このエントリーではリターンについては言及しません、あくまでもリスクのみにします。

前回のエントリー「米国株への集中投資か?それとも国際分散投資か?」の捕捉編です。
前提
今回はVDCのデータ取得が出来ない問題がある為、XLPを代替とします。
今回のデータは円VT、円TOK、円SPY、円XLPの4つのデータを使用します。
使用するデータの出所は米国ヤフーファイナンス、日本ヤフーファイナンスです。
使用する期間は2008年06月30日~2017年05月31日とします。
各データの標準偏差は2008年06月30日から1年間と
それ以降は2009年05月末、2010年05月末、2011年05月末・・・
最後は2016年05月末から1年間の標準偏差のデータとします。
もう一つは2008年06月30日~2017年05月31日までの通期の標準偏差のデータとします。

各データを見てみましょう

扱うETFは4つ
VT・・・Vanguard Total World Stock ETF
TOK・・iShares MSCI Kokusai ETF
SPY・・SPDR S&P500 ETF
XLP・・Consumer Staples Select Sector SPDR ETF

VTは全世界株式で中小型株まで含みます。
TOKは日本を除く先進国株式です。
SPYは米国株式であるS&P500です。
XLPは米国生活必需品セクターです。
当然ながら分散の度合いはVT⇒TOK⇒SPY⇒XLPの順に低くなります。
本当はXLPよりもVDCの方が分散投資されている為、VDCを使うべきですが、止むを得ずXLPとしました。
各データは円換算してから標準偏差を計算しています。

各期間の標準偏差
スタートから1年円VT円TOK円SPY円XLP
2008/06/3037.37%35.14%32.13%23.81%
2009/05/2923.83%23.24%21.06%15.71%
2010/05/2815.71%16.12%16.08%11.13%
2011/05/3127.04%25.34%24.02%17.03%
2012/05/3111.55%11.01%11.03%12.12%
2013/05/3114.65%13.63%13.93%14.56%
2014/05/3011.50%13.23%13.38%15.83%
2015/05/2920.31%19.51%20.26%18.14%
2016/05/3113.80%14.85%16.29%10.51%
全期間21.61%21.00%20.15%16.19%
は標準偏差が一番低い。

全期間では2008年06月30日~2017年05月31日までの期間の標準偏差です。
これを見ると1年毎のデータでは、国産分散投資でVTへの投資では2014年を除けば、米国集中投資のSPYやXLPに比べて標準偏差が高くなっている年が多くなっています。

全期間では国際分散投資でVTへ投資するよりも米国集中投資であるSPY、XLPの方が標準偏差が低くなっています。

ここから分かる事は分散の度合いの大きい国際分散投資が米国株集中投資と比べてリスクは低いとは言えない点です。
これはリスクの高い新興国や小型株が入って来るからです。

なお、セクター毎にもリスクが違っていてセクター分散されているSPYよりも生活必需品セクターであるXLPの方がリスクが低くなっています。

銘柄レベルだったら、均等配分投資で60銘柄ぐらいまでは非システマティックリスクを低減させますが、60銘柄レベルでは非システマティックリスクは無視できるレベルです。
ですから分散投資をすれば非システマティックリスクを消滅出来るのでその分だけリスクは低くなります。

これ以上の分散をした場合のリスクはシステマティックリスクは残りますが、ポートフォリオの組み方によってリスクが違ってきます、例えばS&P500だったらリスクの低いヘルスケア、生活必需品、公益の3つを足しても全体の26%程度と比率が低くやっぱりそれなりのリスクになります。
恐らくMSCI-WORLDレベルまでの分散だったらリスクが低減するであろうと考えている人は多いと思われます。

では、更に分散を進めてリスクの高い小型株、新興国、フロンティアを含めたらどうか?と言われると、よほど絶妙なブレンドをするか各アセットクラス同士の相関係数が十分に低くないと分散投資をしても逆にリスクが高まるケースも出てきます。
新興国やフロンティアでは原油価格下落や貧困がボラティリティを高くしている面があります。

リーマンショック時には株式同士(日本、先進国、新興国)の相関係数は1に近いレベルになった為、株式レベルで分散投資をしてもリスク低減効果よりも新興国のリスクの高さが裏目に出てしまったケースもあります。
それはVTの2008年6月30日から1年間のリスクを見るとよく分かります。

この問題は分散投資を進めていくと結局はリスクの高い株式まで投資をせざるを得ない状況になってしまうからです。
その結果として国際分散投資は米国株集中投資に比べてリスクは低いとは言えません。

米国株集中投資であっても国際分散投資であってもリスクコントロール目的でセクター戦略をやったり、連続増配企業を組み入れてリスクを低減させる事は十分に可能です。
米国集中投資であってもリスクコントロールは十分に可能なのです。
ですから、米国株集中投資は危険だ!との意見は、それは注意が必要です。

ただ、米国株集中投資の場合では個別銘柄レベルでは、銘柄分散はしておかないと万が一、投資している企業の経営破綻や不祥事によるダメージが大きい点にも注意が必要(非システマティックリスクと言います)です。

分散投資だけではリスク低減効果は不十分な場合があるので、国際分散投資の場合であってもリスク低減策は必要です。
なお、株式だけではなくて債券や預金を組み入れてリスク低減をさせても良いでしょう。

リスクコントロール目的でのセクター戦略やゼロクーポン債を使った投資戦略はキワモノシリーズのエントリーで取り上げています。
ここではリスクのみを取り上げておりリターンを無視しています、ですから現実的には国際分散投資か?米国株集中投資か?はリスクだけでは判断できません。

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