社説:性的少数者 人権守る法整備検討を
同性愛者や性同一性障害者などの性的少数者(LGBT)が社会の中でさまざまな困難に直面している。職場での差別的な扱いや学校でのいじめ、性的指向を身近な人に相談できず自殺率が高いとされることなどが課題として挙げられる。
こうした事態を政府が積極的に解決する一歩として、差別解消などを目的とした法律の制定を求める声が当事者から出ている。
国連は近年、性的指向を理由とした差別や暴力を解消するよう各国に働きかけている。性的少数者の権利擁護は、国際的な要請でもある。
国会では今年、性的少数者の権利を考える超党派の国会議員連盟が発足した。政府、国会で議論を進め、前向きに法整備を検討してほしい。
恋愛相手が同性だったり、体の性と心の性が異なったりする性的少数者は決して珍しい存在ではない。
電通が約7万人を対象に今年実施した調査では、性的少数者に該当する人は7.6%に上った。13人に1人の計算になる。こうした人たちが、差別や偏見にさらされ、十分に活躍する機会が与えられないとすれば、社会にとっても損失だ。
だが、実際には「性の多様性」に対する社会の理解は十分ではない。NPOなどが運営する電話相談には多くの悩みや訴えが寄せられる。
内閣府の3年前の世論調査では、「性的指向に関し、どのような人権問題が起きていると思いますか」の問いに、4割近くの人が「差別的な言動をされること」と答えた。
性的少数者の差別を禁止する法律ができれば、国の基本方針を作成し、啓発活動に取り組むことになる。職場や学校で差別是正を促す行政指導にも乗り出しやすくなるはずだ。
地縁や血縁に頼りにくい性的少数者のために、相談や支援の体制を整えることもできる。司法による救済もより得やすくなるだろう。
だが、国としての対応は進まず、地方自治体に先進的な取り組みが出てきた。東京都渋谷区が同性のカップルを「結婚に相当する関係」と認める証明書の発行を今秋にも始める。世田谷区も検討中だ。条例で「性的指向による差別の禁止」を明文化する自治体もある。働きやすい職場作りや、同性カップルへの結婚手当支給など、多様で積極的な取り組みをみせる企業も出てきた。
米国の連邦最高裁判決により今年、全米で同性婚が合法化された。英仏など約20カ国も同性婚を法律で認める。こうした国では、差別と闘う長年の運動によって世論を変えてきた歴史がある。
基本法の制定で、まずは身近にいるはずの性的少数者への差別をなくす一歩を踏み出したい。
http://mainichi.jp/opinion/news/20150820k0000m070145000c.html
毎日新聞に社説から転載ですが良い視点で書かれています。
LGPTの問題では日本は後進国です。積極的な対応が必要です。
同性愛者や性同一性障害者などの性的少数者(LGBT)が社会の中でさまざまな困難に直面している。職場での差別的な扱いや学校でのいじめ、性的指向を身近な人に相談できず自殺率が高いとされることなどが課題として挙げられる。
こうした事態を政府が積極的に解決する一歩として、差別解消などを目的とした法律の制定を求める声が当事者から出ている。
国連は近年、性的指向を理由とした差別や暴力を解消するよう各国に働きかけている。性的少数者の権利擁護は、国際的な要請でもある。
国会では今年、性的少数者の権利を考える超党派の国会議員連盟が発足した。政府、国会で議論を進め、前向きに法整備を検討してほしい。
恋愛相手が同性だったり、体の性と心の性が異なったりする性的少数者は決して珍しい存在ではない。
電通が約7万人を対象に今年実施した調査では、性的少数者に該当する人は7.6%に上った。13人に1人の計算になる。こうした人たちが、差別や偏見にさらされ、十分に活躍する機会が与えられないとすれば、社会にとっても損失だ。
だが、実際には「性の多様性」に対する社会の理解は十分ではない。NPOなどが運営する電話相談には多くの悩みや訴えが寄せられる。
内閣府の3年前の世論調査では、「性的指向に関し、どのような人権問題が起きていると思いますか」の問いに、4割近くの人が「差別的な言動をされること」と答えた。
性的少数者の差別を禁止する法律ができれば、国の基本方針を作成し、啓発活動に取り組むことになる。職場や学校で差別是正を促す行政指導にも乗り出しやすくなるはずだ。
地縁や血縁に頼りにくい性的少数者のために、相談や支援の体制を整えることもできる。司法による救済もより得やすくなるだろう。
だが、国としての対応は進まず、地方自治体に先進的な取り組みが出てきた。東京都渋谷区が同性のカップルを「結婚に相当する関係」と認める証明書の発行を今秋にも始める。世田谷区も検討中だ。条例で「性的指向による差別の禁止」を明文化する自治体もある。働きやすい職場作りや、同性カップルへの結婚手当支給など、多様で積極的な取り組みをみせる企業も出てきた。
米国の連邦最高裁判決により今年、全米で同性婚が合法化された。英仏など約20カ国も同性婚を法律で認める。こうした国では、差別と闘う長年の運動によって世論を変えてきた歴史がある。
基本法の制定で、まずは身近にいるはずの性的少数者への差別をなくす一歩を踏み出したい。
http://mainichi.jp/opinion/news/20150820k0000m070145000c.html
毎日新聞に社説から転載ですが良い視点で書かれています。
LGPTの問題では日本は後進国です。積極的な対応が必要です。
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