21世紀に入って知名度を上げたメディアをひとつ挙げるとしたら、アルジャジーラでしょう。「中東のCNN」と呼ばれるカタールの放送局は、欧米とは異なる編集で存在感を示しています。ビン・ラディンのような過激な原理主義もいれば、国や宗派の激しい対立もあるアラブ世界で、おそらく全域的に見られているメディアです。
内向きな日本の放送局は、大きなチャンスを逃がしつつあるように見えます。いまは、東アジアの存在感が高まっている時代。北朝鮮のような過激な社会主義もあれば、領土をめぐる摩擦もあるのが東アジアなんですが、ヒト・モノ・カネの交流は活発になっているわけですから、アルジャジーラのような放送局が求められる可能性は高いと思う。極東から東南アジアにかけて、欧米とは異なる編集により、多様で激動する現在を映し出すメディアを。そういうグローバルな発想から、余りにも現状がかけ離れていることが残念です。

ブルームバーグやCNBCを見ていると、アジア報道に力を入れていることが分かります。激動するアジア。成長するアジア。その現在を刻々とお伝えします。そういうメッセージが強く伝わってくる。私が不思議に思うのは、世界第2位の経済大国であり、ソニーのような優れた放送機材を生産できる日本なのに、どうして東アジア全域をカバーして評価されるメディアを生み出していないのか?ということです。NHKの会長だった島桂次に対しては毀誉褒貶があったんですが、少なくともアジア全域を見据えた放送づくりという点では先進性があったと思います。

いまは中国の脅威が言われていて、それは主に製造業なんですが、情報通信やサービスの分野で彼らが躍進してくるのは、もう時間の問題だと思います。香港・中国・台湾を合わせた経済力は、かなりの水準ですし、さらには東南アジアの華僑たちがいる。極東から東南アジアにかけて、中国系やシンガポール系のCNNやアルジャジーラが登場する可能性だって否定できないのです。金融の知識。英語力。ITの浸透。個性ある経営者の素早い決断力。私は、アジアにおいて、次なるメディアの時代に必要な資質がマグマのように動いているのを感じます。

それは、フジテレビの日枝会長やニッポン放送の亀渕社長たちの迷走劇と、余りにも対照的な光景です。フジサンケイ・グループが、アジアにおける日本の存在を強く意識してきただけに、それは皮肉な対照に見えてしまう。普通の主婦が韓国ドラマを見て、普通のオジサンが大リーグを見て、普通の若者が米国ドラマを見ている時代なのです。グローバルな意識をもったメディア経営者の登場は、日本では望めないのでしょうか。私は、騒がれている女子アナの結婚に「おめでとう」と言いたい気分です。皮肉を込めて。

■毎度ありがとうございます。
いろんな投資関係のブログは→こちら
いろんな株のブログは→こちら
コーヒーのブログは→こちらです。