長く村井仁の秘書を務めてきた右近謙一さんが自殺。驚きました。東京地検特捜部から何度も調べを受けていたと報道されています。地元では、「ありゃ西松建設ずら?」という声が出ています。私が右近さんと会ったのは、06年の知事選のとき。あの頃は、村井氏の知事選への意欲を確かめようと多くの人たちが右近さんに接近しましたが、なかなか真意が伝わって来なかった。「鉄のパンツ」とあだ名されるほどのクチの堅さは、関係者の間では有名でした。

若林村井さんが知事候補に決まったのは、自民党県連を仕切る県会議員の石田治一郎さんと、官邸で総理秘書官をやっていた飯島勲さんとの話し合いの結果。誰が田中康夫の対抗馬になるのか?当時は参議院議員の若林正俊(自民)さんの長男も出馬に向けて活動していましたが、「若林議員は次の内閣改造で入閣させるから、それと引き換えに長男の出馬は辞退」という調整が行われたという噂が広がりました。実際、その後の若林議員は、農林水産大臣に何度も就任しています。

こんな選挙では、無党派の私には、やる気が起きません。それでも行きがかり上、村井陣営の一員として知事選に関わることに。私は、旧来の組織選挙では面白みもないし、また広い支持を集めるのも困難になるだろうと考え、事務所に「祈・必勝」の張り紙を並べるようなことを止めてはどうか?と、右近さんに申し上げたこともあります。すると右近さんは、「あの紙も、いろんな組織や人から来るから、それをどういう順番で何処に貼るかを考えるだけでも、すごく大変なんですよ」と言っていました。長く自民党の秘書をやっていると、いろんな人のいろんな立場に挟まれて、心労も重なってゆくのでしょう。いまは民主党への政権交代が現実味をおびていますが、政権に絡む多くの有名無名の人たちがいることを思うと、とてつもない数の葛藤や重圧がいろんな場所で起きると予想されます。

政策をめぐっては、いろんな考え方があります。財政の出動だけを考えても、いつ、どこに、どのように行うか?をめぐって意見が分かれる。ただ、ここまで不況が進んでくると、雇用や年金の問題に、どれだけ本気で取り組んでいるのか?という切実さや本気度が重要になってゆきそう。これまでどおりに、とりあえず綺麗で当たり障りのないことを言っていれば良いという時代は、さすがにもう終わりにしてゆかないと、多くの日本人の生活が苦しくなってゆくばかり。「残念ながら」というべきか、「やはり」というべきか、いまの村井知事からは、そうした切迫した雰囲気は伝わって来ず、だから現役世代からの支持が弱くなっているようにも思えます。私も、村井さんの後援会の通知などが来ても、まったく出かけていく気持ちが湧きません。

選挙の投開票のニュースには、いろんな事務所の光景が出てきます。高齢の男性ばかりが壇の上に集まって「ばんざあ〜い」とやっている絵もあれば、いかにも手作りで組み立てた感じ事務所の映像も出る。私は、あのシーンを見ただけで、どんな陣営なのか?おおよその雰囲気が分かります。候補者その人よりも、支持者の服装や顔、それに壁に描かれたメッセージなどを視てしまう。最近の選挙だと、組織の強さと手作り感が調和しているという点で、小池百合子の事務所の光景が印象に残っています。しかし、小池百合子のような女性は、地方の保守層、とくに自民党の選挙を担っている高齢の男性にはウケが悪い。女性の地方議員の多さという点では、自民党よりも共産党や公明党の方が進んでいるようにも思えます。

いま自民党が弱くなっているのは、短期的にみれば麻生政権の運営の下手さが理由だと思いますが、中長期で考えると、やはり中心となる人たちの高齢化が大きいと感じます。かつて大学の医学部で教授をやっていた方に、現代の医療現場から出ている勤務の厳しさを訴える声を伝えてみても、「それは根性がないからだっ!」と言われてしまう。また、年金に対する若年層の不安を話してみても、「オラ、自分が払った分は貰うでねっ!」という答えが返ってきたりする。これでは、もう、わざわざ足を運んで何かをしよう、あるいは協力しようという気力が無くなってしまいます。

亡くなった右近さんは、私のような者の話にも耳を傾けてくれる人でした。私は、いよいよ自民党が終わりに近づいているなぁと感じます。