2008年05月

2008年05月20日 23:05

 本当は、こんなに長く書く積りではなかったこのエントリーですが、本当に大切な問題なので、まだまだ続きそうです。これを書いている内にも『パンデミックフルー』とか、いろいろと書きたい話題がどんどん出てきております。しかし、まずは先に進みたいと思います。

 

 さて、アメリカはさも「日本を守ってやっている」と言う態度で臨んでおり、その“負担”を当然の如く押し付けて来ますが、実際は全く、そんな事は無い事は、言い方は悪いですが、「小学生にでも解る」事です。

 

『日米安全保障条約によって日本はアメリカによって安全を保証されている。これは事実である。だがアメリカが日本の安全を守るのは、日本のためというわけではなく、アメリカが占領している地域の安定を確保するためである。

「日本を守るためではなく、アメリカの占領地域を守るため」

 アメリカの議会の証言を見ると、こういった言葉も出たことが分かるが、「アメリカがタダで日本を守っている」というのは間違っていることが、ここではっきりしている。アメリカは自らの占領地域を自らの手で守っているのである。

 日米安保条約を詳しく見れば明らかであるが、条約は日本がアメリカ軍の駐留を認めることを明記しているものの、どのような形でアメリカ軍が日本の安全を守るかは一切決められていない。このこと一つ取り上げてみても、日米安保条約はアメリカが占領を続けるためのもので、他のことは二義的であるのが明らかである。

 二つ目の変革はクリントン政権下で行われ、有事の際にアメリカが日本の国土を自由に使ってもよいと決めた。日米安保条約の基本的な取り決めは基地提供に限られていたが、それを道路や港、空港などの利用にも押し広げ、占領軍としての行動を一挙に拡大したのである。もちろん、この話し合いの過程でアメリカは、日本が海外から攻められた場合に拘束されずに軍事行動を行うためであると発表した。』(前掲書)

 

“日本が海外から攻められた場合に拘束されずに軍事行動を行う”とはどう言う意味でしょうか? 日本は、自国内での外国(アメリカ)の軍事行動を“自由に”行う事を認めたと言う事です。それは、「アメリカが日本の領土を自由に使う」と言う事です。しかし、同盟関係にある独立国同士の取り決めであるとは到底思えません。うがった見方をすれば、アメリカが第三国に対して“戦闘行動”をとり、そのために、日本のアメリカ基地が攻撃された場合、アメリカは日本の国土を自由に(自国の様に)使用する事が出来るという事です。それは、非戦闘員である一般市民の住む地域への攻撃をも意味し、明らかに「国際法違反行為」を招く可能性の大きい取り決めです。日本政府はそれに対して“YES”と回答しているのです。

 

『今のところ日本国民の大多数は日米安保条約が日本を守るためのものだと信じている。日本人は国際紛争で血をながさなくてよいという特別な地位を与えられたとして、日米安保条約を尊重している。

 だが現実には、日米安保条約は第二次大戦によって敗れた日本の占領状態を、講和成立後の独立した状況のもとで固定させる条約だった。このため日本がアメリカに従属するという関係が半世紀以上に渡って継続する事になった。

日米安保条約によってアメリカ軍の兵士やその家族は日本に自由に出入りできるだけでなく、さまざまな特権を手にしている。安保条約に付随した「思いやり予算」によって、日本人よりも快適な住宅を与えられているのである。』(前掲書)

 

まさに“同床異夢”状態ですね。アメリカは最初から、日本という同盟国を護るためではなく“自国の占領地を守る”という自らの“国益”のために自国の戦略を実行してきただけ、と言うことです。これが、国際社会の現実です。それをアメリカは、あたかも日本と言う同盟独立国家を守るような表現を取り続け、日本は日本で、それにのっかかって来た(と言うか、日本の場合は選択権自体が無かった)。そして、実際はアメリカ自身が負担すべき自国の占領地の“安全保障費”を日本に払わせ、日本はと言えば、さらに「思いやり予算」まで付けて巨額のお金を貢ぎ続けて来たというのが本当のところです。その額は、1978年62億円、1979年280億円、1980年374億円、1985年807億円、1990年1680億円、1995年2714億円、2000年2567億円、2001年2573億円、2002年2500億円、2003年2460億円、2004年2441億円、2005年2378億円、2006年2326億円、2007年2173億円、2008年2083億円(予算)と言う流れで、1985年の62億円から、ドンドン上昇し、1995年からは毎年2000億円以上を貢いでいます。なんと日本では『失われた10年』と言われている“不況期”である、1991〜92年頃から、2002〜2003年の間でさえ、その予算はむしろ増加傾向と言えます。しかもこれは正規の予算ではなく、別に渡さなくても良い「思いやり」の予算です。さらに、1990年8月の“湾岸戦争”では、総計135億ドルを拠出しました。当時、なぜここだけドル建てなんだ? などと非常に疑問に思いましたが、要するに、これだけで1兆5000億円程度が日本から出て行った訳です。そしてそのお金は、当時、“多国籍軍”と呼ばれたアメリカ軍を中心とする懐に入ったことでしょう。この辺りの事について、「湾岸戦争と日本の拠出金」(http://www.geocities.com/ceasefire_anet/misc/tax_1.htm)を参照してみてください。それにしても、この頃に、アメリカの『在日米軍の駐留費を全額、日本が負担しない場合、米軍は日本からは段階的に撤退することを要求する』と言う、アメリカ議会の恫喝に日本がうろたえていたのには可笑しささえ感じてしまいます。今、アメリカは段階的に日本から撤退していますが、日本はアメリカへの貢物(金)を減らすのでしょうか? 上の本来拠出する必要の無い「思いやり予算」の推移を見ても明らかだと思います。日本国は今や既に、日本の国家財政は破綻していると言うのに、相変わらず“朝貢外交”を展開しています。それも調べれば解りますが、お金を貢ぎ続けている国はアメリカだけではありません。反日国である「中国」にも貢いでいますし、色々な形で多くの国に貢いでいます。こういう事が平気で行われ続けているのは、貢のは国民の税金ですが、貢いだ国から、貢いだ個人・団体に“キックバック”や“接待”があるからです。自分の腹を痛めずに莫大な国民の資産を貢ぎ、その見返りを頂く。そういう情けない国民の代表を製造し続けた。しかしそれも行き着く所は“日本国民”が“選挙”で選んで来たわけです。こう言うと、「オレは選挙なんか行ってないぞ」とか言う人も居るかも知れませんが、それはもう立派な“共犯者”です。あなたが今の腐敗政治・腐敗官僚制を許して来たのです。もちろん、幾ら投票率が低くても、“国家権力の執行者”は選ばれる訳です。むしろ、投票率が低ければ低いほど、既存の権力者たちには都合が良い。そういう人たちを支える人達は、選挙に行きますし、もう『票数が読める』位、確実な票です。そういう一部の人達の思うがままの政策が実行出来ますから、むしろ「天気が悪くて投票率が下がって欲しい」なんて思っているでしょうね。先ほど“政策”という言葉をあえて使いましたが、本当は“政策”なんて呼べる“代物”ではないでしょうね。より正確に言えば『利権システム』でしょうね。

しかし、いつまでもこんな事が続けられる訳はありません。国家といえども“破綻”します。そしてわたしたち国民が胆に銘じておかねばならないことは、『その時、ケツを拭かされるのは自分達』だと言うことです。しかもここまで日本人が信じ切っている日米安保条約はその程度のものだと言うことです。アメリカは今、日本を、守るべき同盟国という見方はしていません。彼らにとっては日本は「守るべき占領地」というだけです。

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