姥ヶ岳から見た月山
山形県の中央部に横たわる月山(がっさん)に登りました。
出羽三山と呼ばれる、古くから東北地方の山岳信仰の中心となってきた霊山です。いかにも東北地方の山らしい広大な裾野を引く山であり、初夏の雪解けシーズには一面が花に覆われた楽園さながらの場所となります。
申し分ない晴天のもと、東北の山が持つ圧倒的なスケールに奮える山行きをしてきました。

2019年8月18日に旅す。


今回は出羽三山信仰の中心地である、山形県は月山へと繰り出して来ました。つっ、つきやま?

この山の伝えられてる開山は、西暦6世紀頃にまで遡ります。以来、奥州地方における山岳信仰の中心地として、多くの信徒を集めて来ました。
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今日においても、山頂にある月山神社へは多くの参拝者が訪れます。私の様な純粋なレジャー登山者は、若干のアウェー感を感じてしまうほどです。

豪雪の山である月山は、花の名峰でもあります。雪解けを迎える初夏のシーズンには、数多くの花々が咲き誇ります。
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残念ながら今回の訪問時期は、花のベストシーズンはもう過ぎてしまった後でありました。それでも、僅かながらにその名残を目にすることが出来ました。

ただひたすらその雄大過ぎるスケールに圧倒された、出羽の名峰の訪問記をお届けます。
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コース
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路線バスで乗り入れることの出来る八合目よりスタートし、月山へと登頂します。下山は反対側の月山リフト山頂駅へと下ります。

スタート地点へと戻る必要の無い、公共交通機関利用の特権をフルに活用した月山縦断ルートです。


1.月山登山 アプローチ編 夜行バスで行く山形への旅路

8月17日 21時40分 バスタ新宿
月山登山の玄関口となるのは、山形県の鶴岡市です。当日の朝発では到底間に合わない距離の場所であるため、夜行バスで現地へと向かいます。
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このポスター、何が言いたいのかサッパリ理解できません。視力検査員に成りすましたテロリストに注意しろという事でしょうか??
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鶴岡・酒田方面行きの夕日号へに乗車します。利用者の多い路線らしく、チケットの確保が結構ギリギリでした。
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本日は豪勢に三列シートにしてみました。隣に一切気を使う必要がないため、4列シートよりは断然寝心地が良好です。鶴岡までの運賃は7,800円也。
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明けて8月18日 5時25分 予定通りの時刻に鶴岡エスモールバスターミナルへ到着しました。
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エスモールとは一体何のことでしょう。小さな遊歩道?
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なおエスモールバスターミナルは、鶴岡駅からは徒歩5分ほどの場所にあります。
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この後に乗車予定の月山行きのバスはもともとエスモール発なので、駅へ移動せずにこの場で待ちます。


程なく6時発の始発バスがやって来ました。行き先表示板には羽黒山行きと表示されていますが、羽黒山を経由したのちに月山八合目まで直通運転してくれます。
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車窓から薄ぼんやりと、大きな山の姿が見えます。あれが月山でしょうか。わからんけれど。
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古くからの信仰の山であるだけあって、麓には宿坊街が広がります。これだけ数多くの宿坊が軒をつらねていることからも、月山信仰が現在においても盛んであることが窺えます。
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鶴岡からおよそ50分ほどで、羽黒山へと到着しました。この山は、山頂まで車で来れてしまうんですね。。
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標高414mほどの小さな山ですが、月山、湯殿山ともに出羽三山を構成する一座です。


羽黒山を出発すると、いよいよ月山八合目に向かって道はどんどん高度を上げて行きます。
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すれ違いが困難な径の細い山道が続きます。すっかり慣れっこな道なのか、運転手の女性ドライバーはなかなか運転が粗っぽく、右へ左へと振り回されます。
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8時10分 月山八合目に到着しました。
ここまでの運賃は2,060円です。当然ながら交通系ICカードには対応していません。あらかじめ60円を用意しておきましょう。
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この時間に駐車場はすでに満車でした。停めそこなうと、先ほどの細い山道をすごすごと引き返すことになるので、車でお越しの方は時間に余裕持ってお出かけください。
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眼下に広がるは庄内平野です。平野の先に鳥海山があるはずなのですが、霞んでいて見えませんでした。
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八合目の時点で、既に標高は1,400mあります。山頂までの標高差は500メート少々しかありませんが、ともかく大きな山なので、歩行距離的にはまだまだ結構歩くことになります。
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2.東北の山が持つ圧倒的なスケールに奮える

八合目レストハウスの前で身支度を整えて、8時20分に行動を開始します。スタート地点からしてすでに森林限界を超えているので、日焼け止めを塗るのをお忘れなく。
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外来種の種子を持ち込まないように、マットで足の裏の土をゴシゴシ落としてからスタートです。
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木道の整備された草原の中を進みます。
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もう少し早い時期であらば、周囲は一面のお花畑となるようですね。本当はもっと早くに訪れたかったのですけれど、今年は梅雨がやけに長かったこともあって、なかなか天候と休日が折りありませんでした。


右奥に見えているのが月山の山頂です。この途方もないスケール感が伝わるでしょうか。とにかくでっかい山です。
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もう八月も下旬になろうかと言うこの時期にあっても、草原には多くの池塘が残されていました。冬の積雪量がそれだけ多いという事です。
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八合目の付近一帯の湿原は阿弥陀原と呼ばれています。湿原を散策してまわることの出来る周回コースも整備されています。
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月山山頂までは2時間30分の行程となります。8合目スタートならあっという間かと思いきや、意外と時間はかかります。
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空の色を写した池塘が実に美しい。花の最盛期であらば、きっともっと美しい光景を目に出来るのでしょうね。
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それでも、僅かながらにその名残をとどめてはいました。これはタチギボウシかな。
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こちらは毎度お馴染みの、全方位にチクチクを仕掛ける暴れん坊な花アザミです。
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急坂はなく、どこまでも緩やかな道が続いています。
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少し高い所から振り返って見た阿弥陀原には、驚くほど多くの池塘が点在していました。
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前方に見えてきたこの小高いピークは、山頂では無くその手前の一ノ岳です。
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登山道には多数のコンンクリートの杭が打ち込んでありました。あまり見たことの無い登山道整備の仕方ですが、水はけも良くて歩きやすい道です。
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さあ、この東北の山の圧倒的スケール感に奮るが良い。月山はともかく広い。ひたすら広い。
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緩やかな坂をゆるゆると歩きます。やはり私はアルペン的な険しい岩峰よりも、こういう山の方が好みです。思わず鼻歌なんか歌っちゃいますよ。
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振り返ると、山腹にはまだまだ雪渓が残されていました。流石は豪雪の山です。
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一見すぐそこのように見えていた一ノ岳ですが、なかなか辿り付きません。視界を遮るものが何もないせいか、距離感が少々おかしくなっていたようで。
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月山を象徴する花のひとつであるニッコウキスゲが、かろうじて僅かにですが残ってくれていました。
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高山植物の大定番のひとつ、ハクサンイチゲ。
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これはシラネニンジンかな。もう散りかけですね。
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岩が散乱しており、ちょっとした庭園風です。
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さあ、この東北の山の圧倒的スケール感に奮るが良い。(2度目)
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一山超えたら、もうひと山現れました。二ノ岳です。三以降は無いのでご安心ください。
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9時40分 佛生池小屋に到着しました。
二ノ岳の下に立つ山小屋です。この場所が月山の9合目となります。
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この可愛らしい池が、佛生池(ぶっしょういけ)です。かつては月山山頂を目指す修験者が、ここで禊をしたそうです。
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水のある所にお花ありです。これまた高山植物の大定番であるハクサンフウロが群生していました。
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ススキの穂が育ちつつありました。東北の山では、もう秋の気配がすぐそこにまでやってきているのですね。そういえば、直射日光ギラギラな割に、先ほどからあまり暑くはありませんな。
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3.月山登山 登頂編 どこまでも雄大な信仰の山の頂

二ノ岳に向かって、ふたたびゆるゆると登って行きます。相変わらず急坂は一切ありません。
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登山道上に大きな石の姿が少し目立ってきました。なお、長らく活動はしておりませんが月山は火山です。
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振り返って見た佛生池の手前には、これまた大きな雪渓が残っていました。
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二ノ岳の先に現れたピークが今度こそ山頂かと思いきや、これもまだでした。こちらは大峰と呼ばれているピークです。
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足元に咲いてていたこの青い花は、リンドウの仲間かな。満開のピークはとっくに過ぎているとはいえ、割とまだまだ花が残っておりますな。
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やがて行者返しと呼ばれる登りが現れます。弥陀ヶ原コースでは唯一となる急坂です。まあ、長くは続かず一瞬ですが。
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急坂を登りきると、ふたたび広い空間に出ました。まったく月山と言うやつは、登っても登っても平原が広がります。この山は一体どれほど大きいのでしょうか。
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ここでようやく、本当の山頂がその姿を見せました。
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これまでは一切見えていなかった、南側の山並みも視界に入ります。これはまた良い稜線ですな。
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雪の重みですっかり歪んでしまっている木道が現れました。これは、濡れているときにはぜったに滑るやつだ。
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山頂直下までもがすべて草原です。夏の月山は、まさしく水と草原の山であると言えます。
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木道の脇には、ミヤマシャジンとハクサンイチゲのお花畑が広がります。見れば見るほど、花の最盛期に訪問したかったと言う思いが沸き上がって来ます。来て早々に、早くも再訪を検討してしまっております。
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山頂に立つ月山神社の姿が見えて来した。
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ちなみに、月山の最高地点は月山神社の私有地となっております。それはつまるところ、拝観料を払わなければ登頂は出来ないという事を意味しています。
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左手に広がるこのくぼ地は、かつての火口の跡なのでしょうか。
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10時55分 月山に登頂しました。
先ほど述べた通り、最高地点に立つには拝観料500円を支払う必要があります。また、この鳥居の先は写真撮影禁止となっておりますのでご注意ください。
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鳥居の手前から見た月山山頂の様子です。山頂部までもが広い草原となっていました。
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山頂には池塘もありました。カルデラのようなすり鉢地形をしているわけでもない山頂部に池があるのは、かなり珍しいのではないでしょうか。
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少し引いた位置から見た月山神社です。私有地である以上は郷に従うしかありませんが、山頂で記念撮影したい人からすると、少々ガッカリかもしれません。
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山頂から少し離れた広くなっている場所で弁当を広げました。
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4.月山登山 下山編 どこからから見ても雄大なる月山の姿に奮える

11時25分 山頂を辞去し下山を開始します。登ってきたのとは反対方向の月山リフト山頂駅を目指して下って行きます。
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弥陀ヶ原コースと比べると、こちら側からの登りはやや急峻です。登ってくる人々も、みな辛そうな表情を浮かべていました。
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前方に姥ヶ岳へと続く稜線が連なります。さあ、この東北の山の圧倒的スケール感に奮るが良い。(3度目)
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右手には庄内平野。鳥海山は相変わらず見えません。残念。
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左手の眼下彼方に見えているのは月山湖です。発電を目的に作られた人工のダム湖です。
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急坂を下りきると、しばしの間水平移動となります。
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この付近にも、ニッコウキスゲが僅かに残ってくれていました。
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月山と言うと、一面の草原とニッコウキスゲのイメージがありますが、あの光景は姥ヶ岳子方面から見た際の姿です。
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12時5分 牛首と呼ばれる分岐地点まで下って来ました。
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月山リフトまで最短で下りたい場合はここを左ですが、今回は直進して姥ヶ岳に立ち寄って行きます。姥ヶ岳から月山そのもの姿を眺めるためであることは言うまでもありません。


実気持ちの良い稜線の道が続いています。ですが残念な事に、この石畳は何気にデコボコで少々歩きにくいです。ちゃんと足元を見ていないと、つま先をひっかけて確実にコケます。
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振り返って仰ぎ見る月山の雄姿に奮えます。
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左手に月山リフトの山頂駅が見えました。あそこまで下ればゴールです。
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姥ヶ岳手前で一度大きく下り、その後登り返します。
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という事で、本日最後の登り返しです。
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振り返って仰ぎ見た月山神社。やはりこちら側から登るのは少々しんどそうです。
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姥ヶ岳の山頂手前まで登って来ました。もう間もなくこの稜線歩きが終わってしまうのかと思うと、少々残念な気持ちになってきます。まったくこの月山と言うやつは、いつまでも歩いていたいと思わせてくれる山です。
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12時40分 姥ヶ岳に到着しました。標準コースタイムよりもかなり早いペースでの到着です。もともとコースタイム設定が甘めなのでしょうか。
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山頂の様子
広々とした草原状の山頂です。木道植生保護のための木道が張り巡らされています。
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そしてこちらが、姥ヶ岳から眺めた月山の姿です。見た目通りの、どこまでも穏やかなる山でありました。
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さあ、帰りましょう。月山リフト山頂駅は、姥ヶ岳のすぐ下にあります。
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姥ヶ岳の山腹には、大規模なニッコウキスゲの群生地があります。盛りは過ぎていても、まだまだ多く咲いていました。
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この姥ヶ岳一帯は、登山者だけではなく観光客も多く歩くエリアとあって、木道が整備されていました。
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13時15分 月山リフト山頂駅へ降りて来ました。
登山開始から4時間55分の山行きでありました。5時間に満たない山行きだったとは思えないほど、濃密な時間を過ごすことが出来ました。
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リフトを使って楽々下山します。運賃は片道580円だったかな。リフトもを使わなくても、大体1時間ほどで下れるようです。
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相当古いリフトなのか、スピードがとてもゆっくりです。下まで15分くらいかかります。バスの時間ギリギリに降りてきた人は、相当やきもきしそうです。
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月山の美味しい水でのどを潤します。冷たくておいしい。
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月山リフト山麓駅より、バス停のある姥沢まで舗装道路を歩いて下ります。おおよそ10分ほどの道のりです。
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14時 姥沢バス停まで下って来ました。こちらの西川町の町営バスは本数が非常に少ないので、時間は事前によく確認しておいてください。
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姥沢にある駐車場は満車です。やはりこの山は、マイカーで登りに来るのが一般的であるようですな。
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時刻表通りにバスが現れました。バスと言うよりはバンですね。
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残念ながら、このバスは駅までは直通していません。終点の西川インターより、鶴岡-山形間の高速バスに乗り換えです。
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こちらの高速バスは路線バス扱いで、予約は必要ありません。高速を走るため原則全員着座で、満席の場合は乗車できないようです。
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補助席にギリギリ乗れましたが、乗りそこなったら次を待つか山形駅からタクシーを呼ぶしかありません。タクシーだとおよそ1万円かかるそうです。おそろしや。


山形駅より新幹線に乗り込み、帰宅の途につきました。
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前々よりずっと訪問したいと願っていた月山に、ようやく訪問することが叶いました。ベストシーズンからは少し外れてしまいましたが、それでも月山らしさを十分に満喫することが出来ました。月山と言う山は、そのすべてが雄大です。この山が持つスケール感は、実際に現地で目にしてみないことには、なかなか伝わらなのではないでしょうか。
公共交通機関を使ったアクセスは決して良好とは言えませんが、その手間に見合うだけの価値のある文句なしの名峰だと思います。


<コースタイム>
月山八合目(8:20)-佛生池小屋(9:40)-月山(10:55~11:25)-牛首(12:05)-姥ヶ岳(12:40~12:45)-月山リフト山頂駅(13:15)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。