2005年08月16日

砂の女

安部公房『砂の女』(新潮社 1981)
評価:★★★★☆



意外に読みやすかった安部公房。
そして意外に楽しかった。
久しぶりに、あらすじを読んだだけで読みたくなる作品に出会いました。

砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底にある一軒の家に閉じ込められます。
その家には一人の女がいて、せっせと砂かきに励みます。
男はその砂かきの労働力の一人として閉じ込められるんですが、男は何とか脱出を図ります。
脱出しようとする男と、それを食いとめようとする女や部落の人々を描いたちょっと怖い作品です。

閉じ込められて脱出をしようとする話は、読んだ事がありそうで今まで読んだ事がなかったので新鮮でした。
どうやって脱出するんだろう、と読んでいる僕はわくわく。
終始飽きされない作品だと思います。
さすがは名作!

自分さえ良ければそれでいい、他人は関係ない、と啖呵を切る女。
その科白は生き方の究極ですよね。
人の人生を奪っていておいて知らん顔をする女や部落の人間は恐怖を与えます。
それに男は激しく糾弾し、抵抗しますが、知らず知らずのうちに砂の穴の中の生活に順応していくんですね。
そこに皮肉がこめられているように感じます。
自分さえ良ければいいというエゴイズムは常に時代の中にありますよね。
相手のエゴイズムを甘受してしまうのか、どうなのか。
結局は巻かれて生きるのか、巻いて生きるのか。
結局は弱肉強食なのか。
結局は人生は諦めなのか。
たかだか砂の穴に閉じ込められる話なのに、人生観までも考えさせられる奥の深い作品です。


安部 公房 / 新潮社(1981/02)
Amazonランキング:2,784位
Amazonおすすめ度:
安倍公房の最高傑作!!
砂漠に思いを馳せる
・・・





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1. 「砂の女」  [ little by little ]   2005年08月27日 10:23
安部公房。 彼はやはり天才ですね。 はー、一気に読んでしまった。面白かったなー。 砂に埋もれていく家で女と暮らす話。で、主人公は逃げようとするんだけど、部落の人たちが逃げないように監視してて、逃げられないの。 サスペンスちっくでもあるし、風刺小説でも.

この記事へのコメント

1. Posted by こうめい   2005年08月16日 14:55
TBありがとうございます。
安部公房の他の作品のなかでは、
『他人の顔』『箱男』『燃えつきた地図』なども、
『砂の女』と同じように
ありえない状況をリアルに描いていて、好みです。

科学的な乾いた表現と、
人間的などろどろとした部分との、
独特のマッチングが安部公房の魅力だと思います。

シュールなものがお好みなら、
『壁―S・カルマ氏の犯罪』がいちばんぶっ飛んでいます。

よかったら、読んでみてください。
2. Posted by 周淳   2005年08月17日 12:24
>こうめいさん
コメントありがとうございます!
他の作品を紹介してくださってありがとうございます。
砂の女がはじめての安部公房だったので、他にも興味が湧いていたところなんですよ。
そうかぁ、安部公房ってありえない状況設定をする作家なんですね。
チェックです!読んでみますね!
3. Posted by PAPPOP   2005年08月17日 23:21
TBどうもありがとう!

砂の女は映画も良かったですよ。見る機会がありましたら、是非!!暗くてざらざら感は想像通りでした。
4. Posted by 周淳   2005年08月19日 21:28
>PAPPOPさん
こちらこそ、コメントありがとうございます!

映画もあるんですね。
なんだか暗いざらざらした感じが見てもいないのに伝わってきます。
でも想像がしやすそうで、なかなかしにくいですね。
機会があったら見てみますね。
5. Posted by chocolatblanc   2005年08月27日 10:24
こんにちわ。
トラックバックします♪
近い時期に同じ本を読んでてびっくりです。

わたしは「壁」に続いての2冊目ですが、かなり、安部公房、好きですね。
「砂の女」もかなり面白かったです。なんか、自分はこういう感じの話が好きみたいです。
「箱男」も購入済みなので、読むのが楽しみです♪
6. Posted by 周淳   2005年08月27日 16:46
>chocolatblancさん

結構同じ本を読まれていますねぇ。
気が合うんでしょうか(笑)

僕は初めての安部公房だったので、こういう作家なのかと意外性を感じました。
他の作品もちょっと注目しています。
しかし、「箱男」って、かなり前に電波少年でやってた同タイトルの企画を思い出しました。
どんな話なんだろ…。

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