- Date :
- 2008年12月22日
- Category :
- その他
どんな心を持てるかが、幸せの鍵なのかもしれないね。
- Date :
- 2008年12月15日
- Category :
- 小説
「世界が終わる前の最後の日没って見たくない?」
イリルはテトラポットに座り、水平線の向こうを見つめながら言った。
「え?」
僕は言葉の意味が分からず、そう聞き返した。
「見たくない? 最後の日没……」
イリルはそう続けた。
「最後の日没……?」
僕は再び聞き返した。
「見れるよ。見せてやるよ」
イリルは齧りかけのせんべいをテトラポットとテトラポットの隙間の海へと
落とした。
「確かにもうすぐ日没の時間だけど、一体何が……?」
僕は戸惑って彼に尋ねた。
日没が始まった。眩しい光が僕等二人を照らす。僕等は手を目の前にかざして、
目を細めて光を見つめた。
「それはこういうことだ!」
イリルはそう言って僕の背中をドンッと強く押した。僕の体は遥か下の海へ
テトラポットに何度も体をぶつけながら落ちた。
イリルは両の手のひらを合わせてお辞儀をした。
虫の息になった僕が遥か上にいるイリルを見上げると、イリルの目は異様な色
を帯びてギンギンと輝いていた。