ブログ「台湾は日本の生命線」より

(1)

G20に出席のため訪中した米国のオバマ大統領は九月三日、習近平主席と会談。新華社によれば、習近平氏はこの時、台湾問題に関してこう述べたという。

「中国は断固として国家主権と領土の完全性を守り、断固としていかなる形の台独分裂の挙動をも抑え込み、両岸関係の平和的発展を維持することに努力し、国家平和統一の未来を勝ち取る」

「米国が『一つの中国』政策と中米間の三つのコミュニケの原則を遵守し、実際の行動で両岸関係の平和的発展と米中協力という大局を維持するよう望む」

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米中首脳会談に関する新華社の報道には「一つの中国」宣伝の罠が仕組まれている

そしてこれに対してオバマ氏は次のように語ったという。

「米国が『一つの中国』政策であることに変わりはなく、台湾独立を求めるいかなるやり方にも反対する」

要するに新華社が強調するのは、習近平氏は、「米国に対して台湾を中国の一部と承認する政策、原則を従来通りに遵守せよと求めるとともに、台湾が中国の一部ではないとして中国分裂を図ろうとする台湾の民進党政権の台独姿勢を制止し、平和を維持するべきだと訴えた」のに対し、オバマ氏は「それを承諾した」ということだ。

しかし新華社の報じることにはなので眉に唾を付ける必要があるし、実際に米国が従来、台湾を中国領土と承認して来たというのは大ウソだ。中国は米国が「三つのコミュニケ」で「一つの中国」(台湾は中国の一部)を承認したと宣伝したいようだが、これは悪意の事実捏造なのである。

そもそも米国の真の立場は何かといえば、従来繰り返し表明されているように、「三つの米中コミュニケ及び台湾関係法に基づく『一つの中国』政策」なのである。この「一つの中国」政策は中国の所謂「一つの中国」原則と相容れないものだ。

米国は「三つのコミュニケ」を通じ、中華人民共和国政府を中国唯一の合法政府と認め、「中国は一つであり、台湾は中国の一部である」とする中国の立場を、そのようなものだと認識すると表明したにすぎず、「一部」だとはついに認めなかったのだ。

また台湾関係法とは、米国政府は外国、外国政府に対する政策、交流関係を台湾人民に対しても適用すると規定する米国国内法である。

オバマ氏は習近平氏の前で、こうした立場表明をしなかったのだろうか。もっとも例え表明したとしても、新華社など中共御用メディアは、そのような中国に不都合な話は報じたくないだろう。これまでも米国の「台湾関係法」に基づく立場というものには敢えて触れずに来た。

もっとも米側も台湾問題で揉めたくないらしく、そんな中国に配慮して、あの国の報道を放置する傾向がある。

そして我々はこうした現実に注目したい。このように米国をはじめ世界各国が、中国への配慮で放置し続けるからこそ、「台湾は中国の一部」なる捏造宣伝は広く深く根を張る一方。すでに各国の政府、国民はそれを事実と思い込んでしまっている。

そしてもし台湾が「台湾は中国の一部」ではないと主張すれば、中国の分裂を図るトラブルメーカーだとのレッテルを、中国はおろか国際社会からも貼られてしまう状況になっている(台湾政府の国連加盟申請に対する二〇〇七、八年当時の各国の冷淡ないし敵意に満ちた姿勢を見よ)。

こうした状況をも作り指すのが中国の宣伝戦の怖さであるが、その産物に、オリンピック競技大会で台湾が押し付けられる「チャイニーズタイペイ」との呼称がある。

(2)

「中国領台北」という意味だ。世界中が耳にするものだから、中国の宣伝工作にとってこれはきわめて強力な具と言える。

しかし強力であると同時に、打ち破ろうと思えば簡単に破れる脆弱もある。そもそも好く考えればわかることだ。「中国領台北」など世界のどこにも存在しない。

そしてその嘘を暴けば、きっと世界を欺く「一つの中国」宣伝を根底から覆すことに繋がるはずである。

そこで我々は、東京オリンピックでは「チャイニ―ズタイペイ」ではなく「タイワン」と呼ぼうと訴える「台湾2020東京」アクションを開始した。目下そうした訴えをIOCに届けるためのネット署名の呼びかけを行っているところだ。

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東京五輪では「チャイニーズタイペイ」ではなく「台湾」の名で。「台湾2020東京」アクションは世界を欺き続ける「一つの
中国」宣伝を打破する運動でもある


そして最近、台湾からの署名がかつてなく殺到している。先日のリオデジャネイロオリンピックで台湾人は、自らの名を名乗るのが許されない不平等待遇を目の当たりにしたためだろう。

こうした台湾人の立ち上がりに関し、台湾メディアの間で話題になったのが徐永明立法委員によるフェイスブック上でのコメントだ。

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署名活動での日台協力の意義を強調する台湾の国会議員のコメント。マスコミ各社も注目した

―――太陽花学生運動や今年の立法委員・総統選挙の結果が示すように、台湾人は国際社会に対して台湾人の強烈な主体意識を表明しようとしている。署名の発起人はこうした台湾人の声を聞き、国際社会に台湾の名で東京五輪に参加させようと思ったのだろう。

―――署名がIOCに届けられ、台湾の名が世界に支持されることを希望する。

―――チャイニーズタイペイは国名ではなく、台湾人の代名詞ともなり得ない。台湾と日本が民間の力で協力、努力し、台湾の選手が名実ともに台湾代表として参加することに期待したい。

このように日台民間の協力に期待を寄せている訳だが、慧眼だ。

実際に台湾人さえ孤立状態から抜け出さんと立ち上がれば、日本人は喜んでそれを支持、応援するはず。なぜなら両民族はそういう間柄だからである。

これまで「一つの中国」宣伝が国際社会で大手を振ってこれた背景には台湾人の沈黙があったが、もし日台両国の人々が沈黙を打ち破るならば、あの虚構宣伝が大ダメージを受けないはずはない。

これは米国政府にもできないで来たことだ。

そのためには先ず日本人が「一つの中国」宣伝からの脱却を果たさないと。