mcd CNBCではスターバックスの苦戦ぶりが話題になることが増えています。チャートは、赤がマクドナルド、青がスターバックスの1年の株価。この差がコーヒーの味によるものなのか?あるいは新興国の店舗の厚みの違いによるものなのか?は分かりませんが、90年代後半に起きた株高と続く不動産ブームの波に乗って成長してきたスターバックスの低迷を、アメリカの個人消費の減速を象徴する現象と見る人は増えているようです。

日本では、70年代から80年代にかけてドトール・コーヒーが躍進しました。「ドトール」は、ポルトガル語で「博士」という意味。かつてのコーヒー業界には、「生産地に行くならブラジル、消費地なら西ドイツ」という言葉がありましたから、私はドトールの文字とジャーマン・ドッグを見るたびに、「ふたつの文化の組み合わせなんだな」と感じていました。

85℃戦後の日本では、いかに欧米の消費スタイルを取り入れるか?が主なテーマだったと言えます。アジア諸国は、あくまでも原材料の調達先であり、その消費は遅れていると考える人が大多数でした。しかし、最近はアジアの個人消費の伸びが強いですから、アジア発の消費文化に注目する経営者が増えています。コーヒー業界でいえば、台湾で急速に店舗を増やし、大陸にも進出した"Cafe85度C"。以前はコーヒーが美味しい温度を95℃以上とする意見が強かったんですが、いまは書籍でも低めな温度を書いているものが増えています。

似たような現象は、紅茶の世界でも進む可能性があります。これまで紅茶といえば、「産地はインドやスリランカ、ブランドは英国」というパターンが主流でした。しかし、途上国の中流層が厚みを増してゆけば、新興国の独自ブランドが成長してゆく可能性が高まる。私は、少なくともコーヒー業界では「生産地も消費地も、アジア」という時代が近づいているのを感じています。

グーグル昨夜のCNBCでは、マリア・バルティローモがグーグルのエリック・シュミットに株価が冴えない理由を尋ねる映像が流れていました。仲良しクラブな雰囲気が強い日本のテレビ番組には、こんな聞きづらいことをハッキリ聞く人は、あまりいません。

もうひとつ気になる違いは、"Tech(テック)"という言い方。グーグルも、アップルも、アマゾンも、CNBCではテクノロジー(技術)が強い会社として「テック」と呼ぶことが定着していて、「IT企業」という言い方は、あまり耳にしません。アップルの製品はハードウェアとソフトウェアが分かちがたく一体になっているし、アマゾンも流通のために莫大な投資を続けてきた会社ですから、わざわざネットの部分だけを取り出して特別視して分類することが、やや不自然に思えてしまいます。

日本では、どういうわけか「製造業」をネットやITと分けて特別視する傾向が強い。CNBCで「製造業」とか「モノづくり」に近い表現といえば、"Manufacturing"だと思いますが、クルマやテレビでもケータイでも、ソフトウェアとの組み合わせが重要になっている時代ですから、よほど素材に近いものや大きな製品を造るのでない限り、もう「テック」と呼んだ方が自然な感じがします。

いまアジアで台頭する企業には、若い経営者も目立ってきています。インターネットを特別な存在と考えるのではなく、すでに学生時代から当たり前の環境として使い、それを様々な領域に応用しようとする野心家も多い。デモや国旗を振りかざす人々の映像に目を奪われて、「あっちが正しい、こっちが間違っている」と騒いでいて、ふと気づいてみたら技術的に進んだ企業がアジアから続出していた…という未来像は、そんなに的外れではないように思えます。