2006年10月22日

 「企業は人なり」の見本

書名  松下幸之助の人の育て方  松本順著  講談社文庫

松下幸之助と言えば「経営の神様」と言われた人である。天下の松下電器産業を育てた人である。しかし、一人で働いたのではなく多くの人が一緒に働いた。

事業の伸長に役立つように多くの人を指導、教育、あるいは叱責して松下電器産業を世界的な優良企業に育て上げたのである。

この本は育てるほうから見ると人材の指導方法が理解でき、指導されるほうから見ると指導する人がどの様なことを求めているかが理解できる内容である。

いわばコインの裏と表のようなことが述べてある。どの様にして人材を育てたか色々な実例を示して紹介してある。

この本の内容を参考にすると指導者、被指導者を問わず人材の育成、経営改善のに大きな力となると考える。

起業、独立を目指す人にもいい本である。

目次の紹介

まえがき

第一章 「散逸構造理論」と松下幸之助
 「散逸構造理論」実践の達人
 「ゆらぎ」インスピレーションを活用する
 仕事を愛して苦痛を超える
 修業の極致エンドルフィン効果
 幸之助流「意識」と「無意識」の連繋作業
  注・「散逸構造理論」

第二章 危機感によって人を育てる
 人材育成に「散逸構造理論」を生かす
 幸之助流マネジメント・サイクルの展開手法
 自分が伸びれば部下も伸びる
 問題の徹底的な掘り下げと学際思考
 危機とインスピレーション
 直感的ひらめきと人材育成
 
第三章 人が育つ環境をつくる
 積極経営の風土をつくる
 企業の使命をつかみとる
 叱って育てる
 運、ツキをどう生かすか
 失敗を積極的に生かす闘志
 松下幸之助の叱りの意味

第四章 松下電器は人をつくる会社
 「公案」と無意識のひらめき
 無意識の英知を活性化する
 「日常禅」の境地
 従業員の立場から考える
 心の問題を解決する

第五章 自己実現欲を満足させる
 高次の欲求満足が生きがいをもたらす
 お客の欲求と部下の欲求にこたえる
 相談的に仕事を進める
 部下の意見を聞く上司の下では部下が育つ
 提案はできるだけ採用する
 謙虚であれば部下のよさが分かる
 慢心は身を誤らす
 幸之助流部下の話の聞き方
 幸之助流長所の引き出し方

第六章 二本の手綱を使いこなす
 信じて、まかせて、やる気にさせる
 実力六十点ならまかせてしまう
 「まかせてまかせず」と率先垂範の気迫
 成果の追求はきびしく、「ゆらぎ」を与える
 きびしい得意先から学ぶ
 幸之助流商売相手とのつきあい方法
 「まかせる」「成果の追求」の二本の手綱

第七章 平凡を非凡に生かす
 松下幸之助「人の育て方」の原点
 奉公時代の躾がものをいう
 初めは平凡な中小企業の親父だった
 現実適応型の大脳ネットワーク
 必要に迫られて洞察力、直観力を磨く
 話を聞いて自分を育て、部下を育てる
 本当の情報の重大さを教える
 自ら身につけた「感受性訓練」と「積極的傾聴法」

第八章 誠意は人を動かす
 「太閤記」からつかんだ人使いの原理
 信頼が裏切りを防ぎ、やる気をひき出す
 体験で学びとった”誠意は人を動かす”
 現実体験でつかんだ人間関係の機微
 信じてまかせて最高の能力を発揮させる
 適切なアドバイスを忘れない

第九章 可能性を信じて発揮させる
 大脳コンピュータから可能性をひき出す
 劣等感を払拭させる方法
 小林一三の「シロウト成功論」と幸之助の共通点
 幸之助流「人」の採用のしかた
 悪条件を生かすことこそ人材を育てる
 やらざるをえない状況に追いこむ
 自分を育てて部下を育てる
 悪い情報から学びとる

第十章 人間・松下幸之助を裸にする
 常識では理解できない人間
 天衣無縫、素直さが人を育てる
 現実体験から行動原理をつかみとる
 真実をつかみとる直観力
  参考文献
  文庫版あとがきに代えて

ぜひ役に立てて欲しい本である


松下幸之助の人の動かし方


松下幸之助に学ぶ部下を育てる12の視点


松下村塾と吉田松陰―維新史を走った若者たち


松下流起業家精神―日本のものづくりはこうして甦る




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