2008年06月23日

トリプルホルンを断念した理由

以前お約束した通り、今回はトリプルホルンを使うことを断念した理由を書こうかな。
もし、これからトリプルホルンの購入を検討されておられる方は参考にしてください。
あと、これはあくまでも僕のケースなので、「トリプルを使うと必ずこうなる・・。」という事ではありません。
その辺りは十分ご理解の上お読み下さい。
一般論でもなければトリプルホルンの常識でもありません。



今年の2月にパックスマンのフルトリプルホルンを購入した。
M75というモデル。
購入に当たっては数日に渡って数回の試奏を行い、熟慮に熟慮を重ねて購入したつもりだった。
インプレはこのブログにも書いたが、(2月17日の記事をご参照下さい)パックスマン製の新型トリプルモデルはロータリーの材質がチタン製で随分重量が軽く感じたことと、吹奏感も一般に言われているような所謂「キツさ」をさほど感じなかった。
購入後は試奏時の印象通りで、マウスピースの選定に手間取った事以外はとても満足していて、やっと一生モノの楽器に出会えたと本気で思ったものだった。

ところが3月の後半から父の看病、葬儀などで殆ど楽器を触ることもままならない日が続き、5月は帰省で会社を休んだ分の挽回のため仕事が忙しく、これまた楽器を吹ける日が激減、さらに6月に入って体調を崩しコンスタントに楽器を吹くことが出来ない日が続いた。
それでもオケやアンサンブルの練習は極力参加したがその中で重大な問題が発生し始めた。
結論から言うと「バテ」が早くなってきたのである。
30分と吹き続けることが出来ない。
僕の場合、1番パートを担当することが多いが曲の途中でスタミナ切れを起こしてしまうのである。
まあ、ここまではフルダブルや、セミダブル、はたまたデスカントを使っていた頃も全くなかった事ではないが、一週間も吹き続ければ調子が戻っていた。
しかし、今回は吹いても吹いても調子が戻らず長時間吹き続ける事が出来ないのだ。
たまたま十分に練習する時間が取れて、体調も万全な時だけに扱えるという状態。
トリプルとはいえ、ハイF管を多用するような使い方はしていないので、ハイF管の使用が原因で調子を崩したとは考えにくい。
(その証拠にデスカント・ダブルを使っていた頃はこういう状況に陥った事はなかった。)
短時間なら普通に(むしろ快適に)吹けるわけだしね。
僕の場合、オケとブラスアンサンブルで一日最長約8時間ほど吹き続けなければならない場合があるので、今回の状況は深刻だった。


ところがMベルのフルダブルに戻したところ、調子は全く元に戻った。
むしろ耐久力は以前より長くなった。
そこで、これを踏まえて自分なりに心当たりのある不調の直接原因を考えてみた。

1.使い慣れないVカップのマウスピースがスタミナの消費を早めている。
  
2・楽器が重いために演奏時の姿勢が悪くなっており、呼吸法に無理が生じている。
(確かに長時間ベルを上げて吹くことができず、姿勢が徐々に前屈みになってきている。)

3.Lベルの使い方に慣れていないので無理な吹き方をしている。(今までにLベルの楽器を使った経験はヤマハのYHR-851のみ。)

4.トリプルとしては十分吹きやすい楽器だが、ダブルと比べるとやはりかなり抵抗がある。要は自分の体力に合っていないのではないか。
  
  
5.長時間の演奏による楽器の重さや圧迫感の蓄積が知らず知らずのうちにストレスになっていて気分的にのびのび演奏できない。軽快に演奏が出来ない。
  
こんな所ではないかと思う。
上の5つの事柄は想像ではなくて、いづれも多かれ少なかれ僕自身が体感していたものだ。

で、結論から言うとトリプルホルンを扱うには重い楽器を長時間支える十分な体力と、それを吹き続けるスタミナを維持するコンスタントなトレーニングが必要なのではないかということ。
仕事で一週間楽器に触れないとか、週末しか楽器を吹けないとかというレベルの向き合い方ではこの楽器を吹きこなすことは出来ないということだ。

我々アマチュアは気力体力を常にベストに持っていくことは難しい。
いや、むしろ状況が悪いときの方が多いはずだ。
そういう環境でこの楽器を使って自分の納得の行く演奏をすることは困難だと判断したのが今回この楽器を手放した本当の理由だ。
仮に、体力を付けるトレーニング(筋トレとか水泳とか)の時間を確保出来たとしても、そうすると今度は楽器に触れる時間がなくなる。
そのような時間を実生活で取り込むのは即ちこの楽器を演奏することを職業としている人たちでないと不可能なのではないかと僕は思うし、そもそも本末転倒のような気がする。

楽器自体は素晴らしい楽器だったのでそれを扱いきれなかったことはとても残念。
でも、何事にも限界はあるということが解ったし、それでも自分のコンディションが万全な状態ではとても便利な楽器で、良い音を出してくれた。
楽器と自分の相性というのは本当に難しい。
「単に音色が好きだから」とか「吹いてみたかったモデルだから」とかだけでは上手く行かないものなのだ。


t_corno at 18:26コメント(8)トラックバック(1) 
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1. ingni アンサンブル  [ ingni新作 ingni激安 ]   2008年06月23日 23:06
オークションで掲載されていたingniアンサンブルのコメントです。どうゆう商品か?少しでも参考になれば幸いです。新品タグ付きINGNIラインストーンキラキラマリンボーダーアンサンブルです。サイズはM、綿45%、レーヨン35%、ポリウレタン20%です。お色は紺です。インナー...

コメント一覧

1. Posted by rtmsgk   2008年06月23日 19:04
5項目、全部ありでしょうね。
僕がパックスマンのトリプルが、常用のシュミットとり難しい、吹きこなせないと感じるのはすべてこの理由です。

特に1、2、5。

ベルについてはパックスマンのLベルは他のメーカーのLベルに比べると小ぶりなような気もするので、それほど違和感はありません。


2. Posted by しみつ99   2008年06月23日 19:38
alexだけど(?)わたしも5つの項目に同感。

吹きこなすために(それなりに)、一年間それようの練習方法と「毎日」を実践してきたから、逆にトリプル専用の吹き方になっているとは思いますが(笑)

わたしはhigh-F管を積極的に使うし、F管も使うので、デスカント・フルダブルからトリプルに移行した口なので、まんべんなく全ての音域と管に息を通す、をほぼ毎日やってました。
こういってはナンですがトリプルに「期待」してなかった、というのも大きいです(笑)

数ある管楽器設計の中でもっとも複雑・不自然な上(alex310はましな方)、重すぎる!では良い音と奏法を維持できないと思ってましたし、耐久力をつけること、そして楽器のキャパに惑わされないようにすることが大事だと思っています。

たぶんだけど職業音楽家も敬遠するんじゃないかな、トリプルは(笑)
3. Posted by 趣味人   2008年06月23日 20:29
冷静な分析に脱帽です。
M75を所有するものとして、体力と楽器をかまえる姿勢と毎日の練習は課題ですね。
ボクも毎日早朝ジョギングと少々遅くなっても可能な限り、音を出すことを心がけてなんとか今を過ごしています。
また、トリプルに変えてからレッスンを受けてアドバイス受けたことですが、ベルの中の右手の入れ方を変えました。
まぁ試練の毎日ですが、近い将来今の楽器を手放す日がくるのでしょう。。。。。。
4. Posted by t-corno   2008年06月24日 21:24
rtmsgkさん

やはりそうなんですねー?
楽器を手にした時の満足感が大きい楽器なので、とても残念なのですがやはり使いこなせない楽器を持つべきではないのでしょうね。
自分の為にもならないし、良い楽器にも申し訳ないので。(笑)
確かにパックスマンのLベルはコーンなどと比べると細めですよね。もっと太いベルのモデルもありますし。
ただ、やっぱり長時間吹いていると音が開いてきてピッチが下がり気味になりますね。
5. Posted by t-corno   2008年06月24日 21:31
しみつ99さん、いつも読んで下さってありがとうございます。
トリプルホルンと言えばしみつ99さんで、一昨年ヤマハのトリプルを購入した際も色々とアドバイスを頂きましたね。

>こういってはナンですがトリプルに「期待」してなかった、というのも大きいです(笑)
これは意外な発言でした(笑)
ここまで複雑な構造だと高性能で当然という先入観がありましたが、逆にいろいろと割り切って使い続けなければならないということですかね。
でもアレキサンダーのトリプルはパックスマンよりももっとヘビーではないですか?
毎日しっかりとトレーニングをして使いこなしておられるしみつ99さんを僕はやはり尊敬いたします。



6. Posted by t-corno   2008年06月24日 21:37
趣味人さん、日曜日はお疲れ様!
アンサンブル楽しかったね!

せっかく「トリプル兄弟」だったのに早々と脱落してしまってごめんなさい!
でも依然「パックス兄弟」だから(笑)

まあ、今回は不甲斐ない結果に終わって何とも恥ずかしい限りなんだけど楽器の重さが心理的に及ぼす影響もちょっとわかったよ。
今、クノプフを吹いてるけど体がリラックスしてるし、精神的にも楽。
演奏に余裕が出来た感じ。
これは結構大事だね。
趣味人さんも体鍛えてるんだねえ。凄いなあ。

ところでその、右手の入れ方とは?

7. Posted by たぬぞう   2008年06月25日 01:23
うーん。最近トリプル使い始めた身としては「もっと早く言ってくれれば〜」という気分ですが。
重いし抵抗もあるのは本当にそうですよね。確かに長時間持たなくなった気がします(コンスタントにさらえてないのもありますけど)。
姿勢にしても、重さはもともとの構えが膝にベルを置く形なのでそれほど影響はないものの、310は103に比べるとマウスパイプが短いので、どうしても前かがみになってしまいます。多少なりとも影響はあるんでしょうかね?

それよりも、個人的にはF管が使いにくいのが難点。F管をかなり使っていたクチなのでこれがつらい。切り替えしにくいんですよねー。構造的に仕方ないんでしょうが・・・

私も趣味人さんと同じく離れる運命なのでしょうか・・・(まだ使うけど)。
8. Posted by t_corno   2008年06月25日 20:03
たぬぞうくんへ

>うーん。最近トリプル使い始めた身としては「もっと早く言ってくれれば〜」という気分ですが。

ああ、そうねえ。(笑)
でも、それでもギリギリまで何とか使おうと思っていたし、断念したのはつい、この間だからねえ。

で、実際に使ってみないと解らない部分も多いと思うよ。
ひょっとしたらコツをつかんで使えるようになりかもしれないし。
あと、前屈みになると少なからず演奏に影響が出るよ。息がまっすぐでない。
今の内に矯正した方がいいな。

あと、ベルを膝に乗せたままだとアンサンブルのリーダーになったときにザッツが出せない。
僕はこれもとても困った。

まあ、使っている内にいろいろと不具合に気が付くので、それをどうやって解決するかだね。


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