品の毎日信濃毎日新聞には、「県内企業 景況感3期連続悪化」と出ています。クリスマスの賑わいが遠く感じられるのは、冴えない日本の内需、とくに地方の消費が弱くなっているからですが、私は日本社会の老いが、いろんな場面で明らかになっている現実を感じることも多くなりました。

来年は、不動産を手放す人が増えそう。商店街だけでなく、住宅街でも歯の抜けるような現象が始まっています。うちの近所では、坪あたり30万円。松本城の東側にある城東という地区では、「坪あたり10万円で売った人がいる」と耳にしました。株と違って不動産は持っているだけで税金がかかるから、重荷になります。相続で家を引き継いだものの、固定資産税が負担だから、とりあえず更地にしたという話も聞く。年末年始に故郷に帰る人たちには、「オヤジも老けたなぁ」と感じる人が増えるでしょうし、また実家の近所が静かに、そしてスカスカになっている現実を実感する人も増えるでしょう。

私のように40代に入ると、すでに父親が退職している人が多い。退職すれば、収入は減り、医者にかかる回数が増えます。これから団塊の世代が退職すれば、多くの中高年の収入は減り、医療費が増える。そして、その子供にあたる30代には、社員になれずアルバイトを続けている人が多いから、一家の中に誰も社員がいないというケースも増えます。中長期の社会の変化は、いったんテレビや新聞から目を離し、家庭や地域など身近なところに注目した方が、よりハッキリと見えます。

ホテルいま私の自宅の前では、ホテルの建設が進んでいます。ヘラクレスに上場しているレイコフ(8941)が、旧・第一勧業銀行の土地を買った。その工事の音はうるさいですが、私は内心でホッとしています。なぜなら、いま地方の街では、民間の投資が来る場所と、そうでない場所とで明暗が分かれているから。自宅の前にファンドの資金が入るのであれば、不動産が下げ止まる可能性も高くなります。近所では反対運動をしている人もいますが、私は全国の資産の変化を考えているので、反対運動をする気持ちにはなれません。マンションも、ある地域に集まって暮らさざるを得ない時代の流れを思えば、そうそう悪口を言う気にはなれない。

日本の老いは、世論にも現れています。「昔は良かった」。「日本は素晴らしい」。「世の中はカネじゃない」。「額に汗して働け」。「モノづくりが大事だ」。セピア色の過去を静止画像のように懐かしむだけでは、暮らしの確かさは守れない。社会は変化しているのだから、つねに動画として見ていないと、自分がどうして良いのか?も分からなくなってしまいます。

hoabinhUW証券のベトナムファンドは、11月のレポートを出しました。"Hoa Binh Constoruction & Real Estate Corporatioin"という未上場の建設会社が新たに組み入れられています。これも数ある動画のヒトコマだと思うので、いつものようにマーケット・レポートの部分を以下に引用します。


■<11月の市場> 譲渡益課税などで4ヶ月ぶり反落

11月のベトナムVN指数は−8.7%と4ヶ月ぶりに反落しました。MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル)新興国株価指数は−7.1%でした。MSCIの下落は米国サブプライムローン問題がのしかかっているためで、ベトナム株もそのあおりを食らった格好ですが、11月20日に株式譲渡益課税法案が国会を通過した影響も大きいようです。同法案は今年6月に閣議で決められていたもので、株式市場にはある程度、織り込まれていました。しかし、来年1月から、個人のキャピタルゲインに対して20%のほか、取引所税0.1%が課税されることが決まったことで、改めて売られる展開となりました。不動産譲渡益にも25%の課税が決まりました。ほかに、ここにきてインフレ懸念が高まっていることも市場に警戒感を与えています。

11月はホーチミン市場上場銘柄(109)のうち、値下がりが108銘柄でした。個別ではカジノ・ホテルを経営しているロイヤル。インターナショナルが増資発表で売られ−23.6%と急落したほか、経営者の妻による持ち株売却が明らかになったベトイ鉄鋼が−14.7%などです。一方、日本などから受注拡大で佳会のビンチュウが+91.2%と値を飛ばしました。

 

■<12〜1月の相場展望> インフレに警戒感

11月に10%を超えるインフレ率を記録したほか、今年は年間で40%を超える直接投資が予想され、経済は過熱傾向が強まっています。とくに、物価の上昇は市民を直撃しており、11月末グエン・タン・ズン首相が来年の旧正月(2月7日)まで食品、ガソリンなど必需品を中心に物価の抑制を各省庁に指示したほどです。物価上昇の一因が通貨安政策にあることから、当局はこの2ヶ月ほどは通貨高を誘導する姿勢をみせています。

期待されるのは、4大国有銀行の一つ、ベトコンバンクが12月26日にIPO売出しが決まったことです。9兆7500億ドン(約680億元)の調達が予定されていますが、金融機関など外国投資家の間で人気が高まりそうです。同行の上場をきっかけに再び海外投資家主導で相場復調につながる公算もあります。