2009年03月07日

「新撰組に学ぶ組織マネジメント」改め「ライブドア=新撰組論」

タイトルは半分ネタです。もう半分は最後まで読めば分かるかな・・。

「新撰組!に学ぶビジネス処世術」とか、そういう雑誌プレジデントみたいな感覚は、はっきりいって「オヤジ臭っ!」とバカにしていました。でも、最近、少し分かるような気になってきてしまう自分が、お腹の出具合とともに気になります・・。(俺、オヤジ化してるな・・と)

で、あいも変わらず、NHK 大河ドラマ新撰組!の話です。

昨晩、「週末のお楽しみ」として届いたDVDを満面の笑みを浮かべつつ、高鳴る胸を抑えながら、再生ボタンを押し、「山南脱走」〜「友の死」の回まで、見終えて、一晩寝た後にこれを書いてます。

山南が切腹するシーンを見終えて、あまりの「密度」に、見終えたあとは、放心状態になり、気持ちを落ち着けるために、家の周囲を夜中に散歩してから寝ました。

きっと、このブログを読む人は、ネットビジネスとかメディアとか、そういうことに興味があって、新撰組!とか、興味のない人も多いのかもしれません。

私も、つい、こないだまで「けっ歴史ドラマなんて・・」とか、思ってたので、その気持ちは、よく分かります。

でも、ビジネスマンの方にも、新撰組!は是非!見て欲しいのです。ベタに言えば、登場人物を社内の人間関係に例えながら、見たりするだけでも、とても面白いと思いますから。

このドラマの何が、面白いのか、私が言語化して文章で伝えられる範囲というのは、ドラマ全体の持つ圧倒的なまでの魅力に比べて、絶望的なまでに、ほんの僅かしかないのですが、今回は、勢いで書いてみようと思います。

新選組 ! 完全版 第壱集 DVD-BOX新選組 ! 完全版 第壱集 DVD-BOX
出演:香取慎吾
販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2005-02-25
おすすめ度:5.0
クチコミを見る


まったく知らない人のために、5秒で説明します。
(さらに興味がある人は、こっち見てください。)

新撰組というのは、近藤勇という農民出身の青年が、土方歳三らを筆頭とする仲間とともに、幕末の京都で乱れた治安を守るために、立ち上げられた組織です。

江戸での試衛館という同じ剣術道場だった長い付き合いの仲間を核に、京都で手柄を立て、新たにメンバーも加えて組織を拡大させ、近藤勇は幕府に認められて、出世していきます

ある意味では、近藤勇のサクセスストーリーですが、江戸幕府は滅亡し、近藤は斬首されるという結末から見れば、ドンキホーテ的な悲劇のストーリーでもあります。

三谷幸喜が描き出す新撰組!の世界に私が圧倒されているのを、あえて、あえて整理すると、以下の3点でしょうか・・・と。 まだ全部みてないので、とてもじゃないが、整理できませんが。

一言で言うならば、急拡大する組織が必ず直面せざるを得なくなる問題点について、非常に丹念かつ丁寧に、描かれていると思うのです。

三つの論点に整理します。

・組織に働く「力学」を描くウマさ
人間集団の集まるところ、必ず、「意見の対立」・「嫉妬」・「派閥争い」などがあります。新撰組は、基本的には、寄せ集め軍団ですから、内部では非常に熾烈な派閥争いが繰り広げられます。 

新撰組は、池田屋事件、今でいえば、京の都を火の海にする一大テロを未遂に防ぐという大手柄を立てます。その働きで、新撰組は、千両という大きな報奨金を貰うのですが、この分配をキッカケに、内部で意見が対立し、反目しあうグループが出来ていく過程が実にうまく描けています。

他にも、新撰組に途中から、グループ単位で参加した伊東や、芹沢の新撰組内でのポジショニングの危うさ・微妙さは、M&Aを繰り返した結果、同じ会社の中に、反目しあう複数のグループを抱える現代の企業にも相通ずるものがあります。

・人間の内面への洞察の鋭さ
昨晩、見た回で描かれていた部分なのですが、新撰組の総長である山南敬介は、新撰組から突如、脱走します。(史実でも、脱走の原因は諸説あって、ハッキリしません。私はこの脱走の理由が、ずっと疑問でしたし、どう描かれるのか、興味がありました。)

新撰組は、近藤勇が局長でNo1、山南が総長、土方は副長。建前上は、総長がNo2のようなのですが、土方は、近藤と同郷の幼馴染であることもあって、組織の実権は、かなり土方が握っています。土方と山南の対立は、徐々にだが確実に大きくなっていきます。

この山南脱走事件は、現代のベンチャー企業風に言えば、創業期からの幹部であった専務副社長が、企業としてヒット商品(池田屋事件)が出て、売上が急拡大しだしたフェーズで、もう一人の副社長との対立から、突然、退職するみたいなものです。

しかし、山南は、土方との「意見の対立」というケチな理由だけが原因で、新撰組を脱走したわけではありません。ここらへんの描き方が、このドラマの凄いところです。

山南は、土方との対立というよりは、現状の新撰組のあり方そのもの、組織としてのビジョンそのものに疑問を感じ始めていたのですね。ベタにいえば、「俺のやりたかったのは、こういうことだったんだろうか」と、悩んでたわけですよ。
(山南は農民あがりの土方や近藤とちがって、剣術だけでなく教養もあって人格温厚であり、そういう意味では、新撰組のなかで異質な存在です。)

そこへ、さりげなく、街でバッタリ出会った、坂本龍馬が登場します。坂本と山南は同じ、剣術道場で一緒に修行した同門の仲間です。今風にいえば、みっちり一緒に過ごした運動部の同級生みたいなもんですね。

そこで、お互いに一杯やりながら、坂本はこう、口説くのです。
 「おまんほどの秀才が、そんな幕府の手先みたいな組織(=新撰組)に属しているのは、もったいないぜよ。」

自分の進むべき道を悩みながら、悶々としており、自尊心の高い人物には、これほどの殺し文句はありませんねぇ・・。

さらに、坂本の脇には、お龍という女性がいるのに比較して、わが身の孤独を感じたのでしょう。その後、山南の足は、遊郭に向かいます。(カタブツの山南には、似つかわしくない行動)そこで、明里という農村から売られてきた遊女と出会い、
恋に落ち、一緒に京都から富士山見物の旅行に出るという形態で、新撰組を脱走するわけです。

三谷の新撰組!において、山南が脱走を決心するまで、坂本や明里との交わりを見るに、人間が、長年過ごしたある組織・集団を抜ける、という意思決定をするまでには、本当に、積もり積もった「何か」があるのだな、と痛感せずにはいられません。

・サクセスストーリーそのものが持つ「闇」の深さ
光が強ければ強いほど、また闇も深まっていきます。

新撰組が大手柄をたて、歴史の表舞台に華々しく登場するきっかけとなったイベントに、池田屋事件があります。

長州の過激派が、京都御所や京の街に火を放ち、ドサクサにまぎれて、天皇を誘拐して、長州に連れ去ろう、という、まあ、今でいえば、超大型テロを計画していました。

新撰組は、その兆候を掴み、過激派のアジトを提供していた宿の主人の身柄を取り押さえます。その蔵の中には、武器・弾薬・火薬がドッサリなわけです。

「これは何のためだ?何をしようとしていたのだ?白状せい!」問い詰めるわけです。当然、そう易々と白状するわけはありません。そこで彼らは捕まえた宿の主人を拷問し、計画の全容を吐かせるのです。

主人公たちが、いくら正義のため(京の街を守るため)とはいえ誰かを「拷問」するという大河ドラマなんて、あったでしょうか・・。

あの拷問がなければ、池田屋での新撰組の華々しい活躍もなかったのでしょう。
そこに、サクセスストーリーに必然的に付きまとう「闇」の深さ、「業」の深さを見た気がします。

さらに、彼らは、「隊の結束」を守るため、という理由で、自分たちの組織の構成員を、多数、死に追いやっていきます。しまいには、江戸からの仲間であった山南を切腹に追いやります。

とにかく、語りだすと、尽きないので・・今日はこのくらいで。

MBA風にいえば、「組織行動論」みたいな分野だと思うのですが、新撰組ほどまでに生々しく切れば血が出る(文字通りの血が!)ような鮮やかさで、組織と人間との関係性を描く、活きたケーススタディはないと思うのです。

F1層のOLの視聴率目当てで、テキトーにイケメン揃えたぬるい大河ドラマだな〜、と思って食わず嫌いしていた私は、ただいま猛省しております。

追伸:新撰組!のものすごいファンであった、糸井重里は、以下のように書いています。

これには、ずいぶんと思うところがありますが、うまくまとまりません。

今のライブドアを、あえて、この感じで例えるならば、函館で全滅せずに、そのまま北海道を開墾している、、そんな状態?。いつか、本州に攻めあがってやると、闘志を燃やしております。

ダーリンコラム<ライブドア版・新選組> -ほぼ日より引用


だって、なんでもない田舎の男の子が、
世界征服を語るまでの物語が、一気に見られたのよ。
そんな冗談みたいなことが、ほんとに起こっていたのよ。
いつだったか、近藤勇たちの「新選組」が
京都で組織を拡大していって滅びるまでの時間が、
たった4年間だったと知って、
ほんとにびっくりしたことがあったわ。
それと、そっくりだと思ったのよね。

のどかな九州の田舎で、剣術の練習をするように
百科事典とパソコンという道具で遊んでいた少年が、
江戸に出てきたというところから物語は始まるの。

腕に覚えの浪士たちが集められたように、
あちこちで、起業のブームがあったでしょ。
経済のさまざまな規制緩和があって、
会社ゲームが、簡単になったからできたことよ。
お上の政策が、背景にあったわけよね。

で、町道場
「試衛館(オン・ザ・エッジ)」のメンバーは、
京都に上ることになるのね。
それからある藩のお抱えみたいなことがあって、
ちょっと大きくなって、
「浪士隊(エッジ)」と名前を変えたりもするのね。
京都の花街「島原」は、六本木ってことでいいかしら。

新選組の大手柄「池田屋」のあたりを、
「フジテレビ」と業務提携という
ひとつのクライマックスにできるわね。
鳥羽伏見の戦いが、強制捜査の日かしら。

このへんのことを、悪い奴が捕まったザマミロ、
という話じゃなく、
描ける作家はいくらでもいると思うの。
だって、「新選組」にしたって、
極悪非道のテロ集団というとらえ方もあるし、
志の高い真の侍たち、
という光の当て方もあるわけでしょ。
「ライブドア」だって、そんなに簡単に
欲の皮の突っ張った経済犯罪グループっていう、
枠組みだけで見るのは、
何か大きなものをこぼしてると思うのよ。
正直言ってね、好き嫌いで言うと、
あたしホリエモンを好きになるのはむつかしいわ。
付きあいたくないタイプだとは思うの。
でも、創作を加えてドラマにするなら、
きっと、ずいぶんおもしろいホリエモン像は
描けるんじゃないかしら。
だって、ほら、何度も言うけど、
みんなテレビに釘付けだったじゃないの、あの頃は。

だからさ、事実のホリエモンはどうでもいいの。
「青春の蹉跌」というドラマが見たいんだから、
みんなも。
地方のロックバンドが、メジャーになってさ、
ケンカ別れしたりする話も同じようなものよ。

主役の堀江青年は、香取慎吾にやってもらいたいわ。
そうしたら、当然、税理士出身の懐刀の宮内さんは、
山本耕史さんにお願いしたいわよね。
「あの会社、食えねぇな」とか、そんなセリフ言うのね。
その他、あの大河の『新選組!』のキャストを、
どんどん口説いて欲しいわねー。
いろんな流派出身の剣術使いが集まるように、
証券会社やら代理店やらから、
堺雅人さんやら、小林隆さんやら、藤原竜也さんやら、
みんな集まってほしいわぁ。
村上ファンドさんは、やっぱり萩本欽一さんに
頼み込んでみたいわよね。

ほんとは、これ、フジテレビで
連ドラにしたらいいと思うんだけど、
やってくれないかしらねー。
大石内蔵助のことを、
大星由良之助と言い換えるくらいの感じでさ、
香取慎吾の「堀井貴大」が、
「もう詰んでるのに、
 穴熊やったってしょうがないでしょう!」
とか言うのよ、おもしろいわよー!

話がすっかり長くなっちゃったけど、
「ライブドア事件」って、
いまの時代のことを後々語られる時には、
きっととっても大きな出来事だったんじゃないか、と
そう思っているのよ。
それは、社会現象としてもだけれど、
時代が作者になった「青春の物語」としても、ね。



このエントリーをこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 「新撰組に学ぶ組織マネジメント」改め「ライブドア=新撰組論」

トラックバックURL

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
田端信太郎、初の単著が発売 MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体
MEDIA MAKERS
―社会が動く
「影響力」の正体~
メディアに踊らされずに、
メディアで人を踊らせる方法


Tabata Shintaro@facebook
記事検索
私のオススメ本 ベスト集


LDリーダー購読者数推移


ブックマーク数推移グラフ

  • ライブドアブログ