2009年09月06日

「医者の不養生」か?adtech東京に感じた広告業界の行く末

仕事人さんも書かれていたが、今回のアドテック東京を、あくまで聴衆としての立場から総括すると、

・KPI (Key Performance Indicator)
・ROI (Return on Investment)
・ビジネスゴール

といった、広告業界ではなく、経営戦略コンサル業界の用語が、壇上のスピーカーから何度なく聞かれたことが最も印象に残った。

広告とマーケティングは、一体であろう。
マーケティングと経営戦略も一体であろう。

だとしたら、メディア・マージンで食べていけない、これからの広告会社は、必然的に「経営戦略」コンサルティング会社の一類型ということになっていくのではないだろうか。

目玉として呼ばれたイナモト・レイさんの「広告は嫌いだ」発言に象徴されるように、「こんにちは 戦略」「さようなら 広告」のムードがadetech tokyoのセッションには共通して、充満していた。

例えた、あるディスカウンター的な企業の「安物」イメージを脱却して、ブランド・イメージ向上を図りたいということであれば、いわゆるトップクリエイターとコラボし、リッチなクリエイティブを作り、ブランディング広告を打つ、ということは、あくまで手段の一つに過ぎない。

具体的に言えば、例えば、ユニクロのブランドイメージ向上のために果たした役割で言うと、私は、ユニクロックよりも、セオリーの買収で、実は「セオリーもやっているユニクロ」というイメージが、経済メディアから、一般の生活者に浸透していったことのほうが、よほどインパクト大だったかもしれない、とも思う。

「世界一安い自動車を作る」インドのタタ・モーターズがジャガーやランド・ローバーの買収も、そういう狙いだったかもしれない。(逆にいえば、タタ・モーターズが、ブランド構築のために使うかもしれなかったお金が、買収費用になったとも言える。)そういう意味では、これからは、投資銀行や戦略コンサルが、広告代理店の真の競合になっていくのだろう。

さらにココからが真の問題なのだが、国内のトラディショナルな広告会社は、今や「構造不況」の業種である。業界全体がそうなのは、外部環境の要因として仕方ないところもあるが、自社のポジショニングをうまく差別化しながら、業界全体のトレンドに逆らって、逆バリで儲かっているトラディショナルな広告会社という存在は、余り聞いたことがない。

これからの広告会社が「経営戦略コンサル」の一類型にならざるを得ないとしたら、そこに依頼しようとするクライアントは、そもそも自社の業績からして、右肩下がりから抜け出せない広告会社に、新製品のローンチや、業績回復のためのキャンペーンをお願いしようとするのだろうか・・。

2002年にはアーサーDリトルという100年以上も続いた経営戦略コンサルティング会社(梅田望夫さんもかって在籍)が、倒産し、米国版の民事再生であるチャプター11を申請する事態に陥った。

他人様からオカネをもらって経営指導する戦略コンサル会社自身が倒産してしまう、というのは、医者の不養生を象徴するようなブラック・ジョークだったが、今の広告業界も、近いにうちに、そう思われるようになってしまうかもしれない。

adetech東京にわざわざ来たり、あの場で話をしたりするような人は、そういう業界の中では、旧弊を打破しようと、日夜、戦っている人なのだと思うが、あの場にいない業界のサイレント・マジョリティおよび広告会社のトップマネジメント層は、果たして、どういう現状認識を持っているのだろうか?。


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