2020年12月04日

原作「ルパン三世」に関する3つの誤解 の巻

SNSをはじめ、世間でよく流れている原作「ルパン三世」に関する3つの誤解について。
…あっ、ちょっとその前に。
この『原作「ルパン三世」』っていう言い方、ホント言うと好きじゃないんだよな。
まあ、どの作品を指してるのかわかりやすくするために、オレもイヤイヤながらも便宜上仕方なく「原作ルパン」とか言う事はあるけど、本音ではちょっと引っかかっているのだ。
ホント〜はただ単に「ルパン三世」と言ったらモンキー・パンチさんの漫画の「ルパン三世」の事で、テレビや映画のルパンを「アニメ版ルパン三世」と言うべきなんだよ!
ところが今や単に「ルパン三世」と言ったらアニメ版の事で、モンキー先生の漫画の事はいちいち「原作」ってつけるのが定番になっているという、ヒジョ〜に嘆かわしい風潮が広まっている。
どっちが元祖だかわかっとるのかね!?
まったくけしからんよ、キミィ。

……まあ、でもコレはそう大した問題ではない。
オレも不本意ながらも「原作ルパン」って使うしね。

もっと問題なのは、次の3つの誤解の方なのだ。
まずひとつ目の誤解。

★誤解その1【原作ルパンはハードでダーク】
コレはとにかくやたらと目にする。
「原作はアニメのようなおちゃらけは少なく殺伐としている」とかね。
オレに言わせりゃ「ハァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!? 一体何の作品の事を言ってるんデスカ?」てなモンだよ、キミィ。
まあ、おそらくコレは原作をチラッと見ただけ、もしくは、原作の画像をネットで見かけたヒトが頭の中で原作のイメージを「勝手に」作り上げて、知ったような顔をして言ってるんだろうと思う。
このテのヒトは「『LUPIN the Third 峰不二子という女』は原作に近い!」とか見当ハズレな事を言いがちなので注意が必要だ(ワライ)。
「ルパン三世」「ルパン三世新冒険」「新ルパン三世」全部読んでてもなお「原作はハードでダーク…等々」と言ってるヒトがいたとしたら、それはその方の感性がヒジョ〜に珍しい、変わったタイプのヒトなのだろう。
まあそれはそれで、そのヒトの勝手なのでオレからは何も言う事は無い。
それはサテ置き、モンキー先生の原作は「MADマガジン」のユーモア精神を受け継いだ、ゲラゲラ笑えるお色気アクションギャグ漫画、というのが正しい評価なのでアル(キッパリ)。
いくら人が死のうが、モンキー先生の漫画では生々しく悲惨なムードは薄く、そんな事よりも絵の表現のオモシロさやユーモラスなムードの方が印象に残る。
漫画アクションの傑作表紙イラストでは毎回のように微笑む美女の横で、オトコが実に様々な手法で人体破壊されているのもお馴染みだ(ワライ)。
それらを見ても悲惨な殺伐とした雰囲気を感じないのは、MADイズムを受け継いだモンキー先生ならではの乾いたユーモアがあるからだ。
原作にもシリアスな話はあるが、それらは例外と言っていいほど少ないし、それらの回の中にも必ずどこかにユーモアを盛り込んであるくらいだし。
みんなもこれからは「原作はハードでダーク」ではなく「原作はユーモラスでファニー」と言おう。
はい、次!
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★誤解その2【モンキー先生はジャン=ポール・ベルモンドをモデルにしてルパンを描いた】
コレもちょくちょく目にする誤解だ。
ベルモンドにはルパンっぽい雰囲気があるし顔もなんとなく似てるし、そう思いたくなる気持ちはわかるのだが事実ではない。
モンキー先生はアルセーヌ・ルパンとジェームズ・ボンドを合わせたようなキャラクターをMADマガジンの漫画のような絵で描こうと思って「ルパン三世」を描いたのだ。
これは複数のインタビュー等で同様の事を何度も話しているので間違いない。
また1994年に、オレが仕事を通じて知り合った編集者が文章の執筆依頼でモンキー先生の仕事場に行った時に、モンキー先生はルパン三世というキャラクターを作る時にベルモンドの事は考えてなかったとハッキリと話されていたという。
当時、モンキー先生からその話を聞いてきたばかりだというその編集者からその事を聞いてオレも興味深かったのを覚えている。
ちなみにその際、モンキー先生は次元大介を描く時はジェームズ・コバーンを意識していたという事も聞いたという。
まあ、次元大介初登場の時からコバーンを意識していたのか、あるいは描き進めるうちに意識したのかはわからないが。
ルパン三世公式マガジンでのモンキー先生のインタビューでもベルモンドがモデルではないという話をされているので、もうこれは疑いようの無い事実なのである。
追悼、モンキー・パンチ ある漫画家の60年間の軌跡(双葉社)」にインタビューが再録されているので是非読んでいただきたい。
…で、問題のベルモンドだが、おそらく大隅正秋さんか誰かがアニメルパンの制作現場で「ベルモンドっぽい雰囲気で」くらいの事は言ってたのではないかと思う。
それはいかにもありそうで充分考えられる。
ルパンも吹替版ベルモンドも、声は山田康雄さんが担当してるという共通点があるしね。
みんなもこれからは「モンキー先生はジャン=ポール・ベルモンドをモデルにしてルパンを描いた」ではなく「モンキー先生はジェームズ・ボンドをモデルにしてルパンを描いた」と言おう。
はい、次!
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★誤解その3【モンキー先生はカリオストロの城に激怒した】
コレは数えきれないほど目にしてきた定番の誤解。
もうかなり誤解は解けているかと思いきや、「モンキーパンチがカリ城を見てキレたのは有名な話」等と見てきたかのように得意顔で的ハズレな事を言うヤカラもまだまだ存在する。
このテのヒトというのは「有名な話」とか言う割に、その根拠となる文献等の資料を一切提示しないのが特徴だ。
どうも世の中には、人気があって名作と言われている作品を見ると、なんだカンだと話を捏造してまでもその作品を貶めたいというつまらな〜い連中がいるようで困ったものだ。
「俺、実はその裏話知ってるんだぜ。原作者はカリ城が大嫌いで…」とか言ったら通に見られるとカン違いして、裏付けも何もとれてないドッカで聞いたデマを平然とタレ流す連中ね。
モンキー先生が複数のインタビュー等で語っているように、先生は「カリオストロの城」に対しては「名作ですね」と言って質の高さを充分に認めているし、少しも嫌ってなどいない。
ただ自分の漫画のルパンとは違う、と当然の事を話されているだけなのだ。

とても印象的だったので今でもよく覚えているのだが、オレが1995年にモンキー先生の仕事場にお邪魔した時に先生は実に嬉しそうにこう話されていた。
アメリカやヨーロッパに行った時に「ルパン三世の作者です」って言うと、みんな「カリオストロの城」を知ってるのですぐに「ああ、あのルパンの!」と話が早い。ホントにあの作品(カリ城)の影響力は凄いね、…と。
その話しぶりといい笑顔といい、ルパン三世という自分のキャラクターを国際的に有名にしてくれた事に感謝している様子だった。
みんなもこれからは「モンキー先生はカリオストロの城に激怒した」ではなく「モンキー先生はカリオストロの城に感心した」と言おう。
じゃあ、また来週!


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Posted by tad_hoshiya at 14:05│Comments(0) モンキー・パンチさん