗練度合いの差こそあれ、どこの国もみんな同じようなことで日々悩んでいるんだなあと妙に感心させられた。

 そんなキャラウェイ氏であるが、このほど32年間勤めたFT紙を退職し、教師へと転職した。今後全く文章を書かなくなるわけではないようだけれども、毎週楽しみにしていたコラム(と、それを自身で朗読したBBCのPod cast)が読めなくなるのは残念である。

 今のマンションには浴室が2つあるのだけれども、浴室1のトイレが流れにくくなり、おかしいなあと思っていたら、浴室2の床の排水溝から盛大に逆流して、大惨事になった。浴室2は日常的には使用していなかったので、気づくのが遅れたわけである。幸い廊下や寝室にまで広がる前に食い止めたものの、日曜の夜に逆流してきたあまり綺麗でない水を必死に処理する様というのはかなりアレな光景である。

 とりあえず今日は有給を取得して業者に来てもらったのだが、その頃にはいつのまにかある程度収まっていた。昨日香港ではレベル8(商業活動を休止するレベル)の台風警報が発令され、豪雨の影響で排水管が詰まったのではないか、ということだったけれど、だとすると他の住戸でも同じようなことが起きているはずで、まあ要因は不明である。ただ、例えば日本の場合では通常高層マンションの排水管というのは下層階は太く作るらしいのだが、香港の場合このような対策が施されていないケースも多く、何かと水のトラブルは発生するものらしい。

 ロンドンでも、お湯が出なくなるというくらいのトラブルは日常茶飯事だったけど、逆流というのは初めての経験だったので、なかなか大変であった。

 早くも船便が届いた。当たり前と言えば当たり前なんだけど、ロンドンの時とは比べ物にならない速さである。

 太古駅周辺には大きな商業施設が集中しており、基本的にこの街で全てが完結するようになっている。日本でも地方都市に行くと、イオンモールなんかが中核的な商業施設になっていてそこで休日は丸一日過ごせる、みたいになっているようだけど、まさにそんな感じである。とはいっても香港島の中心地までもMTRで15分、120円ほどなので地方というわけでも全くないのだけれど、いかんせん中心地は人が多すぎるのである程度ゆとりを持って暮らしたい、という場合にはなかなか良いエリアのように思う。
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22 July 2017, Hong Kong

 そんな太古のCityplaza周辺を歩いていて、偶然、銀座梅林の香港支店を発見した。実は僕はここのヒレカツが結構好きで、たまに銀座三越店でヒレカツ弁当を買って帰る、なんてことをやっていた。残念ながら銀座三越店は3月に閉店してしまったようだけど、やはり銀座にある本店にも食べにいったことがある。

 そしてこれが個人的にはなんとも絶妙なタイミングであった。というのも、2週間前に体調を崩して行った、日本人対応の医院・リサチャムクリニックの待合室に美味しんぼが置いてあったことを契機として、最近同作品をキンドルで読み直しており、ちょうど例のとんかつ大王の話(11巻第5話「トンカツ慕情」)を読んでトンカツを作ろうかと思っていたところだったのである。

 黒豚のヒレカツ定食が160ドル(2200円程度)、とさほど高いという感じもなく、少し火を通しすぎかという気もしなくはなかったけど、海外で食べる分には十分であった。イオンにある大戸屋のように行列ができている、なんとこともなかったし、今後もお世話になりそうなお店である。

 香港人の中国本土に対する見方というのはなかなか複雑であるということは割と言われているところだけど、香港人のローカルスタッフから「野菜や果物も中国産のものはちょっと、、、特に子供が生まれてからは気にするようになった」という話を聞いて、へえ、香港人でもそう思うんだ、と感じた。まあ、この香港で待遇の決してよくない日系企業で働いてくれているような人たちなので多少のバイアスはあるような気もするけれども、確かに僕もスーパーで野菜や果物のようにそのまま食べるものとなると今の所まだ日本産やオーストラリア産を選んでしまう。まあニンニクとかだと普通に日本でも中国産を使用していたりするけれども。

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(21 July 2017 Hong Kong)

 まあこういうのは慣れの問題という面もあると思うので、そのうち気にならなくなるのかもしれない。実際、イオンで売っている中国産の「ふじりんご」なんかはなかなか美味しそうである。地場の保存状態がいかにも悪そうなスーパーならともかく、イオンくらいのレベルのお店で扱っているものなら、基本的には問題ないと考えるのが自然なのだろう。

 かつてバック・トゥ・ザ・フューチャーで「いいものはみんな日本製だよ」なんてマーティーが発言したのも今は昔、家電製品なんかだと日本製が良い、という認識はもうほとんどないんじゃないかという時代になった(まあカメラと自動車はまだそれなりに大丈夫そうだけど、カメラはスマホに押されて商品カテゴリー自体が微妙なことになってきてますね)。

 ただ、ここ香港においても「食品・医薬品・化粧品」に対する日本製品への信頼はまだまだ厚いようで、あちこちに「日本製造」とか「日本美髪対策」とかいう言葉を目にする。また、完全にローカライズされた日本製の商品でも、あえてひらがなやカタカナを残しているケースも散見され、これは要するにそうすることで「日本」をより強調したいということなのだと思う。ここまでくると完全に日本信仰である。
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 ただ、そうなると、何でもかんでもとりあえず日本っぽさを出しておけば良い、というような捨て鉢な広告を目にすることもある。今まで見たのでこれはすごいな、と思ったのは上の写真の豊胸手術(多分)の広告である。「3D豊胸」なる文字も割と意味不明だけど、きわめつけは「日本バストエッセンス」なる文字面である。ここまでくるともはや日本人にも理解不能である。

 果たして日本バストエッセンスとはどのようなエッセンスなのか、謎は深まるばかりである。

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