2022年04月11日

リンネリンネ

今作の最後のトラックで新曲。アルバムを作ることが決まってから作り始めた。新曲4曲は、君はオバさんにならない(すでに披露していた曲)→トップ・オブ・ザ・ワーストリンネリンネ音量アゲサゲーム、の順でできた。


メロディ先行。康雄から伝えられたイメージはミドルテンポでみんなが口ずさみやすいメロディ、THE HIGH-LOWS「日曜日よりの使者」、Fishmans「チャンス」、GLAYI'm in Love」的な。それを踏まえて2曲デモを作り主軸にする方を決めた。Aメロがサビみたいな展開だったため、主軸にならなかったもう1曲のサビを転用し大サビ(リンリンリンリン〜の部分)にした。

メロディに合わせて歌詞を持ってきた段階から色んなものに転生していくという構想はできていた。その後メロディや展開を細かく調整していき今のかたちに。


「君がドラムで〜」のところでドラムだけになってそこから歌詞に合わせて各楽器が入ってくるというアレンジ、途中でライブの音声が入ること、一度終わったとみせかけて「イーアルサンスー」でまた始まる展開は全て康雄案。

ライブ音声が入るところに関しては元ネタにしたのはとんねるずの「とんねるずのテーマ」。曲の制作と並行してDVDに歴代の「クラーク博士と僕」のライブ映像を入れるために古いライブ映像を掘り起こしていたのでそこから発展したものでもある。楽器隊がレコーディングをしているときに、膨大な映像の中から康雄がこの映像のこの言葉の掛け合いを抜き出して使うという目星をつけていくという作業だった。


輪廻転生の考え方を土台として、次は何に生まれるだろう、これに生まれ変わったらこんなことをしようという流れで展開されていく。動物が多く登場し言葉遊びにも使われている。そういえば前作でも「名犬ニッパー・ドッグンロール」を始めとして動物の声がたくさん登場した。いや、康雄動物好きすぎん?動物と触れ合うの苦手やのに。

無機物にも生まれ変わるかもとしていることから康雄の思考はアニミズムに基づいていると考えられる。


「イリオモテヤマネコ コウモリ 陸亀 メダカ」と一部しりとりになっている箇所があり、関係あるかないかはわからないが僕はそこでM-1グランプリ2021のロングコートダディのネタを思い出した。あれめっちゃおもしろかったなー。

「僕がスズムシで君がネズミで君がヒツジで君がイルカでもまた一緒に旅をしよう」はザ・ディンガドゥンガのメンバーであるクリケット、ラット、シープ、ドルフィンにかけて。つまり生まれ変わってもバンドを組んで一緒に旅をしているという種明かし。また上記に登場する順番を逆にすると「君がドラムで君がベースで君がギターで僕に歌わせて」となる。

「ナマケモノの君がヨークシャテリアの君を連れ出しに行く」とあるが、その結果連れ出されたヨークシャテリアの飼い主が4:05あたりで「うちのモネちゃん(ヨークシャテリアの名前)帰ってこなくなっちゃって。探してもらえるかしら?」と発言し、依頼された人(探偵?)は「お任せください!」と頼もしく返事している。康雄的に、歌の中でヨークシャテリアの飼い主だけがペットがいなくなって救われていないので何とか救済したいという思いがあったらしく、終盤の終盤でこの台詞を追加することになった。「お任せください」と頼もしく返事することで後に無事に見つかったんだろうなと思わせられる。ちなみに飼い主の声はトラック18と19に引き続き「オンガクお嬢」こと中尾アナが、探偵らしき人の声はビクターの横田さんが担当した。


エレキギターも鳴っているが自分の中ではアコースティックギターメインの感覚。そっちありきで作った曲くらいのイメージだが、かといってバンドサウンドから離れると20周年の曲として違和感あるしというせめぎ合いはあった。

「君はオバさんにならない」のギターソロをめちゃくちゃ褒めてくれた横田さんだが、この曲のギターソロに関しては「普通だね!(満面の笑み)」のとこと。

最初の打楽器を鳴らしているのはモリス、U太、よっし、THE春夏秋冬から3人、藤川ひろし、レコーディングスタジオのスタッフさん数人。楽器はドラムをバラしたものやタンバリン、シンバル、ひろし持込のシンギングボウル、果てはお茶碗ややかんなど周りにあった音のなりそうなものを手当たり次第に。その上で歌とユニゾンして鳴っているのはU太が弾いたキーボード。キーボードはオルガンの音にしてサビでも使用し、こちらは僕が弾いた。曲の丸みとサビの一押しを出すのが目的。

今まで音源にキーボードを入れるとライブで再現できなくなるので意識的に少し避けていたところがあったが、この曲のように音源としてのメリハリが出たり楽曲の広がりを持たせられるなら今後ありやなと今回思わされた。

寒がりな康雄はこの曲のボーカルを録るときに「あったかい気持ちでやりたい」と言い部屋を暖房でガンガンに暖かくしてポットを持ち込み白湯を飲みながら挑んでいた。康雄が録り終えた後、コーラスを録るために僕が部屋に入ったらめちゃくちゃ部屋が暑かった。すぐ暖房切った。サンバでも録るつもりか?そもそもそこまで寒くねーやろと理解しがたい行動だった。

歌詞カードのクレジットにも記載があるが、「リンリンリンリン〜」というコーラスにはメンバーの他によっし、藤川ひろし、エンジニア岡嶋さん、ビクター横田さん。他にも「オンガクお嬢」中尾アナや横田さんの知り合いの女性3人が「音量アゲサゲーム」に引き続き「リンネリンネ」にも参加してくださった。これまた女性4人の声がめっちゃいいスパイスになっていて感動する。フィナーレ感がある。

録る際、今回は音程があるということで、まずはその場で歌を覚えてもらうことから始まるというなかなか参加者泣かせな進行だったが、曲の制作段階でみんなで口ずさめるようにとメロディを単純化したことと、それぞれがちゃんと歌える人だったということもあってすんなりと録音は進んだ。

レコーディング風景を先日「オンガクお嬢」で流してくださったようで、日本海テレビの皆さま、見てくださった皆さま、ありがとうございます。レコーディングブース内でこっちがOKだと言ってもお嬢は絶対に3テイクはやらないと気が済まないという心配性ぶりを発揮されていました。絶対良いものを作るんだという心意気、しびれます。


「リンネリンネ」というタイトルは輪廻転生の「りんね」とTHE BLUE HEARTSの名曲「リンダリンダ」をかけて。四星球には「リンパリンパ」という未発表曲もあるがそちらはまた雰囲気の違う別物。

セックスマシーン!!のモーリーに音源を渡したところ、この曲の歌詞を見て「動物がいっぱい出てくるけどカール・フォン・リンネともかけてるの?」と聞かれたことがあった。康雄が「いや意識してないです。というか誰ですか?」と聞くと、どうやら分類学の父と呼ばれた学者らしい。「動植物の体系を分類した人やから生き物いっぱい出してタイトルとかけてるんかと思った」とのことだが、歌詞を読んで数秒でそんな学者の名前が出てくるってすごいな。さすが高学歴高偏差値バンドマン。ついに康雄がこっちの領域にも踏み込んできたかと思った、とモーリーは笑っていた。


曲の最後ではアルバム収録曲のタイトルや内容を引用しながら1つのメッセージにして落としている。リンネリンネの歌詞を初めて見たときに横田さんはこの箇所で「これはすごいな」と言葉が出なくなっていた。

「たくさん苦楽を」のところでは「クラーク博士と僕」の曲あたまと同じようにギターを鳴らしている。やろうと言い出したのは康雄で彼はコードや曲のキーなど知るはずもないが、たまたま歌のこの箇所とクラークのコードが同じだったので非常に気持ち良くハマった。


「この旅の行き先はトップ・オブ・ザ・ワールド」で終わり、CD1周して1曲目の「トップ・オブ・ザ・ワースト」が始まる。「リンネリンネ」が最後の曲なのか、1周した「トップ・オブ・ザ・ワースト」が最後の曲なのか、それが曖昧になる感覚やどこで線引きするかという楽しみ方もできると康雄は言っていた。

また、歌詞カードの中に描かれているアルバムのロゴは最初のページでは「トップ・オブ・ザ・ワースト」だが、最後のページでは「トップ・オブ・ザ・ワールド」になっている。「ス」を修正して「ル」にしているようなデザインで、これはビクター側からの提案をメンバーが承諾したかたちだが、個人的にすごく良いと思って気に入っているもののひとつだ。

今作の歌詞カードの中にはメンバーの幼少期の写真なども入っており、思い出のアルバムみたいな雰囲気がコンセプトになっている。デザインも古ぼけた感じで味があってとても好きです。古ぼけた感じはカーペンターズ「トップ・オブ・ザ・ワールド」や当時のレコードジャケットのオマージュ。



長々と発売から20日間にわたって書いてきたが、私的レビュー&解説なので当然ながら抜け落ちた記憶や見当違いのものがあります。でもそれでいいと思ってます。作った本人ですらきっと全部は分かりきらないはずなので。あと、「これはこうだ」みたいに書いたりしたかもやけど「自分はそうじゃなくこうだと感じたけど」で全然問題ないです。歌を作って発表した時点で受け取った人が自由に遊ぶものになると思うので、自分の考えや思い出をあれこれと勝手に乗っけて貼り付けて、もっともっと好きになってください。僕もそうやって音楽を好きになってきました。

ではまたライブハウスでお会いしましょー!



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2022年04月10日

スズムシ 〜到着のベル〜

最後のコントトラック。場面はまたザ・ディンガドゥンガのバンドワゴン車内。トラック名は康雄が演じるクリケット(和訳でスズムシ)から。スズムシのスズと最初にシープが「起きて起きて」と鳴らしている鈴からサブタイトル「到着のベル」。


車内の会話により、ザ・ディンガドゥンガは2022年現在よりはるか未来のバンドであると明かされる。(21世紀のコミックバンド?大大大先輩じゃん」、「俺のひいばあちゃんがよく子守唄で歌ってくれてたやつ(四星球のライブハウス音頭)だ」などの発言より)

「ネズミ」のトラックでフューちゃんが言っていた、未来で流行っている滑りしらずテツヤのギャグ「無理はなさらず〜」や「黙らっシャイニングボーイピッカーン」をメンバーがやっていることから、フューちゃんとザ・ディンガドゥンガは同じ時間軸に存在していると推定される。


シープの毒舌やクリケットの腰痛、ラットの訛り(これはわざとだったと判明)が改善されており、ドルフィンが道を間違えたことによる遅延も解消されている。「ネズミ」内でのフューちゃんの「これくらいで変わる未来なんてほんと些細なことだから」「僕がここに来た時点でもう何か変わっちゃってるかもね」という発言を受けての変化である。いろんなことが変化しているが、四星球が子守唄になるくらい世間に浸透しているのは既定事項だったのか未来が変わったことによる影響かは定かではない。フューちゃんの言う「これくらいで変わる未来なんて些細なこと」を信用するなら四星球が世間に浸透する未来は確定しているということになるが。そこはそれぞれの想像とこれからの僕たち次第。

最終的にバンドワゴンは徳島club GRINDHOUSEに到着し、「初めてなのに初めての気がしない」「どこか懐かしい」などからザ・ディンガドゥンガは四星球の生まれ変わりなのでは?と思わせるような描写が入る。


クリケットの「やるじゃん、なかなかやるじゃん」のセリフは前トラック「音量アゲサゲーム」2Bメロ前のアナウンス内容に合わせて。

BGMの「ライブハウス音頭」はクリケットの「これだこれ、『ええとこええとこ』ってこれ」の言葉のところで「ええとこええとこええとこよ」の歌詞がくるように調整した。

「ライブハウス音頭」から「トレジャーハンター」に曲を変えられたときの反応「聴いてたのに勝手に変えるなよ」は「イルカ 〜需要がないときのモリス教授〜」との対比。

車のナビ音声「目的地に到着しました」は音量アゲサゲームに引き続き中尾アナが言ってくださった。

パーキングブレーキの効果音を入れることで車が停まったこと、到着したことをわかりやすく聴覚化。

ラットはずっと寝ていたので四星球を「スーシンチュウ」と読むことを知らないまま。

エンジンを切ったときに車内BGMも切れる。


ライブハウスに到着して機材搬入をする場面でこのトラックは終わり、次の「リンネリンネ」へ。この「リンネリンネ」を演奏し歌っているのは四星球なのかザ・ディンガドゥンガなのかどっちだろうねという含みを持たせた並び順になっており、未来と現代が、それぞれの想像が交差するような仕掛けになっていると推測される。



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2022年04月09日

おセンチcm

既存曲でライブでもあまりやっていない曲。この曲をアルバムに入れたいと言ったのはU太だった。理由は個人的に録り直したいと思っていた曲であることと今録れば昔より曲の良さを引き出せると思ったから。その希望通り、再録したものが今回収録されている。


初めて音源化したのは2009年発売の「おセンチセンチメートル / Mr.Cosmo」の両A面シングルで、そのときのドラムはてっちゃん。その後発売されたアルバム「2009年途中の旅」のレコーディングでドラムはモリスに。今作に収録するにあたって「おセンチセンチメートル」から「おセンチcm」に曲名の表記が変更された。これにより新曲2曲とコント2つを除くと「明日までkm」と「おセンチcm」で全体を挟んだかたちになった。kmからcmへ。


歌詞先行で、Aメロは適当にコードをまわしてそれに言葉を喋り半分歌半分ではめていった。Bメロとサビは康雄の鼻歌を基にした。「明日までkm」と同じく歌と語りの中間くらいを狙ったため、Aメロ後ろでギターがメロディっぽいのを弾いてたりする。曲が出来上がったときにU太と「インスト(楽器だけ)でも通用しそうなやつができた!」と喜んだのを覚えている。今思えば大袈裟に言い過ぎだが。この頃の曲全般に関して言えることだが、11曲が長い。バラードとか余裕で56分超える。今でこそ1ステージの持ち時間が多くなったが当時は25分がデフォルトで、たまに15分や20分の時もあった。そんな中で6分以上ある曲を数曲やったりネタやったりしてたらそりゃ3曲くらいしかできないわ。余談だが、「2009年途中の旅」に収録されているバラード曲「うみびこ」はレコーディングするにあたってアレンジし直して5分半くらいになったが、アレンジ前は10分くらいあった。10分って組曲かよ。尖りすぎや。


本来(2009年に出したとき)は「10年前の僕に〜」という歌詞だったが「ネズミ」のトラックでフューちゃんが言っているように、それは25歳のときに15歳の自分に向けて歌うから成立する歌詞であって、38歳の自分が「10年前の僕に〜」と歌ったら28歳の自分に歌うことになりややこしいため、「15の頃の僕に〜」「15の頃は胸に穴なんて〜」に変更された。「25歳のお前には恥ずかしくてできんから」は「涙もろくなったお前には恥ずかしくてできんから」に。これらの変更により何歳になっても歌える内容となった。

「母なつ子は10年経っても元気だよ」は「母なつ子はおばあちゃんになっても元気だよ」になったが、母親があの頃よりも歳をとっておばあちゃんと呼ばれるくらいの年齢になったことと、康雄に子どもができたことからか。「君はオバさんにならない」の「ずっと綺麗なママだよ」と合わせてプライベートが少し垣間見える歌詞になっているように思う。


最後の語りパートは収録するたびに変わっているが、以前は自分のプライベートなことに関する内容だったが今回はバンドのことに関する内容になっている。長くバンドを続けたことでプライベートとバンドの境界線が曖昧になっているのか、実生活においてバンド関連のことが占める割合が増えたからか。「人生諦めても夢は諦めるなよ」は「HEY!HEY!HEY!に出たかった」の歌詞から。語りパートの長さはこれまでと同じ尺になっている。


この曲のレコーディングは、ギターはスタジオにあったテレキャスターを借りてそれのみで全部録った。柔らかい曲はテレキャスターやストラトキャスターなどFender社のギターがよく合うから。他の曲のギターソロは、だいたい右と左からギターの音が鳴っていてその上で真ん中からソロの音という風にギターを3本重ねるのだが、この曲ではギターソロのときはソロを弾いている1本のみにした。その方がよりソロが際立ち感情的に聴こえてフックになるかなと思っての試み。これと同じ試みは「LAUGH LAUGH LAUGH」でもやったことがある。

ギターソロの際に使用したエフェクターはこれまたスタジオにあったelectro-harmonix社のBIG MUFFというファズ(潰れたような音がする)のエフェクター。BIG MUFFはめちゃくちゃいろんな種類があり年代によっても全く音が違うと言われるがスタジオにあったのがどれなのかは定かではない。個人的にはかなり良い音してた。Fender系ギターとの相性も◎。


今作の楽器録りは徳島のトリゴロというスタジオで行なったが、ここはエレキギターが何種類か置いてあってアコギもあってアンプの種類も豊富ですごく助かった。



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