ネット広告

2009年01月20日

イールド・マネジメントの意義〜複数のアドネットワークを最適化 はてなブックマーク - イールド・マネジメントの意義〜複数のアドネットワークを最適化

ホテル会社、航空会社などにとって、限られた部屋数、座席数から売上を最大化することは、経営上の最重要課題だ。ホテルの部屋や、飛行機の座席などは、在庫を売り惜しみ、後々に備えて、倉庫に積み上げておくということが、出来ない業態だから、判断ミスは取り返しがつかない。

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今日の在庫を、今日のうちに換金出来ずに売れ残ってしまうならば、その部分に関しては、収入はゼロである。ゆえに、ホテル会社や、航空会社などは、部屋や座席の埋まり具合を予測しながら、需給に応じて、値段を改定していく。

売り惜しんで、埋められないことも売上ロスであるが、値下げして早目に埋めすぎてしまい、後に、もっと高く売れたであろうチャンスを逃してしまうのも悩み者だ。

そこで、航空会社やホテル会社では、イールドマネジメント(Yield Management)と称し、売上最大化をミッションに、在庫の需給予測と、価格改定を担当する専門スタッフがいるそうである。

航空会社やホテルが、限られた座席数や部屋数から最大の売上を獲得しようと、イールドマネジメントに知恵を絞るのと、全く同じ悩みを、ネット上の広告メディアビジネスも抱えている。

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2008年11月29日

クロスメディアでの広告媒体配分は、ゴルフ場でのクラブ選択だ! はてなブックマーク - クロスメディアでの広告媒体配分は、ゴルフ場でのクラブ選択だ!

グーグルやヤフーのような検索連動広告は、費用対効果がいいため急激に伸びている。その逆に、新聞や雑誌は、費用対効果が悪い、と最近、よく言われています。

しかし、ちょっと待ってください。そんなに検索連動広告の費用対効果がいいなら、何ゆえ、広告主は、自社の広告予算の全額を検索連動に割り当てたりしないのでしょうか?

例えば、トヨタは、なぜ、全広告予算を、グーグルのアドワーズに割り当てないのでしょうか?

テレビ局や、広告代理店とのこれまでの付き合いが云々、みたいなことを抜きにして、上記の問いに、ロジカルに答えることは、案外カンタンではないように思います。

ここで、自分のバックグラウンドを改めて紹介させてもらいます。
私は新卒で入ったNTTデータでは、デジタル放送を開始しようとするテレビ各局に双方向サービスを使ってもらったり、ジョイントベンチャーの会社を作って共同事業を提案する(企画書マシンのような)仕事をしていました。(当時は、「放送と通信の融合」が、バラ色のフレーズとして、NTTグループ内の様々な企画書の枕詞になっていました。)

その後に転職した、リクルートでは、当初2年ほどは、神学論争のように、「紙」と「ネット」の使い分けや、ビジネス上の優先順位について、考える仕事をしていました。その後はフリーマガジンR25の立ち上げをゼロからやり、大げさにいうと、21世紀初頭で、紙媒体の広告枠を売る、ということに、どのように時流にあったストーリー性をつけられるか、ということを考え、実際にトライしました。

その後に、今、働いているライブドアに移り、インターネットのトラフィックを、実際のオカネに変える様々な方法(検索連動、アフィリエイト、クリック課金、期間掲載バナー、ブロガーリレーションなどのクチコミ喚起型etc)をトライしながら、日々、一喜一憂してまいりました。

テレビ、紙、ネットとそれなりに経験するなかで、これらのメディアを横断的に考えて、広告予算の配分を決めるには、どうしたらいいのだろう?みたいなことを、ああでもない、こうでもない、と試行錯誤してました。

そういう私が、実は、上記の質問に答えることは、こういうことなのかな、とずっと、頭の中で、モヤモヤと思い描いてきたモデルを、今日は紹介します。

クロスメディアでの媒体間での予算配分を決めるのに、第一に考えないといけないポイントは、必要なリーチの規模です。

広告媒体には、それぞれ、リーチ(接触者)のスケールというものがあります。
 ・テレビは数千万人にリーチできる媒体です。
 ・新聞は、ほぼ数百万人へのリーチになります。
 ・検索連動広告は、キーワードによりますが、数百人〜数万人単位まで絞れます。

媒体の最適スケール、スイートスポットに適した規模で予算を投下しないと、費用対効果は、悪化してしまいます。

単純化した架空のモデル例で言うとこうなります。

Q1:お取り寄せグルメの市場を狙って、手作りの味噌を定期的に宅配するネット事業を展開する広告主Xがあります。これまで、検索連動広告に月10万円使い、月に100件の新規申し込みを獲得していました。来月からは、月30万円まで予算を増やします。さて、注文はどれくらいになるでしょうか? 

A1:ほぼ3倍の300件になると期待できます。

月で数十万、獲得で数百人という規模は、検索連動のスイートスポットに入ったままなので、使った広告予算に比例した広告効果が見込めるからです。

Q2:中古車買取事業を展開する広告主Yは、これまで検索連動広告に、月3億円を投下し、月間3万件の中古車買取件数を獲得してきました。(獲得単価1万円)

来月から、検索連動広告への予算を、3倍の9億円に増やそうとしています。広告主Yが、最終的な効果測定の指標としている、買取件数は来月から、3倍の9万件になるでしょうか。

A2: 3倍になることは、(まず間違いなく)期待できません。
月間10億規模という予算感や、獲得件数が、すでに検索連動のスイートスポットからズレだしてしまうからです。

ところが、Q2の変形で、以下のQ3を考えてみてください

Q3:中古車買取事業を展開する広告主Yは、これまでテレビCMに、月2億円を投下し、月間1万件の中古車買取件数を獲得してきました。(獲得単価2万円)

来月は特別キャンペーンで、テレビCMの予算を3倍の月6億円に増やそうとしています。広告主Yが、最終的な効果測定の指標としている、買取件数は来月から、3倍の3万件になるでしょうか。

A3:(ほぼ)3倍近くまで伸びるといってもいいのではないでしょうか。
予算規模や、申し込み数が、テレビCMのスイートスポットに入っているからです。

ここまで語ってきたようなことを、グラフにして、モデル化するとこういう感じになります。(広告主Aは、いわゆるナショナルクライアント規模を想定。)

frontier



つまり、紙やネット、テレビといった、複数のメディアを横断しながら、最適なメディアを選ぶのは、ゴルフでのクラブ選択のようなものです。

 ・必要なリーチの規模 = ゴルフで言えばティーからカップまでの距離
 ・検索連動のようにターゲティング精度は高いが、スケールの小さい媒体 =パター
 ・テレビCMのようにリーチを稼げるが、精度は悪い媒体 =ドライバー

トヨタのようなナショナルクライアントは、超広大な消費者をターゲットにしているるわけですが、これはゴルフでいえば、長ロングホールのようなものです。必然的にキャディバッグから、ドライバー(=TVCM)を取り出す比重が増えます。

お取り寄せグルメのネット販売をやる地方の手作り味噌店は、そもそも、販売できる量にも限りがありますから、これは、ゴルフでいえば、パットゴルフのコースにいるようなものです。必然的にパター(=検索連動広告)以外は、出番がなくなります。

SEOや検索連動広告で集客し、ネットショッピング事業を個人でやっているような人にしてみれば、「TVCMの費用対効果なんて、スンゲー悪いのに、未だにTVCMやってる大手の広告主って何考えてるんですかねぇ〜?」みたいに思うかもしれません。

しかし、この意見は、パットゴルフ場にしか出入りしたことがない人が、7000ヤード以上ある競技コースにチャレンジするトーナメントプロに対して「ドライバーなんて、とり回しの難しいクラブ、よく使うわねぇ〜、バッカじゃない」と言うにも等しいのだと思います。

あるレベルを超えた規模で広告宣伝をするメガクライアントにとっては、TVCMに代表されるオフラインの広告媒体を利用しないことは、かえって非効率になります。(このことを、きちんと理解しているネット広告業界の人は、そんなに多くなさそうです。)

私は、当然のことながら、テレビや新聞といったトラディショナルなメディアから、広告費は、ネットにシフトしていくべきだというポジションを取る人間ですが、だからこそ、テレビや新聞が、ある場面において、広告主にとって必要になってくるロジック、というものをきちんと押さえたうえで、お客さんと、話をしたいと思っています。

追記:ゴルフクラブの番手ごとの飛距離、というのは、常に決まっていますが、現在のように、ネットへのユーザーシフトが起こり、広告技術の変化が激しい環境は、「クラブごとの飛距離」が、どんどん変わっていくような状況です。

これは、ゴルフで言えば、いつのまにか、300ヤード飛ばしつつ、パターのように正確、みたいな新型のクラブがどんどん出てきてもおかしくない状況と、言えるのかなー、と思っております。

さらに追記:今日でてきたグラフは、ファイナンスに詳しい方は、お気づきかもしれませんが、複数の資産(株や債券など・・)を、リスクとリターンをコントロールしながら、どのようにポートフォリオの中でコントロールしていくか、いわゆる「効率的フロンティア」の議論に酷似しているようなものだと感じます。

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この本の中で、これからのダイレクトマーケティングにおけるメディア出稿業務は、
ファンドマネージャーのような仕事に近づく、という話がありましたが、

お客さんから、オカネを預かり、複数の対象に投資し、合理的なプロセスで意思決定しながら、最適な結果を出すために、その比率をチューニングしつづけていく
という意味では、メディア業界の人間にも、ファンドマネージャーのような姿勢が求められていくのかもしれません。

いま、金融業界は大不況ですから、クオンツ運用みたいなことをやっていた人は、こういったメディア最適化アルゴリズム方面に、新たな道を求めるのも面白いように、思います。

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