お盆休みも、はるか遠い記憶の彼方。
まぁ、墓参りした以外は、ひたすらゴロゴロし続けて、
高校野球観戦にいそしむ日々だったわけで、毎年恒例、
相方の「夏の思い出が無い…」というボヤキも、
そりゃ聞こえてきますわな。むべなるかな。

そういや、昨日、夏の甲子園は決勝でしたな。
今年も大阪勢の優勝、と。めでたい。
しかし、去年の大阪桐蔭のときも、報道はほぼ吉田輝星くん一色、
今年も奥川くんがどーのこーのばっかりで、
勝った履正社の影が薄いのは、なんなんでしょね。
U-18の日本代表にも、一人も選ばれてないっていうし。

そんな感じで、もう夏も終わりかいな…って思いながら、
エアコンも入れずに窓を開けて、雨音を聞いております。
ま、そんな簡単に終わってはくれんのでしょうけど。

でね、日本の夏と言えば、やっぱり先の大戦関係の話題が多くて、
映画やドラマも、それ関係のものがたくさん放送されます。
そんな中、今年の僕はなぜかドイツづいてまして。
というのもね、これがWOWOWで放送される、ということで。
『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』DASBOOT
予告がおもろそうやったんで、観ようと思ったんですけど、
名作映画『U・ボート』の続編ってナレーションが入ってて、
僕はその名作映画、観てへんなぁ、って思ったんですよ。
っていうか、タイトルだけ知ってて観てないいわゆる名作、
結構多い方やと思うんですけど。
で、こういうときには必ず一挙放送をやるのがWOWOW。
その映画の方を先に観ました。
『U・ボート』

潜水艦映画にハズレなし、と言いますが、いやぁ、面白かったですね。
古い映画なので、そりゃ映像的には粗い感じはしますが、
CGではないアナログならではの迫力を感じます。
しかし、僕はよう知らんかったんですけど、潜水艦って、
意外と丈夫なんですね。
深海の水圧って、えげつないもんですから、ちょっとでも浸水したら、
すぐにペシャン!って潰されるもんかと思ってました。
外装がいくら硬くてもね。
浸水には充填材で塞ぐとか、ポンプで排水するとか、
へぇ、そんな仕組みになってるんや〜、と。
あと、故障したのんも、ちゃんと修理できるんですねぇ。
限られた空間で、資材とか部品とか、そんなに積んでないやろうに。
戦闘シーンよりも、着底して故障を抱えたUボートが浮上できるか?
っていう緊迫感が、ホンマ、たまりませんでした。
でねぇ、ネタバレになって申し訳ないですが、古い作品やし、
気にせんといきますけど、そんな危機を乗り越えて、
ようやく港に帰ってきたのにラストは…ねぇ。
まぁ、日本もそうですけど、ドイツでも戦争を描くときには、
めでたしめでたし的な終わりには、なりませんわな。
いや、もちろん、このラストだからこそ、名作感もあるのですが。

で、それに続いてドラマの方も観ました。全8話をぼちぼちと。
続編ってことですが、共通する登場人物もいませんし、
っていうか映画のラストを観て、これのどこに続く要素が??
と思ってたんですが、結果としては、先に映画を観ておく必要は、
全くありませんでした。やれやれ。
とは言え、いい映画を観る機会をもらえたのは、良かった。

ドラマは、潜水艦内だけではなく、一方そのころ陸上では、
って感じでレジスタンスとそのスパイ、ゲシュタポの駆け引きに、
メロドラマ的要素も入ってて、サスペンス感もあって、盛りだくさん。
潜水艦のシーンも、こちらはやっぱり現代の技術で、
潜航シーンとか魚雷発射なんかは、めっちゃかっこよかったです。
ただ、映画の方は、時間が経つにつれ、乗組員全員がひげ面になっていき、
正直それで誰が誰だか見分けがつかなくなるのですが、
ドラマでは、小汚くなっていくとは言え、ひげはひげ、
剃ってある人はずっときれいに剃られたまま、ってのは、
リアリティの面で本家の方に軍配、かな。
でね、最終回も終盤になって、あれこれに決着はつくものの、
アノ人、アレ、どうなった??ってのもあって、
おいおい、このまま終わんのかよって思いながら観てると、
ラストに、お!やっぱりか!!って展開があって、
これってもしかして…続く?と思ったら、ググってみると、
もうシーズン2の制作決まってました。やっぱりな。

ドイツで先の大戦と言えば、ヒトラーを外しては語れません。
彼を題材にした作品も多数ありますが、こちらは、
タイトルには入ってるものの、本人は登場しない作品。
『ヒトラーへの285枚の葉書』

邦題では“ヒトラーへの”になってますけど、
別にヒトラーに抗議文を送る話ではありません。
(原題は『Alone in Berlin』)
ヒトラーを非難する告発文を書いた葉書を、町のいたるところに、
そっと置く、と。ホントに、そっと。
そして、それを見た人が、他の誰かに回してくれることで、
この反抗の機運が広がっていくことを期待する、と。
こんな方法って、あるんですねぇ。
あまりにささやか。あまりに地道。
そして、それが実を結ぶ話なのか、誰かに届く話なのか、
と思いきや…切ない。
でも、こういう人たちがいたんだ、という事実、
それ自体に希望があるというか…ん〜切ない。

こちらは、がっつりヒトラー。
『ヒトラー 〜最期の12日間〜』

これも、名作とは聞いてましたが、まだ観てなかった作品。
孤独な独裁者の狂気が見事に描かれています。
潜水艦に通じるような、地下の密室の緊迫感、圧迫感。
先日亡くなってしまいましたが、名優ブルーノ・ガンツが、
渾身の演技で観てる我々を、その密室へと引き込むようでした。

どうでもいい話ですが、この作品のあるシーンを、
デタラメな字幕を付けてパロディにする、というのが、
ネット上で流行ってたことがあったみたいで、
僕は先にそっちを見たことがあって、そのシーン、
めちゃめちゃ緊迫した重要な場面なのに、ちょっと思い出し笑い…
“閣下はお怒りのようです”で検索したら、以前はたくさん出てきたのですが、
どうやら今は全部削除されてしまってるみたいですね。
それはそれで、残念。

この作品を観た後、これを観たんですけど、
大笑いしながらも、うーんと唸ってしまいました。
『帰ってきたヒトラー』

『最期の12日間』のラストがこちらにつながってる、
なんて考えたくもないですが、なんか、そんな感じで観ちゃいました。
後世の我々は、非道の独裁者だと分かっていますけど、
曲がりなりにも選挙で選ばれた人なわけですから、
そりゃ人を魅せるというか、惹かれる要素は持ってた人なんでしょう。
この作品の中では、結構愛嬌がある、というか。
同時代に生きてると、その奥にあるものまで見通すことは、
難しいのかもしれない…なんてことを考えたり。
うん、でも、ただのエンタメ映画として観ても、十分おもろい。
独裁者なんか、笑い飛ばしてしまえ!という気もしないではない。

こちらは、ただただ、うーんうーん唸る作品。
『否定と肯定』

まず一番驚いたのが、イギリスでは、名誉棄損の裁判は、
訴えられた側に、名誉棄損ではない、という証明が求められること。
逆でしょ、普通。
訴える側が名誉棄損を受けた、と言って始まる裁判なんですから、
これこれが名誉棄損に当たるんだと主張し、受けた被害を明らかに、
それを証明するもんでしょ。
逆になったら、証明のハードルがすごく高くなると思うんですけど。
イギリス、これで大丈夫なのか?って思っちゃいました。
あと、法廷弁護士と事務弁護士の違いとか、
普段アメリカの法廷ものをたくさん観てますけど、
こんなに違うもんなんだなぁ、と。
内容的には、ホロコーストがあった、ってことを、
今更大真面目に証明しないといけないって、こんなに大変なんだ…って。
常識でしょ?みんな知ってるでしょ?被害者もたくさんいるでしょ??
とは思うものの、それを法的に、法廷で証明せよとなると、
うーん、なるほど、こんなに難しいのか…と唸りました。
そして、この裁判で負けてしまうと、法的には、
ホロコーストは無かったという言説が正しい、
あるいは誤りとまでは言えないという記録が残ってしまう恐怖。
(さすがに歴史的事実が覆る、ということはなかろうけど。)
そのギリギリの法廷戦の攻防がスリリングに描かれています。
ホロコースト否定論者の役者さん、見覚えあるな、と思ったら、
『ハリーポッター』シリーズのネズミさんですね。
失礼ながら、ヤな顔してるわ。こんな役、似合うわ。

でね、思うわけですよ。我が国が戦時中に行ったことについて、
未だにあったの無かったのって論争があるわけで、
ある種、他人事ではないなぁ…と。
それを裁判に持ち込まれて、しっかり反論できなければ、
法的にはその形で決着してしまう、ってことが実際にあり得るし。
現に今、あるし。
(…はぁ…やれやれ。)
変な訴えがあれば、外国の法廷にでも乗り込んで行って、
戦わなければならんのでしょうな、この映画の主人公のように。
まぁ、戦った結果なんだろうけど…やれやれ。

そんな感じで、夏はやっぱり、戦争と平和について思いを巡らす季節。
今年は特に、ドイツ関連が多かったな、というお話。
ドンパチ映画もいいのですが、考えさせられる作品に、
腰を据えて向き合うのも、たまにはいいんじゃないですかね。