※本稿はブログ「台湾は日本の生命線」からの転載である

 ■国民の抗議と番組の良識 

BS朝日が毎週日曜(夜七時~八時五十四分)に放送する報道番組「いま世界は」。

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中国を台湾の「本土」と一切呼ばなかった17日の「いま世界は」

六月三日の放送の「加藤嘉一が世界を見に行く(台湾編)」のコーナーで、二人のキャスターが台湾に対し、わざわざ中国を「中国大陸」「中国本土」と呼んだのは、メディアによく見られる自己規制と見えた。

中共の「一つの中国」の宣伝に騙されていると言うより、「一つの中国、一つの台湾」を許容しない中共の怒りを恐れたのだと思う。

しかし我々の抗議を受け、BS朝日の番組審査部長は「台湾を中国の一部とは考えていない」との社の見解を示した。

そして番組プロデューサーへも注意したそうだ。そのためだろう、翌週十日の放送の同コーナーでは、キャスターは「中国」と呼んでいた。

しかし彼らの横に座るコメンテーター三人のうち、一人は「中国本土」と言い、一人は「大陸」と呼んで、すぐに「中国」と言い直した。

これらについて同部長は、コメンテーターの「個人的見解」と釈明したが、おそらく注意が徹底しなかったと言うことだろう。

ただし翌週の十七日の同コーナーでは、三人のコメンテーター(前回とは別の人々)も、「中国」としていた。

たまたま正しい「個人的見解」の持ち主だったためだろうか。そのうち一人は前々回の現地リポートで「中国大陸」と言っていたから、しっかりと注意が及んでいたのかも知れない。

いずれにせよこれは、BS朝日に抗議の声を上げた人々の成果と言っていいのではないか。

BS朝日の対処は当然のものとは言え、国民の抗議より中共への配慮を優先し、「中国大陸」の呼称を撤回しないマスメディアも存在する中、今回見せた良心、良識は、高く評価していいと思う。

■中共の圧力と番組の限界 

ただ十日の放送では、キャスターが良識を示した一方で、それと相反する報道も行ったのだ。

一週間の各国ニュースを振り返る「WORLD WATCH」のコーナーでの中国ニュースの際、アジア地図の上に青く塗られた中国国土が点滅したのだが、その国土に台湾を含めたのである。

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10日の放送で映った「台湾入り中国地図」。誤報だ

同部長はこれを「単なるミス」と説明したが、これは重大な誤報である。こうしたものが視聴者の脳裏に「一つの中国」なるフィクションを刻み込むからである。

「単なるミス」と言うからには十七日の放送では、中国地図から台湾は切り離されるはずである。しかしそれは中共にとっては最も見たくないもの。果たしてそのようなものを映す「覚悟」はあるだろうかと注目していたところ…。

その日、中国ニュースを伝える際、映し出したのは、中国から青色を抜いた単なる「アジア地図」。中国のあたりに赤い丸のマークが付いていた。これでは台湾が切り離されたのかどうかはわからない。

誤報地図ではないから国民は抗議しようもないし、これなら中共も満足だろう。

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17日の中国地図。台湾が含まれているか、外されているかがわからないように
なっている


ちなみにエジプトニュースの際にはエジプトに青色を着けない「アフリカ地図」を、豪州ニュースのときには豪州に青色を着けない「オセアニア地図」を出すなど、全面的にリニューアル。

わざわざそこまでやったところに、BS朝日の苦渋の跡を見る思いがした。

やはり台湾と中国とを、そこまではっきりと切り離すことはできなかったと言うことではないか。

■中共の怒り回避の唯一の手段か 

私がそう疑うのは、前例があるからだ。それは外務省が国民の閲覧に供する同省HPである。

かつてその「各国情勢」(中華人民共和国)のページに掲載の薄紫色のアジア地図には、中国の国土が紫色で描かれ、その色が台湾にまで及んでいた。

外務省地図 旧
外務省HPに載った修正前の中国地図。台湾もその一部と
なっている


そこで私は長年にわたって修正を求めたのだが、それに対して同省中国課はその誤りを認めながらも、断じてそれに応じなかったのは、中共への配慮としか説明のしようがなかった。

なぜなら中共さえ「一つの中国、一つの台湾」を否定することさえしなければ、敢えてこうした誤った地図を国民に示すことはあり得ないからだ。

ところが二〇〇八年一月になり、学研子会社が中共の圧力に屈し、中国で生産する地球儀で台湾を中国の一部と表示したことが産経新聞によって取り上げられ、同社は国民の批判を浴びて生産中止し、解散を余儀なくされた。それを見た中国課は慌てたようだ。ついに私に対し、地図の修正を約束した。

ところがいかに修正されたかと言うと、台湾はおろか中国からも色が抜かれたのである。

外務省地図 新
これが「修正」後。色を抜いて中共の怒りを回避した

ちなみに他の国のページは従来通り。つまり中国のページだけ一色のアジア地図が載り、今日に至っている。

これは苦渋の跡と言うより、中共への忠誠の証と呼んだ方がいいかも知れない。

今回、「いま世界は」は、その外務省と全く同じことをやったのである。

外務省の知恵でも借りたか。いやおそらく、国民と中共の双方からの非難を回避するには、双方ともこうした姑息な手段しか残されていなかったのだろう。

もし「いま世界は」が「台湾抜き中国地図」を示したなら、真実報道番組だと(少なくとも中共の圧力を恐れた事実捏造をしないという意味で)、大々的に宣伝するとともに、他局に対しても「かくあれ」と訴えるつもりでいたのだが、とても残念である。



■BS朝日を監視しよう! 

BS朝日「いま世界は」が二度と台湾に対して中国を「本土」と呼んだり、「台湾入りの中国地図」を用いたりしないよう監視しよう!

そして中共を恐れることなく堂々と「台湾抜き中国地図」を映し、他局に「真実報道」の範を垂れるよう求めよう!

電話:03-5412-9200
メール:http://www.bs-asahi.co.jp/apps/contact/pc/index.php




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