論文を書くのに必死になっていて、
ヤットー、ブッタッタのですが、ヤットカメの更新です。
論文の公開は来春になりますが、
今日はその内容から少し。

動詞のいろいろな形のアクセントを調べてみました。
今回は、過去形を紹介します。

「見た」というとき、「雨(め)」と同じように・低のようになるのが共通語ですが、
多治見や名古屋などこのあたりのことばでは、
「飴(あ
)」と同じように低・となるという特徴があります。
40代の私は多治見に住んでいるときから共通語のような「雨」型のアクセントでしたが、
60代、70代対象の多治見弁話者対象の調査では、
8割近くが「飴」型でした。

この「見た」と同じタイプ(共通語で「雨」、多治見で「飴」)のアクセントは、
「出た」「来た」などにも見られます。

では、「聞いた」はどうでしょうか。
共通語では、「黄色(
きいろ)」と同じように平板に「聞いた」と言いますが、
名古屋では「生糸(
いと)」のように・低・低で「いた」となります。
上記の調査では、多治見でも名古屋型が多数派で、
共通語のアクセントで言う人は1割もいませんでしたが、
3割くらいはそのどちらでもないアクセントでした。
それは
高・高・低で「た」という型です。
共通語でこれと同じアクセントで言う単語はないので説明しにくいのですが、
あえて言えば、「定位置(
ていいち)」というときの最初の「て」を取った
いいち」だけの部分のようなアクセントです。


そして、この高・高・低のタイプは、精華・共栄・昭和・養正小校区という
土岐川沿いの中心部では少なく、
市の南部や、とりわけ北東部に多く出現します。

中心部は人の往来が多くて言葉が変化しやすいということを考えると、
古くは市全域が高・高・低のアクセントだったのかな、と思います。

この「聞いた」と同じタイプのアクセント(多治見で高・高・低)は、
「おいた(置・措)」「あいた(開・空)」「咲いた」「まいた(巻)」などにもあります。
発音は、おーた、あーた、さーた、まーた、のようになることもありますね。