まさかの0−3。レアル・マドリードが東京ヴェルディに完敗しました。移動の負担とかコンディションとか、いろんなことが言われていますが、これはスポーツとメディアの関係が曲がり角に来ていることを示す結果だと思います。
レアル・マドリードの選手たちは、高額なお金と引き換えに、世界を回る厳しい日程を受け入れています。輝く星(スター)たちの連携はギャラクシー(銀河)軍団と呼ばれていますが、それはギャランティー(出演料)軍団でもある。デービッド・ベッカムに期待されている役割は、試合に勝つことだけでなく、アメリカや極東でサッカーの視聴率を上げ、放映権の値段を上げることでもある。とくに女性ファンを広げて、レアルの放映権の価格を上げなくてはならない。

昨日の午前中には、新しいユニフォームのお披露目も行われました。選手たちは、シーメンスやアディダスのようなグローバルな製造業からの期待にも応えなくてはいけない。取材や記者会見など、いろんなメディアへの対応も笑顔でこなしている。リーグ戦の合間に、時差や気候を超えて、こんなことを幾つもの国でやるのですから、その負担は相当なものになっているはず。

東京ヴェルディには、日本テレビ放送網というメディア企業が付いています。J・リーグで2ヶ月も勝利から見放されているクラブを相手に親善試合をして負けたところにも、メディアの宿命を感じてしまう。世界の一流選手の華麗なプレイを見たい。それは、世界中のサッカー・ファンの望みではある。しかし、その行き着く先が、こんな形であったとしたら、もはや皮肉としか言いようがありません。だから、これは単に「レアルにはガッカリ」というだけの話ではないように思えるのです。

対象的だと思ったのは、三浦カズの移籍。1部のヴィッセル神戸から2部リーグ、しかもその下から2番目の横浜FCに移動するとうのに、まったく悲壮感がない。「4年半いた神戸では控えやベンチ外など、サッカー選手としてすべてを経験でき、プラスになった。過去の数字やキャリアは忘れて、市民の方々が手作りでつくってきたチームのJ1昇格を手助けしたい」。私が思い出すのは、イタリア代表だったロベルト・バッジォです。「デルピエロの控えでもいいから」とイタリア代表にこだわったバッジォは、決して有名とはいえないクラブに移籍し、充実していると語っていました。

私たちは、ただ世界の華麗な一流品だけを追い求めるだけで良いのだろうか?地域の小さなクラブであっても、そこには世界最高峰とは単純に比較することのできない価値や重みがある。レアルの不調が、世界のサッカー・ファンに問いを投げかけているように思えました。

試合後のロベルト・カルロスは、スペイン語でアッサリと語っていました。「きょうは難しい試合だった。大事なのは相手にとってもいい試合だったということでしょう。日本のファンには感謝している。ありがとうと言いたい」。ここにあるのは勝ち負けにこだわるプロではなく、慌しく日程をこなすだけの芸能人ような姿です。私がブラジルで見た、あの無名の選手たちのギラギラとした輝きは無いのです。


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