旅人シンガーの松田美緒と、ブラジルの巨匠ジョアン・リラ(Joao Lyra)の共演ライヴを観に行った。松田美緒の新作『Asas』では、ジョアンがピアノのクリストーヴァン・バストスと2人だけでバッキングしていてシンプルなサウンドと歌を聴かせているが、この日はツアー最終日ということもあり、たくさんのゲスト・ミュージシャンが登場して賑やかな演奏を繰り広げてくれた。参加ミュージシャンを列挙すると、笹子重治(ギター)、秋岡欧(バンドリン)、福和誠司(パーカッション)、石川智(パーカッション)、黒田京子(ピアノ)、江藤有希(ヴァイオリン)、山田裕(ギター)、ジョゼ・ピニェイロ(ヴォーカル)と、よくこれだけ集めたものだと感心してしまうくらい。もちろん、これだけ集まれば演奏も最高。楽曲によって楽器編成は変わり、アルバムの内容通りのしっとりとしたサウンドはもちろん、ブラジル北東部のリズムを大胆に取り入れたマラカトゥやココの楽曲も気持ちいい。そして何より、彼女のヴォーカルがストレートに耳に入ってきて、ポジティヴな力強さを感じさせてくれる。“ブラジル音楽=癒し”という単純イメージでとらえている人は、ぜひ彼女の歌声を聴いてもらいたいものだ。ジョアンのギターも素晴らしく、ソロ・パートで弾いたインストも凄かったし、松田&ジョアンの2人だけで披露した「ピタンガ!」には圧倒させられた。以前インタビューした時には、「次はハイチに行くつもり」と言っていた根っからの旅人である松田美緒。次のステップが楽しみになるライヴだった。
