2009年02月21日

"「R25」のつくりかた" のつくりかた

R25の創刊前のエピソードが一杯つまった"「R25」のつくりかた" という本が出版された。

この本は、僕にとっては、昔付き合っていた彼女の日記のような存在である。いま読んでると、当時のことが思い出されて、甘酸っぱい気持ちになるw。

著者は創刊前から、今に至るまで、R25を一貫してリードされて来られた藤井大輔さんだ。

「R25」のつくりかた (日経プレミアシリーズ)「R25」のつくりかた (日経プレミアシリーズ)
著者:藤井 大輔
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2009-02
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R25は、私と小林大輔さん(R25の後は、ビジネススクールに留学され、今は戦略コンサルM社にお勤め)が中心になって書いたビジネスプランが、リクルートの新規事業コンテストで準グランプリになり、プロジェクトが立ち上がって創刊された。

しかし、プロジェクトの立ち上げ当初、致命的な問題があった。私も小林さんも、パワーポイントなら、幾らでも企画書は書けるが、実際にナマの読者が読む紙媒体の編集経験という意味では「経験ゼロ」のド素人だったのだ。そんな「机上の空論」的なプランに、魂を吹き込む役割を果たしてくれたのが、藤井さんだ。

今でも、2003年のお盆明けの金曜日の夕方、R25創刊プロジェクト(当時はペーパーポータルプロジェクトと呼ばれていた)の実質的なオーナーであったN専務と、会議室で交わした会話はよく覚えている。

N専務は、私と小林さんにこう聞いた。
「オマエラ2人だけじゃあ、どうにもならんやろ。編集には誰がいいのか、まあ言ってみぃ。」

僕らは、こう答えた。
「リクルートの社内だと、僕らのイメージする媒体を実現してくれそうな編集者は"都心に住む"を担当されている藤井大輔さん、しか居ませんねぇ・・・」

「おう、わかった。」N専務は社内の内線電話に手を伸ばし、住宅情報カンパニーに電話をかけると、こう言った。
「藤井大輔は、9月からペーパーポータルと現在業務の兼務。10月からはペーパーポータプロジェクトに専任にする、以上」

ガチャンと、電話を置いて、N専務は、人懐っこい笑顔で、我々2人にこう言った。
「これで、ええな。」

これが、出会いのはじまりだった。(今も、私は「新規事業に誰をアサインするか?」問題にあたると、この場面を思い出す。あのように自分はできるだろうか、と)

当時、藤井さんとは全く面識はなかったのだ。だが、私は「都心に住む」はよく読んでいた。
今でもそうだが、リクルートのほとんど媒体にとって、編集ページは、良くも悪くも、読者をアクションさせて、広告効果を出すための「必要悪」的な存在だ。

例えば転職情報誌のB-ingなら「人事が面接でよく聞く10の質問」とか、マンション情報なら「買った後に後悔しない間取り選びのキホン!」とか、そういう感じの記事ばかりである。ハッキリ言って半年もすれば、ほとんど同じような編集記事が、コピーされて掲載されても、誰も気づかないんじゃないか?というようなものが多い。

しかし、当時の「都心に住む」には、他のリクルートの媒体には決してない、編集的な「遊び心」「余裕」が溢れていて、はっきりと違う「手触り」があった。

R25のプロジェクトに藤井さんは、半ば上に書いたように「拉致」状態で加わってもらうことになった。(ここらへんの藤井さんの戸惑いぶりは、本の中にも正直に書かれている。)創刊後も、藤井さんは読者の側を向いた編集面、私は広告クライアントを向いた広告営業面を担当していたので、よくぶつかることがあった。

そんな中で、ブレイクスルーになったのが、この本の中にも出てくるが、創刊当時の11月末にOPENした羽田第2ターミナルの特集だった。

編集記事での特集4ページと、記事風の広告4ページの連続した8P全てを、羽田第2ターミナルの露出に使いたい、という航空会社A社や広告代理店側の要望があった。広告営業的な要請では、編集記事での特集4ページを、東京ウォーカーみたいなタウン誌風にして、羽田の第二ターミナルの飲食店などを紹介し、M1層に最新デートスポットとして告知したい・・・そんな要望だったと思う。

そういう広告主側の要望を私から伝えられ、藤井さんはこう言った。
「そんな"上から目線"で、アナタの知らない最新デートスポットを教えてあげましょう的なノリに、今のM1層はウンザリしてるのオマエも知ってるだろ。そんなダサい特集はできない。」

「でも、編集記事での特集4ページから記事広告4ページまで続けて、8ページでA社さんのために、告知しますってコミットしたことになってるんですよ。広告主あってのフリーマガジンじゃないですか。」それでは、困ると私も応酬する。

1時間ほど、平行線の議論が続いた。

その後、藤井さんが、最終的に出した結論はこうだ。

「たまには2泊3日のプチ旅行でもいかが?」という特集タイトルで、日頃の仕事のストレスから解放される「オトコの癒し旅行」を提案するのが編集記事4ページ部分のコンセプト。これなら、東京ウォーカー的なモノにウンザリしているM1サラリーマンにも抵抗感なく、受け入れてもらえる。実際に紹介する旅行先は、八丈島・稚内・能登の3箇所。

八丈島・稚内・能登の3箇所が選ばれた理由は、お分かりだろうか。
実は、この三箇所には、当時、国内線の飛行機は、A社しか飛んでいないのだった。

だから、純粋に編集記事として、この3箇所を旅先として魅力的に紹介することが、結果的にA社の売上UPにも、羽田第2ターミナルの利用促進にもなるという、頭に電球がピカっと点灯したようなグッドアイデアだった。そもそも論、デートで空港に来てもらうだけ、よりも、実際に飛行機に乗って旅行してくれたほうが、広告主の視点から見てもイイに決まってるじゃないか!。

「これなら、お客さんにも説明できるしょ」と、藤井さんに言われ、「ふぅ助かった」と思いながら、「有難うございます!”」と答える私がいた。

ana

これが、思い出の羽田第二ターミナル号。まだ施設オープン前で、現地を取材するのも結構大変だった。開業前の空港に入り込めたのは貴重な思い出。

putiryokou

これが、編集記事4P部分のトビラになるトビラ2P。

santamarta

中吊りと連動させ、広告する対象の商品コンセプトにあわせて表紙を色変えて2種類作った初めてのケース。今で言うラック連動中吊り企画の原型。

pointer

R25という誌名が決まるまでには、いろんな試作品を作った。これはボツになった「Pointer」


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