都市伝説 黒い少女 【とりあえず完結】

その頃、ネットで命を買う少女のことが話題になっていた。 人は、彼女を黒い少女と呼んだ・・・。         「ライトなラノベコンテスト」に参加させていただきました。よろしくお願い致します。

下記リンクより、第一話から読んでいただけます。よろしくお願いいたします。
http://blog.livedoor.jp/tadano_kouichi/archives/cat_139908.html
こちら↓もいかがでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=SEMGjYVnmzk
http://www.youtube.com/watch?v=7ZaQFdhkE_4

⑦ ~ ダブルピース ~

「メロドラマもいい加減にしてほしいわね。 もう、後戻りはできないのよ。」
黒い少女は、本気のようだ。

奈美が身構えた。(彼女は空手有段者だったりする。)
「えい!」 一瞬の隙を突き、黒い少女が構えた拳銃を蹴り上げた。
Comic 11_024
「うっ・・。」
手から拳銃は空高く蹴り上げられ、なんと奈美の手でキャッチされた。

「形勢逆転ね。」 奈美は真っ赤な顔で、黒い少女に向けて拳銃を構えた。
「奈美!もう、よせ!」 
オレは奈美が何かしでかさないか心配でならなかった。

「お願いします。キャンセルさせてください。違約金は、一生かかっても返します。だから・・・。」 ひたすら謝るしかない、土下座だって辞さない。

「みんなそう言うのよね。」
黒い少女は少し考え、とんでもない提案をしてきた。

「そうね、私を撃てればキャンセルしてあげてもいいわよ。撃てればね。」
「馬鹿にしないで!」 
頭に血が上っている奈美は、本当に撃ってしまうかもしれない。

「よせ!奈美!やめろ!」
オレがとめるのも聞かず、奈美は引き金を引く。
カチッ、カチッと何度か音がしたが、タマは出なかった。

「タ、タマがでない・・・。」 奈美の顔面は蒼白に変わった。

‐ 良かった、おもちゃだったんだ ‐  オレは安堵した。

黒い少女は、あっけに取られている奈美から拳銃を取り返す。
「は~い、ご苦労さん。安全装置って知ってる?」
カチャリと何かレバーを動かす音がした。

「銃はね、こうやって撃つのよ。」 黒い少女は再度拳銃を身構える。

‐ 本物だったんだ! ‐ 

オレは観念し、奈美をかばい、目をきつくつぶった。

「パーン」と、拳銃を撃つ音があたりに響き渡った。

‐ あたっていない? ‐

黒い少女は空に向かって拳銃を撃ったのだった。

なにやら「ピポ」「ピポ」と音がする。黒い少女がスマホを操作しているようだ。

「はぁい、ボスですか? 黒井です。」 どうやら上司と話をしているらしい。

「被保険者の件、他社と契約済みでした。」

「すみません。キャンセルで処理してください。」
黒い少女は横目でオレたちを見ている。

電話はまだ終わっていないようだが、いったんスマホを顔から外した黒い少女は、ため息をつきながらオレたちに告げた。

「あんたたち、もうどっか行って。」

‐ 許してくれたんだ! ‐ 

オレと奈美は深々と頭を下げる。
「本当にすみませんでした。」 「ありがとうございました。」

すぐに黒い少女から離れ、お互いに目を見つめながら無事を喜んだ。
あまりのうれしさにか、奈美はオレの腕に抱きついてきた。

「やった!これでこういちくんは、わたしのものね!」

これはこれで恐ろしい気がするが、こういう展開もありだろう。

黒い少女の電話は続いていた。
「えぇ、ちょっと手ごわいライバルでした。」

「はい? 落とし前ですか?」
黒い少女は振り返ると、オレたちを見ながらセリフを決めた。

「一生かけて、つぐなってもらいますか。」

それが聞こえたかどうかは定かではないが、奈美はダブルピースを出し、勝利の笑顔を決めていた。
Comic 11_029
その光景に、オレはもう奈美に逆らうことはできないと悟った。

これで、本当に黒い少女と縁は切れたのであろうか? 
いや、甘かった、再びオレの前に現れることになるのである・・・。

‐ とりあえず完 ‐

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

と、言いつつ、続編↓できちゃいました。 よろしくお願いいたします。
http://blog.livedoor.jp/tadano_kouichi2/archives/cat_146860.html

⑥ ~ 奈美の抵抗 ~

「待ちなさいよ!」 奈美は両手を広げ、オレと黒い少女の間に立ちふさがる。

「あなただれ?」 黒い少女は身じろぎもせず、奈美に視線を移す。

「なによ、あんたこそ!」 奈美は激高する。
「こういちくんは行かせないわ!命もらうって何のことよ!」
「奈美、よせ!」 
奈美の興奮は絶頂である。また気を失うのではと、気が気でない。

「こういち君は、お金が必要らしいわよ。」
黒い少女は懐より書類を取り出し、奈美の前に差し出す。
「こういち君との契約書よ。 5千万・・。いったいなんに使うのかしら・・。」

‐ 言うな・・・ ‐  オレはあせった。

奈美はひるむことなく、さらに主張する。
「その契約は無効よ! だって、だって、こういちくんの命は、私のほうが先に契約してるんだからね!(仮契約? だけど・・)」  

「あら、あなた受け取り人よ。奈美さん。」  よく見ろと書類を近づける。
「はぁ?」 確かにオレの字で、奈美の名前が書いてある。
「よせ!やめろ!」 こんなこと、奈美には知られたくは無かった。

「どういうことなの!」 書類を確認した奈美は振り返り、オレに詰問する。

それをさえぎるように、黒い少女は続ける。
「幼馴染の手術費用を払うためと書いてあるわ。」

「もしかして私のため・。」 奈美は動揺する。
「・・・。」 オレは言葉を発せられない。

「ふざけないでよ・・・。冗談じゃないわよ!」 
叫びながら、奈美はオレのほほにビンタをくれた。
「・・・。」 パーンとあたりに音が響き渡る。やはり言葉を発せられない。

奈美は黒い少女に向い立ち、人差し指を指してにらみつけた。
「契約なら、クーリングオフよ!1週間以内はOKなんだから!」
「日本は、法治国家なんだから!」 両手をひろげて、大きな声で力説する。
Comic 11_022
「非合法な契約に、クーリングオフなんて聞いたことないわ。」
どこから出したのか、黒い少女は自動拳銃を構えた。
「寝言言うんじゃないわ。」

「うっ!」 いきなりの展開にひるむオレと奈美。

「奈美、もうよせ・・・。」 オレはそんな奈美をなだめる。
「オレは奈美に手術を受けてもらって、健康で生きてほしかっだだけなんだ。」

‐ オレはやりたいこともないし、おまえの役に立ちたかったんだ。 ‐

オレの言葉を聞いた奈美は、震えながら(泣きながら)オレに訴える。
「命を売るなんて・・。そんなの間違ってるよ・・。」 ‐ おまえも買ったよな ‐

奈美はオレにしがみついて懇願する。
「私はこういちくんと一緒じゃなきゃいやなの・・。」

「あなたが死んだら私も死ぬからね・・・。」 思いもかけない言葉であった・・・。

⑤ ~ 宴の後で ~

放課後、オレと奈美は速攻で街に繰り出した。

「カラオケするの久っしぶり ♪ 」 奈美はご機嫌だ。

「おっ、ここだ。」 予約しておいたカラオケ店に到着した。

「今日はこのままオールだぞ。覚悟しろよ!」 奈美はおどけて見せた。

「デュエット、デュエット♪」 「どん!」と体をぶつけてくる奈美。
「ああ、思いっきり歌おうぜ。」 それに観念し、答えるオレ。

店内に入ると、さすがに時間が早かったのか、少し広めの部屋が案内された。
部屋に入るや否や、奈美はサクサクっと曲を入れだす。

「ノリがわるいぞ!手拍子、手拍子!」 奈美のオンステージが始まった。
Comic 11_016
‐ ホントにオールするつもりか? ‐ なんだか汗が吹き出てきた・・・。

いったい何曲歌ったのだろうか・・・。まだ日は落ちていないが、もう十分夕方だ。店を出た俺たちは駅へと歩き出す。

「歌った歌った。」 なんだかすがすがしい気分である。
「ヤッホー」 山でもないのに奈美は叫ぶ。十分ガス抜きできた感じだ。

「あれっ?」 前を歩いていた奈美が、突然くらっとよろけてしまう。
「お、おい。」 あわてて抱きとめるオレ。

‐ しまった!無理させてしまった ‐

「おい、奈美、しっかりしろ!」 奈美は意識を失いかけている。
オレの腕の中で「はっ!」とわれに返る奈美。 額に手を当て、小さな声であやまってきた。

「ごめんなさい。少しはしゃぎすぎちゃった。」
「奈美・・。」 オレは奈美の様子を見つめ、どうやら大丈夫なことを察知した。

オレは奈美を家まで送ることにした。

「カバン持ってやるよ。」 「あんまり無理すんなよ。」 少し説教も入れてみる。

「は~い。」 奈美は素直に返事する。

いつのまにか、オレと奈美は手をつないで歩き始めていた。

後ろに車が止まり、誰かの気配がする。「はっ!」として振り向くと、黒い少女が立っていた・・・。そして腕組をしながらオレに告げた。

「お楽しみのところわるいんだけど・・・、お約束の時間となりました。」

すっかり忘れていたが、その時が来たのだった。
黒い少女は上から目線でオレをにらんでいる。

「キャンセルはきかないわよ。さっ、車に乗って。」

「なに、この女?」 あっけに取られた奈美は、こちらを見てオレに確認する。

「都市伝説の黒い少女さ。」 オレは奈美と目線をあわせないように、少しうつむきながら目を閉じ、つぶやくように答え、さらに続けられる黒い少女の言葉に耳を傾けた。

「お命、いただくわよ。こういち君。」  低く声が発せられた。

④ ~ 100円 ~

「もしかして、転校しちゃうの?」 奈美は不安げに問いかける。

オレは腕組みしながら奈美を見つめ、少し間をおいて打ち明ける。

「ひと儲けするために、命を売ろうかと思っているんだ。」

「はあ?・・・。」 呆れ顔の奈美・・・。

「少しまとまったお金が欲しいのさ。」 目線を落としつぶやく。

「・・・。」 何がなんだか分からず、奈美はじっとこっちを見ている。

オレは顔を上げ、そんな奈美の顔を見ながらさらに続ける。
「おまえ、都市伝説の「黒い少女」って知っているか?」

「なぁんだ、バラエティー番組の話か・・。」
ほっとしたのか、下を向いて奈美は笑顔を取り戻し、すぐに顔を上げる。

「じゃあ、わたしがこういちくんの命を買ってあげる。」
「えっ?」 今度はこっちが訳が分からず二度見する。

「オレの命なんか買ってどうするんだよ。」

「わたしのものにしてしまえば、もう、どこにもいけないよね。でも、奈美はあまりお金持ちじゃないから100円だよ。」 満面の笑顔である。

「100円!、大事なことだから二回言いました。」 奈美は人差し指を立てながら力強く宣言する。
Comic 11_013
「こりゃまた、ずいぶんと安いな。おまえらしいや。」 オレは思わず舌打ちをし、そして、何を思ったのか・・・、にやけて言ってしまうのだった。

「よっしゃ!じゃ、仮契約だ。チューさせろや。」

‐ なに言っているんだオレ ‐ 

ノリツッコミというか、我ながら、悪乗りにもほどがあるというものだ。

奈美の顔が真っ赤に染まった。

‐ それ見ろ、赤くなっちゃったじゃないか ‐ 
「かぁぁぁぁ~」と、音が聞こえるようだ。

「い、いいよ、100円だからね。約束よ。忘れないでね。」
・・・もじもじしながら、奈美は受け入れた。

奈美の肩に手を添えながら、オレは思い出していた。
そうだ、おまえは小さいときに、商店街のくじ引きで当たったバス旅行で大きな事故に遭い両親を亡くし、それからは「ばあちゃん」とふたりで暮らしていたよな。

その事故の時、頭の中に入ったなんかの破片が体の成長に伴い位置がずれて脳幹に接触・・・、取り除かないと命の保障はないって・・・。
まあ、生きとし生けるものは、明日のことなど分からないけれど・・・。

‐ 手術の費用、2千万か・・・ ‐

「どうしたの? 早くしてよ。」 間が持てなくなったのか、奈美は催促する。

オレは我に返り、頭をかきながらも取り繕うため、頭がフル回転する。
「や~わりい。チューのことうそ、冗談、マジ許して。」

「うそ?冗談?どういうこと?」 奈美の追求は激しかった。

「メンゴ、メンゴ。おわびに放課後カラオケでも行こか。」

あまりの後ろめたさに、思わずとっさに口に出てしまった・・・。

③ ~ 赤点太郎 ~

あれから3日が過ぎたが、何も連絡は無かった。
今は授業中だが、なんだかそわそわしてしまう。

‐ やっぱりドッキリだったのかな・・・ ‐

「高一くん、34点。」 教室に担任の声が響いた。
自慢じゃないがいつもオレは赤点すれすれだが、ここのところ勝率が悪い。
「はい。」 不覚にも、今日は素直に返事をしてしまった。

「十回連続赤点だ!」 担任は赤い顔をして宣告した。

「うわっ~、はははは、新記録!」 もう開き直り、笑いを取るしかない状況だ。
周りから「赤点太郎」と、嘲笑の声が上がる。

オレはやむ終えず高笑いするが、なにやら視線に気がつく。
たどっていくと、奈美が不愉快そうにこちらをじっと見ていた。
いや、どちらかというと、泣きだしそうな顔であった。

‐ な、なんだよ・・・ ‐

いつものことだろうに、今回は笑いが取れなかったのだろうか・・・。

退屈な授業も終わり、休み時間となった。
オレは奈美の表情が気になり、教室を出て行こうとするところを呼び止めた。

「お~い、奈美。」
「こういちくん!?」
いつも通りの呼びかけだったが、なにやら不可解そうな表情で振り向いた。

「ちょっと来いよ。」
「うん。」

オレは誰もいない化学室に奈美を誘った。

「なに? どうしたの? トイレに行くとこだったんだけど。」
高校生男女が誰もいない教室で二人きりとなると、普通このシュチェーションは告白であろう。しかしながらよくも悪くも、奈美は幼馴染のオレをまったく警戒していない様子だ。

「さっきのところ、笑うところだぞ。どうして泣きそうな顔して見てたんだよ?」
オレは少しきつめに奈美に問いかけてみた。

「もしかして、さっきじろじろ見ちゃって・・・、な、なにか気に障っちゃったかなぁ・・・。わたし、よく言われるんだ、いつも驚いた顔して人を見るって。」
そんな話は初耳であるが、自分で言うのだからそういうこともあるのだろう。

「そんなんじゃないけど・・・、じゃ、ひとつ聞いてもいいか?」
なぜだか、少し勿体つけた言い回しになってしまう。

「おまえ、オレに隠していることとか、変わったこと無いか?」
「わたしはないよ。」あっけない返事であった。

「なんか変な感じ・・・。こういちくんの方が隠し事しているみたい・・・。」
上目使いで、じっとオレを見ている。

「この間ね、こういちくんが遠くに行ってしまう夢を見たの・・・。」
奈美は下を向いて、(少し赤くなっているだろうか)話を続ける。
Comic 11_010
「幼稚園からず~と一緒だったからかなぁ、不安になっちゃった。」
なんだか、こっちも目をあわせられない感じだ。

「相変わらず鋭いな、おまえ。」 斜め目線でオレは答えた。

「えっ?」 奈美は思わず顔を上げる。心のざわめきが聞こえるようだった。

② ~ 契約 ~

オレの通う「県立桜ヶ丘高校」は、スマホの電波が届きにくい。
そこで、校舎の屋上の端っこで返事を待つことにした。

‐ 知らない人が見たら、自殺でもしかねない感じかな・・・ ‐

「お待たせ。」
Comic 7_013
彼女は突然現れた。スマホのGPS機能を追ってきたのだろうか・・・。
声賭けに振り返ると、リクルートスーツ姿の赤い髪の若い女性だった。
見たところ、まだ20代そこそこの感じだ。

‐ 本当に来た ‐  オレは少し驚いた。いや、相当驚いた。
もしかして、オレはこのままここで殺されてしまうのだろうか・・・。

「まずはお茶でもいかが?」
これまた突然の誘いに肩透かしを食らう。


お茶・・・、いつも行くようなファーストフード店では場違いだろうと思い、まだ入ったことの無い喫茶店へと足を運んだ。

店内に入ると・・・、幸いお客はまばらで、落ち着いて話が出来そうだ。
奥の方にソファーのボックス席があり、そこに向かい合わせに座った。

とりあえずホットコーヒーを頼んだ。
サイホンで入れているのか、なかなかコーヒーは出てこない。
何も話し出せない空気が漂う。

ようやくコーヒーが配膳され、彼女が話を始めた。
「私が誰だか知っているんでしょ。」

「知っていますよ、「黒い少女」でしょ。さっきサイトで写真見たもん。」

「じゃ、話は早いわね、5千万くらいでいいかしら。」

いきなりの高額提案に、オレは疑惑が入る。
「あの、これって、本当にお金もらえるんですか?」

「ドッキリじゃないわよ。」

少し話が途切れるが、黒い少女は矢継ぎ早に話し出す。

「いちお、新手の保険金詐欺かな?」
「三日後に迎えに行くわね。」
「お金はなんに使うの?どうせ自殺するつもりだったんでしょ。」
「人生の最後くらい、パーっと遊んでみれば?」
「はい、ここにサインして。お金は銀行振り込みでいい?」
「冷やかしは許さないわよ。ちょっと、聞いているの?」

オレは訳も分からないうちに、言われるがまま書類を書き、サインをしてしまった。

① ~ 黒い少女 ~

その頃、ネットで命を買う少女のことが話題になっていた。
バラエティ番組の都市伝説、はたまたドッキリか・・・。
目的は、生身の人間の臓器販売や、殺人ゲームの標的にするためと噂されている。
都市伝説 黒い少女
人は、彼女を黒い少女と呼んだ・・・。

自殺志願者の前に現れ、命を高額で買い取りする・・・・。

オレは、ダメもとでサイトにメールしてみた。


それは先週、授業をサボって保健室のベットで寝ていた時・・・。

‐ サイレンの音が聞こえる。学校に救急車が来たらしい ‐

保健室のドアがノックされ、その音でオレは目が覚めた。
校医の老いぼれた先生が返事をする。

「どうぞ。」

「失礼しますよ。」
薄いカーテンから透けて見えたのは、俺のクラスの担任だった。

「うわっ、先生!」思わず小さく口に出てしまう・・・。
多少の動揺はあったが、そのまま目を閉じて、「たぬき寝入り」を決め込む。

どうやら授業中に生徒が倒れたらしく、校医と担任が話を始めた。
「あっ、山岸先生、おつかれさまです。」

校医は、なにやら診断書を見ている。
「先ほど救急車で搬送された女子生徒ですが、少しばかり深刻ですな・・・。」

担任が後を続ける。
「はあ、なんでも子供の頃の事故の後遺症とか。
 頭に入っているなんかの破片が体の成長に伴い位置がずれて、脳幹に接触・・・、」

校医と担任のやり取りは続く。

「そんな状態で、よく空手なんてやっているものだ。それも有段者なんて・・・。」
「今のうちに摘出しないと、命の保障は出来ないようですね。」
「手術に2千万円は必要で、おいそれとは・・・。 あんなにいい子が何の因果で・・・。」

二人の話は深刻だった。

「授業をサボるような、どうしようもないヤツもいるというのに。」
担任の話がこちらに向いているような気がする。

「お目覚めですか?高一くん。他言無用だよ。」
いつの間にか担任はベットの横に立ち、俺の顔を覗き込んでいた。

「な、何のことですか・・・。」思わず取り繕ったが、オレには思い当たることがあった。

‐ これって、奈美のことなんだよな・・・ ‐
ギャラリー
  • ⑦ ~ ダブルピース ~
  • ⑦ ~ ダブルピース ~
  • ⑥ ~ 奈美の抵抗 ~
  • ⑤ ~ 宴の後で ~
  • ④ ~ 100円 ~
  • ③ ~ 赤点太郎 ~
  • ② ~ 契約 ~
  • ① ~ 黒い少女 ~
アーカイブ
カテゴリー
  • ライブドアブログ