2006年08月29日

Webゲームメディア考:ユーザーは「期待」もShareしたがる。AISASモデルよちょっと待て。

調子に乗ってもう少し続きを書いてみゆ(;´д`)
先ほど,

いずれにせよ僕自身は,ゲームメディアっていうのは,所詮「ゲーマー」のためのものであるから,基本的には「ゲームメディアの影響でウン百万本売れた!」なーんてことはあり得ないってのを前提に考えている。というか,100万本売る「仕掛け」と,10万本売る「仕掛け」というのは,全く別物だと考えるべきだしね。そして専門誌というもの(ゲームメディア)は,後者の装置に該当するワケで。

なんて事を書いたけれど,じゃあゲームメディアが"基点"で「100万本には通じないのか」といえば,いや,それは通じる可能性もあると思うんですね。矛盾しているようだけれど,それはBlogなどユーザー側の情報発信力が強まった現在において,「10万本売れるということは,即ち100万本売れる可能性に繋がっていく」と思うからなんですね。(今はまだ弱いけど)
その説明には,ユーザーの消費行動の変化というか,要するにネットでみんなどういう活動してんの?という辺りを考えていくことになるのだけれど,寝る前に軽くまとめてみたい。最初に書いておきますが,途中で力尽きる可能性大です(;´д`)

と言うわけで,はじまりはじまり。

さて昨今,アフィリエイトやらWeb2.0なんちゃら的な話題の中に,「ユーザーの消費行動様式が,AIDMAモデルからAISASモデルへ変化している」なーんて言葉をよく見かける。けれども,個人的には「ん,これって要素足んなくない?」というのが正直なところ。
じゃあ,何がどう足りないのよ? という話になるわけだけれど,まずは「AIDMAからAISASへ」って何よ?という話の整理から入っていきたい。

■AIDMAモデル

Attention(注意)――テレビ広告などによって注意を引かれる
Interest(関心)――商品に対する興味を持つ
Desire(欲望)――商品を欲いと思うようになる
Memory(記憶)――商品やブランドを覚える
Action(購買)――購買行動を起こす

■AISASモデル

Attention(注意)――メディア,個人Blogで注意を引かれる
Interest(関心)――商品に対する興味を持つ
Search(検索)――検索する,情報を検討する,比較する
Action(購買)――買う,参加する
Share(共有)――Blogに書くなど。またこれが新たなユーザーの
         注意や関心の素にもなるというのがミソだ

んで,この場でダラダラと説明するのは不毛なので端的に言うけれど,

従来の「知って,興味が出て,欲しくなって,憶えて,買いに行く・・・」という行動様式が,GoogleやBlog(あるいは口コミサイト)の影響によって,「検索,検討」と「共有」っていう要素が増え,変化したよね

と,まぁそういう話である。
 >詳しくはググってください(;´д`)

 ・気になるモノがあったらとりあえずググるし
 ・買った物に対して,レビューや評価をBlogで書く

など,まぁネットが身近な人にとっては当たり前の行動のことですね。昔から口コミ(Share)というのはあったワケだけど,Webが無い時代はそれが限定的だったが,Webだと情報の伝播に際限がない・・・・・・というワケだ。
 >ただ実際には,ネット自体のリーチ力の限界が未だ根強くあるのだが

これは非常に納得であり,まったくその通りだと言わざるを得ない。

では,この理屈のどこに違和感を感じるのか……?
それはというと,この話が,いわゆる「購入後」(とそれに続くフロー)にフォーカスし過ぎじゃないか?というのが気になるのである。
というのも,私としては,

「Share」って,買う前の段階でも普通にある現象だよね?

と,強く思わずにはいられないからだ。
これは別に難しい話ではなく,例えば,雑誌やTVや広告を見ての,「〜って面白そう!」とか「便利そう!」という書き込みを,Blogとかで見たことがあるだろう。(リアルでも,そういう話題があるよね)
要するにこれは,商品を購入する以前に,まず「期待」や「関心」そのものを他のユーザーとShareしている行動に他ならないと思うのだな。そしてその「期待の伝播」の何割かは,そのまま購入に結びついているということを見落としてはならないのではないか,と。
とくにゲームとか映画とか,いわゆる「旬」のある商材では,こういった「期待」と「期待のShare」という現象は大きな要素を占めているのではないか?
ごめん,映画は詳しく知らんが,少なくともゲームでは,

タイトル発表 > 期待 > 期待のShare > 購入 > 落胆or賞賛のShare

といった行動様式が,確実に見受けられると思うのだ。そして,その「広まった期待」と「期待(だけ)で購入してしまうユーザー達」こそが,後に続く「口コミ」の大小に影響してくる……つまりは「苗床」になるワケで。
逆に言うと,事前の期待が小さければ小さいほど,口コミというものの力は弱い。
 >物理的にレビューする,広めてくれる人自体が少ないわけだから当然だ
「隠れた名作」なんてものが,なぜWebが広まった21世紀でも存在するのか?といえば,どうもこの辺りのカラクリに肝がありそうだ,と思わざるを得ない。もちろん,あくまで「弱い」であって,時間が経てばジワジワと良さが伝播していき,ある一定の広がりを見せた時点で,さらにドーンと広がっていくケースもあるだろう。ただ「大抵の場合」はそうではないし,次から次に新商品が出る市場の中で,ゲームなどは,時間が経つにつれて価値が下がりやすい商材の一つである。そう考えると,少なくともゲームにとって,この「期待」という要素がいかに重要な意味を持つか,語るまでもないことだろう。
もっと地べたなことを言うと,期待値が低いゲームというのは,まず流通が扱わないので,結果としてユーザーが手に入れにくくなり,面白いという話を聞いても買えない,見つからない > 口コミも広がりが鈍る という駄目スパイラルが発生したりとかとか。まぁいろいろあるわけです(/_;

んでまぁ,何が言いたいのかというと,口コミも凄く大事だけど,それ以外の広告活動も依然として大事であり,「期待を広げる」役割の"一端"を担っているのは,なんだかんだで「メディア」だと思うんですねってこと。少なくとも今は。
 >なんと言っても,一次情報が「期待の素」になることが多いわけで
ただメディアが担えるのもあくまで一端であって,つまるところ,それは情報が伝播する「キッカケ」と「環境」の提供なのではないかとも思う。端的に言えば,メディアは「ネタ振り屋」としては抜群の存在なワケです
 >期待をするのも,広めるのもそれはユーザーの側のアクションであって,
 >メディアが「期待を作る」のではないというか(全くないワケでもないが)

んー,なんか誤解されそうなので先手を打っておくけれど,期待と購入に関して,それって旧来のマーケティングと同じじゃね? という言葉が投げられそうだが,それは断じて違います。つまり,旧来はその話題作りをマス媒体を使った力技でひたすらAttentionにリーチし,話題を「押しつけている」のに対し,Web上だと何を話題にするかの主導権がユーザー側にあり,ユーザー側が「選択する」というのが大きな違いです。釈迦の耳に説法かもしれないけど,まぁそういう事(;´д`)

じゃあその期待を広げるためのサービスとは何かというと,それは単に記事を書くということだけではなくて,ゲームというジャンルでいえば,メーカーさんから貰った素材をキッチリIndex化して見やすく置いておくとか,ユーザーの反応を集約/共有する何かしらの仕掛けを用意しておくとか,ユーザーが知人に「こんなゲームだよ!」と紹介するにあたって,公式サイトと一緒に参照されるような(公式サイトとは違うアプローチの情報が集約されているような)ものとか,まぁそんな感じのものではないかと思うワケですよ。
具体的に言うと,URLの貼り付けがやりやすくなっているだとか,みんなの期待値が視覚化される仕組み(Diggっぽい?)だとか,もちろん,トラックバック機能や投稿レビュー機能なんかも含まれる。

つまりは,みんなが利用できる,ある種の「共通ライブラリ」的な立ち位置が,次に求められるなんじゃないかなって気がするのよね。それは単純なコミュニティサイトってものではなくて,一次情報を扱うメディア機能と「それを最大限面白くする/Shareする」ための仕組みといいますか。
ただそういう反面,DSの広がり方などに関しては,ゲームメディアなんてものは半ば蚊帳の外なワケで,その辺が「ゲームのメディア」の限界なのだなとも思う。要するに「専門誌」であるが故の限界って奴ですね。これは仕方がない。
でもWebの場合は,先に書いたような方向性を目指すことによって,

ゲームメディア  >  読者(ゲーマー) > より外側の人(ゲームしない)
       記事を発信     記事についてBlogを書く

という広がり方があるぶん,紙メディアよりはずいぶんとアプローチしやすい気はしますけれどね。
というわけで,思考メモ的にざーっとまとめてみたが,凄い疲れたのでこの辺で。っていうか,今日は取材の予定があったのでした。もう寝ないといかん。

ともあれ,最近こんな事を悶々と考えていて,なかなか手が進まない(アウトプットが出来ない)のは,世間で言うところの給料泥棒って奴じゃなかろうかと,戦々恐々とする今日この頃。うーん。思索の日々は続く(;´д`)


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なんか久しぶりに書いてるブタがいたのでひやかしに、そしてトラックバックのテストとしてメモ。恥ずかしながら初トラックバックだったりする。 「Webゲームメディア考:ユーザーは「期待」もShareしたがる。AISASモデルよちょっと待て。」(Gamer's Report) つまりは,....
「AISASモデルよちょっと待て」に(トラックバックテスト)【ハーピー移動力14】at 2006年08月31日 03:14