東京・羽田行き「スカイマーク108便」の搭乗開始がアナウンスされた。
少し緊張しながら、「16A」と「16B」に座った。座席前のポケットには、スカイマークの機内誌「空の足跡」と「安全のしおり」の他に、「非常口座席にご着席のお客様へ」と題するカードが入っている。これをよく読んで、万一の場合に執るべき行動をシミュレーションした。先ずは、乗務員の指示を冷静に聴きとり、行動に移すようにと、自分に言い聞かせた。
いよいよ、離陸である。
通常通りの航行であれば、神戸空港を飛び立った後は、中部国際空港上空、伊豆半島・大島上空を飛んで、羽田空港に着陸するはずである。雪の富士山が、左手に見えてくることを祈った。
眼下に広がる神戸の街並みが遠ざかるに従って、機体は厚い雲の中を通り、やがて雲の上に出て、安定飛行に入った。真っ青な空と真っ白な雲、太陽が反射する機体のコントラストが眩しく、ずうっと外を眺めていると、目が疲れてくる。この状態が羽田まで続けば、富士山を上空からの写真撮影することは絶望的と思われた。
それでも、微かな期待を寄せながら、ときどき窓の外に目をやったが、機体の下に広がる雲が切れることはなく、飛行時間1時間余りで、羽田空港に着陸してしまい、富士山を眺めることは出来なかった。これも運命かと諦めた。
羽田空港から、電車を乗り継ぎ、自宅に着いたのは夕方であった。無事に、旅行から帰ってくることができ、ホッとした。 —— 了
少し緊張しながら、「16A」と「16B」に座った。座席前のポケットには、スカイマークの機内誌「空の足跡」と「安全のしおり」の他に、「非常口座席にご着席のお客様へ」と題するカードが入っている。これをよく読んで、万一の場合に執るべき行動をシミュレーションした。先ずは、乗務員の指示を冷静に聴きとり、行動に移すようにと、自分に言い聞かせた。
いよいよ、離陸である。
通常通りの航行であれば、神戸空港を飛び立った後は、中部国際空港上空、伊豆半島・大島上空を飛んで、羽田空港に着陸するはずである。雪の富士山が、左手に見えてくることを祈った。
眼下に広がる神戸の街並みが遠ざかるに従って、機体は厚い雲の中を通り、やがて雲の上に出て、安定飛行に入った。真っ青な空と真っ白な雲、太陽が反射する機体のコントラストが眩しく、ずうっと外を眺めていると、目が疲れてくる。この状態が羽田まで続けば、富士山を上空からの写真撮影することは絶望的と思われた。
それでも、微かな期待を寄せながら、ときどき窓の外に目をやったが、機体の下に広がる雲が切れることはなく、飛行時間1時間余りで、羽田空港に着陸してしまい、富士山を眺めることは出来なかった。これも運命かと諦めた。
羽田空港から、電車を乗り継ぎ、自宅に着いたのは夕方であった。無事に、旅行から帰ってくることができ、ホッとした。 —— 了