2006年01月31日

裏庭

梨木香歩『裏庭』(新潮社 2000)
評価:★★★★☆



児童文学を書いているイメージのある梨木さん。
この作品も多分にもれず児童文学ファンタジー大賞を受賞している、児童文学です。
実は僕って児童文学をあまり好きではありません。
なんか、少年少女が主人公の話ってどうもこう、乗ってこないんだよなぁ。
子どもが苦手っていうのもありますけど、なんつーか、少年少女がキラキラしてて、あのキラキラ光線が僕は苦手なのです。はい、僕はドラキュラのような男です。これから僕のことをドラちゃんって呼んで♪
でも、この作品は違いました。結構楽しかった!
ていうか、児童文学な感じがしなかった。
完全な純然たるファンタジーって感じ。
内容も深くて、あぁ、うむむと理解できてないくせに理解できたフリをしてました。

昔、英国人一家の別荘だった洋館。その裏庭は子どもたちの恰好の遊び場となっていました。
照美という少女もそこで遊んでいました。
その洋館の裏庭は、別世界に通じている風があったのです。
ある日、照美は裏庭にある裏庭への世界へ行くことになりました。
そこは大きな木が根をはり、謎の生き物が住んでいる世界でした。
そこで照美は竜の目を取り戻しに行くことになるのです。
まさにファンタジー。

違う世界に飛んで行って、そこである使命を果たし、戻ってくる。ファンタジーのお約束的展開です。
でも、ファンタジーの世界がよく作られていて面白かったです。
随所で、ふむふむと思うところがありました。
また、裏庭の世界と現実の世界がリンクしているんですね。
現実世界では照美が行方不明になってしまって、照美を探す家族と、裏庭の世界で冒険する照美との同時進行で話が進んでいくんですね。
僕としてはふと、村上春樹の「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」を思い出しましたねぇ。パターンが似てるなぁって。
でも、終末は全然違うものなんだけど。
しかし、現実の話と裏庭の話がうまくリンクしてて、その緻密に話を練られているなってのはよく感じました。しっかりできている作品ですねぇ。

世界観は、ジブリの世界観に似ているように感じました。
ハウルの動く城みたいな、千と千尋みたいな不思議な世界。
世界はハウルで、知らない世界に飛んでいって名前がちょっと変わっっちゃうあたりが千と千尋って感じですね。
でも、読んでいくうちに、いろいろな世界にパッパとかわっていく当たりが文学なのかしらね。

こういう風な全然別の世界を作れちゃうってのはすごいなぁって感心します。
やっぱり別の世界を作るのにも、ベースがあって、所詮はレプリカになっちゃうんだけど、ベースがうまい具合に崩れていて、いい感じに世界が仕上がってるんですよね。
枯れた河や大きな樹の中に住んでいるおばば、竜の化石、根の国、不思議なものがいっぱい出てきます。
でも、それを一個一個説明しようと思ったらできそうなところがしっかり作られている証拠ですよね。
裏庭の世界はまさに人生をデフォルメしたような世界です。と僕はそう思いました。
人によって解釈が色々できそうな作品ですね。

2度目に読んだら、作品の全体像が見えてきて、また別の視点から見ることができそうです。
そういう点も、ジブリっぽいっすな。
あ、ジブリっぽいって誉め言葉ですよ。
ちなみにジブリで一番好きなのは「もののけ姫」です。
あれは10回くらい見たなぁ〜。見すぎてビデオが悪くなっちゃったもん(笑)


梨木 香歩 / 新潮社(2000/12)
Amazonランキング:5,945位
Amazonおすすめ度:
一語一語が直接心に響く物語
強さと脆さと優しさと
梨木さんのお話は大好きです。





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1. 裏庭  梨木香歩さん  [ ☆GREEN HEART☆ ]   2006年01月31日 18:47
高校生のときに読んで、最近再読。 梨木さんも、好きな人の一人。 裏庭とは・・ 亡くなってしまった弟。自分に関心がないと感じるお母さん。 ある日、そんな女の子が洋館の中で、異世界に入り込む。 憎しみや愛情、誤解や迷いなど、様々な感情が見え隠れしながら、少女は旅...
2. 「裏庭」梨木香歩  [ まんだの読書日記 ]   2006年02月11日 12:17
◆『裏庭』梨木香歩 /新潮文庫 ▽あらすじ すっかり荒れ果て、近所の子どもたちの遊び場となっていた英国風の古いお屋敷。 照美たち家族の関係がおかしくなったのは、その庭で双子の弟を亡くした時から。 ある日、屋敷に伝わる秘密を聞いた照美は、すっかり足が遠のいて...
3. 「裏庭」梨木香歩  [ りゅうちゃんミストラル ]   2010年07月02日 20:04
梨木香歩の「裏庭」をやっと読み終えた。実に8日間かかった。   裏庭価格:620円(税込、送料別)私はこうした作品が苦手。だがこの本に限っては「最後まで読む」ことができた。...

この記事へのコメント

1. Posted by ことは   2006年01月31日 18:46
ドラちゃんさんこんにちは(笑)
TBありがとうございました!

「裏庭の世界はまさに人生をデフォルメしたような世界」って表現、同感です。上手く表現できなかったけど、その言葉がこの本にはあってる気がします。少し置いてから再読すると、ホントに別の視点から楽しめました。のでゼヒ。
もののけ姫。。たたり神が怖かった。。
ではー
2. Posted by 周淳   2006年02月02日 01:22
>ことはさん
ドラちゃんって読んでくれてありがとうございます(笑)
なんか、妙に嬉しかったです。

少し置いてから、また裏庭の世界にひたろうかしら〜。
二度読んでも読める小説っていいですよね。
そういう本が良書なんだと思いますよ。

もののけ姫は、サンがアシタカに口移しで食べ物を与えるところに、妙にこぶしに力が入っちゃった覚えがあります(笑)
たたり神は存在理由がよく分からなかったんですが、今となると、何となくいいたいことが分かる気がします。
あとから意味がわかる、それもまた良作なんでしょうね。
3. Posted by まんだ   2006年02月11日 12:28
お久しぶりです。ご挨拶が遅れてしまいましたが、TBありがとうございました。
…はっ、いつの間にかお名前にもドラちゃんの文字が!
あらためてよろしくお願いしますね、ドラちゃんさん☆

私は少年少女のキラキラに惹かれてこの作品を読んだクチです。
そしてこてんぱんに打ちのめされました(笑)
理解できてないくせに理解できたフリというのは、よくわかるなぁ。
何度読んでも読み切れない、その都度違った顔を見せてくれる。
そんな可能性を感じさせてくれる作品ですね。
4. Posted by 周淳   2006年02月11日 19:20
>まんださん
お久しぶりです!コメントありがとうございます!
ここからドラちゃんになりました(笑)
よろしくです☆

なるほど、キラキラに惹かれたとはまた僕とは正反対ですね。確かに、キラキラとは縁遠い作品かもしれません。
でも何度読んでも味が出てくるなんて、素敵な作品ですよね。

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