2009年06月27日

スタートアップで雇うべき人材を見抜くためのテストとは?【書評】起業成功マニュアルbyガイ・カワサキ

「ビジネスプランを書く」というのは、どういうことだろうか。

あなたがヤル気に燃えたぎる起業家、あるいは新規事業担当者だとしよう。ビジネスプランを書くにあたって、あなたはどんな気分だろうか?

モーツァルトが五線譜に向かい、ピカソがキャンバスに向かったような気構えで、ビジネスプランを書こうとしているかもしれない・・・。

おそらく、それは決定的な間違いである。(気構えとしては悪くないのだが・・)

新規事業を起こすものにとって、本当のアウトプットとは、製品やサービス、そのものであって、事業プランそのものではない。

では、ビジネスプランとは何なのだろうか?
いい事業計画を書くにはどうすればいいのだろうか?

それを考えるための最高の参考書を見つけたので、ご紹介する。著者のガイ・カワサキは・・・
ガイ・カワサキ -Wikipediaより

1984年の1月に登場したアップルのマッキントッシュであったが、対応するサード・パーティのソフトはほとんど無かった。そこで、アップルは外部のソフト会社にマック用のソフト開発を説得する職種であるエバンジェリストを作り、そこにマイク・ボイチや、ガイらを任命した。またガイは、アップルの優れた技術者を認定するアップル・フェローという制度を作った。
というように、アップルコンピュータの草創期に初代マッキントッシュのプロジェクトにコミットし、その後、起業家からベンチャーキャピタリストに転じた人物だ。

完全網羅 起業成功マニュアル完全網羅 起業成功マニュアル
著者:ガイ・カワサキ
販売元:海と月社
発売日:2009-05-29
おすすめ度:3.5
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内容紹介
全米屈指のベンチャー・キャピタリストによる
起業バイブルの決定版、待望の邦訳!
多くのビジネス界のグルたちが絶賛する全米ベストセラー。

資金調達、人材採用、売り込み、ブランド構築、
口コミマーケティング・・・

あなたの起業を成功させるための
計画の立て方から実行の仕方までを
懇切丁寧に伝授。
これまでにない、まったく新しい起業バイブル。
あのクレイトン・クリステンセンも
「愉快で完璧、そして極めて実用的」と絶賛!

社内起業、非営利組織の立ち上げ、社会起業にも効果大の1冊。

私はこれまで、自分でも数百のビジネスプランを書き、数千もの他人が書いたビジネスプランを読んできた。

ビジネスマンとしての自分が「あなたのもっとも自信のある職能はなんですか?」と聞かれたら「新規事業の開発」つまりは

・事業のコンセプトメイク
・ビジネスプランの作成
・資金提供者(大企業の場合は、社内での経営陣への承認とりつけ
・流通、販売などのチャネルを担当する最重要なビジネスパートナーの巻き込み
・スタッフの採用

などの一連のプロセスである、と答える。

NTTデータでは、通信とデジタル放送との融合系の案件ということで、何社かのジョイントベンチャーの設立の事業計画を作った。とにかく「型」を覚えるための丁稚修行をさせて貰った期間だった。

リクルートでは、次世代事業開発室という新規事業開発室的なところに所属したので、日々持ち込まれる無数の事業提案書を読み、提案に来る人たちのプレゼンを受けた。

余談かもしれないが、当時の私の記憶に残る経験として、ビジネスカフェジャパンという、毎月数社のベンチャー企業が大企業やVCにプレゼンをする場に、毎回、出席していたことだ。

事業企画をプレゼンされる側の気持ちというのを、20台半ばで味わえたというのは、今にして思っても、本当に幸運で有益なことだったと思う。おそらく述べで100社〜200社の事業提案のプレゼンを受けた。

主観的な「妄想」だけが暴走していて、内容がpoorな事業プレゼンを受ける、というのは、「退屈」という言葉では不適当で、控えめにいっても「不愉快」な経験だと、身をもって痛感したことが記憶に残っている。

そういうような経験を積んでいると、面白いプレゼン、GOサインを出したくなる事業プランというものの条件が少しずつ分かってくる。そういうことを活かし、「New-RING」という新規事業提案制度に応募して、3年間連続して入賞し続けたことは、私の密かな自慢である。(1年目は、引退準備のアクティブシニア向けの新規事業、2年目はその後、「R25」として世の中にローンチすることになるペーパーポータル構想、3年目は、病院や医療機関をユーザー目線で評価・マッチングする事業、であった。そのうち、後半2つは実際に、事業化された。)

ライブドアに入ってからも、「走りながら考える」的な「迅速を尊ぶ」カルチャーの中で、「計画」よりは「実行」により力点を置いてやってきた。入社してから、ずっと関わっている「livedoorニュース」は、私が入った4年前に比べて、売上が10倍以上になっている。

ライブドア事件以降のフェーズでも、単なる「立て直し」「テコ入れ」ではなく、建築で言えば「リノベーション」に相当するような、クリエイティブに事業を新たに創造する、というようなことをやってきたつもりだ。

そんな私から見ても、この本は、極めて「実践的で実戦的」な「ツカエル」本である。なにしろ、プロダクトの「ネーミング」(あぁ、このムツカシキものよ、汝の名は「ネーミング」)から、スタートアップ企業において採用すべきスタッフを見抜く採用時の面接ノウハウ、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家との付き合い方、までカバーしてくれているのだ。

著者のガイ・カワサキは、講演家としても高名なので、いちいち書いている内容が愉快なのも、この本を読むうえでの愉しみだ。

しかしながら、愉快なだけでなく、そのユーモアは本質を鋭くエグリ出す。

「スタンフォード・ショッピングセンター・テスト」という面接におけるテストが、あまりにケッサクな上に「うぅむ。これは簡単なようで、合格するには、かなり高いハードルだな」と、面接官を毎週、何度もやっている身として思ったので、紹介する。

スタンフォード・ショッピングセンターというのは、ショッピングモールだ。(私なら「豊洲ららぽーと」かもしれない。)

スタートアップで雇うべき人材を見抜くためのテスト〜「スタンフォード・ショッピングセンター・テスト」

数年前、私はこのモールで、マッキントッシュのソフトウェア開発を手がけている男を見かけた。彼のほうはまだ私に気づいていない。私は彼と話すはめになるのを避けるため、とっさに方向転換した。どうにもウンザリの男だったからだ。この経験から思いついたのが、スタンフォード・ショッピングセンター・テストである。

要領はこうだ。あなたがどこかのショッピングセンターにいるとしよう。そこでひとりの採用候補者を見かける。向こうはこちらに気づいていない。このとき、あなたには三つの選択肢がある。

1) 駆け寄って挨拶する
2) 出くわしたらしかたないと考える。出くわさなかったら、それもそれでかまわない。
3) クルマに戻って、別のショッピングセンターへ行く。

直感や、その二重チェックの結果がどうあれ、駆け寄って話をしたい人だけを雇うべきである。2)や3)を選びたくなる人なら雇うべきではない。人生は短い。生まれつき気に入らない人間と仕事をしているヒマはない。立ち上げ間もない小さな組織ではなおさらだ。


どうだろう?私ならスタンフォードショッピングセンターの代わりに、豊洲ららぽーとを想像するところだが、面接官をやったことがある人なら、このハードルは決して低くないことが、お分かり頂けるのではないだろうか。

本書は全体がこんな感じで、極めて愉快でありながら、非常に具体的で実践的なノウハウの塊が惜しげもなく披露されていく。

だいたい、実際に大成功したプロダクトに携わったという経験のない人の書いた新規事業のノウハウ本なんて、「畳の上の水練」なのだ。非モテの書いたナンパ本だ。「女性に嫌われないためには、清潔な服装で、身だしなみを整えましょう」みたいな、別に間違ってはないが、当たり前すぎて役に立たないことしか書いてないのだ。

その点では、アップルコンピュータの創成期から経験をつみ、もはや伝説的となった初期のマッキントッシュの成功に関わり、その後も、講演家やベンチャーキャピタリストとして、数多くのスタートアップ、新規事業に関わってきたガイ・カワサキは、申し分のない人物だ。凡百の「モテ・アドバイザー」ではなく、No1を獲得し続けてきた「カリスマ・ホスト」が実体験に基づいて語るような、経験の「凄み」「厚み」が、軽妙な文章の裏から匂い立ってくる。

たった1人でスターアップを起こそう、という人から、数万人の大企業の中で、新規事業プロジェクトを立ち上げようという人まで、新規事業にコミットしよう、というあらゆる人に、全力でオススメする。

戦闘に備えるにあたって、つねに感じたのは計画は役に立たないが、しかし、計画立案は不可欠であるということだ。

ドワイト・D・アイゼンハワー
完全網羅 起業成功マニュアル完全網羅 起業成功マニュアル
著者:ガイ・カワサキ
販売元:海と月社
発売日:2009-05-29
おすすめ度:3.5
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これ以外にも、新規事業を考えるための本として幾つか紹介。
リクルートのOBの書いた本には、帯に「リクルートOBが語る〜〜術」みたいな、企業名のみが売り、みたいな薄い本も多いのだが、下記の3冊は文句なくおススメ。

R25創刊時にかなり参考にさせていただいた。「右手にロマン、左手にソロバン」という名文句が秀逸
MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術
著者:くらた まなぶ
販売元:日本経済新聞社
発売日:2003-04
おすすめ度:4.5
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この本↓は、あまりに生々しい内実・ノウハウが明かされていて、本が出た後に、R社内で問題になったそうである。
Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方
著者:平尾 勇司
販売元:東洋経済新報社
発売日:2008-05
おすすめ度:4.5
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言わずもがな・・。私も登場します。詳しいレビューはコチラ
「R25」のつくりかた (日経プレミアシリーズ)「R25」のつくりかた (日経プレミアシリーズ)
著者:藤井 大輔
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2009-02
おすすめ度:4.0
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1. 完全網羅 起業成功マニュアル  [ ネットPRのニューズ・ツー・ユー社長のブログ : minako's blog ]   2009年07月28日 07:31
このお二方の書評を読んで、手にしたのが「a href="http://www....

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