表記の件について、私自身の言葉で皆様にご説明する責任があると思い、ここにその経緯ならびにアルバムに対する思いを書いてみたいと思います。
長文になりますが、お付き合いください。



 1998年ごろ、イーストワークスというレコード会社が、日野元彦さん(トコさん)のCDを制作することになり、当時トコさんのグループで活動していた私は、その第一作目のアルバム「TAC-TIC」に参加させていただきました。トコさんの死後は、その後継バンドとして結成されたClub TOKO Sextetとして「Spirit」を制作しましたし、私個人としても、リーダーアルバムの制作を一年に一枚というペースで1999〜2003まで計四枚、させていただきました。
 
 社長の守崎さんは、トコさんのようなベテランのみならず、若手で意欲的に活動するミュージシャンたちを本当に応援してくれて、僕や川嶋哲郎、石井彰といったトコさんバンド出身者たちにアルバム発表の機会を積極的に採算度外視で作ってくれた恩人です。ですが、時代の流れもあり、会社経営自体が危機に陥り、このたび残念ながらレーベル解散という事態になってしまいました…

 自分にとって、本当に思い入れのある自分の作品たちの権利が、このままでは競売にかけられ、権利が行方不明になってしまう…その前に原盤権と在庫を全て買い取らなければなりません。しかし四枚の原盤権を取得し、在庫を全て買い取る金額は、決して安くはありませんでした。そこで、現在お世話になっているレーベル、Tlive Recordに相談したところ、快く協力していただけることになりました。その結果、私個人とTliveとで協力してその費用を捻出し、どうにか原盤権を買い取る契約までこぎつけました。

 ただ、その費用を少しでも回収して今後のアルバム制作や再発・コンピレーション盤・ベスト盤の制作などに充てるべく、皆様に在庫のご購入およびドネーション(寄付)をお願いすることにいたしました。私個人からご購入いただいても結構ですし、Tliveのホームページにドネーションのコーナーを作っていただいているので、そちらからでも結構です。
http://studio-tlive.com/tlive_records/donation/index.html
 どのような形でも結構ですので、皆様のご理解とご協力をいただけたらこんなに嬉しいことはありません!!どうかよろしくお願い申し上げます!




 さて、ここで、それぞれのアルバムへの思い、そして旧HPに掲載していたレコーディングレビューがいくつか残っているので、それも併せてご紹介します!アルバムへの私の愛着が、きっとわかってもらえるかと…



・「SLASH!」のこと

 1999年、今泉正明、杉本智和、江藤良人と結成したオリジナルバンド、SLASH!。バンド名は、当時のジャズ界を切り裂く!!みたいな気負いでつけました(笑)全員がリーダーで、いわゆるバンドとして活動した最初のバンドです。ほぼ同い年の今泉と、当時新進気鋭だった杉本、江藤とのバランスが絶妙でした。メンバーのオリジナルのみを演奏し、エレベやフェンダーローズ、エフェクトなども駆使してレコーディングしました。私のアルバムの中では異色の一枚と言えるでしょう。活動期間は約二年、アルバムも一枚を出したのみでしたが、とても充実した活動の記録として、想い出深いアルバムです!アルバムジャケットも含めてお気に入りのベスト3に入るかな…


・「much,more,the MOST」のこと

 2000年に結成したthe MOST。SLASH!と一時期同時進行で活動していました。SLASH!のファンクやレゲエ、ロックも視野に入れた指向とは別の、もっとストレートアヘッドなジャズのバンドをやりたくて結成したのがこのthe MOSTでした。とあるラジオ番組への出演を機に、番組中にバンド名まで募集してしまい引っ込みがつかなくなったという説も(笑)当初は大坂昌彦・塩田哲嗣のピアノレストリオで活動していましたが、CD制作に伴いゲストで石井彰を半分招くということになりました。このデビューアルバムは、ある意味非常に無骨で荒々しいトリオの部分と、石井彰のリリカルな感性が色濃く反映されたカルテット、そしてデュオの部分の対比がポイントになっています。the MOSTのデビューアルバムとして、忘れられない一枚です!2001年発売。


・「FORCE」のこと

 塩田哲嗣の渡米に伴い、メンバーチェンジを余儀なくされたのが2001年のことだったでしょうか。ベースに大坂昌彦の盟友、上村信を迎え、石井彰もレギュラーメンバーとなってカルテットとして再スタートした最初のアルバムがFORCEでした。このころには、the MOSTに「難曲探検隊」というありがたいんだかなんだかみたいなニックネームが付いていました(笑)変拍子や変な小節数などを駆使したオリジナルを多く書いていたからでしょう。でも、ライブやツアーを重ねて、そういったものに対するテクニック・スキルは確実に向上していったように思います。この二枚目のアルバムのころには結構楽しんでやれるようになってきたのでした。そういった意味で、ちょっと余裕かましてる感じの一枚ですかね(笑)2002年発売。


・「Because of you」のこと

 唯一、在庫切れになっているのがこのアルバム...the MOSTのイーストワークス最後の作品となりました。このアルバムでは、一曲目にフルートを、しかもオーバーダブしたものをもってくるという荒技に出ました(笑)大坂君の、「そろそろあっと驚くようなことやらないと飽きられますからね」という一言で決まった記憶があります。オリジナルに加えて、初めてスタンダードナンバー「A foggy day」のアレンジものをやってみました。このアレンジは今でもたまに演奏するくらい気に入ってます。これ、再発したいなあ…2003年発売。


以下、旧HPから抜粋して、イーストワークス関係のレコーディングレビューを掲載しておきます。懐かしすぎて笑えます(笑)




「TAC-TIC」レコーディングレビュー

 去る1998年11月2日3日の両日、砧クレッセントスタジオにて「日野元彦ART DIRECTIONS」の初レコーディングが行われました。2日は従来の三管編成のバンド、3日は山田穣、川嶋哲郎がフロントのQUINTET。私は2日のレコーディングに参加しました。その模様をかいつまんでレポートします。

 当日は13:00入りということでしたが、いつも余裕を持ちたいA型人間の私は12:00すぎにはスタジオ入り。「三管は一日で録るわよ!!」という容子さん(トコさんの奥様、ALFIEのママ)のお達しが事前にあったため、これは夜中までかかるな、と密かに覚悟を決めていたのでした。だって普通、たとえば僕のレコーディング(THE GIG)でも、ピアノレスQUARTETという編成にもかかわらず二日はかかったわけだから、人数が増える分「ごめ〜〜ん間違えたもう一回」も増えるはずだよね。
 14:00ごろにはセッティングも終わって、トコさん準備オッケー、と思う間もなく「三曲続けてとるよ!はい、ワン、ツー、スリー」ち、ちょっと待って下さいよ〜〜〜森本さん(今話題の素晴らしいエンジニア)もまだ音決めとかバランスとかできてないでしょ。いやはやトコさんらしいでちゅ。どうにかリハーサルかたがたモニターチェックの時間をとってもらって、ほっと一息。 いよいよ本番。でもやはり三曲続けてとるらしい。ひ〜〜〜〜ライブじゃないんだから〜いじめないで下さいよ〜って感じ。でもいつも集中力をモットーにしているトコさんらしいやりかた。よし、一丁頑張ってみるか!と始めたところ、一曲めの「F.T.S」(Imaizumi)はともかく二曲めの「777」(Imaizumi),三曲めの「Blues for Diz」(Imaizumi)では、怒涛のカウント攻撃に(なんじゃそりゃ?)全員あたふた。でも、基本的に全部1テイクでいくことに...たしかにソロはそれぞれ集中力を発揮していいものになっている。よし、もう腹決めた!きょうは全部1テイクだ!!!   

 ここまでが正味30分で終わってしまい、ちょっと拍子抜け。でもあとまだ五曲残っている。なるべく休憩を入れないでサクサク録る事に。次の曲は「The Man from Africa」(Imaizumi)むつかしいリフがある今さんらしい曲だ。今まで「三管ズ」が全員うまく吹けた試しがない。まあいざとなればあとから直そうか、なんて弱気な事を言っていたのだが、なんと初めて全員ノーミスで(プロとしてちょっと情けないが)テーマを突破(吹破?)!川嶋氏のソロも病み上がりを感じさせない程素晴らしく、これも1テイクOK!「三管ズ」もJAZZ WORKSHOPからの付き合いがようやく実って来た感じ。テーマのそろい方が格段に良くなった気がする。
 

 続いては私の曲「Prelude to Tornado」。JAZZ WORKSHOPでも録音した曲だが、トコさんのリクエストで再録することになった。メンバーが違えばもちろんサウンドも変わるはずで、皆さん是非聴き比べてみて下さい。私は今回はアップテンポの部分のソロを担当。6/8のところは岡崎氏が入魂のソロを聴かせてくれました。これはライブでも慣れた物で一発OK。

 ちなみにこの日のレコーディングには評論家の内田修先生、児山紀芳先生も来て下さり、この曲をかっこいいと言ってくれていたのがとてもうれしかった。



 

 さて、ショートブレイクのあと荒巻氏の名曲「KISHU」にとりかかる。なぜか僕はこの曲に「はまる」みたいで、荒ちゃん直々の御指名でソロをやらせて頂く事になる。胸がキュンとなるようなコードチェンジが泣かせる。またそれに見事にはまってしまう自分が大好き(自画自賛)!!途中で荒巻氏も吠えてます。これまた1テイクOK!おいおい、本当に早く終わっちまうぞ、こりゃ。まあ考えてみりゃレギュラーグループとして少ないながらライブをこなして来ているバンドなんだから、こうでなきゃいけないんだ。本当は。最近レコーディングで甘えが出て来ているような気がする。トコさんのやり方を見て、反省しきりの僕でした。

 さてさて、本日のハイライト(パンパカパーン、古い?)トコさんのタップ入りの岡崎氏のファンクナンバー「TAC・TIC」の番。皆さん御存じのようにトコさんはもともとタップダンサーとして少年時代にデビューしたという、筋金入りのエンターティナーなのだ。イントロでタップのソロが入り、途中で岡崎氏とのトレードもあるというユニークな企画。もしかしてこういう形でのタップの録音ってトコさん初めてじゃないかしら?
 さすがにトコさん、ややブランクがあるみたいで何度か録り直し。少し息も切れているが、自分がやったらどうなる?と考えるとやっぱりトコさんは若い。徐々に勘が戻って来たみたいで、三度めくらいでオッケーがでた。イエ〜〜イ、かっこいいぜトコさん!

 そしていよいよ最後の曲、トコさんのオリジナル「It's There」。トコさん自身何度かレコーディングしているしグループのクロージングテーマとしてもいつも演奏している曲だが、今回はスペシャルバージョン。なんとあの話題のシンガー綾戸智絵が特別参加してくれる。ごきげんな歌詞をつけてくれて、とってもカッコイイバージョンに仕上がりました。乞う御期待!!




「SLASH!」レコーディングレビュー


 98年3月に結成した「SLASH!」。一年余りのライブ活動を経て、ファーストアルバムの録音を完了しました。その内容をレポートしてみたいと思います。この御時世アルバムを出すということは、そう簡単なことではないのです。我々の場合は、トコさんとの活動を通じてのイーストワークス・エンターテイメント及び社長の守崎氏との出会いがなければ、レコーディングの実現はまだまだ先の事だったかもしれません。その意味で、このアルバムはトコさんのおかげで世に出ることになったと言ってもいいでしょう。このアルバムをトコさんに捧げたいと思います。トコさん、ありがとう!!


 二年前に出した私個人のアルバム「THE GIG」は、私がリーダーであり、大西順子との共同プロデュースではあるものの基本的に私のサウンドを世に問うという性格のものであった。だが、今回のSLASH!というバンドは今やバンドのメンバー全員がリーダー、いわゆるバンドプロデュースというのが最大の特徴だ。そのため、今回特にプロデューサーは置かずバンドプロデュースを全面に押し出すこととなった。さすがイーストワークスさん太っ腹、「二日間スタジオだけは押さえたから、あとは好きにやりなさい」との社長の頼もしい一言。ミュージシャンにとってはこれほど嬉しいことはないと同時に大きなプレッシャーもかかる。出来上がったものがイモだったらどうしよう...
 でもこのSLASH!のメンバーは全員素晴らしいセンスを持っている。自分が持っていった曲が、リハーサルやライブを経て自分が思いもつかなかった方向に発展していったケースがいくつもあった。全員のアイデアを結集すればすごいことになるという予感がレコーディング前からしていたのだ。果たして、直前のリハーサルでは出るは出るはアイデアの山。これは当日が楽しみだ...

 [DAY 1]

 そして迎えたレコーディング当日。「THE GIG」のレヴューを御覧になった方は覚えておいでだと思うが、あの時は初めてのリーダーアルバムということでかなり緊張していた。「妻に見送られて云々...」のくだりでは内助の功を讃えられたりしたものだが、さすがにキャリアを積んでくると妙な力は抜けていき、所詮今の自分以上の事はできないんだ、といういい意味での開き直りが出てくる。
 銀座の音響ハウスに午後3:00ごろ到着。やはりミュージシャンは朝が弱い。午後4:00からの開始、というのは非常に有り難いのだ。実はこの日17日はわれらがトコさんのお葬式の日。出席するとぼろぼろになるのが目に見えていたので、前日のお通夜に出席、少し演奏もさせて頂きながらトコさんを偲んで多くのミュージシャンと酒を酌み交わした。部屋に戻ってもすぐに眠れず、一人でワインを飲んだ。少し飲み過ぎたかな?と思ったが、入りの遅いレコーディングで助かった!!トコさん見守ってて下さい!
 

 続々とメンバー到着。う〜ん、いいね〜この緊張感の高まり!武者ぶるいがする。今回のレコーディングの一つの特徴は、フェンダーローズ、エレクトリックベース、そして二つのドラムセットの使用であろう。もともとSLASH!の最初のコンセプトが「ビートにこだわらないジャズ」なのだから、こういう選択肢は当然と言えば当然なのだが。それだけ幅広い音楽性を身につけたメンバー達だからこそこのやり方ができるのだ。
 レコーディングエンジニアは広兼氏。EWE(イーストワークス)の作品を数多く手掛け、最近では綾戸智絵さんのアルバム制作にかかわっている。写真をごらんになってわかるように、甘いマスクの持ち主。しかし音に関しては相当「きれる」人のようだ。SLASH!のようにスタイルが多岐にわたると(ジャズにしては、かな?)録る方も大変だろう。でもどんな音になるか楽しみだ。
 

 セッティングも終わっていよいよ音出し。まずはグループ名を冠した僕の曲、「SLASH!」から。バンド結成当初からのレパートリーで、ライブでは結構「イッちゃう」曲だ。しかしこのレコーディングでは小粋な仕掛けがあります。お楽しみに!
 サウンドチェックも終わり、さっそく「SLASH! 」(Tada)録音。個人的にはちょっとだけ緊張気味だったが、問題無くオッケー。サクサク行くためにも、一曲一曲あまりごちゃごちゃ言っていられない。このバンドはレギュラーグループだし、基本的に今までライブで消化してきたものを録音するつもりなので、1テイクOKを基本としたい。トコさんの「TAC-TIC」(レコーディングレヴュー参照)のレコーディングを理想としてがんばるぞっと!

 続いて今泉氏の美しいワルツ「Pure Eyes」(Imaizumi)。ここで少し問題が...バンド全員が納得のいくテイクというのはそうはない。アンサンブルがうまくいってもソロが気に入らないとか、その逆とか。作曲者の意図が反映されないとか。これがたとえば僕の単独リーダーアルバムなら話は簡単。最終判断を下すのはリーダーなのだ。しかし今回のレコーディングはバンドプロデュース、つまりメンバー全員による合議制でなければならない。詳しい話を述べるのは避けるが、最後までテイクが決まらなかったのがこの曲だ。最終的には作曲者の判断で決定。なんとか発売前の解散は避けられた?!

 そして僕のバラードナンバー「June Bride」(Tada)。この曲は全編ルバートによるインタープレイが売り。メンバー間のコミュニケーションが不可欠だ。レコーディングの全員がブースに入った状態でどのくらいうまくコミュニケートできるか心配していたが、その心配は杞憂に終わった。僕的にはこれまでのライブも含め、この曲に関してのベストテイクが録れたと思っている。この曲を結婚式で吹いてもらいたい方は是非御一報を! (June Brideを「乾杯」に次ぐ結婚式チューンにする会より)

 江藤良人のオリジナル「Deep Sea」(Eto)は、彼の敬愛するエルビン・ジョーンズの香りがする佳曲だ。ここで杉本氏、なんとエレベにトレモロのエフェクトを掛けた!しかも今さんはフェンダーローズの前に!う〜〜〜ん、70年代!って感じかな?しかも江藤氏のリクエストでSopranoのソロにも面白い仕掛けがしてあります。ヒントは「二人羽織り」???
 

 ここまでは全部Soprano Saxによるバージョンだったが、Altoに持ち替えるためここでブレイク。食事休憩をとることに。考えてみればこのアルバムのほぼ半分をSopranoでやることになっている。Altoをメインにやってきた僕にとって初めての試みだ。ちょっと嬉し恥ずかし、って感じ。でも「タダセイ」の新境地を開拓できるかも。お楽しみに。

 ここで我々の友人の美人姉妹が差し入れを持って来てくれた。な、なんとお鮨〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!しかもとろけるような大トロ!!へっへっへ、ミュージシャンやってりゃたまにはいいこともあるのよ。しかしミュージシャンって物やお金に弱いね(え?僕だけ??)。

 休憩後、急遽江藤君が当日になって持って来たフリーの曲「JOY」(Eto)にトライ。この人はドラマーだからこそなのだろうかユニークな曲を書いてくる。この曲も非常に自由な感覚で書かれた曲で、やってみると超おもしろい!で、収録することに決定。ただし、これもただダラダラやったわけではございません。へへへ、これまた発売までのお楽しみ〜〜〜!!!
 

 そしていよいよ一応本日の最後の曲(このあとドラムセットをチェンジするため)の予定の「Highway in the Night」(Imaizumi)をやることに。今泉氏作曲のこのアップテンポの曲はテーマが非常に難しく、サックス泣かせだ。だから、というわけではないが、テーマは最後だけにしてほぼ全編を僕と江藤君のデュオにすることに。ドラムとのデュオは僕のもっとも好きなやり方だが、レコーディングでは初体験。最初のテイクはやや力が入り過ぎて、けんかしてる感じになってしまった。これに関しては妥協したく無いので、もう一回やってもらう。今度はいい入り方だ。だいたいこういうものは、導入部で出来不出来が決まると言っても過言では無い。いい感じで最後のテーマを迎えることができた、と気が抜けた訳では無いのだが、テーマの一番最後の部分で僕がミス!!できればテーマの部分だけ差し替えたい、と思うのが人情でしょ?でも、プレイバックを聴いてみるとそのミスがまたなんとなくいい味を出している、とバンドの皆さんがおっしゃるですよ。うん、まあ言われてみればそうかな〜と優柔不断な中間管理職「タダセイ」は、皆さんの意見を尊重したですよ。今ではあの選択は間違っていなかったと確信してるけど。(ちなみにジャズライフ7月号のレコーディングレポートで、このエピソードがBrother "B"になっていますが、Highway〜の誤りです。編集部になり替わりお詫びして訂正します。)

 [DAY 2]

 さて、迎えた二日目、楽器の持ち替えの都合からまずFLUTEものを録音することにした。ALTO SAXとFLUTEは、見た目は金管だが分類としては木管楽器になるのを御存じだろうか?なんとも不思議な感じだが、おそらくもともとFLUTEやCLARINETが木管だったことからそれに類する発音方式を有する楽器を同じ分類にしたのではないか、と思われる(音大で勉強したわけではないので定かではない。違ってたらゴメン!)。SAXはかなり新しい楽器であり、発明当初から金管でできていたが、リード(葦の茎を削ったもの)を振動させて音を出すので木管楽器に分類されたようだ。

 話がそれたが、FLUTEとSAXを持ち替える(ダブリングという)ようになったのはなぜだろう?全く違う発音方式なのだが、指使いが似ているという理由からか(??)ビッグバンド黎明期からSAX奏者がFLUTEもしくはCLARINETに持ち替えるのが習慣化した。私はもともとFLUTEから出発しているので、持ち替えにさほど苦労しなかったが、それでもSAXを思いっきりブロウしたあとにFLUTEを吹くのはかなり厳しくしびれるものだ。FLUTEは唇で穴を作り、そこから出た息を楽器の壁にぶつけて音を出すので、唇がばてていたり荒れていたりするとそれが音にてきめんに出てしまうのだ。したがってハードなSAXの曲は後にして、FLUTEものからやることにした。

 一曲目は僕のオリジナル「Shall We Dance till Dawn?」(Tada)。元NHK-FMの「SESSION'99」の司会の立子山さんの名訳「夜明けまで踊ろう」が忘れられないこの曲は、ボサノバのリズムの、けっこう自分の中ではムネキュンのメロディーのつもりの曲だ。当初はAltoで演奏していたのだが、レコーディングを機にFLUTEでやったらどうだろう、と思い付き、みんなでいろいろリズムやパターンを研究して臨んだ。評論家の河原さんに言わせると、この杉本のグルーブ感はただ者ではない、とのこと。うん、たしかに彼のセンスがきらっと光るテイクです。ところで、この曲にコンガが入っているのに気付かれました?この曲こそ江藤の記念すべきパーカッションデビューなのだ!!

 コンガやハモリのオーバーダブを終え、次の曲「Tomorrow's Song」(Imaizumi)に突入。これは今泉さんの比較的新しい曲で、まだあまりライブでもやっていない曲だ。Sopranoを使ってやっていたのだが、メンバーのアイデアでFLUTEを使うことに。幻想的な雰囲気を出すのにはFLUTEという楽器はぴったりだ。しかしただFLUTEを使いました、ってんじゃ当たり前でつまらない。ここはSLASH!らしさを出さない手はない。そこで杉本君の登場。「3種類くらいのディレイ使いましょうよ。マスタリングの時に使い分けてかければいいから、とりあえず1種類だけかけて録音しましょう。」は〜、そういう事もできるのね、最近の技術はすごいのね、とアナログなあたしはただ感心するのみ。
 江藤の「チキチキチキチキ...」のイントロから始まって、徐々にFLUTEが絡んでいくとこなんて気持ちいいよね。しかもディレイがかかっているので、自分でも楽しくって楽しくって。あんまり楽しいので途中で叫んでしまいました、しかも二回も!クレジットのSakebiってこのことなのです。お分かり??もちろん1テイクでOK。エンディングのエフェクトもお楽しみに!!

 FLUTEものがこれで終わって休憩。ここできのうに続ききょうも登場、美人姉妹のお姉様のほうが差し入れに。きょうは、な、なんとウナギ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!魚が苦手な江藤以外は(かわいそうに!)狂喜乱舞。これで精力つけて残りのテイクに全力を注ぐぜ!!しかもきょうは、僕達の仲間の美人タップダンサー宇川彩子ちゃんが応援に来てくれた。いやあ、全くミュージシャンは美人に弱い!みんなはしゃぐことはしゃぐこと...あと2曲、がんばれそう。

 残る2曲はアルバムのハイライトになるSLASH!らしい曲。ファンク、ヒップホップといった感じを融合した「Brothe "B"」「Hacker」(Tada)だ。どちらも僕の曲で、Hackerはバンド起ち上げのときからの曲。Brother "B"は敬愛するブランフォード・マルサリスに捧げた曲。どちらもライブでさんざんやっている曲だが、レコーディングではHackerでフェンダーローズを使ったりしてサウンドがまたがらりと変わった。「70年代風のサウンドが斬新」といろんなレコード評で書かれたが、自分達の中ではそんなに意識したわけではなく、ここでローズ使うとかっこいいよね、くらいの意識だったと思う。ま、良くいえば僕達の感覚が時代とマッチしてた、ということかな(エヘン!)。
 Hackerで2テイクとって少し苦労したが、基本的にはスンナリ終わって全曲終了!!みんなお疲れさま!こんなに楽しいレコーディングは初めてだ。音作りも含めてとっても勉強になったし、メンバーの隠れた才能やセンスにも触れることができた。SLASH! は素晴らしい!自信を持ってみなさんにお勧めします。ぜひCDとライブの両方をお楽しみください。



「much,more,the MOST」レコーディングレビュー


[2001.01.30]

 何度かのライブ(デビューライブは「タダセイのひとりごと」コーナーでレポート済み)とリハーサルを経ていよいよレコーディング本番。時は明けて2001年、新世紀最初のレコーディングがこのバンドとはうれしいことだ。場所はSLASH!やClub TOKOでいつも使っている銀座の音響ハウス。我が家からも近く、大変便利がいいところだ。当日は12時に入りセッティング開始。入り口でマサに会い、一緒にスタジオに入るとすでに塩田哲嗣(以下ノリ)も来ていてウオームアップ中。全員で健闘を誓い合う。今回のレコーディングはジャズなので、基本的に「せ〜の」で一発録りだが、一応全員ブースに入り、あとで楽器個々のバランス調整などが可能な状態にしておく。ところが今回のスタジオのブースはお互いのアイコンタクトが非常に取りずらくTVモニターを使用することに。まあ、これしか方法はないのでしょうがない、阿吽の呼吸を感じられるか??

 今回のエンジニアは広兼氏。SLASH!の時にとてもいい仕事をしてくれた人で、信頼度抜群。僕に関しては何もリクエストはない。だがマサは今までの豊富な録音体験から彼にマイクの交換を要求。コンデンサーマイクに替えて欲しいとリクエストした。ここで「なにおう?!」と眉つり上げる人もいるかもしれない。エンジニアはまさに職人、「俺の音が気にくわねえんならとっととけえりやがれい!」というのが当たり前かもしれない。ところがこの広兼氏、見かけもとっても柔和なのだが性格も至って優しいらしく、マサの言うとおりに替えてくれた。後にマサが「あの時点でこのレコーディングは成功すると思ったよ」と語ったが、ミュージシャンとエンジニアの意思の疎通ができた一幕だった。思い通りの音になったマサはご機嫌。めでたしめでたし...

 

 午後一時過ぎ、サウンドチェックスタート。録音メニューにない曲をサウンドチェック用に選ぶ。でないと何度もやっているうちにどんどん新鮮味がうすれていく危険性がある。録った音を聞いてみる。マサ曰く、「ドラムの定位をどうします?」今まであまり録音に関して突っ込んだ勉強をしてこなかったので、答えに困る。いわゆるロック・ポップス系の録音ならドラムがセンターにきても問題ないらしいのだが、ジャズの録音に関しては実際にライブハウスで見るように例えば右からドラム・ベース・サックスという感じで定位をさせたほうがスイング感がでるらしい。本当にマサはプロだなあ、と思わせる。一ドラマーに終わらずアーティスト・プロデューサーという立場にも常にいる人なのだ。今回は一応僕のリーダー作の形を取っているが、マサにおんぶしたところはたくさんある。ほんとに頼りになる人だ、あんたは!

 定位の問題、音色の問題など色々注文を出してほぼ理想の音になったところでいよいよ録音開始。この時点で午後二時。さあいったいどのくらいのペースで進行するやら... 録音は1/30,31の二日間。きょうはピアノレストリオのほうを五曲録ることにしている。まずはソプラノで僕の曲「Nori's Dilemma」(Tada)を録音する。この曲はかなり前に書いた曲で旧題は「So Funny」だったのだが、今回ノリに敬意を表して(?!)タイトルを変えた。日頃多くのジレンマに悩んでいるこの若者の心情をプレイに反映してみました。ミディアムスローのブルースナンバーで、ウオームアップには最適の曲だ。3テイクほど録ったところでOK。実は個人的にはこの曲を録り終えた時点でレコーディングの成功を確信していた。まず自分の体調・楽器の調子・リード、どれをとってもベストの状態だった。加えてソロも我ながらいい感じにできて、この調子で次の曲へ!!

 体も温まったところでタイトルチューンになるであろう難曲「much,more,the MOST」(Tada)に取りかかる。この曲は僕がこのピアノレストリオのために書き下ろした新曲。ライブでもなかなか満足のいかない曲だ。だがリハーサルを重ねるうちにテーマ部分が安定してきて、この日はソロさえうまくいけば成功するだろうな、と思っていたが、さすがにワンテイクとはいかなかった。ノリは自分に納得できないらしく何度かやり直しを要求。だが全員が納得のいくテイクができる確率は非常に少ない。ましてドラマーなどは物理的に差し替えも不可能だ。ここで誰かがわがままを言い出すときりがなくなるのでリーダーの独断で採用するテイクを決める。以前SLASH!のレコーディングの時も同じ問題が起きたが(レポート参照)あの時はバンドプロデュースが壁となってなかなか事態の収拾がつかなかった。今回はプロデューサーも特に置いていないのでプロデュースもリーダーも俺、強権発動は当然の権利と思うことにする。

 難曲が一曲終わったところで裏バンマスもこさん登場!なんと手作りの料理にシャンパン・ビールまで差し入れ。なんとうれしいではありませんか!本人曰く「気分は運動部のマネージャーね」。いえいえなにをおっしゃいますバンマス、監督気分でで〜んとかまえといて下さい(もこさんも、この日のレコーディングレポートを書いてくれました)。

 とりあえずご馳走はおあずけにして次の曲へ。オリジナル中心のこのバンドにあって数少ない他人の曲、といってもあまりにも偉大な他人オーネットコールマンの「The SPHINX」(O.Coleman)。テーマがめっちゃかっこよくて、何かの機会にぜひやりたいと思っていた曲だ。コンセプトもThe MOSTにぴったり。これは快調に2テイクでOK。曲中でテンポが変わったりするところのスリルを楽しんで下さい!ってあんまり発売前に秘密をばらしちゃうのもどうかと思うんだけど、これだけ読んでもきっとピンとこないでしょ?ジャズってそこがいいね。聞いてみないことには、ってのがあるから。まあ、発売を楽しみにしてください!

 快調にここまできて、時刻はだいたい5時ごろ。もう一曲だけ難曲をこなしてから食事休憩にしたい。気分的にも絶対その方が楽だし、ごはんもおいしいものね。そこで僕の曲「Some of the Things I Have」(Tada)にとりかかる。このアルバムのある意味でハイライトになる曲だ。詳細は述べないが、タイトルが示しているようにある有名スタンダードナンバーを基にした曲で、キーワードは変拍子。あとは実際にアルバムを聴いてね!で、これこそマサなしには考えられない曲だ。曲を書いたときも頭にマサのドラムがあったからこそできた。何度かリハーサルをしたときは、う〜んやっぱりやめようかこれ、って感じになりかけた(自分が吹けない!!)が、さすが負けず嫌いマサ、前日のリハーサルできっちり仕上げてきた。それに乗っかって僕はとても楽をさせてもらい、この難曲も数テイク重ねただけでOK!!うん、これさえ終わればもう大丈夫ってことで食事休憩に入る。

 もこさんお手製の炊き込みご飯や卵焼きをいただきながら、僕は今までのレコーディングを思い返していた。リーダー作を含めレコーディングの経験はたくさんしてきたが、正直言って今回のレコーディングは緊張感が直前まで出なくて焦っていた。よくも悪くもレコーディング慣れしてきて、以前のように何週間も前からプレッシャーを感じる、ということは無くなってきた。それだけ自分というものを知った、とも言える。実力以上のことをやろうとしなければ開き直れるものだ。それとメンバーを100%信頼できたのも大きい。以前は自分が何とかしなきゃ、と必要以上に肩に力が入ったものだが、今回は人選の時点で半分以上仕事が終わった感じがした。このメンバーならどうにでもなる、という信頼感を強く持てた。要は集中力の問題で、いざ本番というときに集中できればそのほうがいいに決まっているのだ。少しはおれも成長したかな、と一人心の中でニンマリしていたのを誰も気づくまい、ふふふ。

 ゆっくり休憩して7時ごろ再開。残すはあと一曲、マサのオリジナル「Uchiiri」(Masa)だ。この曲はなんと2000年12月14日、赤穂浪士の討ち入りの日にできたという。そのまんまのタイトルやんけ!とツッコミが入りそうだが、イントロも何となく陣太鼓に聞こえなくもない。この曲もさすがマサの曲、一筋縄ではいかない。まずとてつもなく急速調であること、そしてまたまたキーワード、変拍子。この二つを頭に置いてアルバムを聴いてもらうとより楽しめると思いますよ(楽しめないか?)!やや疲れの出てきたタダセイ、このテンポになかなか乗り切れず何度かテイクを重ねる。ノリの腕がだんだん死んでいく〜〜ごめんね、ノリ!少しの休憩をはさんで、自分に「集中!!」と気合いを入れ直して再チャレンジ。今度はうまくいった!トコさん(故 日野元彦氏)から学んだ「集中」を思い出したおかげだ。

 これで初日の録音、すべて終了!!時刻は8:00。予想以上にいいペースで進んだ。ホッと胸をなでおろす僕。もこさん持参のシャンペンで乾杯することに。とりあえず中打ち上げ、お疲れさま!あしたもよろしく!初日はおとなしく帰宅し、ダビングしてもらったMDを繰り返し聞いてみる。ミックスダウン前のものとはいえ、音もかなりいい感じに仕上がっている。あしたが楽しみ!とるんるんで就寝。あすはピアノの石井彰の入るバージョン。期待が膨らむ...

[2001.01.31]

 さて二日目。この日は2:00スタート。楽器のセッティングなどもすんでいるのであとはピアノ入りのサウンドチェックを済ませるのみ。2:00前にスタジオに着くとすでに全員ウオームアップ中。石井彰とがっちり握手をかわし健闘を誓い合う。この日もブース間のやりとりはモニターを通して行う。僕とノリは完全に死角に入り見えない。が、この日はキューが必要な曲はさほどない。マサと僕、マサとノリのアイコンタクトで大丈夫なはずだ。さっくりとサウンドチェックを済ませ、さあ本番!きょうの最初の曲はマサの曲、「Critical Message」(Masa)だ。8Beatにのせてソプラノのメロディーが舞う。しかしピアノとベースはかなりトリッキーなラインをユニゾンする。ここにまたまた変拍子!!だが、マサの曲は変拍子が入っていても非常にナチュラルで歌っている。この曲も、エンジニアの広兼氏がさかんに「かっこいいっすねえ〜」と言っていた。とても自然に流れる変拍子なのだ。そしてさすが石井彰、この難曲にもまったく動じず、石井ワールドを展開する。あっさり2テイクで終わってしまってやや拍子抜け。この調子だとかなり早く終わるかも?!

 そして次の曲は石井彰がこのレコーディングのために書き下ろしてくれた新曲「Sometime in the Snow」(Ishii)だ。これも8Beatのゆったりしたテンポにソプラノのメロディーがのる。Keyが難しいのが難点だが、流れがとても自然なコード進行になっていて吹いていてストレスが溜まらない。このへんはやはり大阪音大作曲科主席卒業(日野晧正氏 談)の面目躍如か?!ここでも彼のリリカルなタッチのピアノがたまらなくいい感じに鳴っている。きのうのピアノレストリオとは全く別の世界がそこに展開している。まさにねらい通り!

 こちらも約2テイクで終了。この曲の途中に裏バンマスもこさん登場。きょうもブーブクリコ持参で来てくれた。おまけにおいしいイチゴもつけて。う〜ん、イチゴとシャンパン、神が与えたもうた最高の取り合わせ...あ〜終わりが待ち遠しい!おあずけはつらいっす〜〜〜

 鼻先にニンジンぶらさげられた馬状態で次の曲へ。今度は僕の最初のアルバム「The GIG」に収録したオリジナル「Fontana di TREVI」(Tada)。前回はピアノレスの二管編成で、ドラムもマレット主体のやや幻想的な感じでやってみたが、今回はファンクバージョン、しかもピアノが入る。石井のピアノがこの曲にどんな生命を吹き込むのかを聞いてみたかったのだ。そしてこれも思惑通り素晴らしい世界が展開した。石井の一番の特徴である十二単のように何重にも折り重なったサウンドが広がる。これも2テイクOK!

 あっという間にここまで三曲終わってしまった。これでマサとノリはお役ご免。お疲れさまでした!彼らが楽器を片づける間しばし休憩。なんだかきょうはうまくいきすぎ?この分では5時ごろには終わりそう...メンバー個々の力量が問われる曲が多い中、さすがとしかいいようのないテクニックでみんな乗り切ってくれた。人選に間違いなし!と改めて自画自賛。

 最後に残した曲は「Theme from Betty Blue」。何年か前に大ヒットしたフランス映画「ベティーブルー」が僕の大のお気に入りで、その中のワンシーンに主人公の男女がピアノ屋で向かい合ってグランドピアノを弾くシーンがある。なんと言うことはないシンプルなコードとメロディーなのだが、ずっと心に引っかかっていていつか自分のアルバムで何かの形でこの曲をやりたい、と願っていた。何ヶ月か前に石井君にビデオを貸して「映画を見てもしやりたくなったらやろう」と言って置いたのだが、超多忙な彼、直前までビデオを見る機会が無く「ああ、今回も無理かな...」とあきらめていた。ところがレコーディング一週間前になって彼からのメールで「ビデオ見ました。共感しました。この曲やりたいです。」といってきたのだ!このときの喜びは筆舌に尽くしがたい。大げさなようだが、僕にとってはそれほど思い入れの強い曲なのだ。それが石井君の美意識にも触れたのだと思うととてもうれしい。

 
 30分ほどしてドラムセット等の片づけも終わり、石井君の顔が見えるようにピアノも大移動してセッティングOK。さあいよいよラストの曲だ。この曲に関しては絶対に取り直しをしたくない。真剣勝負、一発勝負でいきたい。自分のテンションを高めていざ出陣!さてその結果は??次号を待て!!んなわけないか。もちろん一発OK!思い通りのものになった。石井彰を改めてリスペクトした瞬間だった。この人の音の広がり、感性、これは尋常ではありません。みなさん、アルバムほんとに楽しみにして下さいね!!

 時刻はまだ5:00。大幅に早く終わってシャンパンで乾杯!MDにラフミックスをダビングしてもらう間、聴きながら打ち上げモードに入る。何度も書くが、これほどスムーズに終わったレコーディングは初めてだ。内容に関しても素晴らしいものになったと思う。発売が待ち遠しい。


 この録音に際してお世話になったエンジニア広兼氏、EWE高見氏、守崎氏、宇郷女史、大坂君のローディー氏、僕のローディー赤津氏、そのほかオンキョーハウスのスタッフの方々にこの場をお借りして感謝申し上げます。そしてバンドの名付け親はのすけ氏、It's so funny氏、裏バンマス小川もこ嬢、フォーミラスタッフの皆様、リスナーの方々にも厚くお礼申し上げます。