2010年04月05日

語呂、語感、言葉の感触と印象、良し悪し評価

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1文感想の生成と文の並べ替えによる読書感想文の生成
大田浩志
長岡技術科学大学大学院工学研究科 修士論文

4.4 文の自然らしさと感情の関係
本節では1 文における感情に関する表現と文の自然らしさの関係を確認する。この確認
のねらいは入力場面に対して適切な1 文感想フレームを選択する際に用いる指標を得るこ
とである。

わたくしが注目した部分はここだけです

3.8 節において評価の揺れのなかった感情生起表現30 表現に対して1 文感想を3 文ずつ生成した。
生成した文が自然な文であるか評価を行った。
感情の一貫性がある1 文感想は30 文生成される。
これらはいずれも自然な文であると評価された。
一方感情の一貫性がない1 文感想は60 文生成される。
その内11 文が自然な文であると評価された。
この結果より、感情の一貫性のない文と比較して感情の一貫性のある文は自然な文と評価されやすいことがわかる。
つまり、1 文内における感情に関する表現の一貫性は文の自然らしさに影響すると言える。


一貫した感情表現がなされていると、自然な文であると感じる






程度語の序列化と自然言語感性検索への応用
熊本忠彦 独立行政法人情報通信研究機構 
情報処理学会研究報告. 自然言語処理研究会報告  2004(108)


「楽しい」「明るい」のような印象情報を入力とする感性検索においては、印象の微妙な違いを表現するための「比較的」「適度に」といった程度語も入力したい。
しかしながら、従来の感性検索に関する研究は程度語の扱いは限定的であり、
多くても2〜3語であった。
そこで、本稿では、感性検索において利用されうる程度語119語を類義辞書から抽出し、その意味的役割を数値化する。
類語辞書の「程度」の項目から感性検索時に利用されうる程度語119語を決定した。
さて、程度語の意味的役割は、その係り先である印象語が持つ意味を強めたり弱めたりすることと言える。
したがって、程度語を受理できるようにするためには、印象語から生成された印象ベクトルの大きさを拡大または縮小するための仕組みが必要とされる。

本稿は、程度語によって楽曲印象表現を検索するという目的なのですが、
わたくしが注目した記述は以下です。
もともと、同じ楽曲を聴いても受ける印象が異なる、受けた印象が同じでも言葉による表現の仕方が異なる、といった個人差が存在するわけだが、程度語によって表現される意味の違いがこのような個人差よりも小さかったため、検索性能に差が生じなかったものと考えられる。


5. 程度語の類型化

前章で述べたように、程度語によって表現される意味の違いは、ユーザどうしの個人差に比べ、小さいものと思われる。



程度語の「程度」は人によって違わず、大体同じぐらいである










2モーラの擬音語からイメージされる音の印象
藤沢望 九州芸術工科大学
尾畑文野 東日本電信電話(株)
高田正幸 岩宮眞一郎 九州大学芸術工学 
日本音響学会誌 62(11) 2006


擬音語とはオノマトペ(onomatopeia)の一種で、自然界の様々な音を模倣して作られた言葉のことをさし、特に、動物の鳴き声や人間の声を模倣したものは擬声語という。
また、擬音語とは別に、”サラサラ”や”スッキリ”のように、音響とは直接関係のない象徴的に描写した言葉は、擬態語や擬情語などと呼ばれる。
ただし、代表的な日本語の辞書、辞典では、擬音語と擬声語を区別せずに同義としているものも多い。
本論文では、音全般を表現する言葉として擬音語という用語を用い、その中には擬声語も含まれるものとする。



各擬音語の印象は、その擬音語に対応する各音韻特性のカテゴリ数量と定数項を足し合わせることで求めることができる
例えば、”ビュー”という擬音語の場合、対応する音韻特性は「ハ行、濁音、拗音あり、/u/、/R/」であり、「きれいな−きたない」について、これらのカテゴリ数量と定数項を足し合わせると

(-0.02)+(-1.45)+(-0.02)+(0.18)+(-0.39)+(4.63)=2.93
というように印象の予測値が得られる。
なお、”ビュー”に対する「きれいな−きたない」の実測値は3.20であった。
「滑らか−ざらざらした」「明るい−暗い」「きめの細かい−粗い」「澄んだ−濁った」「快い−不快な」の尺度では、
「きれいな−きたない」と類似した傾向が見られる。



これらの評価尺度では濁音のカテゴリ数量が小さな値となっており
濁音が用いられると「ざらざらした」「暗い」「粗い」「濁った」「不快な」印象が強くなる
例えば、”ゴー”の実測値は、「滑らかな−ざらざらした」で2.85、「明るい−暗い」で2.85、「澄んだ−濁った」で2.30である。
「かたい−やわらかい」「とげとげしい−丸みのある」「鋭い−鈍い」といった尺度では、子音行のカテゴリ数量に大きな差が見られる。
いずれの尺度でも、ナ行・マ行・ワ行のカテゴリ数量が小さな値、カ行・サ行・タ行が大きな値となっており、子音行の違いによって印象が変化する。

例えば、「かたい−やわらかい」の実測値は、”ニャー”で2.40、”キャー”で5.05となっている。
これらの尺度では母音の影響も見られ、/i/のカテゴリ数量が大きく、/o/のカテゴリ数量が小さい値となっている。
これは、母音/i/が用いられると「かたい」「鋭い」などの印象が強くなり、母音/o/が用いられると「やわらかい」「鈍い」などの印象が強くなることを意味する。

「鋭い−鈍い」では拗音のカテゴリ数量も大きく、拗音を含むと「鋭い」印象が強くなる。
例えば「鋭い−鈍い」の実測値は”カー”で4.40であるが、拗音化して”キャー”になると5.90となる。

「重い−軽い」「太い−細い」「力強い−弱々しい」「騒々しい−静かな」
の尺度では、いずれも濁音のカテゴリ数量が大きな値となっている。
また、子音行ではワ行のカテゴリ数量が大きな値となっており、ワ行が用いられると「重い」「太い」「力強い」「騒々しい」印象となる。
例えば「騒々しい−静かな」の実測値は”ワン”で5.47、”ワッ”で5.58、”ワー”で6.20である。
これらの評価尺度では母音の影響も見られるが、拗音や語尾の影響は小さい。



3.2節で述べたように各評価尺度におけるカテゴリ数量のパターンには傾向の類似しているものがあり、幾つかのグループにまとめることができる。
そこで、すべての評価尺度について得られたカテゴリ数量と定数項の値を用いて、音色評価尺度を変良とする主成分分析を行った。
...........

第1主成分では、濁音に対する主成分得点が小さい値となっている。
これは、濁音が用いられると、「きたない」「濁った」などの印象が強くなることを意味する。
逆に、ラ行に対する主成分得点は高く、ラ行が用いられると「きれいな」「澄んだ」印象が強くなる。
第2主成分からは、ワ行及び濁音の主成分得点が高く、これらを含む擬音語からは「重い」「力強い」などの印象が強い音がイメージされる。
第3主成分では、カ行や母音/i/に対する主成分得点が高く、これらが用いられると「かたい」「鋭い」印象が強くなり、逆にナ行・マ行・ラ行などの主成分得点は低く、これらが用いられると「やわらかい」「鈍い」印象が強くなる。






任意の言葉を対象とした音の印象によるメタデータ自動抽出
本間秀典 北川高嗣 筑波大大学院 
中西崇文  情報通信研究機構 
電子情報通信学会技術研究報告. データ工学 106(149) 2006


任意の印象に合致した音声表現をもつ言葉の自動構成方式
本間秀典 北川高嗣 筑波大学大学院 
中西崇文 情報通信研究機構  
電子情報通信学会技術研究報告. データ工学 107(131) 2007



文献によれば、「音相」とは、言葉の音の響きが持つ印象であり、同じ言葉を話すほとんどの話者がその言葉に対して持っているイメージであるといえる。

音相理論では、音相基とよばれる音相を構成する要素を用いて対象となる語の印象を決定している。
音相基の中でも特に、それぞれの母音や子音が発音されるときに用いられる器官とそれらの操作の仕方にあたる
「調音種」と、それぞれの音がどのような感情のときに用いられるかという二つの観点から音相による語の表情が作られるとされている。



これら表を他の論文で何回も何回も掲載しているので重要なのだと思います。



表情語群 表情属性
A シンプルな、明白さ plain,obvious
B 躍動感、進歩的 vibrant,advance
C 新鮮さ、新奇さ fresh,unprecedented
D 動的、活性的 dynamic,active
E 派手さ、賑やかさ florid,bustle
F 軽やかさ、軽快感 light,trippingly
G 若さ、溌剌さ young,effervescent
H 現代的、都会的 modern,urban
I 明るさ、開放的 bright,open-minded
J 合理的、現実的 reasonable,real
K 個性的、特殊的 individual,special
L 強さ、鋭さ powerful,sharp
M 適応性、庶民的 adaptable.popular
N 清らかさ、爽やかさ
O 健康的、清潔感
P 暖かさ、安らぎ
Q 安定感、信頼感
R 高級感、充実感
S 高尚な、優雅さ
T 静的、非活性的




どうも、順番は重要ではなく、このように言葉中の音素の数 だけで、音の印象表現は十分であるようです。

表6

00 ア音数
01 イ音数
02 ウ音数
03 エ音数
04 オ音数
05 母音種数
06 有声音数
07 有声破裂音数
08 無声破裂音数
09 有声破擦音数
10 無声破擦音数
11 無声摩擦音数
12 鼻音数
13 流音数
14 接近音数
15 調音種数
16 R数
17 N数
18 Q数
19 濁音数
20 Hの総合音価
21 Bの総合音価
22 高頸輝拍数
23 逆接拍数
24 拍数
25 無声化母音数
26 無声拗音数
27 新子音数
28 濁拗音数




表6に示す29の要素を抽出し、これらを要素とする29次元の初期ベクトルvbを生成する。

列要素に表4に示された40種の甲類表情をそれぞれ配置して特徴付けを行う。
vbからvk'へ変換する変換行列 T1を作成する
T1は甲類表情を生じる音相基に対応する要素値を1それ以外を0とする

vk'= T1 vb =(x1,....x40)T

音相理論では、ある音相基の値と、表7に示された言葉全体の拍数に対する各音相基の標準使用率から、それに対応する甲類表情がどの程度 現れてくるかを判定している。
このpiを用いることによって、vk'を甲類表情を表すベクトルvkに変換する。

vk=(p1,....,p40)T

vkの各要素と表5を用いることによって、vkを乙類表情を反映した78次元のベクトルvfに変換する。

vf =( p1,....,p40 ,a1,....,a38 )

ak は表5のk番目に示された乙類表情に対応する甲類表情の組(xi,xj)を用いて
termfeeling1



表情ベクトルvfの表情語群とベクトルvcへの変換

表4表5を用いて
ある表情語を抽出する表情に対応する要素を1それ以外を0とする行列T2

20の印象語群ベクトル vcを得る
vc= T2 vf =(vc1,....,vc20)

任意の言葉の印象に合致した言葉の音声表現の自動構築は、
上記の 任意の言葉 → メタデータ の逆演算として定義する



どういう結果を出力したのかというと、


任意の言葉を対象とした音の印象によるメタデータ自動抽出


quietな印象を受ける言葉
word correlation
ラストサムライ 0.252
アクオス 0.232
みなとみらい線 0.223
アテネオリンピック 0.219
三越 0.219
郷ひろみ 0.218
ヨン様 0.218


coolな印象を受ける言葉
word correlation
ニンテンドーDS 0.111
クイーン 0.109
ショップ99 0.109
クラウン 0.109
コエンザイムQ10 0.109
ハルウララ 0.108
iPod 0.108




任意の印象に合致した音声表現をもつ言葉の自動構成方式


「fun 」な印象を受けると思われる言葉
表情語群 相関量 出力語(例)
D 0.434 チャパテロ
M 0.412 ラケクチャ
S 0.391 ラポチャペ
N 0.385 ケカチュラ
B 0.379 テロタチャ
I 0.368 ルタテチャ
E 0.364 ルチャテパ
T 0.347 カペラチュ
G 0.310 ペチョラカ

アルナチャル とか、 ラトナピュラ とか、

現地のこういう言葉みたいな感じの言葉を作ってます。









任意の言葉の音相の印象に合致した楽曲の自動生成方式
岡田龍太郎 芳村亮 本間秀典 北川高嗣 筑波大学大学院
電子情報通信学会技術研究報告. データ工学 107(131) 2007


Hevnerの研究では、楽曲構造要素として調性(key)テンポ(tempo)音高(pitch)リズム(rhythm)和声(harmony)旋律(melody)の6つを挙げている。


楽曲を自動生成するだけでも研究になりますが、これは別の論文になっています。
基本的に、 (70年前の)Hevner, Kate 氏の研究を踏襲しています。
(値が定数で)パターン化されている表を幾つも用います。


楽曲の特徴値

kn 楽曲の調性
mnap 旋律の音高の平均
unac 四分音符の和音の総演奏時間
ac 八分音符の和音の総演奏時間
tc 三和音の総演奏時間
oc 三和音以上の和音の総演奏時間
um 上昇する旋律音の総演奏時間
dm 下降する旋律音の総演奏時間
lm 水平な旋律音の総演奏時間



入力に与えられた言葉と 8つの印象語群との相関を求め、
その値を-1〜+1に正規化し、

楽曲印象語群ベクトル c=( vc1 , .... ,vcs )T を生成
(vci = 語群 ciへの重み)


楽曲印象語群ベクトルから楽曲構造要素ベクトルへの変換行列Tを作用させる
f=Tc
f=( key , tempo , pitch , rhythm , harmony , melody )である。

これらをパラメ−タとして楽曲を生成する...........



















言語の違いが音楽の感得に与える影響
井戸和秀 矢内淑子
岡山大学
岡山大学教育学部研究集録 131 2006


日本の音楽文化は,明治以来,西洋音楽一辺倒の学校教育によって,音楽に対する価値観は簡単には変化しないでいる。例えば,年末に歌われるベートーベン作曲の「第九交響曲」は,相変わらずドイツ語で歌われる。多くの日本人はドイツ語や英語で歌うと,立派ですごいことをしているように錯覚するらしい。このような状に況に一石を投じた人たちがいる。
1987年8月30日に三重県桑名市民会館ホールで「日本語の第九」が,なかにし礼(作詩)と指揮の石丸寛によって初演された。
演奏が終わって,指揮の石丸寛は,「これほどの感動的な第九をしらない」と言った。また演奏者も聴衆も,カメラマンも感動のあまり全員が涙したという

作詞者のなかにし礼は,日本語にした経緯を次のように述べている

「日本語で歌うと音楽の純度がさがるという。(中略)
音楽の純度という目くらましにくらんで,言葉をないがしろにしはじめて,日本のクラシックは活力を失った。
(中略)言葉というものは,生のものである。ギラギラと油ぎったものである。日本語にすると,その生々しさがよみがえり,音楽が油ぎって来るからいやだというのが本音だろう。音楽がわかってしまうのがいやなのだ。わかるのが怖いのだ。いつまでもわからないものとして遠くにおいておきたいのだ。(後略)」







実験曲:野ばら(ゲーテ作詩・シューベルト作曲,近藤朔風訳詩)

実験曲の録音:テノールとソプラノの声楽家にドイツ語と日本語の一番の歌詞を歌ってもらい,録音した。順序は,テノールの男性にドイツ語で,続けて日本語で歌ってもらい,録音した。次に,ソプラノの女性にも同様に歌ってもらい,録音した。なお歌う際には,語の特徴を意識して歌うように依頼した。

録音日時・場所:2002年7月1日,岡山大学音楽教室演奏ホール

被験者:専門学校生(女性360人,男性15人),岡山県内の小学校,中学校,高等学校,養護学校の音楽教員(女性81人,男性7人), 総数:463人



図1から分かることは,男性が歌うためかドイツ語の重厚感(27%)が感得されている。同時に,軽快さも(18%)感得されている。この軽快さは,ドイツ語のアクセントによるリズム感が影響していることが考えられる。総じて言えることは,男性がドイツ語で歌った場合,重厚感が感得されると言ってよいだろう。一方,男性が日本語で歌った場合には,図2から分かるようにドイツ語の重厚感が全くなく,やわらかさ等(38%)が感得されている。
同時に,暗い等の感じ方が少しではあるが感得されている。以上のことから, ドイツ語と日本語で男性が歌った場合には,明らかに言語の違いが音楽の感得に影響していることは明白である。それでは,女性がドイツ語と日本語で歌った場合には,男性と同様な結果になるだろうか。

.....................

これは,歌を歌うという行為が,男性より女性が歌う方が,音楽の感得というレベルではない別の要因を引き出しているいることが伺える。それは,例えば,女性が歌った方が聴きやすいとか,女性の方がよいとか等である。このことは,歌うという行為が日本における社会的な行為としての性差が存在しているように考えられる


以上,図1- 8までのグラフを比較すれば,音楽教員と福祉系の専門学校生とは,同様な感得の仕方をしていることが分かる。このことは, ドイツ語と日本語とにおける感性の違いが,年齢差や音楽の専門教育を受けたかどうかとは,あまり関係がないことを示している。
この結果は,日本人としての一般的な感得の仕方として認められるのではないだろうか。ドイツ語で歌われる場合,聴取者はドイツ語の重厚感を感得する一方,リズム感が強調された軽やかな印象も歌に対して感じている。日本語の場合には,歌詩は分かりにくい面もあるが,やわらかさを主として感得し,一種の暗さも聴取者は感じている。


一方,音楽教員において,男性日本語の場合には,「日本語の方が歌っている人も感情がこもっている」「歌詞の意味も分かり,その風景をイメージして聴くことができる」
反面,「日本語だけど歌詩が聴き取りにくい」「日本語でも何かが違う」「日本語じゃなくて外国の言葉みたい」,女性日本語では,「ハミング・スキャットのよう」「日本語的でない」「ドイツ語より親近感を感じる」など,まるで逆の感得の仕方をしている。
これらの一見矛盾する感得の仕方は, ドイツ語と密接に結びついた歌に対する感性と日本人・日本語であるための感性が混在した感じ方と考えられる。
特に,興味深いことは,「日本語じゃなくて外国の言葉みたい」という感想である。これは,発声方法が頭声発声であるため,母音言語である日本語が聴き取りにくいことと, ドイツ語耽りの日本語であるためだろう。ここに,原語で歌うことの絶対的な意味が存在する。その国の言葉に作曲された音楽は,その言葉の抑揚だけでなく,リズム感や全体の印象を形成する。
そのことがその音楽の特徴となる。したがって,同じ旋律に違う言葉が付された場合,全く逆の印象を聴取者に与えることになる。







情緒を表す文末表現の書き換えの試行
前田浩佑 徳久雅人 村上仁一 池原悟 
鳥取大学
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集  基礎・境界, 53 2007


本稿では,blog やチャットなどのテキストコミュニケーションにおける情緒的な印象を改善するために,「発話文の意図は変えずに話し手の情緒の表れ方を変える」という表現の書き換え支援ツールの開発を目指す.



2.1 基本となる文末表現

文末表現には,《好ましい》,《期待》,《喜び》,《悲しみ》,《恐れ》,《怒り》,《嫌だ》,《驚き》,《情緒なし》の9 種類の情緒について,0 から1 までの数値付きで記述されている.この数値は情緒成分と呼ぶことにする.情緒成分は情緒と文末表現の共起確率を表す.

2.2 意図属性の付与
文末表現の選択には意図の情報を用いるため,文末表現が持つと考えられる意図属性を2.1 節の文末表現に付与する.
意図属性は〈伝達〉,〈質問〉,〈確認〉,〈要求〉,〈肯定〉,〈否定〉,〈受諾〉,〈拒否〉の8 種類とし,その中から最大2 つまでを付与する.

3 文末表現の書き換え

知識ベースを用いて表現選択を行う手順を示す.
1. 文の入力(例:「…入らないからね。」)
2. パターンの照合(P0765 が適合)
3. 意図の割り出し(意図属性より〈否定; 拒否〉)
4.「目的の情緒」の入力(《悲しみ》とする)
5. 同じ意図かつ合目的の情緒のパターンの選択
(P0804 を選択)
6. パターンに従い文を生成(「…入らないよう。」)

5. でパターンは合目的の情緒成分で順位付けされ,順位の高いものから文生成に用いることができる.本稿ではこの段階での人手による選択を基本とする.







4.2.2 文末表現の選択における使用条件
文末表現の選択として次の2 通りを考える.
(a) 情緒成分が第1 位の文末表現を選んだ場合
(b) 順位を問わず適当な文末表現を選んだ場合

................

実験1(b) と実験2(b) を比較すると次のことが言える.
. 意図が保たれた割合は,ほぼ同じである.
. 目的の情緒の伝わった割合は,9 分類で見ると実験1の方が高いが,3 分類で見るとほぼ同じである.ポジティブかネガティブかの大まかな分類なら文脈の有無に左右されないが,微妙な差異を判別するとなると文脈による影響を無視できないようである.
. 実験1 よりも実験2 の方が自然さに欠ける.



5.1 意図
意図の保たれた割合は8〜9 割程度であった.


5.2 情緒
情緒の伝わった割合は低い.原因として,文末表現よりも発話の内容が読み手に情緒的な印象を与えてしまうことが考えられる.そのため目的の情緒を伝えることに無理が生じる.特に注目すべき例として,3 分類で見た時に被験者全員が目的の情緒と反対の情緒を回答した問題が実験1 で1 問,実験2 で2 問あった.具体例を以下に示す.


 よし。こうなったら一人で冒険にでかけちゃうよ。
 何かスゴイことが起こるかもね

この例で目的の情緒は《恐れ》であるが,2 名が《期待》,1名が《好ましい》と回答した.
このように内容が印象を与えてしまう傾向が実験2 では顕著で,30 問中12 問は内容の与える印象が強かったと見える.また,それら以外で情緒が伝わっていない原因に関してはは個別事情による.






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