2020年06月11日

梅雨入り

「五月来ぬ心ひらけし五月来ぬ」(屋野立子)カエデやケヤキの若葉にすがすがしい風吹き渡る。
風薫る五月も去り六月だ。立子の父は俳壇の巨頭、高浜虚子。
「春おしむ命おしむにことならず」晩年の作だ。父と娘の感性の違いが際立っていて興味深い。出会いと別れを繰り返した春を懐かしんでいると、命のはかなさを感じてしまう。

春を惜しんでいたらもう梅雨入りだ。早春から梅雨までの何とも長い憂鬱と苦悩の期間だったことか。

東京の繁華街からネオンが消えた。「帝国ニッポン標語集」には「飲んでて何が非常時だ」とか「酒呑みは瑞穗の国の寄生虫」そこまで言うか。戦時化の川柳だが・・・・
当時は結核などの感染症も社会問題だった。
「拝む心で手を洗へ」「洗ひ清めよ手と心」などはコロナウイルス対策かと勘違いする。
戦争の長期化で物が不足し、不安を煽る噂も広がった。
「行列は恥、買いだめは敵」「デマに乗りデマを飛ばせば君も敵」戦時の標語がひどく切実に響く。
しかし令和の緊急事態宣言も解除され、少しづつ平安が戻りつつある梅雨入りの今朝である。


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2020年01月27日

生きたロボット

メアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」が出版されて200年
優れた知性と豊かな感情を持っているのに、人々にいとまれて暴走してしまう人造人間と、彼を作った天才科学者の悲劇は世紀をこえ、国境をもこえて世界中で親しまれ読まれてきた。

この古典的な物語を思い起こさせるニュースに驚愕した。
2週間ほど前だ。米バーモント大学とタフツ大の研究者達が世界で初めて「生きたロボット」を開発したという。
「ゼノボット」と命名した。実験動物として知られるアフリカツメガエルの幹細胞から培養した2種類の細胞を部品に組み立てている。
見かけはロボットらしくない、サイズは1ミリ以下と小さい。
水中を自立的に移動できるので、医療や環境の分野で大いに役立つという。
繁殖せず、エネルギーを使い切れば活動できなくなり、自然に分解するとのこと。
厳密な意味では、生命でないのかも?ただ動画を見るといかにも微生物に見える。

メアリー・シェリーは「フランケンシュタイン」の序文でこんなことを書いている。
人が神の真似事を試みれば恐ろしい結果をまねくと
今や科学技術が神の領域に踏み込んだのは疑いない。
そのうちに片手、片足が血が通う生きたロボットにとってかわるかも、わくわくすると同時にすえ恐ろしい気分にもなる。南無


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2020年01月16日

天体ショー

娘が犬を飼い育てている。近所でも可愛いと評判だと娘は自慢する。
夜、犬の散歩をすると言う。
寒い夜空に付いていく。
ふと空を見上げると満点の星だ。その一角に冬を代表する風物詩のオリオン座が見える。
そのオリオン座がこの冬、異変に見舞われている。
オリオン座の右肩の辺りに位置する一等星、ベテルギウスがいつになく暗いという。
天文学者によれば、2019年10月から2か月ほどの短い間に、明るさはほとんど、前に観測を始めて以来もっとも暗いという。

超新星爆発を起こす前触れではと話題になっている。
ベテルギウスの推定年齢は1000万才ぐらい。およそ46億才とされる太陽に比べるとずいぶん若い。
ところが太陽の20倍という巨大な質量のため消耗が激しく、いつ爆発してもおかしくないという。

銀河系の直径が大体10万光年なので天文学的なスケールでは近所である。
もし爆発すれば月に匹敵する明るさになる。
1000年前に世界の各地で人々の目を引いた超新星爆発より、ずっと派手な天体ショーになるかも

夜の犬の散歩が楽しみであるが、生きている間に見たいものである。
 

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2020年01月09日

昭和は遠くなりにけり

令和初めての新春を迎えた。
昭和生まれの我にとって、思いだす一句がある。
中村草田男が「降る雪や明治は遠くなりにけり」と吟じたのは明治6年。
偉大なる明治は、坂の上の雲を仰ぎ、近代化にまい進した。

昭和は朝鮮戦争特需で景気が浮上。所得倍増でがむしゃらに働き、遊び、酒をあおった。
昭和は遠くなりにけりである。
正月映画を見て昭和の精神に思いをはせた。
「男はつらいよ」シリーズ50作目の「お帰り寅さん」だ。
渥美清は昭和3年生まれ。敗戦で天皇は人間になり、大人達は、アメリカと言う権力にひれ伏した。
軍国少年は、その変節ぶりを胸に刻む「何をあてにして生きていったら良いのか」と渥美は雑誌の対談で述懐している。映画の寅さんも渥美と一緒で戦中派だ。
映画の中で、おいに人は何の為に生きるのか、問われるシーンがある。
「生まれてきて良かった。そう思うことが何べんかあるだろう。その為に生きてんじゃねえか」
と答えていた。

本年も生まれてきて良かったと思える事がありますように と思いつつ、今晩の酒のつまみは何だろう・・・・
平凡な人生!!

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2019年12月19日

年の瀬

昨日は、あすかグループの忘年会
宴もたけなわ、お酒も入り盛り上がる。
ふと見渡すと、艶っぽい美女ばかり。数えてみてみると18名
中年者には、中年の美 若い子には、はちきれる美を感じてため息をつく
ふと思い出す。

陶淵明(とうえんめい)の漢詩の一節
願在衣而為領
承華首之餘芳
願わくは衣に在りては領(えり)と為り
華首の餘芳よほう)を承(う)けんと読む

恋しい人への恋情を歌ったもので、できる事なら君の衣の襟になって、かぐわしい首の香りをかいでみたいという、何とも艶っぽい内容である。

酒と女は理性を狂わせる忘年会であった。




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2019年11月25日

人生たそがれのススキかな

山暮れて野は黄昏の薄哉・与謝蕪村の句である。

瀬戸に行った帰りに風にゆらぐ薄きを見てふと思い出した。
なぜ瀬戸かと言うと、これから建築にかかるお施主様の家に向かう途中で、一度も訪問もしたことがなかった。
娘に広域と近所の地図を4枚持っててもらい出発、瀬戸は分かっているからとたかをくっていざ出発
自分勝手な道を選んだ。
目的地に近づくけどなかなか着地しない。
地図を広げるもメガネがない。カーナビを操作するも、どうしても入力する機能が出てこない。
スマホは一度も持ったことがない。
途方に暮れて、お施主様の現場にいる現場員を呼び出しことなきをえた。

今の時代は何かと便利だが、文明の力を使いこなせない者にとっては不便極まりない。


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2019年11月21日

先人の知恵

学校の正門の横に薪を背負い本を読む銅像が昭和の時代にはよく立っていた。
二宮尊徳である。今は見かけないけど。

彼は相談をされる。広大な竹林を金をかけずに畑に変えれないかと。そこで一年の猶予の条件付きで引き受けた。
春先、竹林に生えた筍を無料で人々に掘らせた。あいた穴に山芋を植えた。竹を伐採し、はげ山にした。秋になると無料で山芋を掘らせた。山芋は深く掘らないと収穫できない。かくて竹林は、大勢の人の手で労せずして堀り返された。
次に人々に炭を進呈するから木の根を掘ってこいと触れた。集まった根っこのそばに大穴を深く掘らせ、籾殻と共に入れ火をつけた。更に籾殻を振りかけ二日ばかり燃やした。できた炭は全部分配した。
かくて竹林は良質の地味と変わった。
籾殻の灰は肥料となり、竹の根も焼き切られ、悪い地虫も絶え土は柔らかくすばらしい畑地が完成した。

人から借りて返さなくとも良いものがある。
借りっぱなしで、かつそれから生まれた利益はみんな自分のものになる。それは何か?
先人の知恵である。この素晴らしいものを使わない手はない。

二宮尊徳は金儲けの天才と言われた。ある時、米を借りにきた者がいたが怒って追い返したが、油を借りにきた者には笑って貸した。
前者は怠け者の証拠だと言い、後者は夜なべに精を出す働き者だと評した。
人の心理をよく観察していた。
今でも先人の知恵から学ぶべき事が多い。



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2019年11月18日

先を読む

昭和3年、東京中の車の台数が17000台のころ、銀座4丁目交差点の信号で停まる車は数台。

谷孫六という事業家は考えた。車は年々増加するだろう。すると駐車場の確保に苦労するだろう。銀座には広場は無い。ところが上を眺めると、ビルが立体的に伸びていく。そうだ屋上に駐車場を作ろう。
エレベーターで上げればいいと考える。
現在の立体駐車場のはしりだ。すごい男だ。

天下の銀座を往来する車が、自転車、荷車、人力車、荷馬車が主で自動車は僅かの時代に屋上ガレージの有望を説いている。

日刊ラジオ新聞社に24才で谷は入社、頭角を現す。
文豪 吉川英治を社に誘い家庭欄を任せた。
長編デビュー作の「親らん記」を同紙に連載させたのは彼である。
又、川柳の作品でも名をあげた。

「拾う気で振りかへつたが銭でなし」
「何か云ひながら押してく乳母車」
「腕時計肘鉄砲の型で見る」
「草花へ一人はしゃがむ二人連れ」

本名を 矢野正世といった。


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2019年07月22日

輪廻転生

男の子が誕生した。
父親は医者、母親は専業主婦、すぐ近所に祖父母も住んでいた。
裕福な家庭環境ですくすく育った。祖父母にしてみれば初孫であり、目に入れても痛くない思いだった。

ところが男の子が三才になったころ一家に暗雲がおそった。
小児がんが見つかったのだ。驚きと悲しみで茫然自失で打ちひしがれた。
あらゆる手を尽くしたが、体は衰退していった。

ある時男の子は言った。
お母さん僕、本当は女の子で生まれてきたかった。そしてこうも言った。
お母さん体を大事にしてね。母親は聞いた なぜ?
僕又、お母さんのおなかの中に入って又、生まれてくるからと
その時は、女の子で生まれてくるからと

彼は亡くなる前に、お母さん僕もう疲れた。
そして又、体大事にしてねと繰り返した。
目を閉じて、あり・・・と言って息をひきとった。
きっと、ありがとうと言いたかったのだろう。五才の春だった。

彼が亡くなって2年目に女の子が両親のもとで誕生した。
玉のような子であった。


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2019年07月04日

中学生をあなどるなかれ

富田常雄は小説「姿三四郎」で柔道発祥の地の様子を次のように描いた。
「この十二畳の書院は道場であり、若い師範の書斎ともなり、寝室ともなった」
「柔道の父」と呼ばれる嘉納治五郎は東京、下谷にある永昌寺の一角を借りて講道館を開いた。
嘉納は当時21才で東大を前年に卒業したばかり。この数年後には学習院の教頭についている。
今では考えられない若さでの登用である。

ある時将棋をさしたら卑怯な待駒をして、人が困ると嬉しそうに冷やかした。
あんまり腹が立ったから、手に在った飛車を眉間へ叩きつけてやった。「坊ちゃん」の一節だ。
負けて悔しいのが将棋である。

藤井聡太プロに負けた、加藤一二三九段は投了前に将棋会館にタクシーを呼んでいた。負けると同時に疾風の如くタクシーで走り去った。よっぽど悔しかったのだろう。現役を引退した。

短編集「さよなら田中さん」でデビューした鈴木るりかさんは、抜群の描写力。観察眼。
軽やかな文体も心地よい。

堂々たる史上最年少で、去年の全日本選手権で水谷隼選手を下して王者の座に就いた、卓球の張本智和選手。

講道会の嘉納も若いと思ったが、彼ら彼女らは14才でプロデビューし才能をいかんなく発揮する。
この歳月の短さに驚くほかない。
そして普通さと野暮ったさがあり、気安い優しさに溢れている。


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