本稿は「台湾は日本の生命線」からの転載。
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■はたしてまたも中国を「台湾の本土」と呼ぶか 

BS朝日が六月十日に放送した報道番組「世界は今」の「加藤嘉一が世界を見に行く」のコーナーは、前回に引き続き台湾編。今回は中国進出を視野に台湾へ進出する日本企業の現地レポートだったが、ここで注目されたのはキャスターたちが中国を何と呼ぶかだ。

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注目された両キャスター。またしても中国を台湾の「本土」と呼ぶかと 

前回は、台湾に対してあの国を「中国大陸」(木佐彩子キャスター)、「本土」「中国本土」(小松靖キャスター)と呼称した。

これは中国と台湾とを「中国大陸と中国台湾」「中国内地と中国台湾」と位置付け、台湾は中国の一部であり、中国統一(台湾併呑)は中国の当然の権利であり、使命であるとする中共の「一つの中国」のプロパガンダに忠実に従うもの。

もし「中国と台湾」と言えば、中共から「一つの中国、一つの台湾」(中国と台湾は別々の国=台湾独立)を作り出す陰謀への加担」とされることを日本のマスメディアが知らないはずがない。そこで両キャスターは、あえてあのような呼称を行ったように見える。

これは建国以来執拗に「一つの中国」宣伝を日本に押し付けてきた中共には喜ばしいことでも、日本においては国民に認識を与える危険極まりない誤報である。

しかしこれが誤報だと気付いた視聴者は極めて少数だったと思う。それほど日本国民は、あの宣伝によって洗脳されてしまっている。

そこで私はBS朝日に抗議を行った。他にも大勢の心ある人々も抗議や訂正の要求に乗り出した模様。これらに対して同局は、「台湾を中国の一部とは考えていない」との社としての見解を示した。

そうした経緯から今回、台湾に対して中国を正しく「中国」と呼ぶかに注目が集まったわけだ。

■台湾国民を「国民」と呼べない中国迎合の滑稽さ 

放送中、スタジオには木佐、小松両キャスターの他、コメンテーターとしてロバート・キャンベル氏(東大教授)、伊藤洋一氏(エコノミスト)らも出演していたが、相変わらず問題だった。

そこでは伊藤氏は「台湾の一人当たりの国民所得」を語る際、「台湾の国民一人当たりの」と言いかけた後、「国民と言っていいのか分からないんだけど」と断りながら、「所得は…」と続けた。

その時、「国民と呼んでいいのか」と悩む伊藤氏に対し、横から男の声(小松キャスターと思われる)で「台湾の人たちですね」とのフォローが入った。

このくだりのいったい何に問題があるか、わかるだろうか。

つまり台湾を「国」と呼ぶことをタブーにしているのだ。台湾は実質的には独立国家だが、政府は「国」ではなく「地域」としており、そのためマスコミ各社は「国」と呼ぶのを固く禁じている。

だが同じく「地域」扱いの北朝鮮については、平気で朝鮮民主主義人民共和国との「国」名を用いているのである。かつて各局が「北朝鮮」との「地域名」を読み上げる際、わざわざこの長い国名を付け加えていたことは周知のとおりだ。「北朝鮮・朝鮮民主主義共和国」と。

しかしそれにも関わらず、台湾だけをタブーにするのはなぜか。

それはもちろん中国から「台湾独立の陰謀への加担」などと非難されるのを恐れているからだろう。

二〇〇六年、当時の麻生太郎外相が参院予算委員会で台湾を「法治国家」と表現しただけで、中国大使が外務省に抗議するなど、あの国が猛反発したこともある。

「台湾国民」を「台湾の人たち」などと訂正したが、それでは今後も「台湾の国民所得」を「台湾の人たち所得」とでも呼んで行くのか。

「国民所得」とは一つの概念。「台湾と言う地域の国民所得」という考えで行けばいいものを、これでは概念が視聴者に必ずしも明確に伝わらない。

中国への不必要な配慮が生んだ滑稽さである。

■抗議が実るー中共「情報戦」に対する反撃成功

伊藤氏は「中国は台湾を中国化したいと思っているかも知れないが、経済的には中国本土が台湾化している」と話し、またしても「中国本土」と呼んだ。

キャンベル氏には「大陸に」と口にした後、「中国に」と言い換える場面があった。

ただ二人のキャスターは、今回は「中国」で通した。

放送の翌日、私はBS朝日に電話をかけ、番組審査部長と話をした。

部長は前回の放送で抗議を受けた後、番組プロデューサーに注意しており、その結果キャスターたちは「中国大陸」「中国本土」と呼ぶことを控えたのだろうと話していた。

それであるなら、みなで抗議を行ってよかったと言うことになる。

全国あまたの視聴者の前で、中共の対日宣伝工作(情報戦)に対し、ささやかながらもは反撃に成功したのだから。

■出演者には「本土と呼ぶな」の徹底を 

コメンテーターたちが「大陸」「本土」と発言したことについて部長は、「(社の見解とは関係ない)個人的なもの」としていた。

私が放送で聞いた限り、井上氏の「本土」は個人的習慣(個人的な勘違い)によるものとも感じた。キャンベル氏の「大陸」もつい口を衝いて出た習慣的なもので、それですぐに「中国」と言い直したようにも見えた。

識者であれ何であれ、多くの人が「一つの中国」が刷り込まれているのだから、そうであっても不思議ではない。

ただ「個人的なもの」だったからと言って、それを訂正させなかったBS朝日にはやはり問題がある。

「台湾を国と呼ぶな」とのルールがあるなら、同じように「中国を本土と呼ぶな」とのルールも作り、出演者に徹底的に遵守させるべきだった。

■明らかな誤報-台湾入り中国地図をミスと認める  

しかし、この日はさらに新たな誤報も行われた。

キャスターに「中国本土」と呼ばせず、「台湾を中国の一部とは考えていない」ことを証明して見せたBS朝日だが、しかしその後すぐに、それが嘘であると思わせる画像が映し出されたのである。

「加藤嘉一が世界を見に行く」に次いで取り上げた「中国/加熱する受験戦争」との話題に際し、画面いっぱいに映った中国地図に、何と台湾が含まれているではないか。

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映し出された中国地図に台湾がはっきりと含まれていた

明らかに台湾を中華人民共和国の領土と誤報したのである。

私がこのことを番組審査部長に指摘すると、「あれは単純なミスだ」「プロデューサーに注意する」と説明した。

「台湾入り中国地図」はこれまでもテレビ各局の報道番組で用いられてきた。私はここ約十年来、そうした有害なマスメディアの中国地図に関する誤報への抗議を行っているが、どこも一度は再発を防止すると約束しながら、結局はそれを反故にし続けている。

それもそのはずだ。「台湾抜きの中国地図」もまた、中共にすれば「台湾独立の陰謀への加担」。二〇〇五年六月には大連税関が日本人学校の取り寄せた副教材を、中国と台湾を色分けしている。『一つの中国』の原則に反する」として没収するなど、強烈な圧力を日本側に加え続けている。

だから私は今回を「単純なミス」であると言われても、俄かにはそれを受け入れることはできなかった。

しかし部長は「これまであの番組であのような地図を出したことはなかった」「ANN(テレビ朝日をキー局とするニュースネットワーク)では、あのような地図は映していない」とも強調。

そう言えばテレビ朝日の「サンデープロデェクト」は二〇〇五年六月、「台湾入り中国地図」を使用した際に私が訂正要求を行ったところ、番組プロデューサーは「台湾を中国領だなどとまったく考えていない。これは誤りであり、今後は二度とこのようなことはしない」と謝罪。抗議を受けても非を認めようとしなかった他局とは違う「潔さ」を感じさせたことがあった。

そこで今回は、部長の言を信じて見ようかとも思う。

そして今後の「いま世界は」が「台湾抜きの中国地図」を堂々と映し、「中共のプロパガンダに迎合しない真実の報道」の姿を他局に見せることができるかどうかを見て行きたい。


■BS朝日に訴えよう! 

6月10日放送の「いま世界は」が映した「台湾入りの中国地図」は誤りであり、二度とこのようなもので視聴者を惑わさないようにと!

電話:03-5412-9200
メール:http://www.bs-asahi.co.jp/apps/contact/pc/index.php



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