夏の選挙は、厳しい。とくに東京は都議選があったばかりですし、高齢者には蒸し暑さがこたえる。怪文書も出れば、死者も出るのが選挙というもの。「5日後に1,000人の集会をやる。会場を押さえなきゃ」。そんなスケジュールをこなすのですから、選対の人たちも大変です。しかし、そんなことを考えるのは、ごく一部の人たちだけ。大多数の有権者には関係ありません。
無党派の立場で、いろんな選挙の現場を見てきた私が痛感するのは、この距離感ですね。政策とか、右左の対立などは小さく見える。「郵政民営化」がキーワードになってますが、多くの人の耳には「ユーセーミンエーカ」と、まるで外国語のように聞こえているかもしれない。だから、選挙を組み立てる側としては、まずは政治に対するハードルを低くすることを考えないといけない。アニメや漫画でイメージを伝えても良いと思います。アメリカでは、早くも1950年代にアイゼンハワー陣営が白黒のアニメーションを使っています。

民主党は言っています。「年金と税制だ」。郵政は、貯金の話。つまり、自民党であれ、民主党であれ、お金と暮らしの関係が焦点になっている流れは変わらないんですね。年金も、税金も、簡単な話じゃありません。誰かが損をして、誰かが得をすることが避けられない。とくに年金には、世代間の対立が地雷のように埋まっていますから、これは郵政よりも困難な道になりそう。ただ、民主党の「問題は、郵政民営化ではない」という訴え方は、相手のホームではなく、自分たちのホームで戦おうとする巧い戦略だと思います。

郵政民営化に反対した議員の中には、岐阜県の野田聖子や群馬県の小渕優子などがいます。彼女たちは一見すると若手のように見えるんですが、いかにも地方の中高年の男性に可愛がられそうなタイプ。私の目には、自民党と民主党の戦いよりも、背後にある世代間の違いが気にかかる。焦点は、郊外に住むサラリーマンが、どれだけ投票に行くか?ですね。

地方では、自民党の基盤が前の選挙より弱っています。郊外のロードサイド店に押されて、古い商店街では集客が落ちている。農家は高齢化が進み、建築土木業も厳しい状態です。自民党を支えてきた3つの柱を補うだけの力が「郵政民営化」という言葉にあるか?といえば、これは厳しそう。

日経平均は、思いのほか強くプラスで終わっています。債券が売られて、長期金利が1.4%に上がりました。私が考えていたよりも、市場は政治を恐れていない。「政治がダメでも、日本の民間企業は強い」とマーケットが言っているのでしょうか。株高&債券安の流れは変わっていない。きょうのアメリカ市場も、株高&債券安で始まってます。

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