多賀町の鈴鹿山中に
「五僧越え」と呼ばれる道があるのを
ご存知でしょうか?

補正済み5-4
五僧峠からの岐阜県側の風景

通る人がほとんどない
とても静かな、山中深く行く道です。

五僧07
五僧峠の地蔵さん

それでも、かつては
美濃・北勢と近江を東西20数kmで結ぶ
山越えの便利な道として、
商人や多賀大社の参拝者などを中心に
大くの通行人でにぎわったそうです。 

その「五僧越え」
東の岐阜県側から西の滋賀県へ向かうと
 
下山
上石津町下山(岐阜県大垣市)

時山
上石津町時山(岐阜県大垣市)
 
五僧峠
(五僧峠)
 
補正済み5
五僧(ごそう:滋賀県犬上郡多賀町)

保月
保月(ほうづき:滋賀県犬上郡多賀町)

杉-3
(すぎ:滋賀県犬上郡多賀町)

杉坂峠(遠景)
八重練(やえねり:滋賀県犬上郡多賀町)

となります

東の起点が岐阜県大垣市上石津町下山、
西の起点が滋賀県犬上郡多賀町八重練
という
五僧峠を越える道、「五僧越え」なのです。

XT2S9210
起点「八重練」にある道標「是より杉坂十八丁、みのいせ道」

この道は、それ以外にも
島津越え」「保月越え」「牧田越え」「江州街道」
などとも呼ばれていました。
「島津越え」については
以前にも当ブログで報告していますので
よろしければこちらをご覧ください。

補正済み5-2
岐阜県側から見た五僧峠

五僧峠を県境に
岐阜県(東)と滋賀県(西)に分かれる「五僧越え」、
滋賀県に入ると
近江カルスト台地という
標高5〜600mの石灰岩質の台地上を
道は行きます。

そして道沿いには
「五僧」「保月」「杉」という集落があり
そのあたりは脇ヶ畑地区と呼ばれています。

脇ヶ畑地区地形図
※国土地理院電子国土WEBからのデータを一部加工
画像をクリックすると拡大表示されます

それは
昭和30年に多賀町と合併するまでは
「脇ヶ畑村(わきがはたむら)」という
一つの地方自治体だったからです。

五僧06
林道横に残る、五僧峠への旧道

その中心を通る「五僧越え」は
村の主要道でもありました。 

現在は
八重練〜杉坂峠間のルートが
栗栖から杉坂峠へと大きく変更されている他、
一部ルート変更をされながら
下の地図(航空写真)のように 
「県道139号・上石津多賀線」となっています。


それにしても、ほとんどが山!!
すごいですね

権現谷とアサハギ谷
権現谷とつながるアサハギ林道

今では車で抜けることも可能ですが
昔は全てが徒歩。
それも、今のような良い道ではなく
人一人しか通れないほどの山道。
そこを
多くの人たちが
たくさんの荷物を背中に担ぎ
多賀・彦根を、
美濃・伊勢を目指して往来したのです。

脇ヶ畑地区の中心となる「保月」には
宿屋や質屋などもあったといいます。

保月③553
雪の保月の風景

それにしても、いったい
どれくらい時間がかかったのでしょうか・・

杉坂道-4
杉坂の古道

この「五僧越え」の古道は、
今も地形図では一部
点線で示されています。
下の地図は、滋賀県側の起点あたりの
八重練〜杉間です。

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※国土地理院電子国土WEBからのデータを一部加工
画像をクリックすると拡大表示されます

栗栖〜杉坂峠の実線は、現在の道。
「杉坂」と書かれている
八重練〜杉坂峠の破線が
「五僧越え」の古道です。

杉坂道-3
杉坂道の途中にある廻り岩

そして、杉坂峠といえば
多賀大社の祭神である伊邪那岐大神の降臨地。
その御神木「三本杉」のある所です。

三又に枝分かれして、天へと伸びる杉の巨木は
実に見事!

杉坂道-2
多賀大社の御神木「三本杉」

この道が県道指定されて
栗栖からの道ができたのは昭和10年。
それまで山道しかなかった脇ヶ畑村にとって
念願の車道でした。

栗栖
県道の起点となる栗栖の飛ノ木橋

といっても
その時開通したのは栗栖から保月まで。
保月から先の五僧までは
依然、人しか通れぬ山道のままでした。

その後30年以上も経て
昭和40年代の初めに
ようやく林道が通じるのですが・・

権現谷とアサハギ谷-2
アサハギ林道からの権現谷と霊仙山

その時も
峠下の権現谷までしかつながっておらず、
そこから五僧集落までは
徒歩でいくしかありませんでした。

杉坂峠付近の道
権現谷とアサハギ林道の分岐点。まっすぐ山道を登ると五僧に至った

五僧集落までの林道が通じたのは
平成10年を過ぎた頃。
五僧に人が常時住まなくなったのが
昭和50年前後ですので、
人の生活のあった頃は
車では行けない集落だったことになります。

五僧までの林道-2
右の道が五僧につながった林道(撮影:2001年)

そう思うと
山深い脇ヶ畑地区の中でも
五僧はより隔絶された地にあった、
そういえそうです。

現在のこの「県道139号・上石津多賀線」は
栗栖から岐阜の大垣市上石津町まで車で通れますが、
大変細く
落石や路肩崩落なども日常的にあります。

杉坂峠付近の道-2
杉坂峠手前付近の狭路。もちろんガードレールなど無い

冬場は完全に閉鎖。
それ以外の時期でも
道路時状況が悪く通行止めということが
少なくありません。

幅員が狭く
すれ違い不可の区間も多くあります。
また、ほとんどの地域で
携帯電話は通じません。

杉坂道
杉坂峠からの眺望。今は木々に遮られてしまった

もし訪れる際は
「譲り合い」「超・安全運転」「地元車優先」など
細心の注意でご通行ください。

古の街道の雰囲気を残す「五僧越え」
雪解けの春の開通が
待ち遠しく感じられます。


 近藤)