猫の欠伸研究室(アーカイブ)

~淡々と飽きもせず……~ チベット・ラサの僧侶曰く、「人の生涯は猫の欠伸のようなものだ」

2011年11月

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 早くも、11月も末日を迎えました。そろそろ、「今年も残り1ヶ月」といういい方が許されるかと思います。しかしながら、11月終わりというのに、温かい日となっています。11時には、17.0.℃にもなっています。小春日和というより、散歩をしてくると、汗ばみそうでした。

 さて、11月末日ということで、退職してちょうど1ヶ月を迎えたことになります。冒頭に、「早くも11月も末日」と書きましたが、退職1ヶ月については、「もう1ヶ月」でもあり、「まだ1ヶ月」でもあるというのが、正直な感想です。

 たかだか1ヶ月ですから、何かが大きく変わったということはありません。まぁ、持ち帰った18f38a86.jpg
本や資料の整理がおおかたついてきたということと、それにともなって、自宅にあった本、資料もついでに整理がかなりできたということくらいでしょう。

 現時点でまだ整理がついていないのは、論文の抜き刷りや報告書、学生時代に自分が取ったノートの類いです。これらは、いわゆる「自炊」をすることにしました。スキャナや裁断機の購入も考えましたが、買えばお金もいりますし、何といっても保管スペースが必要になります。スペースを節約するために自炊するのに、これでは自己矛盾に陥ります。ネットで検索してみましたら、今流行りの「DMMドットコム」で、スキャナも裁断機もレンタルできることが分かり、5日ほど借りて済ませることにしました(ちなみに、セットで、5日間¥5,850)。

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 体調は、まあまあといいますか、多少はよい気がします。また、散歩の距離や疲れ方、歩き方をみていますと、体力や、元気が多少戻ってきているように感じています。歩くことができる距離は、さほど無理をしている訳ではありませんが、5�qほどにも伸びてきています。また、歩く姿勢もよくなり、歩くスピードも速く、さらには、歩幅も大きくなってきています。

 以前は、午後一番には、昼寝をしないと身体が持ちませんでしたが、このところはそういうこともなくなってきています。昼寝なし、という日の方が多くなりましたし、仮に午睡をとったとしても、せいぜい30分程度で済むようになっています。

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 お腹(腸)の調子も、起床時のコップ1杯の冷水+朝食の時のヨーグルト+朝の梅干し1個のおかげか、絶好調とはまだ行きませんが、かなりよい感じです。排便が毎朝規則的になりましたし、何といっても、ヘンなガスが発生したり、そのガスがたまったりしなくなりました。

 それもあってか、また、体力も戻りつつあるためか、アタマがオーバーフローしてしまい、飽和する感じもなくなってきています。

 懸案の減量の方は、なかなか進みませんが、それでもこのところ、体重が動き始めたよ57bf4cde.jpg
うです。腸の調子がよくなったのと、体力・元気が戻ってきて、基礎代謝も上がり始めたのかも知れないと思っています。もう1ヶ月して、「減っています」という報告ができれば、よいのですが、どうでしょう?

 ということで、体調や、体力につきましては、顕著に改善した訳ではありませんが、少しずつよくなっているように思われます。

 ブレイン・ワーク、デスク・ワークについては、整理、片付けが一段落つきつつありますので、また、読書する時間が取れるようになってきています。パソコン内のファイルも整理していますが、これは紙の整理のようには行かず、中身の確認が必要なものはいちいちソフトを起動して開いてみないといけませんので、かなり面倒です。

 「桑名発達臨床研究室」の方は、ネット上に看板を掲げたのみで、開店休業というよりもそれ以前の状態ですが、教え子の皆さんなどの支援もあって、研究面については、少しずつ動いています。こちらはまあ、半年から1年かけて何とかしようと思っています。

 全体としては、まあまあというところだと思っております。

 ところで、写真は、今日の散歩のときのものです。さすがに昨日は、歩きすぎました。今日にまでお疲れが残っております。今日は、それもあって、軽く、九華公園一周の3.0�qで勘弁してもらいました(誰に?)。 鳥たちはカワウ、コサギ、カモばかりで、ユリカモメもおりませんでした(笑)。明日から12月ということで、枯れ葉の風情も写してみましたが、今日の気候には似合いませんねぇ。

 引き続き、「晴歩雨読」と、「淡々と飽きもせず……」でやることに致します m(_ _)m

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 本日2つめのエントリですが、5.4�qも歩いてしまった散歩の成果をご紹介しておきます。コサギにつられてand/or騙されて歩いてしまったという散歩でしたが、コサギとジョウビタキの雌の写真が撮れました。今シーズン、なかなかジョウビタキに出逢えず、ちょっと寂しい気がしていましたが、久々にきれいな雌の写真が撮れました。ちょっと、木の葉っぱがかぶってしまってはいますが、まぁ、上出来でしょう。沢南橋の大山田川で撮りました。

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 こちらは、「見返り美人」とでもいうべきショットです。橋から10m弱先の木に止まっていたものです。肉眼では、ジョウビタキとは思えませんでしたが、ひょっとしたらと思って撮影し、戻ってPCに取り込んで、トリミングをして拡大してみて、確認できました。これをきっかけにジョウビタキにもたくさん出逢えると良いのですが……。

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 ところで、もう一方の主役、コサギです。沢南橋の少し上流にいるのを見かけ、「ちょっと足を伸ばして、撮りに行こう」と思ったのが、運の尽きでした。ついついドツボにはまってしまい、もう一つのエントリに書きましたように、そこから数百メートル上流まで追いかける羽目に陥りました(笑)。

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 この写真は、もう一つのエントリにも使用しましたが、まあまあきれいに撮れ、しかもコサギの姿が、川面にもきれいに映っていて、我ながら「うまく行った」と自己満足をしています。

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 さらに、数百メートルにわたって追跡した甲斐があり、コサギのいろいろ7cc56f2e.jpg
な姿を撮影することができました。エサを狙っているように見えるショットもありますし、飛んでいる様子もいろいろなパターンが撮れました。飛んでいるところは、必ずしもピントは合っていませんが、まあ許せるかと思います。ご笑覧ください。

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 残念ながら、今日、大山田川では、カワセミには遭遇しませんでした。このほかには、ムクドリやカラスの群れ、ハクセキレイ、カモたちは、いつものように遊んでいましたが……。

 晴れという予報ですが、空を見上げると、雲もけっこう多くなっています。曇っていたせいか、朝の気温もあまり低くはならず、9.7℃。11月も終わりだというのに、今日、明日は暖かく、とくに明日など20℃近くになるといいます。まったく、体調がついていきませんねぇ。

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 さて、今日も例外なく、散歩であります。結論から書きますと、5.4�qも歩いて19418c9c.jpg
きました! 2時間です。最初の写真は、散歩から帰ってきて、我が家の玄関前から、今日行って来たあたりを撮ったものです。矢印をつけたのが、NTN桑名事業所ですが、そのすぐ近くまで往復してきました。Googleマップ上に散歩コースを描いたものが、右の画像です。本来の目的は、三洋堂書店で、先週発売になっていたパソコン雑誌を買い、元気があれば、大山田川(国道1号線の北側に東西に流れている川)まで行ってみようかということでした。

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 これだけ歩いてしまったもとはといえば、こちら、コサギさんに遊ばれてというか、つられてしまってというか、でありました。川面に我が姿を写して、うっとりしてますが、この方、なかなかやります。何といっても「サギ」の仲間ですから、人を騙すのです(爆)。地図上、西浄寺と上之輪神社の間にある沢南橋付近で、鳥の写真を撮って戻ってくるつもりだったのですが、コサギが3羽いまして、それが少しずつ大山田川を遡上する、西方向に移動していったのです。小生、それにつられて、養老鉄道の播磨駅近くまで、ホイホイとついて行ってしまったのです。

 コサギとジョウビタキ(♀)の写真を撮ることができましたので、まあ良しとしますが、歩きすぎました。コサギとジョウビタキの写真は、別エントリに致します。

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 ここは、沢南橋から上流、近鉄・JRの鉄橋の西に架かる新宮西橋から、大山田川の上流を眺めた写真です。このすぐ右手が、NTNの桑名製作所、川の奥にわずかに見える鉄橋が養老鉄道で、そのすぐ右が播磨駅。川の右手の道路を、養老鉄殿手前まで行ってしまったという次第です。ちょっとやり過ぎたかも知れませんが、今のところは多少疲れた感じで棲んでいますから、まぁだいじょうぶでしょう。

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 ところで、この新宮西橋からの帰路は、下り坂で、歩き疲れた小生にとってはありがたいことでした。NHKBSプレミアムで放映中の「にっぽん縦断 こころ旅」で、火野正平さんが自転車で下り坂をぶっ飛ばしながら、「人生下り坂、最高!!」とよく叫んでいますが、まさにその気分満点(爆)。

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 坂をほぼ下りきったところに、この看板。思わずニヤリとしてしまいましa48f01d8.jpg
た。読者の皆様は、いったい何を想像されるでしょうか?そうなんです、ヤマト運輸の営業所(多度東方センター)の前なのです。なかなかやりますねぇ。

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 さらに歩いて、近鉄・JRの陸橋の下をくぐると、エイデン桑名店&三洋堂c0065758.jpg
書店桑名店のところに出て来ます。以前は、毎週のようにというか、2~3日に1度くらいは来ていましたが、無職になってからは、無駄遣いをしないよう、なるべく近寄らないように気をつけています(笑)。

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 国道1号線宮前町交差点です。ここをわたると、田んぼの中の田舎道にa453c4bf.jpg
なります。交差点のすぐ北には、伊勢大橋と、国土交通省木曽川下流工事事務所があります。青空ですと、もっときれいな写真になったのに、ちょっと残念です。

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 諸戸苑などに来る前には、こういう町工場が何軒か集ee5ef703.jpg
まったところも通ります。子どもの頃育った家の回りにも、こういう工場がいくつもありましたので、金属の削り屑や、機械の油の匂いには、何か懐かしさを感じます。右は、鋳造工場ですが、私の地元も、桑名と同様に、こういう鋳物業が盛んでしたので、ここも子どもの頃を思い出させてくれる懐かしい感じです。

 ということで、ちょっと頑張って歩きすぎた感じもありますが、今のところは、体調は悪くなく、むしろ、心地よい疲労感に浸っています。懐かしい感じの町工場のことも書けましたし、「下り坂も最高!」でした(爆)。

 雨は降らないようですが、 朝から曇っていて、太陽が拝めません。それだけで寒い感じです。11時の気温もやっと10℃になったようです。予報通り、16~17℃になるのでしょうか?

 11月26日(土)に、無事、学会での連名発表が終わりました。浜松で行われた第106回日本小児精神神経学会で、教え子&元秘書のIさんが、高機能自閉症の子どもたち42名に実施したWISC-�Wの所見について、発表してくれました。彼女の勤務先のクリニック院長のK先生と3名の連名発表です。WISC-�Wは、今年の1月に刊行されたばかりですので、まだこれだけまとまった事例についての発表はないと思います。Iさんには、論文にして投稿しましょうとお願いしてあります。

 また、現在、以前からお世話になっています、小児科医のE先生から依頼されました、養護施設利用児童の「学力、道徳力アッププロジェクト」のデータの統計分析も、昨日から進行中です。計算そのものは終えていて、現在その説明を書いているところです。

 ということで、整理&片付けが一段落しましたので、久しぶりにアカデミックな気分で生活をしております。

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 さて、そういうなか、今日も、9時半からは散歩に行って来ました。昨日はカワセミコースでしたので、今日は、九華公園コースでした。11時までの1時間半、やや短めの3.3�qでした。

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 今日も、何といってもアオサギでしょう。二の丸庭園跡にいました。が、何を思ったのか、小生が3枚ほど写真を撮ったところで、どこかへ飛び去っていってしまいました。しかし、この飛んでいく場面が撮れましたので、かなり満足であります(喜)。

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 次いで、こちら、ユリカモメです。冬は、やはりこのシーンですねぇ。二の095f317a.jpg
丸橋の欄干にユリカモメが並ぶシーンです。何といいますか、小生にとっては、「カモメのお立ち台」であります。今日は、まだ、8羽ほどしか並びませんでしたが、真冬になりますと、両側の欄干に数十羽が並ぶのは、壮観です。

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 ちょっといたずらをして、持っていたパンを細かくして、ばらまいてみました。遠くにいたカモたちを始め、ユリカモメも集まって来て、大騒ぎになってしまいました(苦笑)。しょっちゅうやっている訳ではありませんので、ご容赦ください m(_ _)m

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 しかしそのお陰で、カモメが乱舞するショットが撮れました。しかも、小生のすぐ目の前で、です。こちらも、ちょっとコーフンしてしまいました。これらの写真が撮れましたので、ちょっと気が引けたのですが、上機嫌で帰ってこられました。

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 ところで、こちらのワンちゃん。何という犬種かは知らないのですが、諸戸氏庭園の東の入り口、潜り戸のところにいます。「います」というのも、何だかヘンな表現ですが、諸戸氏庭園の東側は、未公開で、諸戸さんの住宅があります。そこで買われているのか、あるいは管理していらっしゃる方の飼い犬か、よく分かりませんが、ときどき、ここで「立ち番(?)」をしています。大人しい犬です。小生、何となく、好きなワンちゃんなのです。

 午後からは、統計分析結果の説明を書き上げてしまい、メールで送る予定です。そのあとは、読書でもしましょうか、それとも、パソコン内の仕事ファイルの整理でもしましょうか、というところであります。

 日曜日恒例のアカデミック・バージョンです。このところ、退職&研究室の整理整頓で出て来た、ちょっと古い業績をご紹介しています。今回も、1980年代の末に取り組んだ「事例報告」です。ただし、「事例報告」として優れたものであるということではありません。誤解のないように願います。しかし、臨床実践現場で、看護師、保育士、児童指導員という多職種が共同して取り組んだ事例で、効果が得られたという点では意味はあったと考えています。
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1.はじめに
 重症心身障害児・者の中には、行動上種々の問題を持つ症例が多くある。今回、日常生活の中で奇声・興奮が強く、パニック状態になる患者に対して、その状況を分析し、改善へ向けての指導を行い、成果がみられたので報告する。

2.症例紹介
 症例はH.K.、昭和X年10月13日生まれの女子である。入院は昭和X+4年7月21日で、入院時3才8カ月であった。この指導を行ったのは、平成Y年で、その時点では年令24才、入院期間は約20年であった。診断は、中頭症、精神遅滞、てんかんで、合併症として眼振、兎唇(手術により治癒)がある。けいれんは、全身性強直性発作で頻度は年1~2回。坑けいれん剤は、フェノバール90mg(1日量)を服用。脳波には中等度異常が認められた。CTでは、骨の肥厚、軽度脳萎縮、中頭症の所見が得られている。HBs坑原がプラスで、CHBのキャリアーである。坑けいれん剤以外には、奇声・興奮に対してセレネース300mg、アーテン4mg、ドグマチール750mgが投与されている(1日量)。

 大島分類は、10。発達レベルは、新版K式発達検査により、姿勢・運動が1才9カ月、認知・適応が1才6月、言語・社会が1才3月、全領域で1才6月である。簡単な日常会話は理解可能である。

 歩行は可能。食事は、全面介助であったが、少しずつ自力摂取の訓練を行っている。スプーンですくい、口へ運ぶことがだんだんできるようになってきている。排泄は、オムツを使用しているが、時間誘導を試みている。

 家族は、50代の母親と10代後半の妹・弟である。父母は昭和52年に協議離婚している。面会は月1回程度、外泊は年3回で計10数泊位である。

3.問題行動の状況
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 本症例の示す問題行動は、奇声や興奮である。後にも述べるが、食事やオムツ交換など職員が関わりを持つときに興奮し、奇声をあげることが多い。時には、興奮状態から、相手を叩いたり、物を投げるという他傷行為もみられた。本症例が興奮し、奇声をあげると、関わりが持ちにくく、また他傷行為もみられるため危険なことがあるので、問題となった。奇声・興奮は昭和X+21年頃からみられた。指導を行う前の時期で、1日平均4回、1回の奇声・興奮は約15分はど続いていた。

 この奇声・興奮の原因や対応方法を探るために、4週間にわたり奇声・興奮の生起状況および対応方法を調査した。調査は、奇声や興奮がおきた時刻、それが持続した時間、どういう対応を取ったか、対応の結果はどうであったかを記録した。

 図1に奇声・興奮回数の時刻による変化を4週間の合計で示した。この期間に合計107回の奇声・興奮がみられた。時間帯で多かったのは、13時台の20回、10時台の16回、11時台の15回、7時台の13回となっていた。これによると、食事やオムツ交換、入浴時間など職員が本症例に関わる時間帯に奇声・興奮が多いことが分かった。本症例は、発達段階が1才半程度のレベルにあり、簡単な日常会話はでき、理解力はかなりある。そのため、場面の転換(食事が始まるなど)に応じて自分の気持ちの切り替えができず、次の行為に移れなくて、情緒的な混乱を生じ、奇声・興奮へとつながるものと考えられる。

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 次に、奇声・興奮に対する対応方法とその結果を図2にまとめた。対応が5回以上あったものについて集計した。「自分のベッドに入れる」が32回ともっとも多く、しかもその内27回(84%)で奇声・興奮が収まる良い結果が得られた。他に良い結果が得られたのは、「個室のベッドに入れる」の12回中11回(92%)、「音楽を聞かせる」の11回中9回(82%)、「人形を持たせる」の7回すべてなどであった。逆に奇声・興奮が収まらなかったのは、「ベッドに入れたまま放っておく」の10回中4回(40%)、「看護婦の腰に抱きつかせて歩く」の5回中4回(80%)であった。「プレールームを自由に歩かせる」も10回中3回が悪く、4回は厳しい表情を見せ、情緒が不安定であった。

4.対応方法
 以上の分析に基づき、、次のような指導方法を試みた。
 �@場名の転換がよく分かるように関わる。例えば食事の際は、「ごはん食べようね」と声をかけ、本症例の返事を確認してから関わるようにした。
 �A奇声・興奮が起きたときは、自分のベッドや個室に入れ、気持ちを自分で静められるように対処した。また、職員の腰に抱きつかせて歩くことは、本症例は好んだが、悪い結果を招くので避けるようにした。こうした対応方法については、病棟のカンファレンスで説明し、すべての職員が統一して当たれるように配慮した。

5.対応結果と考察
 上記の対応方法を取りながら、再度4週間にわたり奇声・興奮の生起状況を調査した。

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 図3に指導期間中の奇声・興奮の時刻による変化を示した。この4週間の間に、奇声・興奮の回数は67回に減少した。時刻による変化を見ても、10時台の17回と14時台の12回を除いて、いずれの時間帯も6回以下に減少した。10時台と14時台では減少しなかった。10時台は入浴時間であるが、本症例の入浴日でない日に13回みられたので、周囲の騒がしさなどの影響と考えられた。また、14時台は集団療育の時間で、設定された保育に本症例がついて行けず、気持ちが落ちつかずに奇声・興奮につながったのではないかと思われる。

 奇声・興奮の1日あたりの合計時間は、指導期間では平均約20分とそれ以前の平均約62分より大幅に短くなった。また、奇声・興奮が0~1回の日は、指導期間中は10日間であり、それ以前の2日間よりも増えていた。

6.まとめ
 次の行動を明確にさせる指導は、奇声・興奮の減少に効果があったと言って良いと考えられる。理解力がある患者には、次の行動に対する「心づもり」を持たせることで、当人の気持ちの切り替えがしやすく、情緒の混乱を招くことが少なくなったものと思われる。
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【付記】 この事例報告は、次の学会で連名発表しています。連名発表者のIさん、Fさん、O先生に感謝します。

  • 第44回国立病院療養所総合医学会:奇声・興奮の改善に向けての指導、1989年、仙台市

 また、文章化したものは、次のように報告しています。

  • 小笠原昭彦(1995):奇声・興奮の改善に向けた指導.東海北陸重症心身障害児療育研究(昭和63年度~平成4年度報告)(厚生省東海北陸地方医務局重症心身障害療育研究部会研究報告書),1号,121-125.

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