藍住町の家

2006年03月13日

不即不離の二世帯住宅

久し振りにホームページに竣工物件をUPした。
ここ二回ほどブログにも書いた「藍住町の家」である。
全く別棟の二世帯住宅は、私にとって初の取り組みだった。

南より見る.手前が増築した棟で奥に見えるのが改修した棟東より増築棟を見る






一つ屋根の下なら、それぞれのプライバシーを守りつつ、
コミニュケーションの取れる仕掛けを創り出すのだが、
今回はそれが通用しない。

親子といえども互いの個を尊重し合うご家族なので、
室内でのつながりが全くないプランである。
そこで二つの棟の間に広めのポーチと長めのアプローチを取り、
それを親子のコミュニケーションの場に当てた。
ポーチは引き戸を閉めれば8帖の半屋外部屋になり、
開ければ南の庭から西の車庫へと通り抜けできる土間空間である。
昔の家ならどこにでもある軒下の土間空間が、
付かず離れずの微妙な雰囲気を創り出すのに一役買ってくれた。

「不即不離の二世帯住宅」
この住まいにはこんなネーミングがふさわしいのかも知れない。

(S.Tomita)


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2006年03月08日

らせん階段のリフォーム

昨日紹介した「藍住町の家」のらせん階段の話。

工事前のらせん階段階段ホールを南より見る階段ホール階段を見下ろす









撤去するには忍びないということになり、
外部のらせん階段を部屋うちに取り込んでのプランになった。
いざ、工事にかかると最上段の蹴上げ寸法が
ほかより3センチも高いのだ。
子供たちが使うピアノレッスン室への階段なので、
ことさら危険である。
柱の足元を切断し根継ぎして全体を持ち上げてもらった。
足元が腐りやすい木造の柱の根継ぎはよく見かけるが、
まさか鉄骨でやるとは思わなかった。
出来ばえは後から見ても全く解らないほどうまく納めてくれた。

室内は奥さんの選んだ赤い絨毯が新鮮で、
レッスンに通う子供たちに好評のようだ。
休む子がいなくなったと言っておられた。

(S.Tomita)

taa2003 at 23:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年03月07日

兼用のポーチと下屋空間

カメラマンのKさんから先ずは取り合えずということで、
「藍住町の家」の竣工写真が宅ふぁいる便でどさっと送られてきた。
大容量の画像がメールで届く。便利になったもんだ。

この家は既存の鉄骨の建物を改修して両親の住まいとし、
その南手に木造の建物を増築して
若い世帯の住まいとした二世帯住宅である。

藍住町の家1藍住町の家2藍住町の家3






まったくの別棟になっているので内部での交流はないのだが、
玄関へのアプローチやポーチを兼用することで接点を持たせている。
左の写真が両世帯兼用のポーチで、
青が息子さん夫婦、赤がご両親の玄関入口で
向き合わせの形で配置している。
このポーチは庭いじりのあとの休息や
近所の人との井戸端会議の場所にもなるように、
8帖の広さを確保し、土間の部屋的な雰囲気を持たせている。
ここのご家族はご主人も息子さんも喫煙族なので、
もうすでに喫煙所として使われていて、
男同士の出会いの場になっているそうだ。(笑)

右の写真はこのポーチの南に続く長いアプローチの下屋空間。
広い下屋は最近めっきり少なくなったが、
ちょっとした休息場所になったり、
雨の日の子供の遊び場や外での作業場になる便利なものだ。
久し振りに設計に取り込むことができた。

(S.Tomita)

taa2003 at 23:41|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2005年12月23日

想定外!

設計という仕事は外から見るほどカッコイイものではない。
ただただ時間に拘束され、時給に換算すると、
学生のパート代と何ら変わらないのが現実なのだ。
それでも続けられるのは、完成時のあの快感だろうか。
それは一度味わったら止められない麻薬のようなものかも知れない。
日々の仕事は完成後の日常のドラマをイメージし、
その仕掛けを創り出して行く作業でもある。

先日竣工したピアノ教室のロフトに設けたドラム置場が、
意外な効果を生んでいた。
ちょうど通りから窓越しにそのドラム置場がはっきりと見えるのである。
通り−窓−ドラム置場がたまたま一直線上に並んでいたのだ。

ロフトのドラム置場ロフトのドラム置場ロフトのドラム置場








クライアントからお褒めの言葉をいただいたのだが、
ごめんなさい。これは女神が微笑んでくれただけ。
「想定外」なのだ。

(S.Tomita)

taa2003 at 18:35|PermalinkComments(0)

2005年12月07日

箱火鉢

先日、入居されたお宅に懐かしい箱火鉢が据わっていた。
桜の無垢材で作られたりっぱなものだ。
ご主人は五十半ばで私とよく似た年頃だから、
火鉢への郷愁はよく理解できる。

箱火鉢箱火鉢








私も十年ほど前に、家内の実家から火鉢を譲り受けてきて、
毎冬、茶の間に出しては暖を取っているが、
ただそこにあるだけで、
時間がゆったりと流れるように感じられるから不思議だ。

小さい頃はよく火鉢の上にまたがって着替えをして叱られたが、
隙間だらけの部屋でこれだけで過ごしていたのだから、
寒さには強かったはず。
手足の指は霜焼けでいつも真っ赤になっていたが、
でもそれは遠い昔のこと。

いま家造りで入れたい設備機器のナンバーワンが床暖房らしい。
機能的で便利なものは入れすぎると
感性を鈍らせたり、老化を早めたり、怠惰になるから恐い。
どこまで入れるかが悩むところだ。

(S.Tomita)

taa2003 at 23:55|PermalinkComments(0)

2005年11月26日

現場の回想

今日は夕方から竣工検査だった。
この建物は増改築の二世帯住宅だったので8ヵ月の工期をいただき、
一期工事で若い世帯の住む増築部分を完成させ、
二期工事はご両親の居住空間になる既存部分の改修を行った。

人がやること、現場は注意して施工したつもりでも間違うことがある。
たった一つのミスで想像も付かないようなことを引き起こすことがあるから恐しい。
それがこの現場で起こってしまった。

若い世帯が入居した次の日の朝、電話で起こされた。
2階からの漏水で1階の床が水浸しになっているとのこと。
至急飛んでいったが、原因は折れ曲がり部分の水道管のジョイント部が
仮止めの状態のままで接着されていなかったので外れてしまったのだ。
水圧試験の時に持ちこたえたのが、逆に最悪の事態を引き起こしてしまった。
工務店は迅速に精一杯の対応をしてくれたが、謝って許される問題ではない。
それなのに、クライアントから工務店に返ってきた言葉は
「信頼していますから」というニュアンスの内容だった。
日々の仕事振りを評価してくれていたのだと思うが、
何よりも人間のふところの大きさにただただ頭が下がった。

今日検査の後、工務店の社長と現場監督、うちのスタッフと食事をしながら、
この時のことを思い出しみんなで語り合った。

設計期間も含めると、クライアントとは
本当に長いお付き合いになったわけだが、
いいご家族に恵まれたことを心から感謝している。


(S.Tomita)

taa2003 at 23:55|PermalinkComments(0)