2010年01月17日

検索経由でのユーザー流入は、ブロガーへの印税収入だ!(ブログメディアのマネタイズ論)

元時事通信で、最近、TechWaveを開始された湯川さんが、ブログメディアを開始されるまでの私とのやり取りを明かされている。
ブログによる収益増のヒントは良質の記事の蓄積にあり@TechWaveより
私は、ITMediaCnetの記事でも、かなり自信たっぷりに「一年もしないうちに充分、黒字になり、ビジネスとしても成り立つ」として、言い切っているが、これには、もちろん、それなりの目算がある。

湯川さんは上記の記事で、「良質のコンテンツの蓄積が、座布団収入の拡大につながる」と書いておられる。まさに私の言いたい事はこの通りなのだが、MarketHackやTechWaveがオープン記念ということで、もう少し、詳しく、具体的に説明したい。

上記でいう、良質なコンテンツとは、何であろうか?。
別に「文章が美しい」とか「格調高い内容である」とか、そういうことでは必ずしもない。

ネット上でブログメディアをマネタイゼーションしていく文脈に限定して乱暴に言い切れば、記事の質とは、その記事が、どのくらい、ネット上の様々なコミュニティで話題になり、ソーシャルブックマークのブクマ数を稼いだり、有力な(個人)ニュースサイトや、当該分野の有力なブログから、多くの被リンクを獲得できるか?ということになる。
(そういう意味で言えば、ツッコミどころもあるが、極めて斬新な「問題提起」型の記事のほうが、退屈で無難な「模範解答」型の記事よりも、遥かに「良質」だと言えるのが分かるだろう。)

検索エンジンの仕組みに詳しくない方のために説明すると、リンクを張られて紹介されればされる程、検索エンジン(特にグーグル)での当該ブログ記事の「評価」が上がるのだ。つまり、検索結果ページで上位に表示され、当然のことながら検索経由で見に来るユーザー流入も増えるのである。

ここまでの話を整理すると

ネット上で、議論のきっかけになる問題提起型の記事を書く

被リンクが増える

検索エンジン(特にグーグル)からの検索流入が増える。
ということになる。

ここまでなら、まあ、「そりゃ、そうだろ」というだけの話だが、もう一歩先がある。
検索エンジン経由でのユーザー流入が多いページほど、コンテンツマッチ広告の広告単価(=RPM)が高くなる。
のである。

詳しくは弊社のブログビジネス部きっての理論派&(武闘派?マジレス派?)プログラマーの考察に統計学的な根拠もあってまとめられてるので、是非、見て欲しい。

今回ローンチしたようなブログメディアのような形態で、メディアを運営する場合、編集長の方は、もちろん、ライブドアの社員ではない。

社員ではないからこそ、サラリーマン的な保身とは真逆の姿勢から、特定の専門分野でエッジの立った問題提起や、百家争鳴の議論のトリガーになるような深い考察を発表して頂けるものと信じている。

つまり、非サラリーマンで、編集者個人のキャラクターが全面に出たようなメディアの方が当然に、読者にとっての「キャラ立ち」が出来て、被リンクを浴びやすく、結果的に広告単価も高くなる。

今回のブログメディアの趣旨について。私は「(紙媒体で活躍の場が減りつつある)プロの書き手に発表の場を提供したい」とITMediaのインタビューで答えた。別に慈善事業ではないわけなので、上記のような目算があってのことだ。(より正確に言えば、ネット上で「キャラ立ち」が出来て、被リンクを浴び続けることが出来るような記事アウトプットを出せる「プロの書き手」の方に、発表の場の運営をサポートさせて頂きたい、ということである。)

また、これを別角度から言うとこうなる。
これまでのフリーライターの業界などは、最初に原稿を提出したときにもらえる。記事1本ごとに幾ら?のギャラがほとんど唯一の収入源だった。

しかし、ネット上でブログ形態で自分の記事を蓄積していく書き手には、これからは「検索エンジン経由での流入」⇒それにコンボで伴なう、「コンテンツマッチ広告の高CTR&アマゾンアフィリの高コンバージョン」という、ある種の「印税収入」が獲得出来るようになっていく。(広告の表示位置、広告マッチングのノウハウなどが充分にあればだが・・)

これまでは、コンテンツ価値をストックの視点から継続的に換金化し、ある種の「不労所得」を獲得できる、というのは一部の「名作」「古典」を産み出すことが出来た超売れっ子作家だけの特権だったのだろうが、これからは普通のブロガーでも、職業的な戦略性をキチンと踏まえつつ、勤勉にコンテンツを生み出していけば、「座布団」収入は着実に拡大していけると思う。

もっと言えば、これは、テキストコンテンツを産み出すことの出来る全ての組織・個人(つまり、新聞社、雑誌社、ブロガー)などがあてはまる。

フローでの換金だけを前提にしたコンテンツ売り切りモデル

検索エンジン経由での流入と、その後のランディングページでのマネタイズ効率極大化によるライフタイムバリュー意識のモデル

へと、発想をシフトさせていくことが(これは、ハリウッドの映像ビジネスなどでは、すでに当たり前過ぎるコンセプトなのだろうが・・・)ノンフィクションのテキスト情報系メディアのマネタイズでも、大事になっていくのだろう。


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コメント一覧

1. Posted by ゆきち   2010年01月18日 03:51
この件で難しいのは、執筆のためのコストの計算ではないかと思います。

買いきりであれば、それまでに執筆にかかるコストと収入の計算が事前に出来るので、その仕事をするべきか、そうでないのかが判断できます。

ここであげられているモデルは、いわば固定給与から完全歩合制に移行することになるので、ある程度売れていることが大前提になるし、コスト計算をしたら、100本書いて数万とか言うことになりかねません。

ネットでの仕事がしやすくなったおかげで、既存のコンテンツ作成単価が異常に安くなってしまい、既存のプロがお手上げになってしまう状況があるようですが、この件も、そういう影響を作ってしまう可能性があるのではないかと思います。

時代の流れとしては逆行できないのでしょうが、そういうことを考えると、こういうスタイルで幸福を享受できる人は、かなり少ないのではないでしょうか。

ブログの趣旨に沿ったコメントになってないですが、とりあえず思ったことをコメントします。
2. Posted by northface outlet   2010年11月28日 03:30
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