2004年03月01日

キキダス・企画術

レッスン3:実践、企画レッスン



さて、ではこれから「実践企画レッスン」です。



なんども、インタビュー録を読み返しているうち、あなたは色んな事に気がついた筈です。



なんか、気になるよな・・このコトバ・・とか、このフレーズ、なんか使えそう・・・とかって。



そうしたら、そこの部分に「蛍光ペン」で線を引いてみてください。



パソコンに入力してる人は、その「気になる部分」を太字にしたり「色つきのフォント」に変えてみて下さい。



そう、それこそが、あなたがやっとつかまえた「売れる企画のネタ」そのものです。



そうして、そのフレーズや言葉について、「何故、それが気になったんだろう?」って考えて下さい。



しっかり、自分の頭のなかで、こうだから気になったんだ!って、ハッキリするまで考えて見て下さい。



そうしたら、そのフレーズの横か、下のあたりに、その、あなたが「感じた」理由を書き加えて下さい。




出来ましたか?



今、この瞬間、そのレポートは、かけがえのない、あなただけの「売れる企画のネタ本」になりました。



では、次から、そうした色んなフレーズをもとに、私がどんな発想で、企画に仕上げて行くのか・・と言うステップを公開します。



要するに、キキダス・マーケティング発想の原点。



門外不出の筈でした。



仕事仲間には「なんて勿体ない事」をするんだ!ってすごく叱る奴もいました。



お前の仕事、あがったりじゃないか!って。



でも、これをお見せしないと「あなた」のチカラになれない!



具体的な、実例がないと、何にも分からないじゃないですか。



だから、公開します。



そして、それを読み終わったら、次はあなたの番です。






あなた自身が実際に体験した、インタビューの記録と、記憶を重ね合わせながら、あなたの「ネタ本」を同じ様な観点で見つめて下さい。



じっくりチェックをして見て下さい。



それで、「世界でたった1つだけの、あなただけのキキダス・マーケティングレポート」の出来上がりです。






















レッスン4:孵化させる!



ここまで来たら、もうあなたの中の「企画の玉子達」は孵化寸前です。

後は、その玉子達を上手に「つついて」あげればいいだけです。



ここで、「効き出す企画術」で使う「つつき方」をいくつかあげておきます。



ちょっと難しそうなコトバもありますが、基本は簡単!



訊き出したフレーズやコトバの数々が、どんなプロセスを経て、企画に昇華されて行くのか?そこを見て下さい。



大切なのは、信じる事。



その人が「伝えてくれた価値観」と同じ様な価値観を持った人が「その向こう側」に沢山居るんだ!って事を信じて、その同じ価値観をもってる「まだ見ぬお客さん」達が「共振」してくれる企画に組みあげて行くだけなんです。



一人の人の気持ちの向こうに、大きな共感のマーケットが必ずあるんです!




◆効き出す企画術の主要なメソッド



キキダス・マーケティングの「効き出す企画術」には沢山の発想法があります。

その中でも、この手法を身につけておけば、基本的に大丈夫・・と言う、私がよく使う「5つの」手法をお教えしましょう。





1) 切り返し発想法

2)敷衍(ふえん)法

3) 切り取り法

4) 連結法

5) 逆説法

  

以下、この5つの手法について、実例を交えながら解説をして行きたいと思います。




1)切り返し発想法



ペットボトルの飲料についてのインタビューの中で、インタビューに答えてくれた28才の女性が、こんな事を言いました。



タバコの会社の飲み物だけは、絶対イヤです。イメージ的に「たばこ屋」でしょ?健康に悪いもの作って売ってるくせになによ!って感じ。



っていうフレーズ。



確かに、タバコを中心に展開している会社の飲料が売られています。

結構、売れてるんじゃないかな?



だから、タバコの嫌いな人にとっては、ストレートに「タバコ」って言っちゃうと、なによ!ってなるのも当然ですよね。



でも、私は、これって、今の健康ブームの中にあって、相当な企業努力や、イメージ構築を継続して来た証(あかし)でもあるんじゃないか?って考えました。



努力があったから、続けて来たからこそ、ここまでやれている。



そして何より、その会社は、今、多角化の真っ最中。

アグリ事業、食品・薬品など人々の生活に密着した商品も創る「総合生活密着企業」なんじゃないか?




だとしたら、その部分を逃げずにズバリ訴求する事で、飲料の売場の中で、ある種独自のポジションを構築する事ができるんじゃないか?って考えました。



そして辿りついたのは



タバコを通じて、健康だけを考えて来ました。

大人の世界・健康を熟知した私達だけが創れるお茶!



と言う考え方。



今、確かにアゲインストの風が強いタバコ業界ですが、だからこそ「健康から逃げない会社で居たい!」「タバコがあるから、今の当社があるんだ!」と言う考え方を打ち出そうと考えたのです。



それが見つかると、後は簡単です。



売場にはこんなPOPを付けました。



大人のお茶。○○のお茶。

大人が飲んでくれると嬉しいです。



(勿論、○○にはその企業名が入ります)



どうです?




一般的には、マイナスイメージの強い「タバコ」のイメージを逆手にとって、切り返す事で、大人・健康を考え続ける企業・・・と言うイメージを出せたのではないでしょうか?



次に、切り返し発想法の発展バージョンをここでもう一つ披露しましょう。



同じ、女性のセリフです。



化粧品の会社が作ってる飲み物って、なんか、効きそう。だから、健康飲料だと思って飲んでる。



あなたは、これ、どう思います?



私の考えはこうです。



確かに、飲料と化粧品って馴染みにくいですよね。



だから、普通にアプローチしたんじゃ「ケミカルな匂い」が強くなってしまうのも致し方ないですよね。



でも、切り返し発想で考えると、また少し違う考えが浮かんで来ます。



だからこそ、カラダにいい。

○○が創るとこうなる!

(ここでも、○○の中には、会社名が入ります。)

って言う考え方。




その会社しか出来ない事を語ってみよう!って考えました。



反語的な、ネガティヴなコトバの裏にある「人の感情」に思いを馳せて「切り返す!」事で、新しいマーケットが浮き上がって来る・・・そんな事例です。



これを「切り返し発想法!」って呼んでます。




2)敷衍(ふえん)法



敷衍するとは「趣旨を述べ、拡げる事・・・・・」。



三省堂の明解国語辞典には、そう記されています。



キキダス・マーケティング的には、この言葉を、こう解釈します。



「今、消費者が持っている気持ちの、さらにその先に、大きなマーケットがある!」それを掘り起こせ!



これは、別の女性に、同じペットボトルの飲料に関してインタビューをした時に出てきたフレーズです。



「(ペットボトルって)持って歩くじゃないですか。だから、自然に持って歩けるデザインじゃないと・・・。」



特に女の子は、飲み物をバッグに入れて持ち歩いたり、以前、爆発的にヒットしたミネラルウォーターの「エビアン」みたいに、パッケージそのものを、ファッションアイテムとして見るところがあります。



と言う事は、人に「容器」を見られる事を、意識・無意識に拘わらず、気にしてる・・って言うことですよね。



それから、ハンドバックに入れて持ち運ぶ訳ですから、倒れにくく、かさばらない「収納性」も大事なんじゃないか?って考えました。




だったら、オシャレで、コンパクトにデザインされたボトルを、ストレートに「持ち運ぶ事を意識して最初から設計されている!」って言っちゃったらどうだろう?って言う考え方です。



で、売場でこんな展開をしました。



バッグにピッタリデザイン。

カタチ、サイズ、気にしてみました。



女の子にうけそうなデザインのトップボードを作成して、デザイン重視の「250ccから350ccクラスのボトル」を集中的に陳列したコーナーを創りました。



このコーナーの飲料、すごく売れました。



こういう、発想、わかりますよね。



では、敷衍法をもう一つ・・・。



同じ女性から訊き出したフレーズです。



(夜遅い時間になると)カフェインが入ってないから麦茶を買っちゃう。カフェインが多いと夜眠れなくなるから・・・、とか考えちゃう。



これって、いいヒントです。




要するに、カフェインのおかげで、目がさえる!スッキリするって事ですよね。



で、こんなフレーズを考えました。



目覚まし茶は、夜更かし茶。



朝、昼、晩を問わず、「シャキッとしたい人のための中国茶」って言う位置づけを創り上げる事で、眼覚まし、夜更かし・・・って言うコンセプトが出来上がったんです。



これ、大事なところですが、あまり露骨に「カフェイン!」って言うと、嫌がる人も多いんですね。



なんか、カラダに悪いんじゃないか?って思う人、結構、いる。



だから、「目覚まし」とか「夜更かし」って言う、少し「柔らかめ」なコトバを使ったんですね。



製品の持ってる効能・機能を、意味・価値と言う側面から捉え、あ、な〜〜るほどね・・・って感じさせる事で、あらたな「売り方」が見えて来る・・・と言うことになるんです。



これが、敷衍法の使い方です。














3)切り取り法



そのものズバリ!相手の方が語ってくれた「コトバ」をそのまま「キャッチフレーズ」とか「コピー」に置き換えて行く方法です。



POPのコピーなんかに使うケースが多いです。



勿論、多少のアレンジは必要なケースも多いですが、基本は「そのまま」。



相手の方の感じている「気分」や「価値観」をズバリ呈示してあげるやりかたです。



例えば、こんな感じ。



父が、ビールがキリンが好きなので、その流れでキリンを選びますね。父親がキリン派だったので。



って言うやつがそれに当たります。



そうですよね・・・。

ビールって自分が幼かった頃に、家でお父さんが飲んでいたイメージってありますよね。




で、そのシーンが頭の中に息づいてる・・・って言う感じ、わかります。



この考え方に共感しそうな人って、沢山居そうじゃありませんか?



で、切り取り法をつかうと・・・。



そのまんま、こう表現します。



父が教えてくれた味、キリンラガービール。



このままPOPにどうぞ!って感じですよね。



目にした瞬間、キリンラガービールを飲んでいた、お父さんの顔が、姿が浮かんでしまう・・・。



あ、懐かしいな!って思う人が、結構います。



特にキリンラガービールは、スーパードライのアサヒに逆転されるまで、かつて、圧倒的な市場シェアを持っていましたね。



ですから、ある年齢以上の方達の中には、ビールと言えばキリン!って言う人がすごく多い。



と言う事は、その次の代の方も、キリンしか知らない・・・って感じの人が多いんですね。

で、共振してくれた。



その証拠に、この食品スーパーでは、キリンラガービールの売り上げ、すごく伸びました。

この表現がズバリ!共感を生んだ!って言うことですよね。



ここで、切り取り法の使い方をもう一例。



同じ彼女はこうも言ってます。



サントリーのお茶は「同じのみ物」を創ってる会社のだから許せる。アサヒは好きじゃない。



これ、意味分かります。

要するに、こういう事です。



なんか、飲料を作ってるメーカーのお茶ならいいんだけど、どうもこの彼女、ビバレッジ(一般飲料)系の企業をグループ内に持ってない会社のお茶は嫌いらしい。



だとすれば、こんな風に切り取る事ができますよね。



サントリーのお茶!



って。



以前からのサントリーファンにとっては、あのウイスキーのサントリーが美味しいお茶を作ってる・・・って言う、以前からのメーカーイメージ資産を生かした表現になりますし、サントリーがウイスキーを出している「酒販メーカー」だって事をほとんど知らない世代の人達には、飲料メーカーとしてのサントリーの実力を見てよ!って事になる・・・。







サントリーのお茶!



って言っちゃう訳です。



このあたりが「切り取り法」の上手な使い方です。



4)連結法



次に「連結法」と言う手法についてご紹介します。



連結法は、互いに違う場面で生まれたコトバ(訊き出したコトバ)を繋げる事で、新たな提案とか、新たな世界観の構築を意図するものです。



例えば・・・・こんな例があります。



(ペットボトルのお茶って)喉乾いた時、ぐびぐび飲める。水に近い。水じゃ駄目。水じゃ物足りない。



ここで彼女は「ぐびぐび飲める」というフレーズを使っています。



そして、更に・・・



(ペットボトルって)持って歩くじゃないですか。だから、自然に持ち運べるデザインじゃないと・・・。



って、持ち歩ける事もすごく大事だと語っています。



私は、この2つのフレーズから、若い女性が、颯爽とオシャレなペットボトルのお茶を飲みながら闊歩しているシーンが浮かんできました。



で、考えました。



その格好良さをなんとか伝えられないか?って。



そして生まれたのがこのフレーズです。



グビグビ歩こう。○○のお茶。



どうです・・・・なんか独特のリズムが生まれて来ませんか?



こういう、一見すると関係ないようなフレーズとか発想とかを、2つくっつける事で、新しい世界観を生み出す事ができるのだ!と言う例です。



5)逆説法



逆説法の事例としては、例えば、こんな例があります。

この本の最初の方でも、ご紹介した例です。



ある食品スーパーのビール売場、お客さまにインタビューをしていた時の事。



その奥さんが語った一言。



「主人の収入が減ってるじゃないですか〜、だからどうしてもね、給料日の前は特に安い発泡酒になっちゃうんですよ。

正直、発泡酒って、ビールと比べれば美味しくはないですけど・・・でも最初の一口を我慢すればなんとか飲めちゃうし。」



あれです。

ガ〜〜〜ン!って感じ。

本当はビールの方が好きなのに、ビールを飲みたいのはやまやまなのに「我慢して」発泡酒飲んでるんだ・・・、って言うのが凄くショックでしたね。



ご主人に感謝しては居るんだけど、その奥様はそれを素直に語るコトバを持っていなかったんです。

で、

給料日後の一週間は、美味しいビールをご主人と!



これが、まさに「逆説法」なんですね。

夫婦で飲みたい、おいしいビール・・って。



そのお店のビール、ガンガン売れました。



値段の高いビールがガンガン売れた。



ちゃんと、気持ちを考えてあげる事で、お客さんと言うのは高い商品でも買ってしまう!というキキダス・マーケティングの考え方が証明された瞬間でもありました。



逆説法ってこんなやりかたです。



本当は○○なんだけど、そのままでは、つらいから「逆の言い方」に言い換えてあげたらどうだろう!って考えるんですね。



そうすると、そのままではネガティヴな意味を持ってる筈のフレーズが、人の心を動かすフレーズに変身します。



私は結構、この方法・・・頻繁に使っています。



どうでした?



5つの手法、感じはつかめましたか?



できそうでしょ?



私は、普段、書き起こした原稿を読みながら、こんな作業をしています。



ズバリ、これだ!って言うストレートな「気づき」もあれば、ぼんやりと「こんなところを解決してあげれば、もっともっと選んで貰いやすくなる筈なのにな・・・」なんて、つぶやきみたいなのも有ります。



あなたが「蛍光ペン」で線を引いてみた・・・あの感じです。



とにかく、「感じた事」「なんか気になった事」を「何故、そう感じたのか?」「何が気になったんだろう?」っていう視点で整理して見る事です。



この発想法に正解はありません。



でも、事実、実績を上げています。



買わせるチカラを発揮してくれています。



たった一人の一言が何故共感を生むのか?



それは「本当に、そう言う人が、そこにいるから・・・」



なんですね。



性別、年齢別、居住形態、収入、・・・・そんな属性なんかではくくれない「一人の生身の消費者」が、そこには居るから・・・。



キキダス・マーケティングは「生身の人間の思い」に徹底してこだわる手法だ!と言うことが、これでお分かりいただけると思います。



デジタル全盛の時代だからこそ、こういった超アナログな感覚が必要なんだと思いますね!


  

Posted by syosinsya555 at 10:54Comments(0)TrackBack(0)