2008年10月15日

写真集「スマイルプラネット」に込めたメッセージ

 写真集「スマイルプラネット」が完成し、あとは書店に並ぶのを待つばかりになりました。
 構成から印刷の質にいたるまで、細かい部分まで出版社と話し合って、納得できるものが作れました。自信作です。発売を楽しみにしてください。

 以前、このブログで「スマイルプラネットはメッセージブックだ」と書きましたが、それがどんなメッセージなのかを、少し書いてみようと思います。
 もちろん、実際に本を読んでもらうのが一番早いのですが、僕が「スマイルプラネット」という本を作ろうと思った背景のようなものを、皆さんにも知ってもらいたいのです。

 今、テレビや新聞にはネガティブなニュースが溢れています。
 物価の高騰、景気の後退、食品の偽装、動機なき殺人。最近は政治不信も加わりました。不安を煽り立てるトピックには事欠かない状況です。
 どれも報道する価値のあるものなのでしょう。あるいは視聴者がそういう情報を求めているから、報道しているのかもしれません。善か悪か、加害者か被害者か、安心か不安か、それがはっきりしないようなトピックは、人々の関心を呼ばないのかもしれません。

 でも、そういうネガティブなニュースを浴び続けていると、僕は心底うんざりした気持ちになるのです。
 日本中が必死になって誰かを叩こうとしている、「悪者さがし」をしているように見えるのです。首尾良く「悪者」が見つかると、そいつを叩いて叩いて、叩くのに飽きまで叩き続ける。そして次のターゲットをさがす。
 今の日本は「不安」を燃料にして動き続ける「不安駆動型社会」になっているように思うのです。



 実際には、日本は世界でもトップレベルの安全な国です。(世間のイメージと違って)青少年の犯罪率もとても低いし、(問題が噴出しているけれど)年金制度だってまだ機能しています。戦争もテロもないし、自然災害に対しても強い。
 逆に、とても安全な国になったからこそ、些細な不安や小さなほころびが許容できなくなっているのではないか。僕にはそう感じられるのです。何度も何度も手洗いをしなければ落ち着かない強迫神経症の人のように、少しでも不安の種があるとそれを取り除かずにはいられなくなっているのではないか。

 アジアに目を転じてみると、日本のように何もかもが手際よく整った安全な国はまずありません。特に僕が旅をする国々――カンボジアやバングラデシュや東ティモールやネパールなど――は衛生面でも、経済面でも、教育の面でも、劣悪と言ってもいいところばかりです。戦争や貧困といった命を脅かす危険と隣り合わせの国もある。



 でも、どうしてだろう。
 そういう国の人々の目は、どうしようもなくキラキラと輝いているんですね。
 何が違うんでしょうか?
 僕らに何かが不足しているのか。あるいは何かが「過剰」なのでしょうか。

 僕には偉そうなことは言えません。世界から貧困をなくすために、あるいは環境問題を解決するために、画期的なアイデアを提示できるわけでもない。
 僕に言えるのは、「ものを見る角度をちょっとだけ変えてみようよ」ということだけです。



 不安にばかり目を向けていれば、どんな些細なことにも不安を感じるようになる。
 でも、ものごとのポジティブな面に目を向ければ、きっと世界は違って見えてくる。
 何もしないでも、ただそこにいるだけで輝いているものがある。
 それに目を向けるだけで、生きることが楽しくなるじゃないか。

 僕は写真集「スマイルプラネット」にそんなポジティブなメッセージを込めたつもりです。




tabisora at 19:55コメント(3)トラックバック(0)お知らせ  

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コメント一覧

1. Posted by アシシ@札幌   2008年10月21日 11:05
どうも。土曜日名刺交換させて頂いたアシシです。

今実家の札幌に帰ってきています。

最後の質問回答のタイミングで、

”カメラを通して、「視点」を提供している”

と三井さんはおっしゃってました。このメッセージに僕は感銘を受けました。

そして、このブログのエントリーの文章を読んで、理解が更に深まりました。

来年6月から僕も旅に出るんですが、アジアのどこかで落ち合えたら面白そうですね。
2. Posted by tabisora   2008年10月21日 12:01
僕も「旅人」と名刺に書いてみたいものだと思っています。
今のところは写真家ですが。
サッカーを通じた旅をされるとのこと。ユニークな企画ですね。
次の旅の様子もネットを通じて拝見させていただきます。
お互いによい旅を!

3. Posted by キャセロール   2009年09月13日 17:34
はじめまして、キャセロール編集人と申します。
三井さんの写真集「スマイル プラネット」拝読しました。とてもすてきな写真集ですね。
拙ブログに、感想文をアップしました。ご笑覧いただければ幸いです。
これからのますますのご活躍をお祈りいたします。

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三井昌志プロフィール
1974年生まれ。東京都在住。
旅写真家・フリーライター。
機械メーカーで働いた後、2000年12月から10ヶ月に渡ってユーラシア大陸一周の旅に出る。
帰国後ホームページ「たびそら」を立ち上げ、大きな反響を得る。以降、アジアを中心に旅を続けながら、人々のありのままの表情を写真に撮り続けている。旅した国は36ヶ国。
2003年12月には初の写真集「アジアの瞳」を出版。
2005年9月には写文集「素顔のアジア」を出版。
2006年8月には、写真集「アジアンスマイル」シリーズの第1弾と2弾「美少女の輝き」「子供たちの笑顔」が同時出版される。

2006-08年にはバイクを借りて気ままにアジアを旅する「バタフライ・ライフ」を堪能。この自由な旅の魅力を伝えるための新ブログを立ち上げる。

三井昌志の本

「この星のはたらきもの」
「働く人は美しい」をキーワードに、働くこと、生きることの喜びにあふれた人々の表情を世界中から集めました。
(2009/10 パロル舎)



「スマイルプラネット」
この世界にたったひとつしかない、とびきりの笑顔を探して、ぼくは旅に出た。かけがえのない「笑顔の星」へのメッセージがつまった一冊。
(2008/10 パロル舎)



「子供たちの笑顔」
笑顔には国境なんてない。遊び、学び、働き、共に笑う…。アジアで暮らす子供たちのありのままの姿を収めた写真集。
(2006/08 グラフィック社)



「美少女の輝き」
ある時期に現れ、ある時期になると消えてしまう。そんな特別なオーラを身につけた少女たちの輝く瞳を集めた写真集。
(2006/08 グラフィック社)



「素顔のアジア」
津波後のインドネシアや内戦後のアフガニスタンを歩き回り、人々の逞しさと笑顔の価値を知った。旅写真家の新境地。
(2005/09 ソフトバンク・クリエイティブ)



「アジアの瞳」

会社を辞めて出かけたユーラシア一周の旅。初めての海外旅行で出会った人々の姿を写真に収めた。旅写真家の出発点。
(2003/12 スリーエー・ネットワーク)

※ 各写真集は「たびそら@通販部」でお買い求めいただけます。



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