ふらり道草―季節の往来―:『春分は花開く日近き』

2013年03月21日

『春分は花開く日近き』

春分のおどけ雀と目覚めけり―星野麥丘人

　　今年は２０日が「春分」となった。この日は周知の如く太陽の黄経が零度となり、太陽が真東から昇って真西へ沈む日である。そして、昼と夜の時間はほぼ等しくなる。
　　〝ほぼ〟と言うのは、この１７日が昼夜共に１２時間で等しく、実際の春分の日は１３時間７分と、昼が夜より１４分も長くなっているからである。

　　その理由は、太陽の上端が地（水）平線に接する時刻を日の出・日の入りとしているので、太陽がその直径分を動く時間が昼間に換算されるから、との事である。
　　もう一つの理由は、大気がレンズの役目をして、太陽の光を少し曲げる。
　　その為、朝は地（水）平から未だ上がっていない太陽が、夕方は既に没した太陽が見えるから、こうした現象が発生するらしい。

木琴の音ひびかせて春分の路地きらきらし木の芽のひかり―坪野哲久

　　「彼岸中日」と重なり、通常は２１日が春日に該当する。だが、年によって異なるので、前年の２月１日付官報で告示される。
　　そして、その年の「二十四節気」は、春分から数える事になる。
　　いずれにしても、この前後３日を含めた７日間が“春のお彼岸”であるのは、誰もが知る処だろう。

　　仏教では、生々流転に迷うこの世を「此岸」、煩悩の川を渡って到達した悟りの境地であるあの世を「彼岸」と呼ぶ。
　　先祖の霊を供養する仏事が行われる期間でもあり、日本では古来からこの頃に農事始めの神祭もしていた、とされている。
　　一般的には寺で読経や法話を聞いたりして、涅槃彼岸に近付くために精進する期間、なのではあるのだが・・・。

　　先祖の霊が家に帰って来るとされているので、仏壇に牡丹餅（ぼたもち～秋は御萩（おはぎ）と呼ぶ）を供え、御経を上げてお迎えをする。
　　墓にも家族揃って（可能なら）参詣して、墓石を清めて花や線香を手向ける。最近は食べ物は持ち帰るように、との掲示がしてある。　
　　我が家では夫婦２人で、それぞれの両親の眠る２個所の墓参りだけは済ませる予定である。
　

春彼岸墓の肩べに触れやすくあればみどりのさ枝を切らむ―藤岡貞香

　　また、仏教に縁のない固有信仰の行事も多いと言われている。例えば、北秋田地方では「万燈日」（まんとうび）と称して、子供達が藁を集め、丘の上で焚く行事がある。
　　いずれにしても、本格的に春になる日であり、「自然を讃え生物を慈しむ日」、となっている。昭和２３（１９４８）年に国民の祝日として定められた。

　　ちなみに、イラン暦では春分の日は元日＝ノウルーズ(‎nowrūz/‎ نوروز）に当る。ペルシア語で、ノウ(now、نو)は「新しい」、ルーズ(rūz、روز)は「日」を意味する。

　　イランを中心に、中央アジアからアフリカまでに及ぶ広い地域の祭日である。ヨーロッパなどでも、春分をもって春の開始とする。いくつかの国では休日となっている、と聞く。

　　「暑さ寒さも彼岸まで」の格言は、今も生きているのか。それとも死語になっているのか・・・。　毎年よ彼岸の入に寒いのは―正岡子規

　　これ以外にも「彼岸過ぎまで七雪」との諺もある。「彼岸の糊雪」（のりゆき）は、水分の多いベタ雪の事で、新潟で使われている。　我が村はぼたぼた雪の彼岸かな―小林一茶

　　　「彼岸の小鳥殺し」は、雪で小鳥が餌を探すのに苦労するのを表現した、鳥取地方の言葉。青森では「雲雀殺し」と呼ぶ。これは４月に入っても起こる現象らしい。

　　同じく青森地方では「彼岸ざらく」「彼岸流れ」など雪混じりの天候を指す言葉がある。今年は、特に大雪に見舞われた地域である。まだまだ雪は残っているのだろう。

　　事実、昨日は２０℃を超える気温だったが、今日は一転して格差の激しい地域では１０℃近く下がるらしい。北海道は吹雪くとの予報である。

春来てぞ人もとひける山里は花こそやどのあるじなりけれ―藤原公任
　

　　今年は３月に入って急激に気温が上昇し、４月半ばから下旬の気候が続き、時には５月上旬並みの気温もあった。
　　その影響で桜の開花が一挙に早まり、宮崎と福岡が１３日で、前者は史上最速であり、後者は史上タイとのことである。東京が１６日の開花で、これも史上最速タイ記録らしい。
　　気象庁や民間の予報会社も当初の予報を総て外しており、ここへ来て慌てて開花日の修正をしているとの事である。

　　今年の京都市内は、遂に無雪で終わった。垣根や屋根瓦や植木鉢の花木をほんの薄く染めた日が３日ばかりあったものの、１センチ以上は積もらないと〝積雪〟とは見做されないらしい。

　　２年前は９日に古里の京北町で雪が積もり、ほんの２～３センチだったが迎えに来てくれたＦ君の車で雪景色を見に行ったのだった。
　　今年はその京北町でも雪は少なく、積もっても直ぐに解けてしまったと知らされた。私の子供の頃とは、相当に気候の変化があると思われる。

　　６年生の卒業式は３月の末だったが、教室の窓から見える遠くの山々には残雪があった。
　　そんな雪を斑雪（はだれゆき・はだらゆき）と呼ぶのを知ったのは、ずっと後になってからである。
　　卒業式を終えてお別れ会をした裁縫室の窓から見た残雪は、今でも朧気に記憶に残っている。そんな山を「斑雪山」（はだれやま）とも呼ぶらしい。

北山に斑雪はふりて一ところ何指す白き雪の矢印―高安国世

　　余談ながら、北アルプスの白馬岳は、元来は蓮華岳の名称だった。
　　それが、斑雪の雪間の代（しろ）掻き馬（田植え前の水田を均す馬）の雪形が現われる事から、代馬岳となりやがて白馬岳と呼ばれる様になったそうである。

　　斑雪嶺（はだれね）・斑雪野などの言葉もあり、今冬はそんな情景が見られる地域もあるほど、雪の降り様が異常に偏っていた。

　　ところで、俳句の世界では単に「彼岸」と言えば「春の彼岸」を指し、秋の彼岸は「秋彼岸」とか「後の彼岸」と呼んでいる。
　　それにも拘わらず〝彼岸花〟は秋に咲く曼珠沙華の名称となっている。
　　春の彼岸に咲く花で〝彼岸花〟と呼ばれる花は金盞花（きんせんか）だ、との説もある。だが、一般には聞いたことはない。

　　尤も「彼岸桜」や、土筆（つくし）を「彼岸坊主」と呼ぶ方言はあるらしいが、春のこの時期に咲く花は、固有の名称を持っているものばかりか。

　　我が家の狭い庭の隅では、白い沈丁花が満開になった。３年ばかり前に植えた枝垂れ桜の蕾は、やっと膨らみ始めたばかりである。

　　七十二候では、２０日から「雀始巣」(すずはじめてすくう)となる。
ただ、この最も身近な小鳥を、最近は余り見掛けなくなった。人間などをまるで警戒せず際限もなく囀る姿は、時には煩(うるさ)く時には可愛い。

　　何処かへ飛び去るのかと思えば、直ぐにまた戻って来る。この実に愛すべき存在は、随分と遠い日の出来事の様に思える。

雀子が人の軒端に住み馴れて囀る声のその喧しさ―良寛

　　そもそも、雀は農村や都市部等人間の居住域付近で、一年中見られる留鳥または漂鳥である。
　　典型的なシナントロープ（人間との共生）で、人間が住み始めた集落には雀も居着き、逆に人間が離れ集落が無人になると雀も見られなくなる、と言う傾向がある。

飛びあがり宙にためらふ雀の子羽たたきて見居りその揺るる枝を―北原白秋

　　日本の雀の個体数は、減少傾向にあると言われている。推定によると、２０１０年の時点で、２０年前に比べて少なくとも半減したと考えられている。また、５０年前の１０分の１とも推定されている。

　　ただ、減少原因についてはよく分かっておらず、気密性の高い住宅の普及によって営巣場所が減少した事、農村の機械化の普及によって落ち籾が減少し、それによる冬季の餌が不足したこと、等が可能性として挙げられているに過ぎない。

　　この様に減少はしているが絶対的な個体数はまだ多く、現在の減少スピードであれば数十年後に絶滅してしまうことはない、と言われてはいるのだが・・・。

地上へとすべり降り来る雀たち軽からむ今年生まれたる身の―横山未来子

　　そんな身近な雀だが、過去には神聖視された歴史もある。古くは蘇我馬子を雀に喩えた。
　　また、希に見られる突然変異の羽毛の色素がない白雀を古来より瑞鳥として、聖武天皇や桓武天皇などが白雀の献上を受けたという記録が残っている(続日本紀)。
　　更には、よく見掛ける図柄として、雀に竹が添えられた縁起物ともなっている。

宙にひらく一瞬にして群すずめ投網のごとく野面にしづむ―坪井早苗

　　「すずめ」の「すず」は〝シュンシュン〟と言う鳴き声で、「め」は〝小鳥〟の意味もしくは〝群れ〟の意味の接尾語と言われている。
　　そしてまた、「すず」は小さいを意味する「ささ」が語源である、とも考えられている。確定した説はない。

どれからといふわけでなく次々に石を離れて雀舞ひ立つ―坪野哲久

　　ところで、「雀隠れ」は、早春に萌え出た草々が、雀の身が隠れる程に伸びた様子を指す。地上で食べ物を探すことの多い雀には、これは好都合の状態である。
　　その雀は、人間の近くで暮らす鳥である。繁殖期には、屋根瓦や石垣の隙間にも、枯れ草や藁で巣を作る。

春は軒の雀が宿の巣藁にも紅き毛糸の垂れて見えけり―北原白秋

窓近く撒きたる餌に雀らが天より降り来五羽七羽十羽―古明地実

　　その反面、繁殖期以外には群れで生活することが多い。夕暮れ時、塒(ねぐら)に帰る前に、多くの雀が群がって鳴き騒ぎ、時には争う様子は「雀合戦」と言う。

浅茅生もすずめがくれに成りにけりむべこの本はこぐらかりけり―曽禰好忠

　　また、「雀色時」との呼称がある。雀色は雀の羽の様な茶褐色である。太陽が落ちて間もない暮れ泥（なず）むそんな夕暮れのひと時を「雀色時」と表現する。

十歩ほど互みに過ぎて気づき合ふ秋の半ばのすずめいろどき―高旨清美

　　もともと「雀色」とは、雀の頭の様な灰色掛かった褐色を言う。「雀色」と江戸時代に流行した「雀茶」とは同じ色だとの説がある。
　　江戸中期頃の褐色系の流行色を総称して、「雀の羽色」と呼ぶ例もあるそうだ。

一枚の冬田より湧く雀らよ土色の羽を嘆くことなきや―志垣澄幸

　　「初雀・寒雀」は、元旦の朝の雀は初雀である。寒い時期の雀は寒雀と呼ぶ。ただ、後者は冬に食べる雀が美味な為の呼び名てもある。

一の鳥居の高さが好きで初雀―長谷川秋子　/　寒雀一羽来て二羽三羽来ぬ―山崎ひさを　

　　日本古来の植物や動物が減りつつあるのは、時代の流れとは言え寂しい現象である。雀は、昔からずっと人間と極めて親しい存在だった。
　　時には多過ぎて稻作の害になったりもしたが、今は電線に止まっている姿さえ見掛けるのが少くなった。何とか復活してほしい、と願うのも人情だろう。

雀らは残り時間を思はねばみちみちて覚めみちみちて寝む―竹山　宏

　　やがて、この２４日は七十二候の「桜始開」（さくらはじめてひらく）である。前述の如く、今年は３月になって急激に気温が上がり、各地で開花日の早いタイ記録や新記録を更新している。

弓なりに身をひきしぼる列島を咲きさかのぼる桜前線―岡野弘彦

　　誰もが感じる通り、桜は古来から日本人の心の象徴として賞美されて来ている。桜の出て来る最初は「日本書紀」である。
　　履中天皇が舟遊び中に酒杯に舞い落ちた花びらを見て、花が沢山咲いている木を想像したとされている(履中記巻12)。
　　また「万葉集」にも詠まれている。ただ、その当時は未だ桜よりも梅が好まれていた。

あしびきの山桜花日並べて斯く咲きたらばいたも恋ひめやも―山部赤人

　　花と言えば、桜を指すことは周知の通りある。日本の花の美しさの象徴として、いつしか桜が〝花の中の花〟を現わすようになった。
　　奈良時代までは、花と言えば中国から渡来した梅の事だった。それが、平安時代以降は、桜が花の中心になったと謂れている。

　　桜の名の由来として、神話時代の歌の一節に「さきくにさくらん　ほきくにさくらん」とあるのが原典とされている。

神代にはありもやしけむ桜花今日のかざしに折れるためしは―紫式部

　　或いは又、春に里へやって来る稲＜さ＞の神が憑依する座＜くら＞だから「さくら」である、との説がある。

見渡せば春日の野辺に霞立ち咲き艶(にほ)へるは桜花かも―詠み人知らず

　　更には、富士の頂上から花の種をまいて花を咲かせたとされる、「木花之開耶姫（このはなさくやひめ）」の「開耶＜さくや＞＝桜の神様」から変化したとも謂れている。
　　いずれにしても、定説としての確たるものではない。

　　桜の種類は数多くあるものの、山桜・大山桜・霞桜・大島桜・寒緋桜・江戸彼岸・豆桜・高嶺桜・丁子桜・深山桜の１０種類が、野生の桜の基本である。
　　そして、それぞれから栽培品種が生まれている。江戸時代に既に２５０種類が図譜に描かれていて、現在では３００種にも及ぶと言う。

吹く風と谷の水としなかりせばみ山がくれの花をみましや―紀貫之

さびしいと左脳が言へば来て仰ぐ大島桜のうすあをい花―河野裕子

　　中でも、里桜の代表格である染井吉野は、大島桜と江戸彼岸の交配種なのは有名である。江戸時代に培養が始まったらしい。
　　今や日本全国の、それこそ津々浦々を埋め尽くした染井吉野は、花も美事であり香気も感じられる。

　　ただ、自培が不可能で樹命は最長で１００年程度（当初は数十年）とされている。昭和初期に植えられた木々は、もうそろそろ終焉を迎えるのかも知れない。

世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし―在原業平

　　開花の基準になるのは染井吉野であり、前述の様に花見の殆どはこの桜である。
　　最も一般的であり、もちろんそれぞれに好みはあるだろうが、この桜を〝桜らしい桜〟と称するのに異論はないだろう。

染井吉野咲き極まりぬ今生に母ありて共に佇（た）つ花あかり―山本かね子

　　それ以前の桜と言えば、山間にほんのりと咲く山桜のことだった。花は一重で、ほんのり紅を帯びている。

山ざくらをしむ心のいくたびか散る木のもとに行きかへるらむ―周防内侍

　　余談ながら、俳諧の世界では、〝花〟は桜以外の多くの花のイメージとも重なる。近世の俳諧でも「花といふは桜の事ながら、すべて春の花をいふ」（三冊子=さんぞうし）とある。
　　一般には花と言えば桜だが、俳諧に於ける花は、〝春の花〟の総称であるとされている。
　　だがいずれにしても、〝花と言えば桜〟であることに異論を挟む者は、そうは存在しないだろう。

　　その桜には、様々な異名がある。やはり、花の代表として多くの人の目を奪うばかりに美しいからこそ、の異称なのだろう。

　　「夢見草」「挿頭草(かざしぐさ)」「曙草(あけぼのぐさ)」などがそれである。
　　「梢の雪」は桜の花を雪に喩えた表現で、この桜は日本古来の薄い紅色の山桜のことなのか。

しんしんと音なくふぶき今生の桜はわが掌に紅(べに)を重ぬる―久万壽万子

　　桜色を思うのなら、夢の如くに淡い紅色が仄かに浮ぶ。遙か遠くに咲くのは「花霞」。やがて満開になれば「花の雲」と、そのどちらの表現も成る程と納得される。

山桜かすみのまよりほのかにも見てしひとこそ恋しかりけれ―紀貫之

　　やがて季節が進み、春の野には緩やかに微風が吹き、種々の色彩が周囲を染めて鮮やかにも華やかになる。

細枝まで花の重さを怺へゐる春のあはれを桜と呼ばむ―稲葉京子

　　そして、その代表格である桜の花便りを「花信」と言う。その桜に向けて、咲く時期を知らせてくれる風を「花信風」(かしんふう)と呼ぶ。

　　だが、桜は満開の時ばかりが愛でられる訳ではない。古来から、花の移ろい行くそれぞれの時期の繊細な言葉がある。その言葉は実に豊富である。
　　人々は早くから、桜を「待つ花」として思いを馳せる。やがて「花支度」を終えた蕾が綻びて「初花」となり、待ちかねた「花時」を私達はやっと迎えるのだ。

桜芽の輝やかにして膨らむと待つとし言へば幼な児は立つ―大滝貞一

　　次いで「花笑み」「花の紐解き」」を経由しながら、匂い立つ様な「花盛り」「花錦」へ、と桜は絢爛と移ろい行く。

花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせしまに―小野小町

　　そして尚も、「花明り」「花朧」(はなおぼろ)を楽しみつつ、「花の雲」「花の虹」「花の幕」の下で「花の宴」となる。

春日射す岸のさくらは花の雲　間（はざま）をよぎる風白うして―中川佐和子

かきくもる空に危ふく紛れむをさくらはさくらのいろに匂へり　―日野原典子

ぼんやりと闇に浮かべるさくらばな春のおぼろのひとつかわれも―棗　隆

　　心ゆくまでたっぷりと桜を眺めて（飲んで！）「花の酔」から「花疲れ」へ、と気紛れなのは私だけではないだろう（その筈だ）。

桜とは得体の知れぬ花なればその下に座り酒を飲みたる―疋田　和

　　また幸いにして正気に戻れば、「朝桜」「夕桜」「夜桜」「月夜桜」「名残の花」「遅桜」と、様々な時分の桜の楽しみ方に遭遇する。

散るさだめ肯ひて咲くひと花か冷えしるき朝桜ほころぶ―沼波万里子

夕月は桜の梢にてひかりなきこそしづかなりけり―岡　麓

はなびらを幾重かさねて夜桜のあはれましろき花のくらやみ―安永蕗子

　　花満開の頃の月明りの夜は「花月夜」などと、一段と美事な言葉がある。
　　「花雪洞」(はなぼんぼり)の呼び名も、幽玄の余情が深く胸を撃つ。時には「花盗人」は、むしろご愛嬌か。

清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みな美しき―与謝野晶子

獅子吼ゆるこゑを聞かばや夕雲の光に白くさくら動かぬ―太田水穂

陶酔はまたたく間にて花盗人さびしく花と真対ひてゐむ―百々登美子

　　そんな季節の移ろいの中で、桜の咲く頃にも雨は降る。降りつ降らずみのその細い雨の名は「花時雨」。

みずからの花に照らされ樹は立てりしずけき雨の中なるさくら―草田照子

　　また、満開の近くなった時期に、突如として吹く冷たい風は「花妬む風」と呼び、そのために「花冷え」「桜冷え」となる。

春雨のしくしく降るに高円（たかまど）の山の桜はいかにかあるらむ―河辺東人

五分咲きの桜あやしく艶めかせしとど濡らしぬ花冷えの雨―樋口よね

一夜さの風雨にのこるさくら花いさぎよからぬままにかがやく―村上照男

　　その頃にもし雪が降れば、前述の「桜隠し」の雪。そして、「花疾風」(はなはやて)が吹けば、桜は潔(いさぎよ)く散り始めるのだ。　

白雪の降りしく時はみよしのの山下風に花ぞ散りける―紀貫之

咲ききはむる花の哀しみ　これ以上咲くことはない今年の桜―英保志郎

　　華やかな美しい側面と共に儚く散る虚しさを、人生の移ろいに重ねて桜は詠まれることが多い。散る花は「飛花」(ひか)に「落花」と。　

散りてゆく山のさくらに手を拍（う）つは数千（すせん）の花の谺呼ぶため―清田由井子

　　花片がはらはらと散る様は「花の雨」「花嵐」「花吹雪」などと呼んで惜しまれる。

桜花散らば散らなむ散らずとて故里人の来ても見なくに―惟喬親王

　　また、「花屑」「花の塵」「花埃」など、桜は地上に散り敷いてもどこまでも趣があるのだ。

花骸（はなむくろ）といふはさびしき散り桜しんしんと暁（あけ）の濠を満たしぬ―三田　博

桜散るかぎりなく散る今年また何を不服と言ふことあらう―塚本　諄

降りしきる桜の花にうづもれて死なんとぞ思ふ乙女なり我は―谷崎松子

散るさくら千の花びら千の語を語りかけつつ地に還りゆく―東木の實

こんな桜もある。

まっ黒いさくらの花がぼたぼたと散りあらそえり目は盲いてゆく―山崎万代

　　川面に散って流れて行く「花筏」(はないかだ)も、まるで目を奪われるばかりに美しくてそして切ない。

花ひとつ愛（かな）しみのせて花筏瀬音高きにいざ漕ぎ出でな―堀内昌子

すさまじくひと木の桜ふぶくゆゑ身はひえびえとなりて立ちをり―岡野弘彦

　　上述した如く、桜の種類は実に多い。また、咲いている場所や年代も花姿に影響するだろう。
　　どの桜が好きかは、人それぞれ。今年は、どんな桜が楽しめるのか・・・。

　　また、桜を詠んだ秀歌は多い。その極め付けの一句は、となれば下記の句はどうか。

いつとなくさくらが咲いて逢うてはわかれる―種田山頭火

「さくらと雀」　　　　水谷まさる　

三月さくらの
花ざかり
枝をくぐつて
花のなか
ちよんちよん雀が
ちよんと飛ぶ。

飛べば小枝が
ゆすぶれて
惜しやさくらの
花びらが
ぱらぱらぱらり
散るけれど、

三月さくらの
花ざかり
花にうかれて
うれしいか
ちよんちよん雀は
ちよんと飛ぶ。

「春の寺」　　　　萩原朔太郎
　　　
うつくしきみ寺なり
み寺にさくられうらんたれば
うぐひすしたたり
さくら樹にすずめら交(さか)り
かんかんと鐘鳴りてすずろなり。
かんかんと鐘鳴りてさかんなれば
わとめらひそかやかに
ちちははのなすことをして遊ぶなり。
門もくれなゐ炎炎と
うつくしき春のみ寺なり。

「三月」　　　　室生犀星

うすければ青くぎんいろに
さくらも紅く咲くなみに
三月こな雪ふりしきる

雪かきよせて手にとれば
手にとるひまに消えにけり
なにを哀しと言ひうるものぞ

君が朱(あけ)なるてぶくろに
雪もうすらに解けゆけり

「さくら」　　　　高田敏子

紅色に
つぼみふくらみ
さくらさくら

花はあした
ひらくのでしょう
私の家の小さな庭を飾る
さくら

二階の窓にひろがる
一枝一枝の
つぼみにふれて
さくらさくら

私の眠りも
あすひらく花の心

syoukaibu at 05:30│コメント(16)│トラックバック(0)│随筆 | こころ

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コメント一覧

1. Posted by 夕ひばり 2013年03月22日 16:18

こんにちは。
「暑さ寒さも彼岸まで」の格言は生きていると思います。
近年、天気予報でも耳にすることが多くなったような･･･ホッとさせてくれるいい言葉ですね。
桜もいろいろな種類があって、どれも甲乙つけがたく素敵ですが、やはり山桜が好きです。枝垂桜も可愛らしいしいですね。冒頭のお写真、とても綺麗☆
花咲く日が楽しみですね。

青森では彼岸の雲雀殺しと言うのですか ?! あちらはまだ寒いですものね。
青梅の雲雀は、ますます元気です ( 笑
道草さんもこの春を存分にお楽しみくださいませ ♪

2. Posted by 道草 2013年03月22日 16:44

＊夕ひばりさん
お彼岸の墓参りは済まされましたか。明日までが期間中なので、私はのんびり構えております。
確かに格言は生きている様ですが、北日本では未だ未だ冬が、それも猛烈な奴が居座っているみたいです。

それにしましても、今年ほど気候の予報が外れる年は珍しいのではないですか。
特に東京などは余りにも早く咲き過ぎて、大騒動が起きている様ですが。桜と同じく、雲雀さんもすこぶる元気で何よりです。
京都はそれ程でもありません。まだ、開花宣言もなく、例年より少し早い位でしょうか。

近くの山科川の桜(染井吉野です)も、やっと蕾が綻び始めた感じです。ただ、市街地を流れる川ですので、ゴミなどもあったりして、花だけを見ることにしていますが。
桜も沢山の種類があって、人それぞれにお好みの桜や思い出の花など、春は様々なドラマが展開することでしょう。

そちらは梅も満開でしょうから、今年は梅・桃・桜と３大美女の勢揃いが絢爛と展開されている事と思います。
夕ひばりさんも、美事思い切り楽しんで下さい。こちらから言うまでもない事でしょうけど・・・。

3. Posted by わんちゃん 2013年03月22日 23:05

道草さん　こんばんわ～～

アーモンドの花が満開です
桜より一回り大きくて、1週間ほど早く咲きます
薄い薄いピンクです、その横のオカメザクラ
濃いピンクで2~3輪かたまっ俯いて咲きます。
今年の春は両方が同じ時期に咲いてます。

4. Posted by わんちゃん 2013年03月22日 23:09

操作のミスで･･･
先ほどの続きです、上を見上げるとハクモクレンが
見事に咲き誇ってます、春の庭は賑やかです。

5. Posted by 浮舟 2013年03月23日 03:09

　季節の移ろいを見つめながら、とうとう春分の日まで来た。正直、そんな思いです。

　なんといってもここは桜の花ですが、コメントが案外難しいんです。桜の花というのはなかなか一筋縄ではいかない花のような気がします。綺麗・・だけではない。優雅・・だけでもない。はかない・・だけでもない・・・。妙に含みのある花のように思えます。

１　幼稚園の頃、夜桜を見に連れて行かれました。神戸の王子公園でボートに乗って、灯りに照らされた桜が、水面にも写るのを見て、子ども心に、こわいほどに桜の花のなまめかしさを感じて、泣きそうになった記憶があります。
２　母親が脳梗塞で１か月ほど入院した時、病院の桜が満開で、母は窓越しに毎日、花をながめていました。退院後の自分のリハビリの生活とともに、自分の人生の来し方、行く末をも考えていたようでした。私は、人はすべて、悲観もせず楽観もせず生きていくしかないなあと、桜を見ながら柄にもなく、聖人めいた思いをかみしめていました。
３　その母が５年後に亡くなって、墓に納骨をする日、うらうらとした陽光の下、墓苑の桜が満開でした。人はいずれ亡くなる、当たり前のことだと花が言っているようでした。
　以上の三つが特に印象に残った桜にまつわる出来事です。

　仕事をしていた頃は、花の下で大勢で酒を飲み、ドンチャン騒ぎをしました。また休みの日には、家族で花見をして、弁当をひろげたこともありました。しかし、数年前から、どうも桜はそんな行楽用の花ではないように思いはじめました。ちょっとちがう、と。ではどんな花か。
　道草さんの紹介されている疋田和の「桜とは得体の知れぬ花なれば」（上の句）これが一番近い感じですね。

6. Posted by 道草 2013年03月23日 05:04

＊わんちゃんさん
一昨日はやや冬へ戻った様な風の冷たい日でしたけど、昨日はまた暖かい春が戻って来ました。ただ、北日本では猛吹雪で大騒動です。青森は積雪１メートル１７センチで、３月としては史上最高記録とか。
九州や関東は桜の開花が記録的に早くて、観光地は大騒動みたいです。

京都は開花宣言をしましたか？うっかり見(聞き)過ごしているのかも知れませんが、近所の山科川の桜は、やっと蕾が綻び始めたばかりです。
そけに、今年は鴬が未だ鳴きません。我が家の周辺だけかと思って、昨日は行きつけの医者に訊ねましたら、やはり未だ聞いていない、とのことでした。
今年は特に季節外れの気候の連続で、人間の体調もそうですが、自然界にも様々な異変が発生しているのでしょう。

わんちゃんの周りは色んな花や草木に恵まれて、豊かな春の気分を堪能しておられる事と思います。
我が家の小さな庭では、枝垂れ梅が満開で、その横で山梅桃(ゆすらうめ)が咲き始めました。薄い紅色と薄い白色の競演です。細やかな春です。

7. Posted by 道草 2013年03月23日 05:39

＊浮舟さん
桜はやはり、日本が最も種類が多くて花も美事なのでしょうか。私は外国の桜を見た経験がありませんので良くは知りませんが、かなり世界中に分布しているとか。
北半球の温帯地域には沢山咲いていて、中国や朝鮮半島にも日本と共通の種類もあるそうですが・・・。また、ヒマラヤ地方では、ヒマラヤ桜と称する美しい花の咲く種類が分布しているとの由ですけど、どうなのでしょう。

ヨ－ロッパには、日本の桜のように花の美しい種類はなく、桜桃の成る実桜の類があって、北米大陸には常緑の種類など、日本人の桜の概念からかけ離れた種類ばかりと聞きます。例のワシントンの河岸の桜は、日本から移植したものでしょうし、やはり桜は日本ですか。そちらは如何でしょうか。

桜に纏わる出来事や記憶は、誰にも幾つかあるのでしょう。一般的には桜の咲く季節が日本では卒業・入学・転勤・入社など人事の異動の時期になっていますので、余計に様々なドラマが生まれるのかも知れません。
それに、寒かった冬から暖かい春に変わる、最も季節の変動を実感する時期でもありますので、人間の心理にも様々な影響を齎すのでしょうか。

私の一番遠い桜の記憶は、小学校(國民学校でしたが)２年生で疎開して、転校の初日に学校の校庭で味合った苦い経験です。母上の逝かれた日や葬儀日に、浮舟さんの実感された様な輻輳した思いは私には思い当りません。
ただ、３０代半ばに肋膜と肺浸潤で年末近くに入院して、翌年の桜を病院の窓から心細く眺めた事がありました。
丁度、長女が満１歳になったばかりで、妻にも大変な迷惑を掛けました。幸いにして６カ月で退院出来て(私が強引に申し出て)、あの時の桜は思い出深いものとなりました。

8. Posted by 道草② 2013年03月23日 05:40

転校時の出来事は「桜桃の実る」と題して、またその他では「桜散る日」「」あの里の枝垂れ桜」など、別のブログ(峠の向こう)に掲載したことがあります。いずれも、他愛ない内容のものばかりでお恥ずかしい限りですが・・・。

9. Posted by 徘徊堂 2013年03月23日 17:35

　蓑虫やめだかが絶滅危惧種になったように、スズメも気が付けば…とならないことを願っています。朝はやはりカラスのカアーとかグワーという声よりスズメのチュンチュンと鳴く声が聞こえるほうがいいですね。
　桜が咲くのはうれしいですが、大阪の大川ばた等では狂気の花見が繰り広げられます。視覚的にも聴覚的にも、そしてバーベキューのクサイにおいで嗅覚的にも最低です。趣味人ではありませんが、佐野藤右衛門風に山奥に自分だけの桜を探しに行くのがよいようです。

10. Posted by 風音 2013年03月23日 20:29

こんばんは。
こちらでは、桜の開花が早く、都内ではすでに満開です。
どうしても桜というと、入学式の頃・・・というイメージがあるのですが、今年はその頃はもう葉桜ですね。
　　
雀色時という呼称、初めて知りました。
ちょうど昨日、桜と雀の写真を撮ったばかりで。
いいタイミングで、こちらで桜と雀の話に触れ、嬉しい限りです。
私は、休日には春風に吹かれ、のんびりと散策を楽しんだりしています。
道草さんも、よき春をお過ごしくださいね♪
　　　　

11. Posted by 道草 2013年03月23日 21:11

＊徘徊堂さん
今年は何故か鴬が全く鳴きません。厳冬の影響かと思ってもみるのですが、それにしましても異常です。近所の行き付け(掛かり付け？)の医者に訊いても、やはり同じ返答でした。
もしかして、烏に殺られたのでは、と勘ぐりたくもなります。烏は喧しい位に鳴いています。

鴬と同じく、と申しますか雀が本当に少なくなりました。徘徊堂さんかの別宅の周辺では如何ですか？
昔は焼き鳥屋でも丸焼きが饗される程、雀は害鳥扱いでしたのに、今や益鳥どころか希少価値すら感じられます。

それもそうとして、現役時代は大阪の例の河畔で何度か花見(飲見ですけど)をしたものです。
夜間ですからライトアップで桜は少しは綺麗に見えましたし、宴会が終われば何処からかホームレス的な集団が出現して、忽ち後片付けを引き受けてくれました。
残り物も沢山ありましたから、それこそ持ちつ持たれつの関係だったのでしょう。

山奥の桜ですけど、例の常照皇寺は新聞の「桜便り」にも載せておらず、電話で開花状態を問い合わせても、住職が「見に来たら分かる」と返答するそうです。
仏教の本質は詰まるところ〝　慈悲心〟ではないか、と思うのですが、この寺の坊主は最も傲岸不遜な人種なのでしょう。
しかも有料です。その結果、御車返しの桜は完全に枯死し、九重桜は３分の１程に痩せ細りました。
まさに天罰ではないですか。私の中学生の頃は、春の遠足の定番がこの寺で、しかも無料でしたのに・・・。

12. Posted by 道草 2013年03月23日 21:25

＊風音さん
そちらでは開花速度の新記録とかで、花見の計画が大騒みたいではないですか。何故、九州と東京が極端に早くなったのかは分かりませんが、京都は昨日に開花宣言がありました。それでも、例年より６日も早いとの事です。
まあ、私などは特に何処へ出掛けるとの予定も立てていませんので、全く無関係ですが。咲いたら見に行く。そんな日々ですから。

風音さんは、雀と桜の写真を撮られたのですか。さすがに写ガールの面目躍如ではないですか。また、覗きに寄せてもらうのを楽しみにしています。
このところ、気温の変化が毎日の様に激しく上下します。予報も余り当てになりません。、今日の土曜日は好天で花見に最適と解説していましたけど、雲の多いかなり風の冷たい一日でした。

そちらは、明日の日曜日が最後の花見時となるのでしょうか。風音さんも、何処かへお出掛けのご予定をされていると思いますが・・・。
京都は今日の朝刊から「桜便り」が掲載され始め、見頃はやはり月末から来月初め頃になりそうです。近くの堤防の桜(染井吉野ですが)も、やっと蕾が開き始めたばかりです。

13. Posted by mfujino 2013年03月24日 07:30

道草さん、春が来ましたね。大阪や京都市内ではもう桜は開花しましたね。京北へ帰ってきましたがさすがこちらはまだまだですが、この春は早く咲き始めることでしょう。

雀は少なくなりましたね。昔少年時代に霞網を張っていた光景を見た記憶があるのですが。カラスは我が物顔で喋っていますので、アホ～アホ～と返してやりますと鳴き止みますね。鶯の鳴き声はもう聞きますよ。地元の店で暖かくなったねとレジの女性に声を掛けると、燕を見たよ～って答えてくれました。

ところが昨夕の挨拶は、寒いね～でした。今朝の我が家の勝手口外の温度計は-1℃をさしていました。花脊峠を越えて帰ったのですが、峠近くの日陰にはかき寄せられた雪の後が少し残っていましたが、佐々里峠の雪の壁は、壁と言えない様なので今年は見に行く気にはなりません。

常夏の国は過ごしやすいでしょうけど、暖かくなったね、お～寒う、などと挨拶を交わしながらの世界は人を鍛えてくれるのかも知れません。これぞ日本の醍醐味なのでしか。

14. Posted by 道草 2013年03月24日 09:10

＊mfujinoさん
各地で桜の開花の早期新記録を樹立しているみたいですが、今年の京都は２２日ですか。それでも例年より１週間、昨年より２週間近くも早いとのことです。
観光地の対応で、特に夜間のライトアップが長引くので経費が大変みたいです。そんなもん止めればいいのに、とおもうのですけど。

我が家の近くに小さな川が流れていますが、その土手の桜は未だやっと蕾が開き始めたばかりです。
そちらは、やはりこれからでしょうけど、それでも例年よりは早まるのでしょうか。あちこちに懐かしい桜が沢山あって、毎年逢いに行きたい思いです。mfujinoさんの車で案内してもらったのは、もう３年前になりますか。
佐々里峠の雪の残雪を見せてもらったのは、更に前の事でした。月日の経つのは早い、と今更の如く痛感しております。

昨日はかなり風の冷たい一日でしたけど、それにしましても―１℃とはやはり厳しいですねぇ。完全に氷の張る温度ですから。
ただ、燕を見た友達も居られるなど、昨今の気象は実に出鱈目と言いますか、末期的現象と申しますか、全く不可思議な現象を呈しております。

雀もすっかり少なくなって、山里の春も些か寂しいのではないでしょうか。
私は霞網など縁がありませんでしたので、突っ支い棒をして伏せた竹籠で誘き寄せたりしていました。収穫は皆無でしたが。
さすがの悪烏も、mfujinoさんのご威光には降参なのでしょう。完璧に退治して、雀や鴬を増やして下さい。

15. Posted by 春海 2013年03月27日 11:39

道草さん　こんにちは。
雨は落ちてはきませんが風が冷たいです。
年末　実家から貰ってきた籾殻つきの豌豆の苗が真っ白い花をいっぱい咲かせ１メートルを優にこしました。
緑の棒（名称判らず）を立てグリーンのひらひらテープを巻き付けて俄百姓の真似をすると又　またどんどん蔓がのびて行きます。
まさにジャックと・・・・です。
　スーパーにはすでに高いお値段で並んでいるので先日初豌豆御飯を炊きました。
炊きあがりの何とも言えない匂いを期待しましたが　残念　お味ももう一つ
でした。
白い花から美味しいお豆さんが生まれると信じて待つ事にします。

16. Posted by 道草 2013年03月27日 12:28

＊春海さん
お彼岸も済みましたけど、このところやや冷え込んだ感じの日が続いています。
近くの堤防の桜は、かなり開いて来ました。我が家の狭庭の細い枝垂れ桜は、いつも遅目ですので未だ蕾は幼い感じです。
３月もあと僅か。梅も桃も桜も一気に咲いて、まさに世は春爛漫の気配に溢れている様です。
春海菜園では、もう豌豆がせ花を付けましたか。昔の記憶では、新学期が始まり、そろそろ休日が恋しくなり出した頃に、豌豆の季節がやって来たと思うのですが。
絹莢と呼ぶ種類は、生で食べてもほんの僅かな甘さがありました。あの頃は甘味に飢えていましたので、果物以外でも野菜などもよく生のまま食べたものです。
西瓜・瓜・トマトなど果菜以外の野菜では、茄子の生が最高でしたが・・・。

豌豆のご飯は、当時では中々のご馳走でした。ただ、野菜類は収穫の季節になりますと、来る日も来る日も同じ野菜に責められて、まるで中毒気味になったものです。
思えば、〝産地直送〟の新鮮な野菜は贅沢そのものだったのですが・・・。

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