...旅とリズム...旅の日記 by 栗本斉...

旅人/ライター/選曲家・栗本斉が、旅と音楽とアルゼンチンを中心に綴る日記です。

カリプソ・ローズ『ファー・フロム・ホーム』のライナーノーツを書きました。

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カリプソ・ローズ(Calypso Rose)のニュー・アルバム『ファー・フロム・ホーム(Far From Home)』のライナーノーツを書きました。カリブの島国トリニダード・トバゴ出身の、名前の通りカリプソの女王として知られる大御所シンガー。御年76歳ではありますが、現役バリバリの新鮮なアルバムです。

【参考】
Calypso Rose: Official Website

1963年に初めてレコーディングして以来、珍しい女性カリプソニアンとして人気を得てきた彼女は、本国だけでなく他のカリブ諸国や欧米でも確固たる地位を築いています。僕は前作『Carypso Rose』(2008年)で初めてじっくり聴いたのですが、侘び寂びの効いたヴォーカルとポジティヴなオーラにノックアウトされました。

そして、待望の新作『ファー・フロム・ホーム』は、なんと全面的にマヌ・チャオとコラボレーション。マヌ・チャオは、
ミクスチャー・ロック界のカリスマとして知られるスペイン系フランス人で、日本でもフジロックなどにも出演するなど人気が高いアーティストのひとり。それだけに、たんなるオールド・スタイルのカリプソではなく、スカ、アフロ、ソカなどのテイストをミックスし、絶妙なバランスでラテン・テイストを演出。何よりも、朗々と明快に歌うカリプソ・ローズの歌声が耳に残る傑作です。



こういう音楽を聴くといつも思うのが、また狂乱のカーニヴァルに身を置いてみたいなあということ。あの感覚はいくら音や映像を視聴してもわからない。でも、彼女の声を聴くと、ふっと当時の記憶がパキッと蘇ってくるのです。とにかく、少しでもカリブ周辺の音楽に興味があるのなら、聴き応えのある本作を手に取っていただきたいと思います。

ファー・フロム・ホーム
カリプソ・ローズ
Pヴァイン・レコード
2016-09-21


カリプソ・ローズ
カリプソ・ローズ
Pヴァイン・レコード
2009-06-17

 




Soca Diva
Calypso Rose
Ice
1994-02-21

 

西岡恭蔵『南米旅行』のライナーノーツを書きました。


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西岡恭蔵『南米旅行』のライナーノーツを書かせていただきました。これは、1977年に発表された日本のフォーク/ロック・シーンの異色作であり超名作です。この当時の音楽が好きな方には、すでにおなじみかもしれません。

70年代初頭に活躍したザ・ディランIIというグループのメンバーでもあった西岡恭蔵は、1972年にアルバム『ディランにて』でソロ・デビュー。彼のことを知らなくても、本作に収録され、様々なシンガーにカヴァーされている「プカプカ」という楽曲は聴いたことがあるんじゃないでしょうか。そして、『南米旅行』は、彼の4作目のオリジナル・アルバムとなります。



西岡恭蔵という人は、シンガー・ソングライターとしてももちろん人気はあるのですが、それ以上に矢沢永吉の初期作品である『I LOVE YOU,OK』や『A DAY』に歌詞を提供して評価を得ました。そのときの印税を使って旅に出て作ったのが、この『南米旅行』というアルバムなのです。

“南米旅行”とは銘打たれてますが、実は中米・カリブあたりまでで、南米大陸の歌は出てきません。実際、この時の彼の旅はメキシコ、バハマ、ニューオーリンズあたりで終わり、その時の印象を元にアルバム制作には入っています。しかし、そんなことはともかく、とにかく旅気分に浸れる作品なのです。冒頭の「ジプシー・ソング」をきけば、誰しも納得でしょう。



アルバムには、関西のファンク・シーンを盛り上げたソー・バッド・レビューのメンバーが参加していて、レゲエやボサノヴァ、カリビアンなどのエッセンスが加えられえいて素晴らしい。なかでも、ヴァン・ダイク・パークスとの共演でおなじみのロバート・グリニッジも、スティールパンで参加しているのがスペシャル。とにかくピースフルな雰囲気がそこかしこに漂う傑作なのです。

それにしても、“南米旅行” というアルバム・タイトルには、それだけで胸をキュンキュンさせられますね。すべての旅人に、まったりとリラックスしながら聴いてもらいたい、日本の名作アルバムです。


南米旅行
西岡恭蔵
ア-トユニオン
2016-08-17


ディランにて
西岡恭蔵
キングレコード
2012-10-03


街行き村行き
西岡恭蔵
キングレコード
2012-10-03


ろっかばいまいべいびい
西岡恭蔵
徳間ジャパンコミュニケーションズ
2003-01-22


Yoh-Sollo
西岡恭蔵
ミディ
1998-02-01


New York to Jam
西岡恭蔵
ミディ
1998-02-01


「ミュージック・マガジン」でアルゼンチン音楽最新事情

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今月発売の「ミュージック・マガジン」では、“アルゼンチン音楽の現在”と題して、10ページに渡る大特集が組まれています。「ラティーナ」誌以外で、ここまで大々的に新しいアルゼンチン音楽が取り上げられたのは、あまり例を見ないんじゃないでしょうか。

【参考】
ミュージック・マガジン: 10月号

というわけで、本特集の大部分を執筆させていただきました。内容は、昨今のアルゼンチン音楽事情についての総論を4ページ、先日赤・セカ・トリオのメンバーとして来日したアンドレス・ベエウサエルトのインタビュー2ページ、そしてこの3年くらいにリリースされた重要作品のディスク・ガイドを19枚分で4ページという内容。なお、ディスクガイドの半分は、今日本でいちばん新しいアルゼンチン音楽を聴いているであろう宮本剛志さんにお願いし、それ以外の原稿はすべて書きました。



それにしても、ここ最近のアルゼンチン音楽はいい意味でヤバいです。とにかく、毎月のように新しいアーティストが登場し、どれもがウルトラ級の傑作を作り出しています。CDが発売されていないバンドやシンガーも多く、Bandcampなどでチェックし始めると、あっという間に軽く数時間経ってしまうほど。3年前に出版した『アルゼンチン音楽手帖』が、もはや古く感じてしまうくらいのスピードなのです。クリバス、8(オチョ)、ナディスなどは、日本でも入荷するとすぐに品切れになるくらいの人気だとか。

そんなわけで、面白い音楽が聴けていないなあと思う方は、ぜひともアルゼンチン音楽の扉を叩いていただきたい。そのためのガイドとしては、間違いない特集だと思います。


ミュージックマガジン 2016年 10 月号
ミュージックマガジン
2016-09-20




ボーイ・ミーツ・ガール『リール・ライフ』のライナーノーツを書きました。

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 ボーイ・ミーツ・ガール(Boy Meets Girl)『リール・ライフ(Reel Life)』のライナーノーツを書かせていただきました。ソニー・ミュージックの大人気シリーズ「AOR CITY 1000」の一枚。以前、ホール&オーツのライナーを書いたことを、本ブログでもご紹介済みです。

【参考】
Boy Meets Girl: Official Website
Sony Music: AOR CITY 1000

「懐かしい!」と思った方、歳がばれますね(笑) 。 1988年に発表されたアルバムの再発です。ボーイ・ミーツ・ガールは、ジョージ・メリルとシャノン・ルビカムという男女によるデュオ・グループ。1985年にアルバム『ボーイ・ミーツ・ガール(Boy Meets Girl)』でデビューし、「Oh Girl」がヒットしたことで知られるようになりました。この『リール・ライフ』は2作目で、フィル・コリンズなどを手がけて成功したアリフ・マーディンをプロデュースに迎えた、いかにも80年代末的ポップ・ロックな内容です。なかでも「スター・トゥ・フォール(Waiting For A Star To Fall)」は大ヒットしたので、耳にしたことがある人も多いでしょう。





でも実は、彼らはソングライター ・チームとして先に成功しているんです。もっとも有名なのは、ホイットニー・ヒューストンに提供した「恋はてさぐり(How Will I Know)」と「すてきなSomebody(I Wanna Dance With Somebody)」というダンサブルなナンバー。他にも、デニース・ウィリアムスやベット・ミドラーなどにも楽曲提供して、米国では確固たる地位を築いています。





グループとしては、2000年代初頭から休止状態なので、すっかり忘れられた存在になってしまっていますが、一向に衰えない80sリバイバルのブームで復活しないかな、なんて思ったりしている今日この頃です。


リール・ライフ(期間生産限定盤)
ボーイ・ミーツ・ガール
SMJ
2016-08-17


BOY MEETS GIRL
BOY MEETS GIRL
A&M
2006-06-29


NEW DREAM
BOY MEETS GIRL
BOY MEETS GIRL MUSIC
2011-09-30


Wonderground
Boymeetsgirl Music
CD Baby.Com/Indys
2003-12-16


野原廣信『琉球古典音楽決定盤 〜命ど宝どう〜』のライナーノーツを書きました。

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野原廣信『琉球古典音楽決定盤 〜命ど宝どう〜』のライナーノーツを書かせていただきました。

【参考】
リスペクトレコード: 野原廣信『琉球古典音楽決定盤 〜命ど宝どう〜』

沖縄に移住して3年半経ちましたが、こんな本格的な沖縄音楽の解説を書かせていただくとは本当に光栄です。本作は、唄三線の名人・野原廣信氏が、琉球古典音楽の定番曲17曲を魂込めて歌いきった、文字通りの決定盤です。

琉球古典音楽といっても、すぐにピンと来る人はそうそういないのではないでしょうか。三線の音色や沖縄音階は今でこそ珍しくなくなりましたが、「安里屋ユンタ」や「てぃんさぐぬ花」といった沖縄らしい楽曲はたいてい民謡です。民謡はいわゆる大衆の間で生まれて広まったもの。一方、古典音楽というのは、琉球王朝時代に中国や薩摩藩からの客人をもてなすために発展したもので、同じような楽器を使っていてもまったくルーツが違うのです。簡単にいうと、盆踊りやソーラン節と、雅楽や純邦楽との違いのようなものでしょうか。



有名曲でいうと、沖縄の結婚式では必ず歌われるという「かぎやで風節」というのがありますが、それ以外はそれほど馴染みがあるわけではありません。しかし、民謡とはまた違って、ゆったりとしたメロディとリズム、そして味わい深い唄を聴いていると、琉球王朝の高貴な雰囲気を感じることが出来ます。

このアルバムでは、唄と三線に加え、笛と琴がサポートで入っているのも特徴で、独特の間を持つアンサンブルも聴きどころ。また、解説にも書いたのですが、恋愛を描いたように見える歌詞に、痛烈な社会批判の意味が込められたりしていて、実に奥が深いのです。もちろん、対訳も付いているので、聴きながら歌詞の響きと、そこに込められた思いを楽しめます

僕自身は、琉球古典音楽に精通しているわけではありませんが、今回依頼されたのは、入門編としてわかり易く解説いて欲しいという趣旨があったから。野原さんに直接お話を聴いたりして勉強しつつ、誰にでもわかるようにその魅力を噛み砕いて書いたつもりです。ぜひ、少しでも沖縄音楽に興味があれば、聴いていただきたい一枚です。ちなみに、工工四(くんくんしー)という沖縄音楽特有の譜面も付いているので、三線を弾く方にもおすすめします。

独唱による琉球古典音楽決定盤
野原廣信
リスペクトレコード
2016-07-27


ホール&オーツ『モダン・ヴォイス』のライナーノーツを書きました。

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ダリル・ホール&ジョン・オーツ(Daryl Hall & John Oates)のアルバム『モダン・ヴォイス(Voices)』のライナーノーツを書かせていただきました。もちろん新譜ではなく、AORの廉価盤シリーズの一環で新装して再発されたものの一枚です。

【参考】
ソニー・ミュージック AOR CITY 1000: 特設Website

これまでにもいろいろとライナーノーツを書かせていただいてきましたが、今回はかなり特別。というのも、ティーンエイジャーの頃の愛聴盤だからです。とくに、シングル・ヒットした「キッス・オン・マイ・リスト(Kiss On My List)」は、彼らの数ある名曲の中でももっとも大好きなナンバーで、大学時代に軽音楽部で活動していたバンドでもコピーした想い出の一曲。



そんな多感な頃に聴いていた音楽について、文章を書くとは感慨ひとしおです。思えば、40代になってから、大貫妙子さんや元ピチカート・ファイヴの小西康陽さんや野宮真貴さんにインタビューさせてもらったり、佐野元春さんとライヴ制作のお仕事で関わったり、実際にお会いしていなくてもファンだったアーティストや愛聴盤についての文章を書くようになったりと、つくづく音楽の仕事を続けてきてよかったなと思うことが多々あります。本当に今の自分は恵まれているなあと、あらためて感謝。

さて、この名盤『モダン・ヴォイス』は、1980年に発表された彼らの過渡期の作品で、セールスに伸び悩んでいた時に思い切って初めてセルフ・プロデュースに挑んだ意欲作です。当時のニュー・ウェイヴやパワー・ポップっぽいロックに、ソウルやゴスペルの要素を加えたミクスチャーAOR。時代を感じさせる音ではありますが、今聴いてもなかなか新鮮で、今回あらためて聴いていろんな発見がありました。ライナーノーツも、廉価盤ということで字数に限りはありましたが、新譜感覚で聴いてもらえるよう意識して書いています。もしまだ聴いたことがないという方は、ぜひお手にとっていただけると嬉しいです。だって、1000円なんですから。



それにしても、この「AOR CITY 1000」のシリーズは、あらためて聴きたいものばかり。ボズ・スキャッグス、ネッド・ドヒニー、J.D.サウザーといった大定番から、ナイジェル・オルソンやジェラード・ケニーなどの聴いたことのないマイナー盤までずらりと並びます。そうそう、8/17リリースの第2弾では、わかる人にはわかるボーイ・ミーツ・ガールの『リール・ライフ』のライナーも書かせていただきました。この夏は畳の上でゴロゴロ昼寝しながらAORを聴く。そんな理想的なバケーションを過ごせるといいなあ、なあんて妄想しています。

モダン・ヴォイス(期間生産限定盤)
ダリル・ホール & ジョン・オーツ
SMJ
2016-07-27


リール・ライフ(期間生産限定盤)
ボーイ・ミーツ・ガール
SMJ
2016-08-17


シルク・ディグリーズ(期間生産限定盤)
ボズ・スキャッグス
SMJ
2016-07-27


ハード・キャンディ(期間生産限定盤)
ネッド・ドヒニー
SMJ
2016-07-27




ささやく夜(期間生産限定盤)
カーラ・ボノフ
SMJ
2016-07-27




ハートブレイカ―(期間生産限定盤)
ディオンヌ・ワーウィック
SMJ
2016-07-27

 
チェンジング・タイド(期間生産限定盤)
ナイジェル・オルソン
SMJ
2016-07-27

 


ディエゴ・スキッシ・キンテート『ティンバ』のライナーノーツを書きました。

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ディエゴ・スキッシ・キンテート(Diego Schissi Quinteto)のニュー・アルバム『ティンバ(Timba)』のライナーノーツを書かせていただきました。

【参考】
Diego Schissi: Official Website
ディスクユニオン: ディエゴ・スキッシ・キンテート『ティンバ』

ディエゴ・スキッシは、今のアルゼンチン音楽シーンで最も注目されているピアニストであり作曲家。基本的にはジャズやタンゴのシーンで活躍しているのですが、彼の音楽はなかなか斬新なのです。このキンテート(五重奏団)編成によるオリジナル・アルバムは、『Tongos』(2010年)以来ですが、この6年の間にいかに彼の音楽が進化したかも理解できる内容になっています。

ディエゴの演奏するタンゴは、ジャズや現代音楽の影響が強く、かなり実験的。不協和音を多用したり、インプロヴィゼーションを駆使したりとかなり好き放題に演奏するのですが、そこから立ち上ってくるのはまさしくタンゴ特有の哀愁に満ちたブエノスアイレスの薫りというのが見事。何度聴いても新発見があるというユニークな音楽を作り続けています。前作『Tongos』や、カフェ・ビニーロでのライヴ盤『Tipas Y Tipos』(2012年)、アカ・セカ・トリオとの共演ライヴ盤『Hermanos』(2014年)も傑作でしたが、この『Timba』も必聴です。

ディエゴは注目株だけあって、どのショップも入荷してすぐに在庫切れを起こすほど売れているのだとか。アルゼンチン盤はプレスも少ないので、見つけたら早めに購入することをおすすめします。


ティンバ
ディエゴ・スキッシ・キンテート
UNIMUSIC
2016-07-13


エルマノス
アカ・セカ・トリオ+ディエゴ・スキッシ・キンテート
コアポート
2014-07-23




tongos
Diego Schissi Quinteto
Untref Sonoro
2010-12-31


Tren
Diego Schissi
Epsa Music
2015-12-27


『TOKYO BOSSA NOVA CAFE』のライナーノーツを書きました。

TOKYOBOSSANOVACAFE

コンピレーション・アルバム『TOKYO BOSSA NOVA CAFE』のライナーノーツを書かせていただきました。この作品は、いわゆる和製ボサノヴァを集めたもの。1970年代初頭から90年代にかけての日本コロムビア音源がセレクトされています。

【参考】
日本コロムビア: TOKYO BOSSA NOVA CAFE

これまでにも和製ボサノヴァのコンピレーションは何枚も出ていますが、この作品はかなり強烈です。和製ボサノヴァというと、いしだあゆみ「ひとりにしてね」とか森山良子「雨上がりのサンバ」など、1960年代のフォークや歌謡曲にひっそり残されていることは和モノ・レアグルーヴ・ブーム以降、比較的よく知られるようになりました。しかし、『TOKYO BOSSA NOVA CAFE』には、1980年前後のシティ・ポップ系ニューミュージックや歌謡曲の音源がメインで、このあたりは和モノ・マニアもノーチェックのことが多いのです。

1. 夏の光に / やまがたすみこ
2. 哀しみをしるまえに / 河合奈保子
3. そうしましょうね / 庄野真代
4. さよなら八月 / しばたはつみ
5. LONELY AGAIN / 尾崎紀世彦
6. 海岸線 / とんぼ
7. カンパリ / 五十嵐麻利江
8. オリーブの風 / 佐藤奈々子
9. ミス アメリカ / クラックポット
10. 泉に誘って / 木村恵子
11. 不実な口唇 / frasco
12. 気づいたら昼さがり / 早瀬ナオミ
13. あの日にかえりたい / やまがたすみこ
14. 愛を形にするなら / 赤松英弘
15. でんでん虫のおやこ / 鈴木康博
16. 二人の部屋で / 吉川忠英
17. 死んだ男の残したものは / 石川セリ
18. いいじゃないの幸せならば / サンドラ・アレキサンドラ
19. 好きになる素材 / 水沢有美
20. 夢であなたと / 堀江美都子

どうですか、このラインナップ。僕は選曲には関わってなくて、あくまでも解説を書いただけ。コロムビア担当ディレクターの遠藤さんがコツコツと調べて集めた労作なのです。



やまがたすみこや佐藤奈々子あたりはわりと知られていますが、五十嵐麻利江や早瀬ナオミ、水沢有美などは僕も初めて聴きました。90年代のクラックポットや赤松英弘まで押さえているところもなかなか面白い。そして、ラストの堀江美都子の名曲ぶりには驚かされました。

とにかく、この『TOKYO BOSSA NOVA CAFE』は、和製ボサノヴァ・コンピの最終兵器といってもいいくらい、レアな名曲が満載。昨今のシティ・ポップ・ブームにもリンクしているし、この夏のマストアイテムといってもいいでしょう。ぜひ、クーラーの効いた部屋でゴロゴロ寝そべりながら聴いてもらいたい逸品です。


TOKYO BOSSA NOVA CAFE
V.A.
日本コロムビア
2016-06-22


Light Mellow やまがたすみこ
やまがたすみこ
日本コロムビア
2014-10-29


Light Mellow しばたはつみ
しばたはつみ
日本コロムビア
2014-10-29


Light Mellow 佐藤奈々子
佐藤奈々子
日本コロムビア
2014-10-29


珈琲 ボサノバ
V.A.
日本コロムビア
2012-12-19


Akira Kosemura『MOMENTARY: Memories of the Beginning』のライナーノーツを書きました。

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Akira Kosemura(小瀬村晶)さんの新作アルバム『MOMENTARY: Memories of the Beginning』のライナーノーツを書かせていただきました。ここしばらくはサントラや企画色の強い作品が多かったので、オリジナル・アルバムとしては、5年ぶりだそうです。

【参考】
Akira Koemura: Official Website

小瀬村さんは、ピアノをメインにした作曲家であり、プロデューサーとしても活動されているアーティスト。2007年に『It's on Everything』というアルバムでデビューして以来、パーソナルなピアノ・ソロから小編成のアンサンブル、舞台音楽やオーケストレーションを駆使した映画のサウンドトラック、写真家やフラワー・アーティストとのコラボまで、ユニークな作品を多数発表しています。また、scholeというレーベルを主宰し、フランス人ピアニストのクエンティン・サージャックを始め、素晴らしいアーティストを紹介する役目を担ってもいます。



今回の新作は、半数以上がヴォーカル・ナンバーというこれまでになかった意欲作。やなぎなぎ、nikiie、lasah、Shayleeという日本人シンガーに加え、なんとUSフリー・フォークの騎手であるデヴェンドラ・バンハートが参加しているのも驚き。加えて、自身も2曲で歌を披露するなど、ヴォーカル・アルバムとしての印象が濃厚です。インストも、ピアノ・ソロや室内楽風のもの、エレクトロニカを取り入れた作品まで多彩で、これまでの集大成といってもいいクオリティを誇っているのです。



通常、こういった様々なタイプの楽曲を集めていると、散漫な印象になりかねないのですが、バシッと一本筋の通ったトータリティーを感じさせるのがさすが。“生命の瞬き”をテーマにしたというスケール感も相まって、どこか個人的な印象が強かったこれまでの作品とは一線を画しています。



あと、彼の作品はアートワークが素晴らしいのも特徴です。配信もされているのですが、ぜひフィジカルのCDを手にとっていただきたいと思います。



新しい挑戦が見事に成功したこの『MOMENTARY: Memories of the Beginning』は、現時点での彼の最高傑作であることは間違いありません。そして、早くも次の展開が気になってしまうという、なんとも罪なアルバムなのです。




For 【CD/DVD/Photobook(64P)】
Akira Kosemura
SCHOLE INC.
2015-11-25


TRIO
AKIRA KOSEMURA
SCHOLE INC.
2015-04-16


最後の命 EMBERS
Akira Kosemura
SCHOLE
2014-10-08


虹の彼方-seven colors variations-
Akira Kosemura
Schole
2013-11-13


DUO
AKIRA KOSEMURA
schole
2013-02-04


SOLO
小瀬村晶
Schole
2013-07-13


MANON
Akira Kosemura
Schole
2012-05-23


how my heart sings
Akira Kosemura
schole
2011-04-11


Grassland(初回限定盤)(DVD付)
Akira Kosemura
Schole
2010-02-13


Polaroid Piano
Akira Kosemura
Someone Good
2009-10-20


Tiny Musical
Akira Kosemura
SCHOLE
2015-07-27


It's on Everything + (reissue)
Akira Kosemura
Someone Good
2014-07-24


メアリー・ラティモア『アット・ザ・ダム』のライナーノーツを書きました。

MaryLattimore_AtTheDam

メアリー・ラティモア(Mary Lattimore)の新作アルバム『アット・ザ・ダム(At The Dam)』のライナーノーツを書かせていただきました。

【参考】
Mary Lattimore: Official Website

メアリー・ラティモアは、フィラデルフィア出身のハープ奏者。ハープというと、どうしてもクラシックのイメージがありますよね。実際、彼女もクラシックの素養を持つプレイヤーなのですが、アーティストとして生み出す音楽はとにかくユニーク。楽器の音色をエフェクターで加工したり、シンセサイザーやギターを絶妙にミックスしながら、どのジャンルにもあてはまらない不思議なサウンドを作り出していくのです。その個性派ぶりは、サーストン・ムーア、カート・ヴァイル、シャロン・ヴァン・エッテンなど、ちょっと尖ったアーティストたちの作品にも参加しているといえば伝わるでしょうか。



この新作『アット・ザ・ダム』も、ボーナストラックを含めて6曲収録していますが、基本的にはソロ演奏なのに、聴いていると宇宙的な広がりを感じられます。アメリカ横断旅行をしながらインスピレーションを受けて作ったというだけあって、独特の浮遊感も見事。目を閉じながら音に包み込まれていると、どこか遠くへ行ってしまいそうな気分になります。



現代音楽やアコースティック音楽ファンはもちろん、エレクトロニカやポスト・ロックとしても聴くべき価値のある傑作。ぜひ、旅する気分、夢見る気分で楽しんでいただければと思います。


At The Dam
Mary Lattimore
Plancha
2016-05-31




Slant of Light
Mary Lattimore
Thrill Jockey
2014-09-23


The Withdrawing Room
Desire Path Recordings
2015-04-06

栗本斉 Kurimoto Hitoshi

旅と音楽をこよなく愛する旅人/旅&音楽ライター/選曲家。

★お仕事の依頼や、旅と音楽に関するご質問はこちらのメールアドレス、またはTwitterFacebookからお気軽にお問い合せください。

★プロフィール
1970年、大阪府生まれ。

レコード会社勤務中の90年代初頭から、和モノDJ&音楽ライターとして活動開始。“喫茶ロック”シリーズなどを立ち上げる。

2005年1月から2007年1月まで、知られざる音楽を求めて中南米を放浪。2年間で行った国は、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、チリ、ボリビア、ペルー、エクアドル、コロンビア、ベネズエラ、トリニダード・トバゴ、パナマ、メキシコ、キューバの、合計14カ国。

帰国後は旅と音楽にこだわり、ラジオや機内放送の企画構成選曲、音楽&旅ライター、コンピレーションCD企画、ライナーノーツ執筆、講演やトークイベント、結婚式場のBGMコーディネート、ビルボードライブのブッキング企画などで活動中。現在は沖縄県糸満市在住。

得意分野はアルゼンチン、ラテン音楽、ワールドミュージック、和モノ、中南米ラテン旅、沖縄、世界遺産など。

著書に『アルゼンチン音楽手帖』(DU BOOKS)、『ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖』(マイナビ)、『Light Mellow和モノSpecial ~more 160 items~』(共著・ラトルズ)、『喫茶ロック』(共著・ソニーマガジンズ)など。

★主な著書
栗本斉・著『アルゼンチン音楽手帖』(DU BOOKS)
栗本斉・写真と文
 『ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖』(マイナビ)

★ライナーノーツ(2013〜2014)
セルジオ・メンデス『マジック』
ファビオ・カドーレ『インスタンチ』
ナタリー・デセイ&フレンズ『リオ⇔パリ 〜 ブラジルへのラヴ・コール』
マノロ・フアレス・イ・ス・トリオ『デ・アキ・エン・マス』
オリジナル・サウンドトラック『LIFE!』
ステファン・ポンポニャック『BLOODY FRENCH』
ベレン・イレー『ソンブラ・デ・オンブー』
ARIA『New Moon Daughter』
VA『暮らしの音楽 ブエノスアイレス』
Monday満ちる『BRASILIFIED』
アディティア・ソフィアン『ハウ・トゥ・ストップ・タイム』
ミシェル・カミロ『ワッツ・アップ?』
ギジェルモ・リソット『情景の記憶〜ソロ・ギターラII』
バホフォンド『プレセンテ』
ロベルト・フォンセカ『ジョ』、他

★All About(オールアバウト)で「アルゼンチン」のガイドをしています。

★雑誌「FIGARO japon」で音楽ページのコーディネート&ライティングを担当しています。

「SANKEI EXPRESS」紙で音楽コラム(ワールドミュージック中心)の連載中。

★JALの機内誌「SKYWARD スカイワード」で、旅と音楽のコラム“旅する音楽”を連載中。

Billboard Japanのウェブサイトで連載“栗本斉の楽園おんがく”やレビュー、特集記事などを執筆中。

Real Soundで、“栗本斉の「温故知新 聴き倒しの旅」”を連載中。

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