2021年03月03日

おもてたんとちゃう(アルバムver.)

アルバム最後にして初めて聴いたら絶対に戸惑うトラック。元々はシングル「名犬ニッパー・ドッグンロール」のカップリング曲だった。楽曲に関する詳しいことは以前に曲名をタイトルにしたブログに書いているのでそちらを見てください。


今作に収録するにあたって「おもてたんとちゃう」の音源自体には特に何かを足したり引いたりしたわけではないが、楽曲の前後に色々と手を加えた。


最初に横田さんが歌い出すが自ら止めてつっこみ、その後にちゃんと「おもてたんとちゃう」が聴ける。が、それが終わると実はギターを弾いてたのは横田さんだったというオチ。通常ならここで終わっても十分成立するが、このトラックの存在意義が本当の意味で出てくるのはここから。横田さんの「何を思ってこんなの作ったの?」という問いに対して、今作の15トラックを収録順に引用しながらこのアルバムに込めた思いを吐露していく。つまり15トラック全てがここへの伏線だったという大オチ。

以下その内容。


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生きていく上でたしかに必要ないものなのかも(コロナ禍で不要不急とされたことから)


でもこれは必要とか不要とかを越えた宝物(トレジャーハンター)


時に優しく、時に強く、あなたの手を握るようにマイクを握る(Mike is my friend)


雑草も人によっては薬草で、薬草も人によっては雑草、だけど大丈夫、ザッツ・ソウル、魂はしっかり込めてるからライブハウスでお待ちしております(薬草、ライブハウス音頭)


汗くさいライブがやりたい(ポピュラーミュージック)


そしてあなたの笑い声が聞きたい、あなたはどんな笑い声をしていますか?(アナザーストーリー)


ステージに立ち続ける理由がそこにある(彼がドラムを始めた理由)


みんな動物だから何かに不安を感じて怯えて暮らすのは仕方ないのかな

多くの動物たちには鳴き声がある、犬はワンワン、豚はブヒブヒ

僕たち人間は赤ん坊の頃から「まんま」とか「ブーブー」とかたくさん言葉を覚えてきたけれど、人間にとっての鳴き声は言葉にならない笑い声ではないだろうか(名犬ニッパー・ドッグンロール、名豚ブッヒー・ピッグンロース)


太陽に吠える前の、夜明け前の高速道路、今日と明日の狭間を「ブーブー」が走る(早朝高速)


いつまでこの仕事で「おまんま」食べられるのか


朝が来て町は慌ただしく動き出す、キミの背中に告ぐ、今日に振り回されるな振り切ったことをしよう(キミの背中)


いつか歳をとった時、思い出せる瞬間がいくつあるだろうか((^o^))


今を焼き付けたいなら今燃えていなければならない(運動会やりたい)


来世でもこの歌たちに出会えるかな?出会えるよな?(シンガーソングライダー)


必要とされてなくても残り続けるんだ、しぶとく生きよう


ご静聴ありがとうございました(おもてたんとちゃう「良い曲に成長しました」とかけて)


あなたがいてくれて良かった(おもてたんとちゃう「横田さんがいてくれてよかった」)


そんなことをおもてたんとちゃうかな(「思ってたんじゃないだろうか」の意)


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以前に、このアルバム(収録曲)にはコンセプトがなかった的なことを書いたがその解決策として康雄が見出したのがこの方法。本人は「短編集だけどもっと大きな視点で見たら実はひとつのストーリーだったというものにした。で、それら全てを表す言葉が『エンターテイメント』だった」と言っていた。どのタイミングでどう考えてもこうなるのか全く理解できないけどおもしろいですねえ。とはいえ、例によって最後の曲でこういうことをするのいうのは詳しく伝えられず(最後にバーッと喋る、としか聞いてない)、レコーディング最終日に録っているのを聴きながら「なるほど!」と唸った。横田さんは「これは、すごいな」と小声で言うてた。


細かいところでいうと最初に横田さんが歌っている歌詞が関西弁じゃなく標準語になってるのが僕は好き。あと、言わずもがなギター弾いてるのは横田さんじゃなくて僕です。雑誌やラジオのインタビューで「あれ本当に横田さんが弾いてるんですか?」って聞かれることがよくあるけどそんなわけねーやろ!でも横田さんはバイオリンが弾けるらしい。いつか弾いて欲しいね。




「ガッツ・エンターテイメント」の収録曲を11曲ずつブログに書いてきて発売日から2週間が経ちました。僕個人の視点からなのでどうしても内容が偏るし書ききれてないこと的外れなこともあると思いますがあとは自分が感じたことが全てってことで。CDが売れる時代でもなければ僕らがめちゃくちゃ人気なわけでもない。でもそんな時代に僕たちのCDを買ってくれたり曲を聴いてくれたりしてるみなさんの、ライブに行ける回数が減ったりそもそも行けなかったりするみなさんの、ちょっとした楽しみになっていれば幸いです。


来月から「レッツ・エンターテイメントツアー」が始まります。僕たちは相変わらず元気にやってます。現在進行形です。またライブハウスでお会いしましょう。



sxc_gt at 23:24|PermalinkComments(2)

2021年03月02日

シンガーソングライダー

今アルバム唯一のラブソング。パワーのある曲やトラックが多いので影に隠れてしまっている印象があるが僕は名曲やと思ってる。モチーフはスピッツ「恋のうた」。康雄から「恋のうたみたいな雰囲気のが1曲ほしい」と伝えられて作り始めた。メロディ先行で僕がある程度のデモを作ってメンバーと共有。そのときからこれは良い感じになりそうだなという手応えが個人的にはあった。最初の段階ではドラムは恋のうたのリズムを丸々拝借していたがスタジオで合わせていくうちに今の形に。フレーズの関係でギターはカポ2で弾いているのでライブで少しやりづらいかもと思いながら、まあどうにかなるかと特に深く考えなかったが冷静になると間違いなくライブでやりづらいです。(カポを付けた後、外した後にチューニングが必須なので)


歌詞に関してはもう大好きです。歌詞を肴にお酒飲めるくらい。ちなみに康雄はこの歌の制作に取りかかる前は「(30代後半になって)自分にはもう純粋な恋愛の歌は書けないんじゃないか」と不安だったらしい。とかいうてるくせにめっちゃ良いの出してくるところが憎らしいね。

「どうせ私のことなんて〜」から察するに一緒にいることに新鮮さはもうなくなっている2人を題材になんでこんなに甘酸っぱいやつ書けるの?距離感、生活感、最高じゃないっすか?「s.i.n.g singと共に」のあたりでもう十分!もう十分やから!ってなるのにその次に「s.i.n.g 寝具を共に」ってもうね、言葉にならないっす。

「どうせどこにも行かないから〜」から始まる2Aメロは2020年の自粛期間に触れながらも悲壮感じゃなく幸福感のあるところに着地しているのはさすが。「どうせ」「同棲」「同性」「土星」と韻を踏みながらプロポーズを描いているけど半分ふざけているような、子ども同士の無垢な約束のようにも思えてくる。

「小指を僕はパクリとくわえ」はこれぞ康雄節って感じがするし、「食べてやろう未来の不安なんて」で歌詞の中の2人の不安と現実を生きる僕たちの不安がリンクして物語の中から急にこっちに話しかけてくるような言葉選び。好きです。

ちなみにビクターの横田さんはレコーディング時にこの歌の歌詞を見て「康雄くんの天才さが出てる」と絶賛してた。僕も同意見です。

歌い出しの「ルルルルルルルラララ」はスピッツの「ロビンソン」をオマージュ。と考えると「シンガーソングライダー」の中に「ロビンソン」を意識したような言葉がいくつか出てきている気がするのは僕だけか?


エンディングの「前世で感じた かの風に」のところ、元は「前世で感じた あの風に」だったが、康雄がレコーディング中に間違えて一度「かの風」と歌い「あ、でもこれ『かの風』もええな」と自分で納得して「かの風」に歌詞を変更し歌い直していた。歌に限らず楽器隊のレコーディングでもこういうのはちょくちょくある。ミスってそこから違うもの思いつくやつ。不思議。


こういう曲はベースがキーになってる。(四星球の曲はだいたいベースがキーになってるけど)Aメロとかギターが最低限のバッキングしかしてないからそこに色を付けて深みを出しててかっこいい。デモ作りながら「ベースはちょっとレゲエっぽい感じとかだと良いよな〜」とか思ってたらドンピシャでそういうの弾いてくれた。ごくごく最初のほうU太は「この曲ベース無しにしてキーボード入れるとかどうやろな?」って言うてたけどなんやかんやでその案は流れた。僕は以前はドラム、ベース、ギター、ボーカルでやるのがかっこええやろって思ってたけど最近はそこに昔ほど強くこだわらなくなってきたかも。そうすることでおもしろく(興味深く)なるならそんなのがあってもいいよな、と。まあキーボード弾けないんですけどね。


この曲は2020年の四国ツアー"動け四星球"の愛媛公演で初披露。限定版のDVDにも収録されている。あの公演の直前くらいに形になったので、ライブ中にも言ってるようにほんとにできたばっかり(もっと言えば制作途中)ですぐやった。2019年まではそうやってライブでやりながら曲をアレンジしていってたので僕らにとってはあれが普通。そんな中途半端なもの見せるなって思うかもやけど、新しいの出来たらうれしくなって聴かせたくなるんやもん!



sxc_gt at 22:58|PermalinkComments(1)

2021年03月01日

運動会やりたい(ガッツ・エンターテイメントver.)

アルバム「出世作」に収録されていた曲で今回新たに再録した。再録曲を1つは入れようというのはアルバムを作るとなったときからあったが再録する曲に関してはいくつか候補があった。おセンチセンチメートル、ロンリー論理、明日までkm、など。それぞれ曲の持つメッセージ性と今の時代がどことなくリンクするものが候補にあがったが最終的になぜこの「運動会やりたい」が選ばれたかというとタイトルがわかりやすいから。「タイトルだけで時代とリンクしてるのがわかりやすく出てるからこの曲がええんちゃうかな」と康雄は言っていた。あとは他の候補曲はバラード寄りだけどこの曲はアッパーでネタ的なことを盛り込みやすいからというのもあるんじゃないかと僕は思う。


歌詞先行だけどだいぶ昔の曲なので制作の過程はもうほとんど覚えていない。スタジオでセッション的にあーでもないこーでもないと作ったんじゃないかなぁ、たぶん。サビはたしか康雄の鼻歌から。


収録するにあたって演奏も歌も全部イチから録り直した。歌に関しては以前収録したものやライブでやっていたものとは歌詞の順番を入れ替えているので今回のを聴いて違和感を覚える人もいるかもしれない。歌詞の順番を変えた理由は康雄から聴いていないが、僕は「古くからの友人も〜みんなで運動会やりたい」「宣誓 僕たち〜破れそうです」を先に言うことによってより運動会をテーマにした曲だとわかりやすくしたかったんじゃないかと思う。歌詞を読んでみるとこの2つがわかりやすく運動会を表してて、後半2Aメロの2つはこれよりも踏み込んで文学的なエッセンスが少し強く出てる気がするので、1番で運動会の曲だというのを印象付けて2番は少し違うベクトルで、という順番にしたのかな。単純に選手宣誓は本当の運動会でも最初にやるしね。


前のバージョンともうひとつ大きく違う点は、1番と2番の間に競技(コント)が入っていること。これも本当の理由は知らないけどこうすることによって競技を前よりもたくさんできるし、よりネタ曲っぽくしたかったのかなと思う。


録り方としては1番、ベースでひっぱる部分、2番、ベースでひっぱる部分の計4つをそれぞれ別で録っておいて、後でベース部分をループさせたり1番と2番をくっつけたりと編集している。

コント部分はまず康雄のしゃべりを先に録ってそれに合わせて他3(+ガヤ4)7人のしゃべりを録った。ガヤの4人は徳島のTHE春夏秋冬。PAN(右と左の聞こえ方)もライブで話しているのと同じようにU太が左から、僕が右から、モリスが中央から聴こえるように録るときの立ち位置を調整している。


1番の途中の「アオゥッ!」で曲最後の「アオゥッ!」を匂わせている。(「青組」への伏線もあるか?)

2番に入る前に康雄が「フレッフレー!」と言っているのは「キミの背中」を受けて。

2種目の乗馬で「名犬ニッパー〜」のときの動物のくだりを回収。

3種目の「チャカ(=ピストル)」は「彼がドラムを〜」での「チャカすなって!」のセリフを意識?

最後にバンドサウンドじゃなくてエレクトロっぽくなってるのは康雄の要請でエンジニアの岡嶋さんが打ち込みで作ってくれた。


ネタを全面に押し出した曲だしライブでもそういう楽しさがフィーチャーされがちだけど、サビの「借り物競走みたいに借り物の幸せを 組み体操みたいにすぐにぐらつく幸せを」とかは手放しで喜べるような内容じゃない。楽しさや幸せの裏には不安があり、それが簡単にひっくり返ってしまう危うさを描いている。そういうバカさだけに振り切れないのが四星球の強みであり、もしかしたら弱みでもあるかも。良くも悪くも欲張りなんです。



sxc_gt at 21:16|PermalinkComments(1)